■東電福島第一原発事故で広範囲に汚染された群馬県の森林地帯から伐採した木材を木質燃料として年間8万トンを今後20年間、群馬県のシンボルの一つである赤城山の南麓に集めて燃やす事業が、前橋バイオマス発電の名称で官業の間で着々と進められています。
計画地から僅か150mの地点に住む赤城ビュータウンの住民の皆様をはじめ、濃縮された放射能が、燃焼灰をはじめ、排ガスや地下水の形で生み出され、それが周辺環境に影響を及ぼすリスクについて深刻な懸念をいだく県民は多数おります。東電によってもたらされたこの未曽有の人災に加えて、東電グループの関電工がこのバイオマス発電事業を主導しており、群馬県民の安全・安心な暮らしが二重に脅かされているのです。ところが、県民の安全・安心な暮らしを守る筈の行政である群馬県は、なぜか放射能との関連性を全く無視し、東電グループによるこの亡国事業に加担し、補助金を付ける始末です。
いわば強盗に追い銭を渡すようなこの補助金交付を取り消させるために、地元住民の皆さんと共に当会は住民訴訟を提起しており、その第2回口頭弁論期日が、11月18日(金)午前10時30分から前橋地裁2階の21号法廷で開廷されました。
↑前橋バイオマス補助金取消訴訟の第2回口頭弁論期日が行われた前橋地裁。↑
当日朝、地裁の掲示板には次の案内が掲示されました。
**********
第21号法廷(本館2階)開廷表
開始/終了/予定 10:30/10:40 弁論
事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第12号/住民訴訟によるバイオマス補助金取消請求事件
当事者 小川賢外 群馬県知事大澤正明
代理人 ――― 石原栄一
担当 民事第2部合議係
裁判長 原 道子
裁判官 吉田達二
裁判官 根岸聡知
書記官 清宮貴幸
**********
■21号法廷には、原告席に当会の代表と地元住民団体の事務局長の2名、そして、被告席には群馬県側の訴訟代理人の弁護士と環境森林部の林業振興課職員らがなんと7名も陣取りました。また、傍聴席には地元住民団体の関係者やマスコミ、ネット報道関係者ら24名が詰めかけました。
第2回口頭弁論は、定刻に開始されました。裁判官が入廷し、一同起立し礼をしたあと、書記官から事件番号が告げられました。
まず原告側が準備書面(1)を陳述し、続いて被告側から第1準備書面の陳述のあと、乙1以下乙18まで全て写しとして提出されました。
裁判長は原告側に対して、「補助金等が7月4日付で決定されたということで、乙2号証に記載されている。これは全部ではないが、2億3850万円が支払われていて、その残りも交付される予定ということが記された乙4号証が出されている。このことからすると、本来はそれを対象に、つまり交付決定を対象に取消訴訟を提起するのがよいのではないかと思うが、前回、(原告は)『改めて監査請求を行った』と言っていたが・・・」と訊ねました。
これに対して原告は「たしかに行ないました。今朝、ここに来る前に県庁26階の監査委員事務局に確認したところ、『監査委員の決裁を待たなければいけないけれど…』などと、グチャグチャ言うから、『法的にはいつまでが起源だと認識しているのでしょうか?』と確認を求めたところ、『11月28日だ』ということを確認した。それで、補助金の金額についてだが、これについて我々も『なぜ2億3850万円なんだ』と思っている。いろいろ農林委員会などの(議事録の)履歴を調べても、たしかに昔からこのような金額が取りざたされている。では一体、あの4億8000万円との関係はいったいどうなっているのか?これがよく分からない。いずれにしても裁判長がおっしゃった乙号証にそう書かれている。これを確実に支払うという観点から、どういうふうにすべきか、というのを指揮をして頂きたい。だから、どうするのか。つまり「今一度(住民監査の)やり直し」ということでお勧め頂いたやり方は、前回たまたま前日に(第2回目の住民監査請求を)行っていて、その結果が28日に結果が出るわけだ。で、それを基に裁判長が、前回お勧めいただいたのは、それをもとに改めて住民訴訟を提起したらどうかということだった」と答えました。
裁判長は「補助金交付決定というのが為されたということで、その関係の監査請求をされているのではないか?違うのか?」と原告に確認を求めてきたため、原告は「そうです」と返事をしました。裁判長はさらに「(補助金の)交付決定についての監査請求をしていると理解したが、そこは違うのか?その件はどうなったのか?」とさらに訊ねてきたので、原告は「実はそこのところがよく分かりません。後になって、(被告は)ああいうふうに乙号証を出してきたりした。我々は条例、情報公開条例の手続に基づいてしか(情報入手を)やれないので、タイムラグがものすごくあるわけだ。そこで都度もう一回(住民監査請求を)やり直すことになると、いつまでたっても(裁判の中身に入るための)敷居がまたげないわけだ。だからここは一体どうすればよいのか。今、確かに(再度、住民監査請求は)やっている。ただ、それをもとに前置主義で、それをもとに住民訴訟に踏み切ったとしても、その訴えの内容についてまた被告の方から、どういうふうなチャチャが入るか分からない」と被告群馬県側の住民軽視のやり方に問題があることを主張しました。
これに対して裁判長は「当裁判所は、補助金交付決定前に、いろいろとされても、監査請求を経ていないのではないかとか、受け取ってから期間がすぎているのではないか、といろいろ(被告による妨害が)あるので、そういったものを窓口というか、入口での問題がない形での訴訟を別途提起できるのであれば、そのようにしたほうがよいのではないかと申し上げたのだが、(原告として)それは理解しているのか?」と、前回の訴訟指揮について解説をしてくれました。原告は「ええ」と理解していることを告げました。
裁判長からは「それは、今の場合は具体的に(補助金の交付状況が)どういうふうになっているのか、というのは11月28日の監査結果を見ないと分からないのではないのか?」と聞かれたので、原告は「分からないです」と答えたところ、「原告が分からなければ裁判所はもっと分からない。なので、それ以上、こういう形の方がいいのではないか、というのは、今日は無理でしょうね?」と裁判長が聞いてきました。
そのため原告は「無理のようです。だから、今日(の裁判)に間に合わせるように、『(監査結果通知を)早くしてくれ』と(監査委員事務局に)言ったんですけれども、1週間以上、補正命令だとかなんかだとか、(監査委員事務局が)くだらないことを言うからこういう(遅れを招く)ことになってしまいました。申し訳ないけど、裁判官殿にはご迷惑をかけてしまっています」と述べました。
裁判長は「それが分かってからと、いうことで、この次の扱いにしたいと思う」として、2回目の住民監査請求の結果通知を待つ姿勢を示しました。続けて裁判長は「そして被告らのほうだが・・・」と今回初めて被告の方に声をかけました。被告は「はい」と答え、裁判長からの次の言葉に耳を傾けました。
裁判長は「調査嘱託を出しているではないか?」と言い、「場合によっては、この調査嘱託は必要なくなるかもしれないが、保留ということでよいか?」と被告に確認を求めました。被告は「結構です」と容認したため、裁判長は「必要性がはっきりするまでは、判断保留ということでいいね?」とさらに念押しをしました。被告は「はい」と答えました。
すると裁判長は今度は原告に対して、「そうすれば、原告が新たに監査請求の関係で結果が出たところで、どのような訴訟がいいのかというのを考えてもらって、期限を過ぎてしまったとか、受け取ったのがいつだったとか、そういうことが問題にならないような形で検討すること」と訴訟指揮をしました。原告としてはそのようにするつもりだったので「はい」と裁判長に伝えました。
最後に裁判長は当事者双方に対して「それから当事者から相手側から出されたものについて何か対応するということはあるのか?」と述べました。
原告としては、被告第1準備書面の内容があまりにも住民軽視。ルール捻じ曲げだらけだったことから、「ええ。第1準備書面をいただいた。被告の第1準備書面を頂きまして、言いたいことが山ほどあるので、それを裁判官殿に、分かり易いように解説して反論したいと思います」と意向を伝えました。
すると裁判長は「分かりました。ありがとう。それでは原告が主張を準備書面で。それから別に訴訟を起こすことについて、検討するということでよろしいか?」と原告に確認を求めて来たので、原告は「ええ」と答えました。
裁判長は、「それで(準備書面の提出のめどは)どのくらい先になるのか?当裁判所は金曜日に開廷するということからすると12月は23日が休みとなる」というので、原告は「では16日が最後ということですね」と言うと、裁判長は「16日であれば(次回弁論期日は)可能だがそれでもよいか?」というので、原告が「当方は構いません」と答えると、「そちら(被告)は無理か?」と裁判長は被告の都合を聞きました。
被告が回答を躊躇している様子だったので、裁判長は「(被告としては次回弁論期日に向けて)とくに用意することはないのだけれど・・」と水を向けると、被告は「とくにないが、必要に応じて反論はしたい」などと曖昧な返事をしました。裁判長は「12月16日の期日でも大丈夫か?」と改めて確認を求めたところ、被告は「まああのう、(原告からの準備)書面を頂戴するだけで有れば。期日としてとくに(問題ない)」と返事をしました。
となると、原告としていつまでに反論の準備書面(2)を作成して提出できるか、ということになります。現時点が11月18日ですので、12月16日の期日となると、その1週間前の12月9日までに準備書面(2)を用意する必要が生じます。そうでなくても、今回の訴訟が、被告群馬県側の邪魔によって、未だに裁判の中身に入れないことから、準備書面についても、中途半端な内容ではなく、内容を吟味した上で提出するようにしなければと考えました。
そのため、忸怩たる思いではありましたが、原告は「では書面について、こちらのいろいろな観点から、陳述したいので、じゃあ、年明けでお願いします」と裁判長に伝えました。
裁判長もおそらくそうした回答を想定していたのか「分かりました。年明けは(1月)20日」と即座に次回の日にちを指定しました。原告側は「20日の金曜日ですね。午前でも午後でも異議ありません。どちらかと言えば、午前の方がよいです」と伝えました。裁判長は「11時にするのがよろしいですかね?」と提案したので、「はい」と同意しました。
裁判長は「1月20日にこの法廷で。では(原告は)13日までに(準備書面を)出してください」と宣言したので、原告は「はい、分かりました」と承諾しました。
裁判長は今度は当事者の原告と被告双方に向かって「同じく調査嘱託について、判断保留ということで。それから、原告は監査請求に関しては監査請求に関しては検討したいといっている、ということで次回は1月20日とする。提出期限は1月13日。以上でよろしいか?」と指揮をとりました。原告は「はい、構いません。OKです」と答えました。
最後に裁判長は「それで、本件について、その別件の、11月28日に出る監査結果を甲号証として出してもらってもよいか?」と原告に指示をだしました。原告は、これが現在の訴訟事件の甲号証なのか、2回目の監査請求の結果に基づく新たな訴訟事件なのかを確認するために、「これはどちらの。今のこの事件ですね?」と裁判長に尋ねたところ、裁判長は「そうです」と言い、この事件であることを明言しました。
原告は「分かりました。それは通知が来たら即座に写しを提出します」と裁判長にきっぱりと伝えました。
裁判長は「はい。(監査結果通知の写しが出たら裁判所に)出していただくと?」と改めて念押しをしてきたので「分かりました。すぐにやります」と原告が答えたところ、本日の弁論がすべて終えたとして、裁判長は「では今日はこれまで。ご苦労様でした」と本日の閉廷を宣言し、法廷を後に、ドアの向こうに去っていきました。
■第2回口頭弁論期日を振り返ると、どうやら当初の住民訴訟の趣旨だった内容、すなわち2015年9月の群馬県議会に被告群馬県が上程した補助金4億8000万円の交付決定の議決を取り消すことが、もっとも分かり易かったようです。
しかし、群馬県監査委員事務局の陰謀により、なにも監査能力を持たない監査委員に、住民監査請求について、門前払いの監査結果通知が出たため、裁判所も、群馬県のそうした嫌がらせを本来戒めるべきでありながら、実際に交付金が支出されてから改めて住民監査請求をしたほうが無難だというふうに原告に対して水を向けたことになります。
たしかにこれは裁判所の配慮と言えるのでしょうが、結果的に裁判の進捗は滞り、その間にも関電工を主体とする前橋バイオマス発電・燃料の両法人による事業施設設置工事はどんどん進められているのが実態です。
当会は引き続き、住民の皆さんと共に、この訴訟事件を通じて、官業癒着によるルール捻じ曲げの実態と、県民の安心・安全な生活環境・営農環境・自然環境の保全のために、微力ですが尽力する所存です。
↑すっかり色づいた前橋地裁の前庭の様子。↑
↑県庁26階の監査委員事務局に立ち寄ったあと、県庁1階ロビーで人だかりがしていた。何かと思ったらフランスフェア―の開催式典。副知事が挨拶の真っ最中。↑
↑県庁の玄関前にならぶルノー車。半世紀ほど前はフランス車といえば整備しにくい代名詞だったが、現在は様変わり。↑
最後にこの場を借りて、多忙な日常にもかかわらず、傍聴のため地裁にお越し下さった大勢の地元住民の皆さまや、はるばる東京から駆け付けて取材して頂いたインターネット通信社の記者らマスコミ関係者に対して厚く御礼申し上げます。
なお、裁判のやりとりは、当会関係者の記憶や傍聴メモをもとに独自の解釈を加えたものであり、正確な裁判の指揮内容は、裁判所から送られてくる予定の弁論期日調書に記されたものが正式なものとなります。
【11月22日追記】
裁判所から11月21日付で次の内容の口頭弁論調書の別紙部分が送られてきました。
**********PDF ⇒ 20161121onfaximj_.pdf
(別紙)
<原告ら>
1 被告準備書面(平成28年11月11日付け)に対する反論書面を、平成29年1月13日までに提出する。
2 どのような別訴を提起するかどうかは、新たに行った監査請求の結果が平成28年11月28日に出てから検討する。
<被告>
調査嘱託申出(平成28年11月11日付け)については、調査嘱託の必要性の有無がはっきりするまで判断を留保することでよい。
<裁判長>
原告らに対し、上記監査請求の結果が出次第、結果通知書を甲号証として提出されたい。
**********
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「県議会におけるバイオマス関連での県側の答弁」
**********
〇環境農林常任委員会 H28.03.07 11:15-13:12
PDF ⇒ _c2015.12.709591330.pdf
この委員会会議の中で発言している橋爪洋介県議は、前橋バイオマス計画に出資している群馬県素材生産流通協同組合の代表理事をしている。
〇環境農林常任委員会 H28.03.07 09:59-11:07
PDF ⇒ _c2016.3.709591107.pdf
この中で、第105号議案として「群馬県森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例」で、平成27年度の貴金残高見込みの2億3688万4000円を、平成28年度予算において、木質バイオマス等利用施設の整備などに使う予定があると、県側が答弁している。今回の第2回口頭弁論で原告らが言及したのは、群馬県が前橋バイオマス燃料に支出した補助金2億3850万円との関係についてである。
〇環境農林常任委員会 H28.01.29 11:40-12:15
PDF ⇒ _c2016.1.2911401215.pdf
〇環境農林常任委員会 H28.01.29 09:59-11:37
PDF ⇒ _c2016.1.2909591137.pdf
〇環境農林常任委員会 H27.12.07 09:58-13:30
PDF ⇒ _c2015.12.709591330.pdf
この中で、県側は、「群馬県環境基本計画2016-2019」について、須藤環境政策課長が「木質バイオマスについては、これは林業県への加速化にもつながる部分であり、前橋市に新しくバイオマス発電所が建設されるので、このことも考慮しながら考えていきたい」と答弁している。
また、「木質バイオマスエネルギー利用について」、山崎林業振興課長が「今度、前橋バイオマス発電所を中心に発電用のチップの需要が高まるというという見込みがあるので、それらについては上方修正していきたい」として、関電工の計画を後押しするという発言をした。
さらに、「放射性物質に対する不安の払しょくについて」、小笠原環境保全課長は「各種測定を継続し、正確な情報を公表していきたい」と答弁している。そして、木材の放射線量の測定の必要性について委員から聞かれた山崎林業振興課長は「木材の放射線量は、製材品の出荷時に確認をしている例は、福島県で製材品の表面で計測をして公表しているという制度があると聞いている。県内では、そのような制度はない。今後は検討したい」などと答弁しており、言行不一致の群馬県の二枚舌がここでも見受けられる。
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計画地から僅か150mの地点に住む赤城ビュータウンの住民の皆様をはじめ、濃縮された放射能が、燃焼灰をはじめ、排ガスや地下水の形で生み出され、それが周辺環境に影響を及ぼすリスクについて深刻な懸念をいだく県民は多数おります。東電によってもたらされたこの未曽有の人災に加えて、東電グループの関電工がこのバイオマス発電事業を主導しており、群馬県民の安全・安心な暮らしが二重に脅かされているのです。ところが、県民の安全・安心な暮らしを守る筈の行政である群馬県は、なぜか放射能との関連性を全く無視し、東電グループによるこの亡国事業に加担し、補助金を付ける始末です。
いわば強盗に追い銭を渡すようなこの補助金交付を取り消させるために、地元住民の皆さんと共に当会は住民訴訟を提起しており、その第2回口頭弁論期日が、11月18日(金)午前10時30分から前橋地裁2階の21号法廷で開廷されました。
↑前橋バイオマス補助金取消訴訟の第2回口頭弁論期日が行われた前橋地裁。↑
当日朝、地裁の掲示板には次の案内が掲示されました。
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第21号法廷(本館2階)開廷表
開始/終了/予定 10:30/10:40 弁論
事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第12号/住民訴訟によるバイオマス補助金取消請求事件
当事者 小川賢外 群馬県知事大澤正明
代理人 ――― 石原栄一
担当 民事第2部合議係
裁判長 原 道子
裁判官 吉田達二
裁判官 根岸聡知
書記官 清宮貴幸
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■21号法廷には、原告席に当会の代表と地元住民団体の事務局長の2名、そして、被告席には群馬県側の訴訟代理人の弁護士と環境森林部の林業振興課職員らがなんと7名も陣取りました。また、傍聴席には地元住民団体の関係者やマスコミ、ネット報道関係者ら24名が詰めかけました。
第2回口頭弁論は、定刻に開始されました。裁判官が入廷し、一同起立し礼をしたあと、書記官から事件番号が告げられました。
まず原告側が準備書面(1)を陳述し、続いて被告側から第1準備書面の陳述のあと、乙1以下乙18まで全て写しとして提出されました。
裁判長は原告側に対して、「補助金等が7月4日付で決定されたということで、乙2号証に記載されている。これは全部ではないが、2億3850万円が支払われていて、その残りも交付される予定ということが記された乙4号証が出されている。このことからすると、本来はそれを対象に、つまり交付決定を対象に取消訴訟を提起するのがよいのではないかと思うが、前回、(原告は)『改めて監査請求を行った』と言っていたが・・・」と訊ねました。
これに対して原告は「たしかに行ないました。今朝、ここに来る前に県庁26階の監査委員事務局に確認したところ、『監査委員の決裁を待たなければいけないけれど…』などと、グチャグチャ言うから、『法的にはいつまでが起源だと認識しているのでしょうか?』と確認を求めたところ、『11月28日だ』ということを確認した。それで、補助金の金額についてだが、これについて我々も『なぜ2億3850万円なんだ』と思っている。いろいろ農林委員会などの(議事録の)履歴を調べても、たしかに昔からこのような金額が取りざたされている。では一体、あの4億8000万円との関係はいったいどうなっているのか?これがよく分からない。いずれにしても裁判長がおっしゃった乙号証にそう書かれている。これを確実に支払うという観点から、どういうふうにすべきか、というのを指揮をして頂きたい。だから、どうするのか。つまり「今一度(住民監査の)やり直し」ということでお勧め頂いたやり方は、前回たまたま前日に(第2回目の住民監査請求を)行っていて、その結果が28日に結果が出るわけだ。で、それを基に裁判長が、前回お勧めいただいたのは、それをもとに改めて住民訴訟を提起したらどうかということだった」と答えました。
裁判長は「補助金交付決定というのが為されたということで、その関係の監査請求をされているのではないか?違うのか?」と原告に確認を求めてきたため、原告は「そうです」と返事をしました。裁判長はさらに「(補助金の)交付決定についての監査請求をしていると理解したが、そこは違うのか?その件はどうなったのか?」とさらに訊ねてきたので、原告は「実はそこのところがよく分かりません。後になって、(被告は)ああいうふうに乙号証を出してきたりした。我々は条例、情報公開条例の手続に基づいてしか(情報入手を)やれないので、タイムラグがものすごくあるわけだ。そこで都度もう一回(住民監査請求を)やり直すことになると、いつまでたっても(裁判の中身に入るための)敷居がまたげないわけだ。だからここは一体どうすればよいのか。今、確かに(再度、住民監査請求は)やっている。ただ、それをもとに前置主義で、それをもとに住民訴訟に踏み切ったとしても、その訴えの内容についてまた被告の方から、どういうふうなチャチャが入るか分からない」と被告群馬県側の住民軽視のやり方に問題があることを主張しました。
これに対して裁判長は「当裁判所は、補助金交付決定前に、いろいろとされても、監査請求を経ていないのではないかとか、受け取ってから期間がすぎているのではないか、といろいろ(被告による妨害が)あるので、そういったものを窓口というか、入口での問題がない形での訴訟を別途提起できるのであれば、そのようにしたほうがよいのではないかと申し上げたのだが、(原告として)それは理解しているのか?」と、前回の訴訟指揮について解説をしてくれました。原告は「ええ」と理解していることを告げました。
裁判長からは「それは、今の場合は具体的に(補助金の交付状況が)どういうふうになっているのか、というのは11月28日の監査結果を見ないと分からないのではないのか?」と聞かれたので、原告は「分からないです」と答えたところ、「原告が分からなければ裁判所はもっと分からない。なので、それ以上、こういう形の方がいいのではないか、というのは、今日は無理でしょうね?」と裁判長が聞いてきました。
そのため原告は「無理のようです。だから、今日(の裁判)に間に合わせるように、『(監査結果通知を)早くしてくれ』と(監査委員事務局に)言ったんですけれども、1週間以上、補正命令だとかなんかだとか、(監査委員事務局が)くだらないことを言うからこういう(遅れを招く)ことになってしまいました。申し訳ないけど、裁判官殿にはご迷惑をかけてしまっています」と述べました。
裁判長は「それが分かってからと、いうことで、この次の扱いにしたいと思う」として、2回目の住民監査請求の結果通知を待つ姿勢を示しました。続けて裁判長は「そして被告らのほうだが・・・」と今回初めて被告の方に声をかけました。被告は「はい」と答え、裁判長からの次の言葉に耳を傾けました。
裁判長は「調査嘱託を出しているではないか?」と言い、「場合によっては、この調査嘱託は必要なくなるかもしれないが、保留ということでよいか?」と被告に確認を求めました。被告は「結構です」と容認したため、裁判長は「必要性がはっきりするまでは、判断保留ということでいいね?」とさらに念押しをしました。被告は「はい」と答えました。
すると裁判長は今度は原告に対して、「そうすれば、原告が新たに監査請求の関係で結果が出たところで、どのような訴訟がいいのかというのを考えてもらって、期限を過ぎてしまったとか、受け取ったのがいつだったとか、そういうことが問題にならないような形で検討すること」と訴訟指揮をしました。原告としてはそのようにするつもりだったので「はい」と裁判長に伝えました。
最後に裁判長は当事者双方に対して「それから当事者から相手側から出されたものについて何か対応するということはあるのか?」と述べました。
原告としては、被告第1準備書面の内容があまりにも住民軽視。ルール捻じ曲げだらけだったことから、「ええ。第1準備書面をいただいた。被告の第1準備書面を頂きまして、言いたいことが山ほどあるので、それを裁判官殿に、分かり易いように解説して反論したいと思います」と意向を伝えました。
すると裁判長は「分かりました。ありがとう。それでは原告が主張を準備書面で。それから別に訴訟を起こすことについて、検討するということでよろしいか?」と原告に確認を求めて来たので、原告は「ええ」と答えました。
裁判長は、「それで(準備書面の提出のめどは)どのくらい先になるのか?当裁判所は金曜日に開廷するということからすると12月は23日が休みとなる」というので、原告は「では16日が最後ということですね」と言うと、裁判長は「16日であれば(次回弁論期日は)可能だがそれでもよいか?」というので、原告が「当方は構いません」と答えると、「そちら(被告)は無理か?」と裁判長は被告の都合を聞きました。
被告が回答を躊躇している様子だったので、裁判長は「(被告としては次回弁論期日に向けて)とくに用意することはないのだけれど・・」と水を向けると、被告は「とくにないが、必要に応じて反論はしたい」などと曖昧な返事をしました。裁判長は「12月16日の期日でも大丈夫か?」と改めて確認を求めたところ、被告は「まああのう、(原告からの準備)書面を頂戴するだけで有れば。期日としてとくに(問題ない)」と返事をしました。
となると、原告としていつまでに反論の準備書面(2)を作成して提出できるか、ということになります。現時点が11月18日ですので、12月16日の期日となると、その1週間前の12月9日までに準備書面(2)を用意する必要が生じます。そうでなくても、今回の訴訟が、被告群馬県側の邪魔によって、未だに裁判の中身に入れないことから、準備書面についても、中途半端な内容ではなく、内容を吟味した上で提出するようにしなければと考えました。
そのため、忸怩たる思いではありましたが、原告は「では書面について、こちらのいろいろな観点から、陳述したいので、じゃあ、年明けでお願いします」と裁判長に伝えました。
裁判長もおそらくそうした回答を想定していたのか「分かりました。年明けは(1月)20日」と即座に次回の日にちを指定しました。原告側は「20日の金曜日ですね。午前でも午後でも異議ありません。どちらかと言えば、午前の方がよいです」と伝えました。裁判長は「11時にするのがよろしいですかね?」と提案したので、「はい」と同意しました。
裁判長は「1月20日にこの法廷で。では(原告は)13日までに(準備書面を)出してください」と宣言したので、原告は「はい、分かりました」と承諾しました。
裁判長は今度は当事者の原告と被告双方に向かって「同じく調査嘱託について、判断保留ということで。それから、原告は監査請求に関しては監査請求に関しては検討したいといっている、ということで次回は1月20日とする。提出期限は1月13日。以上でよろしいか?」と指揮をとりました。原告は「はい、構いません。OKです」と答えました。
最後に裁判長は「それで、本件について、その別件の、11月28日に出る監査結果を甲号証として出してもらってもよいか?」と原告に指示をだしました。原告は、これが現在の訴訟事件の甲号証なのか、2回目の監査請求の結果に基づく新たな訴訟事件なのかを確認するために、「これはどちらの。今のこの事件ですね?」と裁判長に尋ねたところ、裁判長は「そうです」と言い、この事件であることを明言しました。
原告は「分かりました。それは通知が来たら即座に写しを提出します」と裁判長にきっぱりと伝えました。
裁判長は「はい。(監査結果通知の写しが出たら裁判所に)出していただくと?」と改めて念押しをしてきたので「分かりました。すぐにやります」と原告が答えたところ、本日の弁論がすべて終えたとして、裁判長は「では今日はこれまで。ご苦労様でした」と本日の閉廷を宣言し、法廷を後に、ドアの向こうに去っていきました。
■第2回口頭弁論期日を振り返ると、どうやら当初の住民訴訟の趣旨だった内容、すなわち2015年9月の群馬県議会に被告群馬県が上程した補助金4億8000万円の交付決定の議決を取り消すことが、もっとも分かり易かったようです。
しかし、群馬県監査委員事務局の陰謀により、なにも監査能力を持たない監査委員に、住民監査請求について、門前払いの監査結果通知が出たため、裁判所も、群馬県のそうした嫌がらせを本来戒めるべきでありながら、実際に交付金が支出されてから改めて住民監査請求をしたほうが無難だというふうに原告に対して水を向けたことになります。
たしかにこれは裁判所の配慮と言えるのでしょうが、結果的に裁判の進捗は滞り、その間にも関電工を主体とする前橋バイオマス発電・燃料の両法人による事業施設設置工事はどんどん進められているのが実態です。
当会は引き続き、住民の皆さんと共に、この訴訟事件を通じて、官業癒着によるルール捻じ曲げの実態と、県民の安心・安全な生活環境・営農環境・自然環境の保全のために、微力ですが尽力する所存です。
↑すっかり色づいた前橋地裁の前庭の様子。↑
↑県庁26階の監査委員事務局に立ち寄ったあと、県庁1階ロビーで人だかりがしていた。何かと思ったらフランスフェア―の開催式典。副知事が挨拶の真っ最中。↑
↑県庁の玄関前にならぶルノー車。半世紀ほど前はフランス車といえば整備しにくい代名詞だったが、現在は様変わり。↑
最後にこの場を借りて、多忙な日常にもかかわらず、傍聴のため地裁にお越し下さった大勢の地元住民の皆さまや、はるばる東京から駆け付けて取材して頂いたインターネット通信社の記者らマスコミ関係者に対して厚く御礼申し上げます。
なお、裁判のやりとりは、当会関係者の記憶や傍聴メモをもとに独自の解釈を加えたものであり、正確な裁判の指揮内容は、裁判所から送られてくる予定の弁論期日調書に記されたものが正式なものとなります。
【11月22日追記】
裁判所から11月21日付で次の内容の口頭弁論調書の別紙部分が送られてきました。
**********PDF ⇒ 20161121onfaximj_.pdf
(別紙)
<原告ら>
1 被告準備書面(平成28年11月11日付け)に対する反論書面を、平成29年1月13日までに提出する。
2 どのような別訴を提起するかどうかは、新たに行った監査請求の結果が平成28年11月28日に出てから検討する。
<被告>
調査嘱託申出(平成28年11月11日付け)については、調査嘱託の必要性の有無がはっきりするまで判断を留保することでよい。
<裁判長>
原告らに対し、上記監査請求の結果が出次第、結果通知書を甲号証として提出されたい。
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「県議会におけるバイオマス関連での県側の答弁」
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〇環境農林常任委員会 H28.03.07 11:15-13:12
PDF ⇒ _c2015.12.709591330.pdf
この委員会会議の中で発言している橋爪洋介県議は、前橋バイオマス計画に出資している群馬県素材生産流通協同組合の代表理事をしている。
〇環境農林常任委員会 H28.03.07 09:59-11:07
PDF ⇒ _c2016.3.709591107.pdf
この中で、第105号議案として「群馬県森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例」で、平成27年度の貴金残高見込みの2億3688万4000円を、平成28年度予算において、木質バイオマス等利用施設の整備などに使う予定があると、県側が答弁している。今回の第2回口頭弁論で原告らが言及したのは、群馬県が前橋バイオマス燃料に支出した補助金2億3850万円との関係についてである。
〇環境農林常任委員会 H28.01.29 11:40-12:15
PDF ⇒ _c2016.1.2911401215.pdf
〇環境農林常任委員会 H28.01.29 09:59-11:37
PDF ⇒ _c2016.1.2909591137.pdf
〇環境農林常任委員会 H27.12.07 09:58-13:30
PDF ⇒ _c2015.12.709591330.pdf
この中で、県側は、「群馬県環境基本計画2016-2019」について、須藤環境政策課長が「木質バイオマスについては、これは林業県への加速化にもつながる部分であり、前橋市に新しくバイオマス発電所が建設されるので、このことも考慮しながら考えていきたい」と答弁している。
また、「木質バイオマスエネルギー利用について」、山崎林業振興課長が「今度、前橋バイオマス発電所を中心に発電用のチップの需要が高まるというという見込みがあるので、それらについては上方修正していきたい」として、関電工の計画を後押しするという発言をした。
さらに、「放射性物質に対する不安の払しょくについて」、小笠原環境保全課長は「各種測定を継続し、正確な情報を公表していきたい」と答弁している。そして、木材の放射線量の測定の必要性について委員から聞かれた山崎林業振興課長は「木材の放射線量は、製材品の出荷時に確認をしている例は、福島県で製材品の表面で計測をして公表しているという制度があると聞いている。県内では、そのような制度はない。今後は検討したい」などと答弁しており、言行不一致の群馬県の二枚舌がここでも見受けられる。
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