市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

公舎に単身入居し年間30回愛人とお泊まりしても不正ではないと公務員福祉厚生に画期的判断を示した東京高裁

2013-08-10 13:48:00 | オンブズマン活動
■前橋で37度、館林で28.4度の最高気温を記録した昨日、平成25年8月9日(金)でしたが、もうひとつの群馬県政のホットな話題である大澤正明群馬県知事による愛人との公舎不正利用問題について、市民オンブズマン群馬のメンバー2名が、知事公舎妾宅化損害賠償請求控訴事件として提訴していましたが、この日午後1時15分から東京高裁8階の825号法廷で判決が出されました。なお、このハレンチ事件に関する知事・大澤の2011年10月県議会での答弁の様子はこのYouTubeをご覧ください。http://www.youtube.com/watch?v=vKBxZG9EHXQ

 当日は午後1時までに市民オンブズマンの会員4名とその関係者3名の合計7名が東京高裁8階に集合しました。一方、群馬県からは若手の職員1名が出張してきました。

■午後1時15分きっかりに裁判長らが入廷してきました。傍聴席には20名ほどいましたが、全員起立をして礼をしてから、着席しました。

 園尾裁判長が「お待たせしました。それでは判決の言い渡しを行います」というと、その後12件の民事控訴事件の判決が次々に読み上げられした。事件番号と主文の冒頭部を紹介すると次のとおりでした。

 平成24年(ネ)第8100号 第一審の原告の控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第1278号 本件控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第1297号 第一審原告Aの控訴に基づき原判決主文第1項を取り消す。第一審原告Bとの関係で、同人を母とし、第一審原告Aを子とする親子関係の存在を確認する。第一審の控訴を棄却する。
 平成25年(ネ)第1496号 控訴人の控訴をいずれも棄却する
 平成25年(ネ)第1880号及び第3764号 第一審原告らの本件控訴及び第一審被告の本件付帯控訴をいずれも棄却する
 平成25年(ネ)第2224号 原案決主文第3項を第3項(1)とし、同(A)とし次のとおり加える。被控訴人は控訴人に対し370万円を支払え。控訴人のその余の控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第2246号 本件控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第2706号 本件控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第2743号 本件控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第2784号 本件控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第3609号 本件控訴を棄却する
 平成25年(ネ)第971号 本件各控訴をいずれも規約する

以上の判決文の主文の読み上げガ約5分ほど続きました。そしていよいよ行政訴訟の判決の晩になりました。

 平成25年(行コ)第119号 本件控訴を棄却する

 最後に知事・大澤の不倫問題にかかる知事公舎妾宅化損害賠償請求控訴事件の判決が読み上げられました。

 平成25年(行コ)第139号 本件控訴を棄却する。訴訟費用は控訴人らの負担とする

 判決文の読み上げは僅か6秒でした。以上の判決文の読み上げを終えると、園尾裁判長ら裁判官は起立をして礼をすると、さっさと法廷をさりました。

■東京高裁が出した判決の全文は次のとおりです。

**********
平成25年(行コ)第139号 公金不正支出損害賠償請求控訴事件(原審・前橋地方裁判所平成24年(行ウ)第10号)
(口頭弁論終結日 平成25年6月4日)
          判   決
   前橋市文京町1-15-10
      控訴人       鈴 木   庸
   群馬県安中市野殿980番地
      控訴人       小 川   賢
   前橋市大手町1-1-1
      被控訴人    群馬県知事
                大 澤 正 明
      同訴訟代理人弁護士 新 井   博
      同指定代理人    大久保   聡
      同         小 林 ― 廣
      同         田 村 高 宏
          主   文
    1 本件控訴を棄却する。
    2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
          事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,天滓正明に対し,1956万8940円及びこれに対する平成24年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を群馬県に支払うよう請求せよ。
第2 事案の概要
1 本件は,群馬県民である控訴人らが,同県知事である大澤正明は知事公舎に愛人を住まわせて違法にこれを使用したと主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,①公舎の目的外使用にかかる損害賠償金,②公舎の改修費用,③水道光熱費等の支出金につき,被訴人に対し,大澤を相手方として不法行為に基づく損害賠償又は不当利得に基づく利得返還請求として合計1956万8940円の支払請求をするよう求める住民訴訟である。
 原審は,平成23年2月23日より前にされた違法行為ないし公金支出については適法な監査請求を経ておらず,期間経過の正当理由(地方自治法242条2項ただし書)もないとして却下し,その余の請求を棄却したので,控訴人らが控訴した。
2 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の「事実及び理由」第2の2及び3に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決の補正
 原判決3頁21行日ないし22行目の「別紙1」を「別紙2」と改める。
(2)当審における控訴人らの主張
 ア 大澤は,平成22年に30回,平成23年1月から6月までの間に13回,平均すれば2週間に1回強の頻度で知人女性を本件公舎に宿泊させ滞在させたのであるから,同女と同棲状態で同居していたものであり,公舎管理規則8条2号(他人を同居させた場合)又は3号(目的外使用)に該当する。
 イ 本件各契約は本件公舎の妾宅化を目的とする改修工事のための契約であるところ,原判決は,住民に対し工事用車両の出入り等のみで工事の有無ひいては本件各契約の有無を推測すべきであるとするものであり,容認できない。
 控訴人らは,平成23年7月20日付けで公文書開示請求をしたが,開示を受けた文書のみでは本仲冬契約や冬支出が知事の許可を得たものかどうか不明であったため,さらに秘書課と管財課との間で交わされた文書の
    開示を求め,また天滓が自家用車で知人女性の送迎をしたことを明らかにするために知事公用車の運行に関する文書の開示を求めたものである。前者については平成24年1月4日に文書の不存在が判明し,後者については1月20日までに知事公周東を使用していない時期が判明したため,控訴人らは2月23日付けで住民監査請求に踏み切ったものであり,期間経過の正当理由がある。
 ウ 大澤が本件公舎に居住していた約3年半の間,本件公舎に入った第三者は知人女性だけであったと思われ,両者は室内で過ごしていたのであるから,公費を費やして公舎庭園の樹木や芝を維持管理する必要はなかったものである。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,控訴人らの請求のうち,本件期間経過部分は適法な監査請求を欠き不適法であるから却下を免れず,その余の部分は理由がないので棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり付加訂正するほか,原判決の理由説示(「事実及び理由」第3)のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決の訂正
 ア 本件各支出について
 原判決14頁9行目の「以上のとおり」を次のとおり改める。
 「大澤が平成19年12月に本件公舎に入居した後,住民が相当の注意力をもって調査をすれば本件各契約の存在を知ることができたことは上記(原判決「事実及び理由」第3の2(3)ア)のとおりであり,これによれば,本件各契約に基づく本件各支出についても,住民が相当の注意力をもって調査をすればその存在を知ることができたものと認められる。」
 イ 本件光熱水費等について
 原判決14頁22行目の「さらに」を次のとおり改める。
 「本件公舎は県の所有する居住用建物であり,居住に伴い電気,水道,ガス,電話及びインターネット接続代が発生することは容易に推察できる事柄である。天滓は平成19年12月から県知事として本件公舎に居住していたものであるから,入居後の本件光熱水費等についての県の支出行為の有無については,住民が相当の注意力をもって調査をすればこれを知ることができたものである。加えて,」
(2)当審に提出された証拠に基づく訂正
 原判決13頁8行目冒頭から14頁20行日末尾までの事実認定において,原判決は,平成24年1月20日まで本件各契約及び本件各支出に関する公文書が控訴人らに開示されなかったものとしている。しかし,当審に提出された証拠(乙35ないし36の4)によれば,本件各契約及び本件各支出に関する文書は,平成23年10月21日に控訴人らに開示されたことが認められるから,これに基づき,次のとおり原判決を訂正する。
 原判決13頁11行目の「などが」から13行目の「った」までを「並びに本件各契約及び本件各支出に関する文書が開示された」と改め,19行目の「開示され」から20行目の「文書も」までを削り,25行目の「そして」から14頁4行目末尾までを削り,14頁7行目の「14日ころ」を「21日」と改め,17行目の「なお」から20行目末尾までを削る。
(3)当審における控訴人らの主張に対する判断
 控訴人らは,大澤が平成22年に30回,平成23年1月から6月までの間に13回,知人女性を本件公舎に宿泊させたものであって同女と同居していた旨主張するが,平成23年7月8日から9日にかけての1泊(本件公舎提供行為)以外に,大澤が上記の女性を本件公舎に宿泊させたことを認めるに足りる証拠はないから,上記の主張は採用できない
 控訴人らは,住民監査請求について期間経過の正当理由がある旨主張する。しかしながら,上記(1)及び(2)による訂正後の原判決「事実及び理由」第3の2に説示のとおり,本件期間経過部分について地方自治法242条2項ただし書の正当理由があるとはいえないものであるから,控訴人らの主張は採用できない。
 控訴人らは,本件公舎に入った第三者は知人女性だけであったと思われ,大澤と知人女性は室内で過ごしていたから,公費を費やして公舎庭園の樹木や芝を維持管理する必要はなかったと主張する。しかし,控訴人ら主張のような本件公舎の居住状況によって公舎庭園の樹木や芝の維持管理が不要になるものと認めることはできないから,控訴人らの上記主張も理由がない
2 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
 東京高等裁判所第10民事部
        裁判長裁判官     園   尾    隆   司
           裁判官     草   野    真   人
           裁判官     森   脇    江 津 子

これは正本である。
 平成25年8月9日
 東京高等裁判所第10民事部
    裁判所書記官 後 藤 正 行






**********

■園尾隆司裁判長は最高裁判事の候補としても名前が取りざたされているベテラン裁判官ですが、やはり行政訴訟に対するスタンスは、全くの行政サイド寄りであることがわかります。だから、最高裁判事の呼び声が高くなるというわけです。

 それにしても、今回の控訴事件の審議はひどいものでした。証拠採用については、被控訴人の群馬県知事・大澤が提出した証拠を全面的に認め、オンブズマンが出した証拠申請である、証人尋問は、知事・大澤の「必要ない」という言葉を直ぐに取り入れて、握りつぶしました。

 にもかかわらず、園尾裁判長らは判決文の中で「控訴人らは,大澤が平成22年に30回,平成23年1月から6月までの間に13回,知人女性を本件公舎に宿泊させたものであって同女と同居していた旨主張するが,平成23年7月8日から9日にかけての1泊(本件公舎提供行為)以外に,大澤が上記の女性を本件公舎に宿泊させたことを認めるに足りる証拠はないから,上記の主張は採用できない」と判断しました。これは、到底、一般市民にとっては理解できないことであり、言語道断と言えます。

 さらに園尾裁判長らは、一審で情報開示が最後に出された期日について触れていましたが、二審の控訴事件の判決文では、最初に開示された書類だけを対象に、その後、追加開示された書類については目もくれず、一審の判決文を修正して、知事・大澤の都合のよいように書き換えました。

■更に極めつけは、園尾裁判長らは判決文に次のような文章を付け加えてきたことです。

「控訴人らは,本件公舎に入った第三者は知人女性だけであったと思われ,大澤と知人女性は室内で過ごしていたから,公費を費やして公舎庭園の樹木や芝を維持管理する必要はなかったと主張する。しかし,控訴人ら主張のような本件公舎の居住状況によって公舎庭園の樹木や芝の維持管理が不要になるものと認めることはできないから,控訴人らの上記主張も理由がない」

 これにはあいた口が塞がりません。公舎の使用届を「単身」として届けながら、実際には「愛人同伴」で公舎を使用していたのですから、本来は塀の嵩上げや、玄関ゲートのリモコン化、そして隣接マンションとの間の目隠し植樹や、玄関脇の“建仁寺”竹垣設置などは不要だったはずです。しかしそのことを主張した控訴人に対して、控訴人が公金不当使用の理由として主張してもいないことをわざわざ最後に追記して、「それでも公舎庭園の樹木や芝の維持管理の必要がある」というのは、納税者を愚弄した判断です。

■こういう裁判官が最高裁判事候補になるのですから、本件敗訴により最高裁に上告しても結果はミエミエかもしれません。

 しかし、一審の不当判決よりもさらに知事・大澤寄りの判決を下した東京高裁の判断をこのまま到底認めるわけには参りません。

 市民オンブズマン群馬では、7月20日の例会で、「東京高裁で本件が棄却された場合、上告すべきかどうか」ということについて討議をしていました。その結果、「高裁で敗訴になった場合、オンブズマン会員からの浄財を使い、ぜひ最高裁に上告手続きを取るべきだ」という意見が出され、満場一致で承認されました。

 そこで、判決後、東京高裁の16階の第10民事部で判決文の前文を直接受け取り、その主文を、予め用意しておいた上告状兼上告受理申立書の欄に手書きで書き入れて、それを東京高裁17階にある民事受付に提出しました。上告手続きに必要な手数料26,000円の収入印紙と郵便切手7800円を一緒に納付しました。郵便切手については、高裁の判決文を直接受け取ったことから3600円の切手が余ったので16階の第10民事部から返還されたため、それを再利用し、不足分の4200円分を500円切手×4枚、200円×4枚、100円×6枚、20円×10枚、10円×12枚を高裁の地下1階にある郵便局で購入しました。


東京高裁での上告手続で、最後に民事受付担当者がくれた上告事件の『お知らせ』
                 受付年月日25.8.-9
     お 加 ら せ
 提出された事件の事件番号及び担当部は、下記のとおりです。
     記
事件番号/担当部
平成25年(行サ)第169号/第10民事部
平成25年(行ノ)第159号/第10民事部
○この事件について問い合わせをされるとき,または、裁判所においでになるときは、上記の事件番号をお忘れにならないようにお願いします。
○担当部は、関連事件などのために変更されることがあります.、
               民事法廷事件係
   東京都千代田区霞が関1丁目1番4号
   東 京 高 等 裁 判 所
   電話(3581)5411(代表) ↑

■その後、新幹線で高崎経由前橋県庁に赴き、午後4時30分に予約をしておいた県庁5階の刀水クラブで、幹事社を通じて判決文の写しを配布し、記者団を前に記者会見を行いました。

 参加した記者らは次のとおりでした。なお、記者会見の会場は県庁5階の刀水クラブ(8-9月の幹事社は共同通信と上毛新聞社)でしたが、民事事件や刑事事件など裁判関係は県警クラブの担当でしたので、あらかじめ幹事社の毎日新聞と会見時間の調整等を行いました。

<8月9日の記者会見に出席した各社記者(敬称略)>
・毎日新聞 角田
・読売新聞 有田孝行
・朝日新聞 井上怜
・上毛新聞 西山健太郎
・東京新聞 菅原洋
・時事通信 小嶋紀行

 この他、電話でNHK仲記者や、毎日新聞田上記者、読売新聞石川記者、共同通信塚原記者らと連絡を取り合いました。

■記者会見では、高裁判決に関するオンブズマンとしての感想を主体に、上告手続と上告のポイント、そして今回の知事・大澤による公舎妾宅化事件の問題点と背景及び今後の展開予想、今回の裁判を通じて影響を受けるオンブズマン活動の問題点と対策等について30分ほど説明し、マスコミ関係者らと質疑応答を行いました。

 この中でオンブズマン活動に与える大きな影響としては、裁判所が、知事・大澤の公舎入居後の妾宅化工事に関わる各契約と、愛人と宿泊を繰り返していた公舎の光熱水費について、「住民が相当の注意力をもって調査をすればその存在を知ることができたものと認められる。」というとんでもない判断をしたことです。

 そしてこの対策としては、そうした情報は、たとえ噂レベルであっても早期に住民監査請求をして監査委員に調べさせる手続きをとり、知りえた時から住民監査にいたる時間を極限まで短くする必要があることです。

 勿論、住民監査請求をしても監査委員は全く役に立ちませんから結局は自分たちで情報開示を通じて調べなくてはなりません。そしてその情報は全て行政側が保有しているため、行政側の都合の悪い情報は隠されても、一般市民はそのことを確認する術がありません。明らかに不公平な制度ですが、裁判所も行政の肩を持っていることから、本来であれば、費用と手間を掛けても無駄なことかもしれません。しかし納税者として、何もせずに黙っているとまずます行政や裁判所になめられますから、今後とも行政の指南役としてオンブズマン活動は継続してゆく必要があります。

 また、記者会見での説明で、オンブズマンとしては、上告が棄却された時点で群馬県は知事・大澤の不倫現場だった大手町1号公舎を解体・撤去・更地化するでしょうから、この阻止に向けた準備を進める意向を発表しました。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
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