■群馬県が定める環境影響評価条例に基づく環境アセスをやると、2年ないし3年の時間がかかるとして、東電グループの関電工が政治的工作をした結果、条例を定める群馬県地震が、本来は通常50~60%以上ある間伐材の排ガス量の水分を一律20%で構わないという御触れを出し、関電工が待ってましたと、空気比や木質燃料の時間当たり投入量を勝手にいじり、排ガス量が毎時4万㎥に満たないという計算式をでっちあげて、環境アセスをやらないまま、4月25日に本格稼働を始めて営業運転に入りました。それから2か月余り経過してしまいましたが、条例に基づくアセスメントをしていないため、大気、水、土壌の汚染の脅威に加えて、騒音・振動問題がくすぶっています。そこで、当会も実際に現地を視察して、騒音計で実測してみました。
↑関電工が電中研から購入した施設隣接の帯状林地にそって歩く地元住民の皆さん。↑
■バイオマス発電施設のすぐ隣りの住宅地に住む住民の皆さんの話によると、平成27年9月29日付前橋市宅地開発指導要綱に基づく事前協議に関する覚書のなかで、「宅地開発事前協議に関する指示事項」として下記が記載されています。
「2 環境政策課
(4)騒音及び振動については敷地境界において、第2種区域と同等の対策を講じこと。」
同様に、平成27年10月3日付前橋バイオマス発電事業説明会の事業者資料に下記が記載されています
「5.環境対策(騒音・振動)
◆騒音規制法、振動規制法及び群馬県の生活環境を保全する条例の規制に準拠し、騒音の第2種区域及び振動の第1種と同等な騒音・振動対策を講じます。」
上記のこれら2件の資料から、騒音は敷地境界において第2種区域を準拠することを前橋市環境政策課も事業者も共通認識として住民への説明を行っています。
■さらに平成27年10月3日付の事業説明会で住民からの質問について、同年10月17日に事業者による回答説明会が開催され、関電工は次の内容の発言をしました。
「「前橋バイオマス発電事業説明会」(平成27年10月3日)で頂戴したご意見・ご質問および回答
5)環境に対するご意見・ご質問
②騒音対策を行う場合は、発電所とチップ工場の両方の対策を行うのでしょうか。また、騒音測定を行う「敷地境界」とはどこのことですか。
(回答):10月3日に回答させていただいた内容を再掲
騒音対策は、発電所とチップ工場の両者で実施いたします。騒音測定を行う「敷地境界」は、発電所建設予定地の三角形の長辺部分をさします。
③騒音対策を行う場合、風の影響は考慮していますか。
(回答):10月3日の回答させていただいた内容を再掲
風の影響も考慮します。」
このように敷地境界の定義について事業者は明確に回答しており、この限りでは前橋市の指導に基づいていると考えられます。ところが、前橋市では騒音測定の場所を敷地境界ではなく、赤城ビュータウンの市道にしています。これは前橋市が自ら関電工に行った指導から逸脱しており、夜間・長時間の敷地境界での騒音測定結果が必要です。
■さらに、平成27年12月20日の前橋バイオマス発電事業説明会(第2回)では事業者は住民に対して次の発言をしています。
「5.環境対策(燃料チップ製造所の騒音・振動)
◆騒音対策
音の発生源となるチッパーは遮断効果のある建屋内に設置します
5.環境対策(燃料チップ製造所の粉じん)
◆大気汚染防止法施行規則別表6の四に準拠して、以下を実施します
・チッパーは、粉じんが飛散しにくい構造の建築物内に設置します
・ベルトコンベアには、フードを設置します
ホ)平成28年5月18日 前橋バイオマス 環境配慮計画書
4.環境配慮計画
3)管理方法
②燃料チップ製造所
・切削は、一般粉じんが飛散しにくい構造の燃料チップ製造所建屋内で行う。」
このことから事業者は、切削機(チッパー)の設置場所は大気汚染防止法施行別表6-四を準拠して粉じんが飛散しにくい構造の建築物内に設置すると約束しています。なおかつ、法令に準拠する旨明言しています。
にもかかわらず、地元住民の方々が、6月4日の前橋市環境政策課との面談時に、騒音と放射能対策について打合せ宿題事項について未だに適切な回答をもらえないため、7月5日に再度、同市環境政策課を訪問したそうです。当会も同席した6月4日の直訴の様子は次のブログをご覧ください。
○2018年6月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス発電施設の騒音苦情と放射能汚染対策等を住民らが市に直訴!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2660.html#readmore
すると地元住民は、その際に対応した同課担当者から「(前橋バイオマス)燃料工場の移動式チッパ―は建屋の裏側(北側)でフードらしきもので覆い稼働している」と知らされました。その理由は「建屋内では騒音を制御できないため」であり、環境政策課は「騒音が出るよりマシでしょう」と言い放ったそうです。住民の皆さんは、この言葉の背景に「もう稼働しているのだから、四の五の言わなくても無駄だ」という市行政の思惑を感じられたそうです。
■そこで、地元住民の皆さんから、現地の騒音状況などを視察に来てほしいとの依頼があったため、当会では7月7日の午後、前橋バイオマス発電施設に向かいました。
現地で持参した小型デジタル騒音計を使って、南西側の敷地境界から10数メートル離れた地点で5分間ほど測定したところ、いずれも46デシベル以上であり、45デシベル以下の値は一度も測定できませんでした。
また、前橋市環境政策課の説明にあった「(前橋バイオマス)燃料工場の移動式チッパ―は建屋の裏側(北側)でフードらしきもので覆い稼働している」ことを確認するために、施設の北西側に回って、施設を観察しましたが、大口径の間伐材が防音壁の内側に二重に積み上げられていることと、樹木にさえぎられてはっきりと確認するに至りませんでした。
それでも、目を凝らして観察したのですが、燃料工場の建屋の裏側の屋外に、フードがかけられたチッパーらしきものの存在は確認できませんでした。
測定を終わり地元住民の方々と今後のバイオマス発電施設の問題点への対応方針について打ち合わせていたところ、窓から発電施設の方向に白煙が立ち上るのが見えました。
■そこで当会は、ただちに車を飛ばし、バイオマス発電施設のある電中研のほうに向かいました。そして、施設への進入道路をのぼっていくと、以前は出入り口に頑丈なゲートと見張り小屋があったはずですが、なにもないので、そのまま車を走らせると、施設がよく見える場所に着きました。
↑放射線量モニタリング装置の表示器。騒音レバルもこうして地元住民らに常時情報開示する姿勢が必要。↑
白煙が立ち上っている場所を特定しようとボイラー設備に目を凝らしましたが、あいにく、雨模様の曇り空で、白煙が背景の雲の色に紛れてはっきりとみえませんでした。おそらく蒸気ラインの圧力調整弁あたりが自動的に開いたので、ボイラー上部から白煙が立ち上ったようです。
施設内を見渡すと、防音壁の内側に案の定二列に大口径の間伐材が積んであります。高さは防音壁を超えてはいませんが、あきからに防音効果を狙ったもののようです。
また、チップ工場からボイラー燃焼設備には急角度のスクリューコンベアらしきものが見えました。どうみても、燃料工場と発電工場は一体化しているように見えます。
騒音についても耳を凝らして聞いてみました。間欠的にエアシリンダーを作動させるような圧縮空気のシューッという音と、シリンダーを作動させるカタンという音がします。詳しく特定できませんでしたが、バグフィルターの詰まりを取り除くための逆洗用の圧縮エアを除塵機内部に送り込むために発生する音なのかもしれません。低周波の振動が絶えず聞こえましたが、これは送風用と吸引用のドラフトファンの羽根が回転する際の振動音と駆動用のモーター音だと思われます。その他、各所に配置されたチップ・コンベアや主灰回収用コンベアなどの駆動音もバックグラウンドとして聞こえてきました。そこで、ボイラー施設から約50m離れた地点で騒音レベルを図ってみると66デシベルでした。
↑騒音レベルは66デシベル。↑
隣の住宅地の方向に設置された防音壁は、なぜか造成をしたエリアのみに留まっており、しかも、斜面にそって、南側に下るほど、防音壁の高さが減少しています。最大の騒音源であるチッパーの存在は確認できず、建屋の中にある脱水プレスも稼働している様子は見えません。稼働しているのはボイラー施設と発電機タービンですが、後者はボイラーの裏側(北側)に位置しており、もっぱら騒音はボイラー施設から発生しているようです。
↑ボイラーのシステム水の冷却装置が見える。冷媒には我々県民の財産の赤城山の地下水がタダで大量に使用されている。↑
となると、南西方向に位置する住宅地に対して、現在の防音壁は長さも高さも不十分であることが一目瞭然です。
↑低いほうに向かって防音壁の高さも減っている。これでは対策不十分。↑
■構内には、移動式のチッパーはもとより、ボルボの大型トレーラー(ローダークレーン付き)の姿もまったく見えませんでした。トーセンは6割の補助金で手に入れたこれらの高額な機材をいったいどこでどのように使用しているのでしょうか。
【7月17日追記】
当会に寄せられた情報によれば、チッパーは現在川場村で稼働しているとのことです。となると、チッパーの購入に使われた前橋バイオマス燃料への6割の補助金交付自体、違法ということになります。案の定、亡国事業は東電グループと行政による癒着と政治的忖度の産物であることがこれからも見て取れます。
そもそも、チッパーによる間伐材の切削時の騒音は、もともと高いことは十分予想し得たはずです。だから、建屋の内部に配置する計画だったはずです。しかし、それなら牽引移動式のチッパーでなくて、固定式のチッパーでもよかったはずです。
チッパー稼働時に発生する騒音が基準で定めた規制値以下に収まらない建屋外でフード付き(?)で稼働を認めることなど論外です。その場合には、建屋を改造して防音性能の増強を指導するのが行政の正しいありかたと考えます。しかも、もともと、この燃料チップ製造所建屋は全額補助金を使用して建てられたものであり、チッパーを使う限りは建屋の改造をするか、あるいはチッパーによる切削作業の中止を、行政は事業者に対してきちんと指導しなければなりません。
■こうした納税者の疑問について、行政側の群馬県も前橋市もまったく無頓着の様子です。税金を滞納すると目くじらを立てるくせに、自分たちは税金の使い方や、税金が原資である補助金の使われ方については、まったく無頓着なのですから困ったものです。
群馬県には一刻もはやく、この亡国事業に対して、せめて環境アセスメントを実施させるよう、関電工とトーセンに強く指導する責務があります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1「騒音規制法に基づく騒音の規制地域、規制基準等」
**********
平成24年3月31日 告示第28号
(規制地域)
第1条 騒音規制法(昭和43年法律第98号。次条において「法」という。)第3条第1項に規定する特定工場等において発生する騒音及び特定建設作業に伴って発生する騒音について規制する地域は、別表第1の指定地域欄に掲げる地域とする。
(特定工場等における規制基準)
第2条 法第4条第1項に規定する特定工場等において発生する騒音の規制基準は、次のとおりとする。
時間の区分
昼間(8AM~6PM)/朝(6AM~8AM)夕(6PM~9PM)/夜間(9PM~翌日の6AM)
第1種区域 50デシベル 40デシベル 40デシベル
第2種区域 55デシベル 50デシベル 45デシベル
第3種区域 65デシベル 60デシベル 50デシベル
第4種区域 70デシベル 70デシベル 60デシベル
<備考>
第1種区域、第2種区域、第3種区域及び第4種区域とは、それぞれ別表第1の第1種区域の項、第2種区域の項、第3種区域の項及び第4種区域の項に掲げる区域をいう。
※参考URL:http://www.city.maebashi.gunma.jp/kurashi/143/177/181/p0022611.html
**********
※参考情報2「測定に使用した小型デジタル騒音計の仕様」
**********
測定範囲:30dBA~130dB
測定誤差:±1.5db(94db@KHz)
周波数範囲:31.5Hz~8,5KHz
周波数補正特性:A
解像度:0.1dB
計測頻度:毎秒2回
マイク:1/2インチ電子マイクロフォン
電源:9V乾電池
利用時間:約30時間(アルカリ電池使用時)
動作条件:温度:0~40℃、湿度:10~80%
保存条件:温度:-10~60℃、湿度:10~70%
重量:151g
サイズ:縦145×横55×厚み35mm
**********
↑関電工が電中研から購入した施設隣接の帯状林地にそって歩く地元住民の皆さん。↑
■バイオマス発電施設のすぐ隣りの住宅地に住む住民の皆さんの話によると、平成27年9月29日付前橋市宅地開発指導要綱に基づく事前協議に関する覚書のなかで、「宅地開発事前協議に関する指示事項」として下記が記載されています。
「2 環境政策課
(4)騒音及び振動については敷地境界において、第2種区域と同等の対策を講じこと。」
同様に、平成27年10月3日付前橋バイオマス発電事業説明会の事業者資料に下記が記載されています
「5.環境対策(騒音・振動)
◆騒音規制法、振動規制法及び群馬県の生活環境を保全する条例の規制に準拠し、騒音の第2種区域及び振動の第1種と同等な騒音・振動対策を講じます。」
上記のこれら2件の資料から、騒音は敷地境界において第2種区域を準拠することを前橋市環境政策課も事業者も共通認識として住民への説明を行っています。
■さらに平成27年10月3日付の事業説明会で住民からの質問について、同年10月17日に事業者による回答説明会が開催され、関電工は次の内容の発言をしました。
「「前橋バイオマス発電事業説明会」(平成27年10月3日)で頂戴したご意見・ご質問および回答
5)環境に対するご意見・ご質問
②騒音対策を行う場合は、発電所とチップ工場の両方の対策を行うのでしょうか。また、騒音測定を行う「敷地境界」とはどこのことですか。
(回答):10月3日に回答させていただいた内容を再掲
騒音対策は、発電所とチップ工場の両者で実施いたします。騒音測定を行う「敷地境界」は、発電所建設予定地の三角形の長辺部分をさします。
③騒音対策を行う場合、風の影響は考慮していますか。
(回答):10月3日の回答させていただいた内容を再掲
風の影響も考慮します。」
このように敷地境界の定義について事業者は明確に回答しており、この限りでは前橋市の指導に基づいていると考えられます。ところが、前橋市では騒音測定の場所を敷地境界ではなく、赤城ビュータウンの市道にしています。これは前橋市が自ら関電工に行った指導から逸脱しており、夜間・長時間の敷地境界での騒音測定結果が必要です。
■さらに、平成27年12月20日の前橋バイオマス発電事業説明会(第2回)では事業者は住民に対して次の発言をしています。
「5.環境対策(燃料チップ製造所の騒音・振動)
◆騒音対策
音の発生源となるチッパーは遮断効果のある建屋内に設置します
5.環境対策(燃料チップ製造所の粉じん)
◆大気汚染防止法施行規則別表6の四に準拠して、以下を実施します
・チッパーは、粉じんが飛散しにくい構造の建築物内に設置します
・ベルトコンベアには、フードを設置します
ホ)平成28年5月18日 前橋バイオマス 環境配慮計画書
4.環境配慮計画
3)管理方法
②燃料チップ製造所
・切削は、一般粉じんが飛散しにくい構造の燃料チップ製造所建屋内で行う。」
このことから事業者は、切削機(チッパー)の設置場所は大気汚染防止法施行別表6-四を準拠して粉じんが飛散しにくい構造の建築物内に設置すると約束しています。なおかつ、法令に準拠する旨明言しています。
にもかかわらず、地元住民の方々が、6月4日の前橋市環境政策課との面談時に、騒音と放射能対策について打合せ宿題事項について未だに適切な回答をもらえないため、7月5日に再度、同市環境政策課を訪問したそうです。当会も同席した6月4日の直訴の様子は次のブログをご覧ください。
○2018年6月4日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…バイオマス発電施設の騒音苦情と放射能汚染対策等を住民らが市に直訴!↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2660.html#readmore
すると地元住民は、その際に対応した同課担当者から「(前橋バイオマス)燃料工場の移動式チッパ―は建屋の裏側(北側)でフードらしきもので覆い稼働している」と知らされました。その理由は「建屋内では騒音を制御できないため」であり、環境政策課は「騒音が出るよりマシでしょう」と言い放ったそうです。住民の皆さんは、この言葉の背景に「もう稼働しているのだから、四の五の言わなくても無駄だ」という市行政の思惑を感じられたそうです。
■そこで、地元住民の皆さんから、現地の騒音状況などを視察に来てほしいとの依頼があったため、当会では7月7日の午後、前橋バイオマス発電施設に向かいました。
現地で持参した小型デジタル騒音計を使って、南西側の敷地境界から10数メートル離れた地点で5分間ほど測定したところ、いずれも46デシベル以上であり、45デシベル以下の値は一度も測定できませんでした。
また、前橋市環境政策課の説明にあった「(前橋バイオマス)燃料工場の移動式チッパ―は建屋の裏側(北側)でフードらしきもので覆い稼働している」ことを確認するために、施設の北西側に回って、施設を観察しましたが、大口径の間伐材が防音壁の内側に二重に積み上げられていることと、樹木にさえぎられてはっきりと確認するに至りませんでした。
それでも、目を凝らして観察したのですが、燃料工場の建屋の裏側の屋外に、フードがかけられたチッパーらしきものの存在は確認できませんでした。
測定を終わり地元住民の方々と今後のバイオマス発電施設の問題点への対応方針について打ち合わせていたところ、窓から発電施設の方向に白煙が立ち上るのが見えました。
■そこで当会は、ただちに車を飛ばし、バイオマス発電施設のある電中研のほうに向かいました。そして、施設への進入道路をのぼっていくと、以前は出入り口に頑丈なゲートと見張り小屋があったはずですが、なにもないので、そのまま車を走らせると、施設がよく見える場所に着きました。
↑放射線量モニタリング装置の表示器。騒音レバルもこうして地元住民らに常時情報開示する姿勢が必要。↑
白煙が立ち上っている場所を特定しようとボイラー設備に目を凝らしましたが、あいにく、雨模様の曇り空で、白煙が背景の雲の色に紛れてはっきりとみえませんでした。おそらく蒸気ラインの圧力調整弁あたりが自動的に開いたので、ボイラー上部から白煙が立ち上ったようです。
施設内を見渡すと、防音壁の内側に案の定二列に大口径の間伐材が積んであります。高さは防音壁を超えてはいませんが、あきからに防音効果を狙ったもののようです。
また、チップ工場からボイラー燃焼設備には急角度のスクリューコンベアらしきものが見えました。どうみても、燃料工場と発電工場は一体化しているように見えます。
騒音についても耳を凝らして聞いてみました。間欠的にエアシリンダーを作動させるような圧縮空気のシューッという音と、シリンダーを作動させるカタンという音がします。詳しく特定できませんでしたが、バグフィルターの詰まりを取り除くための逆洗用の圧縮エアを除塵機内部に送り込むために発生する音なのかもしれません。低周波の振動が絶えず聞こえましたが、これは送風用と吸引用のドラフトファンの羽根が回転する際の振動音と駆動用のモーター音だと思われます。その他、各所に配置されたチップ・コンベアや主灰回収用コンベアなどの駆動音もバックグラウンドとして聞こえてきました。そこで、ボイラー施設から約50m離れた地点で騒音レベルを図ってみると66デシベルでした。
↑騒音レベルは66デシベル。↑
隣の住宅地の方向に設置された防音壁は、なぜか造成をしたエリアのみに留まっており、しかも、斜面にそって、南側に下るほど、防音壁の高さが減少しています。最大の騒音源であるチッパーの存在は確認できず、建屋の中にある脱水プレスも稼働している様子は見えません。稼働しているのはボイラー施設と発電機タービンですが、後者はボイラーの裏側(北側)に位置しており、もっぱら騒音はボイラー施設から発生しているようです。
↑ボイラーのシステム水の冷却装置が見える。冷媒には我々県民の財産の赤城山の地下水がタダで大量に使用されている。↑
となると、南西方向に位置する住宅地に対して、現在の防音壁は長さも高さも不十分であることが一目瞭然です。
↑低いほうに向かって防音壁の高さも減っている。これでは対策不十分。↑
■構内には、移動式のチッパーはもとより、ボルボの大型トレーラー(ローダークレーン付き)の姿もまったく見えませんでした。トーセンは6割の補助金で手に入れたこれらの高額な機材をいったいどこでどのように使用しているのでしょうか。
【7月17日追記】
当会に寄せられた情報によれば、チッパーは現在川場村で稼働しているとのことです。となると、チッパーの購入に使われた前橋バイオマス燃料への6割の補助金交付自体、違法ということになります。案の定、亡国事業は東電グループと行政による癒着と政治的忖度の産物であることがこれからも見て取れます。
そもそも、チッパーによる間伐材の切削時の騒音は、もともと高いことは十分予想し得たはずです。だから、建屋の内部に配置する計画だったはずです。しかし、それなら牽引移動式のチッパーでなくて、固定式のチッパーでもよかったはずです。
チッパー稼働時に発生する騒音が基準で定めた規制値以下に収まらない建屋外でフード付き(?)で稼働を認めることなど論外です。その場合には、建屋を改造して防音性能の増強を指導するのが行政の正しいありかたと考えます。しかも、もともと、この燃料チップ製造所建屋は全額補助金を使用して建てられたものであり、チッパーを使う限りは建屋の改造をするか、あるいはチッパーによる切削作業の中止を、行政は事業者に対してきちんと指導しなければなりません。
■こうした納税者の疑問について、行政側の群馬県も前橋市もまったく無頓着の様子です。税金を滞納すると目くじらを立てるくせに、自分たちは税金の使い方や、税金が原資である補助金の使われ方については、まったく無頓着なのですから困ったものです。
群馬県には一刻もはやく、この亡国事業に対して、せめて環境アセスメントを実施させるよう、関電工とトーセンに強く指導する責務があります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報1「騒音規制法に基づく騒音の規制地域、規制基準等」
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平成24年3月31日 告示第28号
(規制地域)
第1条 騒音規制法(昭和43年法律第98号。次条において「法」という。)第3条第1項に規定する特定工場等において発生する騒音及び特定建設作業に伴って発生する騒音について規制する地域は、別表第1の指定地域欄に掲げる地域とする。
(特定工場等における規制基準)
第2条 法第4条第1項に規定する特定工場等において発生する騒音の規制基準は、次のとおりとする。
時間の区分
昼間(8AM~6PM)/朝(6AM~8AM)夕(6PM~9PM)/夜間(9PM~翌日の6AM)
第1種区域 50デシベル 40デシベル 40デシベル
第2種区域 55デシベル 50デシベル 45デシベル
第3種区域 65デシベル 60デシベル 50デシベル
第4種区域 70デシベル 70デシベル 60デシベル
<備考>
第1種区域、第2種区域、第3種区域及び第4種区域とは、それぞれ別表第1の第1種区域の項、第2種区域の項、第3種区域の項及び第4種区域の項に掲げる区域をいう。
※参考URL:http://www.city.maebashi.gunma.jp/kurashi/143/177/181/p0022611.html
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※参考情報2「測定に使用した小型デジタル騒音計の仕様」
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測定範囲:30dBA~130dB
測定誤差:±1.5db(94db@KHz)
周波数範囲:31.5Hz~8,5KHz
周波数補正特性:A
解像度:0.1dB
計測頻度:毎秒2回
マイク:1/2インチ電子マイクロフォン
電源:9V乾電池
利用時間:約30時間(アルカリ電池使用時)
動作条件:温度:0~40℃、湿度:10~80%
保存条件:温度:-10~60℃、湿度:10~70%
重量:151g
サイズ:縦145×横55×厚み35mm
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