市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

2016年度1件5千万円以上の大型公共工事の落札率で前橋市が全国トップ!…官製談合の疑惑濃厚

2018-07-18 23:12:00 | 県内の税金無駄使い実態
■全国の都道府県・政令指定都市・県庁所在地の大型公共工事の落札率について、毎年、全国市民オンブズマン連絡会議が恒例の全国市民オンブズマン大会に先立ち調査結果をまとめています。昨年度、和歌山市で開催された全国大会でも、2016年度の全国ランキングが公表され、我らが群馬県の県都・前橋市が、同年度に発注した大型公共工事45件の平均落札率が98.2%でトップとなったことがわかりました。群馬県の代表として本当に恥ずかしい思いがしたのを覚えています。このことについて本日の東京新聞があらためて、記事で報道しているのでご紹介します。

**********東京新聞2018年7月18日
【群馬】前橋市の大型公共工事45件 落札率が全国最高
 前橋市が二〇一六年度に発注した大型公共工事四十五件の平均落札率が98・2%に上り、全国の県庁所在地、都道府県、政令指定都市の中で最高だった実態が、弁護士らが役員を務める全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)の調査で分かった。前橋市が最高になったのは調査開始以来の過去十五年で初めて。落札率は非公表が原則の予定価格に占める落札価格の割合を示すため、連絡会議は「落札率が高いほど談合があった可能性が高い」とみている。前橋市は「近年に談合情報は寄せられていない」と説明している。(菅原洋)
 調査は〇二年度に始まり、連絡会議が各自治体から情報公開請求や情報提供などにより予定や落札の価格を入手。予定価格は県庁所在地が五千万円以上、都道府県と政令指定都市が一億円以上、東京都のみ三億円以上を集計した。
 調査結果によると、前橋市で対象とした四十五件の工事では、予定価格は計約二百九億三千万円、落札価格は計約二百五億四千六百万円で、落札率は98・2%。県庁所在地の平均は92・5%だった。
 都道府県で最も落札率が低い大分県は前橋市より10ポイント低く、調査では前橋市が大分県と同じ落札率だった場合は公費が約二十億円節約できたと試算している。
 前橋市の落札率は〇九年度は84・6%にとどまっていたが、その後は上昇傾向にある。群馬県は一六年度の落札率が90・1%で、都道府県の平均よりやや低かった。
 市によると、調査のあった一六年度には六供清掃工場で事業費約百二十五億円の大型工事があり、その落札率が99・8%と高かった。工事は専門性が高いため、一社のみだった応札した業者が予定価格の積算能力が高く、落札率が上がったという。市契約監理課は「この大型工事が一六年度全体の落札率を押し上げた」とみている。
 ただ、この大型工事を除いても、市の落札率は約96%で、県庁所在地の中では最高クラスにとどまる点は変わらない。
 同課は「落札率が高い理由は分からない。落札率があまりに下がると、公共工事の安全性に疑問が生じる可能性がある」と説明している。
 一方、連絡会議の内田隆事務局員は「十年以上前に大手ゼネコンが談合事件を受けて決別宣言をして、その後は全国的に落札率が低下傾向を見せた。しかし、近年は東日本大震災に伴う復興需要や景気回復に伴い、落札率が上がり、談合の恐れが高まっている」と指摘している。
 連絡会議に加盟する市民オンブズマン群馬(前橋市)の小川賢代表は「団体にはこれまで、関係者から県内の自治体による工事の談合情報が何度か寄せられたことがある。前橋は保守的な土地柄で、業者と自治体が絡んだ談合が生まれやすい背景があるとすれば問題だ」とみている。
**********

 この件では、2017年9月2・3日に開催された和歌山大会で資料発表として公表されました。以下にその時の配布資料を掲げておきます。

●2016年度入札調書の分析結果についての報告 PDF ⇒
P208-218:208218_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku1.pdf
P219-229:219229_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku2.pdf
P230:230230_2016nendo_nyusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku3.pdf
P231:231231_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku4.pdf
P232:232232_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku5.pdf
P233-235:233235_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku6.pdf
P238-239:236239_2016nendo_nyuusatuchoushono_bunsekikekka_nituiteno_houkoku7.pdf

 上記資料の216ページに落札率ランキングで前橋市がトップであることが示されています。ただし、これは金額ベースであり、件数的に見た落札率90%以上の割合のランキングによると217ページ示すように前橋市は、那覇市、甲府市、松江市、水戸市についで5位となっています。

 6位に鹿児島市、7位に宇都宮市が並んでいるところを見ると、北関東が全国的に見ても談合地帯としてクローズアップされていて、前橋市と並んで鹿児島市が上位に名を連ねているところを見ると、保守王国と言われる地域性も関連しているようです。

 ちなみに、都道府県単位でみると、群馬県は落札率の高い順で全国38位(鹿児島県は36位)、疑惑度の高い順では全国29位(鹿児島県は31位)となっています。

■今年も9月1・2日にわたり、新潟市で全国市民オンブズマン大会が開催され、2017年度の全国の県庁所在地、都道府県、政令指定都市の落札率ランキングが公表されます。果たして、群馬県、前橋市はどのようなランクに位置しているでしょうか。

 ところで、前橋市の「平成29年度包括外部監査の結果報告書」(前橋市包括外部監査人 柄澤徹)を見ると、たまたま監査テーマとして「工事請負契約及び役務等業務契約に関する事務の執行について」を取り上げています。この中で、23ページに、全国市民オンブズマン事務局作成の平成28年度落札率のランキングが参考として引用されており、前橋市が全国ワーストワンであることを示しています。
P001-075:PDF ⇒ h29houkoku1.pdf
P075-150:PDF ⇒ h29houkoku2.pdf

 さすがに、前橋市から包括監査人として指名された手前、19ページには「近年は、予定価格の積算根拠となる積算基準が公表されており、企業側も高い精度での積算に邁進していることなどから落札率は 90%以上で推移している。一般的に落札率が高いと談合の疑いが強まるとされているものの予定価格の積算精度が高いという見方もできるため、一概に落札率が高い状況が良くないわけではない。」と弁護に努めている記述がみられます。前橋市内の事業者だけが高い積算能力を有しているという論理には、無理があることをこの包括外部監査人は気付かないのでしょうか。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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