■先日、安中市在住の市民のかたから、「タクシー利用券の不正使用について目に余るものがある」との情報提供がありました。安中市では、合併以前からタクシー料金補助サービス制度を実施しています。これは、「タクシー以外の交通機関を利用することが困難な在宅の高齢者等が、通院などでタクシーを利用したとき」に「料金の一部」を補助するものだそうですが、合併以前からの旧安中市及び松井田町の補助制度を引き継いでいるため、対象者がどっちに住んでいるかで条件が異なっています。つまり、安中地域(旧安中市内)の住民の対象者は「年齢が満75歳以上の方、1〜3級の身体障がい者手帳をお持ちの方および母子世帯のうち自動車を保有していない方」となっており、松井田地域(旧松井田町内)の住民の対象者は「年齢が満70歳以上の方、身体障がい者手帳または精神・知的障がい者手帳をお持ちの方、および母子・父子世帯のうち自動車を保有していない方」です。このように、同じ自治体内でも不公平さが解消されていませんが、情報提供を契機に、タクシー利用券の不正について情報開示請求をしてみました。
今回の情報提供で、安中市が毎月3回発行している「おしらせ版あんなか」の平成29年11月15日号(No.249)の3頁の中段に次の記事が掲載されていることが分かりました。
**********PDF ⇒ no.249.pdf
タクシー券の適正使用のお願い
タクシー券の使用につきまして、市民の人から不正使用があるのでは、との投書がありました。市といたしましても、事業の適正な運営のためタクシー券にバーコードをつけ、誰が・いつ・どのタクシー会社を使用したか平成29年4月から毎月確認を始めたところです。タクシー券を他の人に譲ったり、販売したり、他人のタクシー券を使用したりする行為は不正使用にあたりますので、絶対に行わないようお願いします。不正が疑われる場合には、担当課より確認または調査を行います。
【問合せ】介護高齢課高齢者対策係 (☎内線1181)
**********
■そこで当会では、さっそくタクシー利用券に関係する情報を安中市に開示請求してみることにし、2018年6月12日に安中市にFAXで次の請求書を発出しました。
*****行政文書開示請求書*****PDF ⇒ 180612ssjinvsj.pdf
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
タクシー券の不正使用の実際に関して安中市が保有する情報。
最近市民の方からタクシー券の不正使用について目に余るという情報提供がありました。この問題では、おしらせ版あんなか平成29年11月15日号(No.249)の3頁の中段でも「タクシー券の適正使用のお願い」という注意喚起の記事が掲載されています。
つきましてはタクシー券にまつわる次の情報。
①この制度が発足してから平成29年3月末までに発行され費消されたタクシー券のそれぞれの年度ごとの枚数と金額。
②平成29年4月からバーコード付きのタクシー券に切り替えた後、平成30年3月末までに発行され費消されたタクシー券の枚数と金額。
③過去10年間に、住民から寄せられたタクシー券不正使用についての投書の時期とその内容。
④過去10年間に、タクシー券不正についての確認または調査により、判明した不正の実態と内容と対応策がわかるもの。
**********
■この結果、2018年6月21日付で安中市から行政文書開示決定通知書及び同部分開示決定通知書、そして請求に関する写しの一覧表が当会に送られてきました。
※開示決定通知書と写しの一覧表:PDF ⇒ 201807040jm.pdf
そして、時間的な都合を調整し、同7月4日(水)午前9時に安中市役所2階の総務部行政課で開示を受けました。
開示された情報一式は次のとおりです。
●①この制度が発足してから平成29年3月末までに発行され費消されたタクシー券のそれぞれの年度ごとの枚数と金額
①-1 平成24年度タクシー利用券助成事業の発券状況及び利用状況の実績について(安介第114-2 H25.4.18):PDF ⇒ 20180704124nx.pdf
①-2 平成25年度~平成28年度タクシー利用補助実績集計:PDF ⇒ 2018070422528nx.pdf
●②平成29年4月からバーコード付きのタクシー券に切り替えた後、平成30年3月末までに発行され費消されたタクシー券の枚数と金額
②平成29年度タクシー利用補助実績集計:PDF ⇒ 20180704a29nx.pdf
●③過去10年間に、住民から寄せられたタクシー券不正使用についての当初の時期とその内容
③-1 市民の声の送付について(H26.10.31):PDF ⇒ 20180704b1t.pdf
③-2 市民の声投稿(タクシー利用券について)に対する回答について(安介第1317号 H29.9.11):PDF ⇒ 20180704b2se.pdf
●④過去10年間に、タクシー券不正についての確認または調査により、判明した不正の実態と内容と対応策がわかるもの
④-1 タクシー利用券の取扱いに係わる注意事項通知の発送について(安介第983号 H24.9.10):PDF ⇒ 20180704c1nvmh240910.pdf
④-2 安中地域用タクシー券の取扱いに係わる周知通知の発送について(安介第1059-1号 H25.9.27):PDF ⇒ 20180704c2nvmh250927.pdf
■開示情報によれば、タクシー券の利用状況は、安中市と松井田町が合併した2006年度では、年間補助金支出金額は6060万9670円でしたが、6年後の2012年には4865万4390円と約2割減少しました。また、利用枚数合計は2006年度が11万1752枚でしたが、2012年度は合計8万6873枚でした。
一方発券の方は2006年が22万3839枚で、2012年は22万3977枚とほぼ横ばいとなっています。
直近の平成29年度のタクシー券利用実績を見ると、タクシー利用券の枚数合計が7万6699枚で、補助金支出金額合計は4326万2580円でした。高齢者人口の増加にもかかわらず、依然としてタクシー利用券の使用比率(利用枚数/発行枚数)が低迷していることがわかります。
以上のことから、タクシー利用券は、あまり活用されない原因が何かあるようです。
■さて、今回の開示請求の目的である不正利用の状況について、市民からこれまでに寄せられたのは次のとおりであることがわかりました。
(1)2014年10月31日付で文化センターから総務部に送られた「しみんの声」
「タクシー券の利用に疑問があります。
・一回の乗車に一枚と限られておりますが、二枚やると運転手がよろこぶそうです。
・私(82才)は原市ですが、夜、須藤病院から■■■■■を利用し、降車の際、券一枚と残りを現金で渡したところ「何だ券か」と云われました。
苦しい財政からの支出に申し訳なく思っております。」
(2)2017年8月7日に市民の声として投稿
「件名;安中市が車を持たない高齢者に発行するタクシー券について。
上記のタクシー券を行政から発行してもらった高齢者が使わず残った分をタクシーの運転手に売り渡している人達がいます。元は税金から出ている物なので、これは大変な不正だと思います。」
■一方、タクシー券の不適切使用に関する匿名電話があったとして、安中市は次の通知を、市内のタクシー業者である「㈲アークタクシー」「安中タクシー㈱」「高崎駅構内自動車株磯部営業所及び松井田営業所」「ツバメタクシー㈲」「榛名観光タクシー㈲」に対して発出したことがあります。
↑安中市内のタクシー会社。上から、ツバメタクシー、安中タクシー、構内タクシー。↑
(1)2012年9月11日に、同年5月以降「1人の乗客から複数枚のタクシー利用券を受領する運転手がいる」との数件の匿名電話があったことと、使用年月日の記入の無い利用券、特に同一対象者の利用券に記入がないものが目立つことについて、注意喚起の通知を配布。
(2)2013年9月27日に、「1回の乗車において複数枚のタクシー券を請求する運転手がいると、数件の匿名電話が市に寄せられている」として、注意喚起の通知を配布。
■そして安中市は、2017年8月7日の市民の声として投稿された意見をもとに、住民に対しても、冒頭の「おしらせ版あんなか 平成29年11月15日号(No.249)」の3頁の中段に「タクシー券の適正使用のお願い」として、「タクシー券を他の人に譲ったり、販売したり、他人のタクシー券を使用したりする行為は不正使用にあたりますので、 絶対に行わないように」との不正防止喚起の記事を掲載しました。
■情報開示の際に、担当部署の保健福祉部介護高齢課の反町課長をはじめ、および高齢者対策係の平柳と時澤の両担当者と、松井田支所の住民福祉課の佐藤と二見の両担当者の皆さんの説明によると、昨年2017年4月から導入したバーコード付きのタクシー券は、不正使用の防止というより、誰が・いつ・どのタクシー会社を使用したかという集計作業の便宜のためであることがわかりました。
また、タクシー券は、そのままタクシー運転手に渡されてしまい、利用者の手元にはなにも残らないことから、実際に使用したかどうかは、タクシー運転手の自己申告次第となってしまい、利用者側からの使用実績を示す証拠が必要であることも判明しました。
つまり、利用者は、タクシー券の使用に当たり、大勢で乗り合わせる場合はともかく、一人で乗車する場合には、かならず自己負担分もあるはずですから、タクシーを利用したあと、下車する際にタクシー運転手から渡された領収書を安中市に提出するか、もしくは、タクシー利用券に半券を付けて、利用した場合には、利用券にある使用月日・時間と同じものを半券にも記載し、タクシー運転手に使命と所属会社名を書いてもらったものを領収書代わりに受け取れば、使用実績が突合できることになります。
現在のシステムは、タクシー運転手側のみの利用申告のかたちになっており、利用者側からの使用実績が安中市にフィードバックされないため、不正使用の温床が未だに遺されていると思われます。
こうした改善点について当会は、思いついたことを担当部署にとりあえず説明しておきました。
■他方、市内のタクシー業者を訪れて、こうしたタクシー券の利用実態について、ヒヤリングを試みました。
市内のあるタクシー会社の配車担当者は、「(タクシー運転手ではなく利用者である)お客様のマナーにも問題がある」と開口一番、コメントを発しました。
さらに、「1円も出そうとせず、乗ろうとする考えかた自体が間違っている。一枚だけと(券に)描いてあるのに、一緒に二枚以上差し出すお客様がいるのも事実」だとして、「市役所から時々注意喚起の通知もいただいている。業界としてはこのタクシー券の補助は本当にありがたいお話であり、この制度がなくなってしまえば、大変であり、それはお客様にとっても大変な話し。だから、ルールはきちんと守るように、乗る側も乗っていただく側もともに共通認識が必要」との見解が示されました。
その上で、「本当に(券の)足りない人、本当に(券を)使いたいという人たちにとっては、全く足りないのが実状。安中市内の場合、基本料金は730円で、そのうち500円の券を使えるのはメリットが多い。しかし、安中市内で言えば、山間地の秋間地区の人の場合、施設や病院、買い物の場合は、街なかまで遠距離を移動しなければならず、自己負担率も高くなり、500円の補助では十分とは言えない。その意味で、山間部の多い松井田町のタクシー券方式の方が、合理的だと思うので、旧・安中市も旧・松井田町と同じ方式にしたほうが良いと思う」という、毎日乗客の声を聞いている立場から、こうした提案もありました。
さらに、現在、対象者が旧・安中地区では「年齢が満75歳以上の方、1〜3級の身体障がい者手帳をお持ちの方および母子世帯のうち自動車を保有していない方」となっており、旧・松井田地区では「年齢が満70歳以上の方、身体障がい者手帳または精神・知的障がい者手帳をお持ちの方、および母子・父子世帯のうち自動車を保有していない方」となっていますが、これを、世帯に軽トラックなど車両を保有している場合には、家族に乗せて行ってもらえる可能性があるため、申請資格から基本的に除外したり、70歳以上で運転免許証を返納したことを条件に入れるなどして、きめ細かく、必要な人にいきわたるようにしたほうが良い」とする提案もありました。
こうした業界の声はどの程度、安中市行政に反映されているのか未知数です。もし、こうした業界の意見をこれまで聞いてこなかったのであれば、毎年1度はきちんと業者からも意見をヒヤリングすることが重要です。
■安中市も認めていますが、現在のシステムの不具合点としては、前述のとおりタクシー券そのものの使用方法が安中市に2種類あり、分かりにくいことです。これは明らかに安中地区方式のほうが合理性に劣るため、松井田地区方式に一本化すべきだと思います。
また、現在はタクシー券を使った場合、使用者は予め券に記名されますが、使用した時間と行程について、使用者から安中市に対してなにも報告や帳票が来ないことです。すべて、券を受け取ったタクシー運転手からタクシー会社を通じて、安中市に毎月、利用されたタクシー券の集計表と、そこにタクシー券が添付されてきており、それに基づいて月末一括支払いの形をとっているようです。
そこで、現在のタクシー券に新たに半券を付けて、下車の際に、その半券に、タクシー運転手に押印もしくはサインをしてもらうか、或いは、半券に領収書を付けて返してもらい、次年度に申請する際に、前年度の実績として市の窓口に提出して貰うようにすべきです。
現在のシステムだと、利用者の手元になにも残らない形なので、いつどのように使用したのか、タクシーの運転手側の申告を信じるしかないからです。
一部の心ない利用者あるいは運転手により、タクシー券利用制度の信頼が失われてしまうと、本当にタクシー券を必要としている市民にとっても、この制度で潤う地元タクシー業者にとっても、不利益となります。安中市は、不正利用の防止のため、もっと知恵を絞ってこの制度の信頼性と便宜性を常に高める努力をする必要があります。
【ひらく会情報部】
※参考情報「安中市のタクシー補助」
**********
●サービスの内容
タクシー以外の交通機関を利用することが困難な在宅の高齢者等が、通院などでタクシーを利用したときに料金の一部を補助します。
●対象者および補助内容
合併前の旧安中市および旧松井田町の補助制度を継続して実施しているため、お住まいの地域により申請窓口や対象者が異なりますのでご注意ください。
○安中地域(旧安中市内)にお住まいの方
対象者 年齢が満75歳以上の方、1〜3級の身体障がい者手帳をお持ちの方および母子世帯のうち自動車を保有していない方
補助 1枚あたり500円を補助する券を年度内で最大36枚交付
申請 本庁介護高齢課高齢者対策係
※タクシー券は1回の乗車につき1人1枚使用可能(1人が1回に複数枚使用することはできません)
申請書:ワードファイル
PDFファイル
お問い合わせ:安中市役所本庁 介護高齢課高齢者対策係
電話 027-382-1111(内線1181)
○松井田地域(旧松井田町内)にお住まいの方
対象者 年齢が満70歳以上の方、身体障がい者手帳または精神・知的障がい者手帳をお持ちの方、および母子・父子世帯のうち自動車を保有していない方
補助 1枚あたり330円から19段階(地区と乗車距離による)で補助する券を年間24枚交付(特別な事情がある場合に限り、追加交付を行っています)
申請 支所住民福祉課健康介護係
※タクシー券は1回の乗車につき1人1枚使用可能(1人が1回に複数枚使用することはできません)
お問い合わせ:安中市役所支所 住民福祉課健康介護係
電話 027-382-1111(内線2152)
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今回の情報提供で、安中市が毎月3回発行している「おしらせ版あんなか」の平成29年11月15日号(No.249)の3頁の中段に次の記事が掲載されていることが分かりました。
**********PDF ⇒ no.249.pdf
タクシー券の適正使用のお願い
タクシー券の使用につきまして、市民の人から不正使用があるのでは、との投書がありました。市といたしましても、事業の適正な運営のためタクシー券にバーコードをつけ、誰が・いつ・どのタクシー会社を使用したか平成29年4月から毎月確認を始めたところです。タクシー券を他の人に譲ったり、販売したり、他人のタクシー券を使用したりする行為は不正使用にあたりますので、絶対に行わないようお願いします。不正が疑われる場合には、担当課より確認または調査を行います。
【問合せ】介護高齢課高齢者対策係 (☎内線1181)
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■そこで当会では、さっそくタクシー利用券に関係する情報を安中市に開示請求してみることにし、2018年6月12日に安中市にFAXで次の請求書を発出しました。
*****行政文書開示請求書*****PDF ⇒ 180612ssjinvsj.pdf
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
タクシー券の不正使用の実際に関して安中市が保有する情報。
最近市民の方からタクシー券の不正使用について目に余るという情報提供がありました。この問題では、おしらせ版あんなか平成29年11月15日号(No.249)の3頁の中段でも「タクシー券の適正使用のお願い」という注意喚起の記事が掲載されています。
つきましてはタクシー券にまつわる次の情報。
①この制度が発足してから平成29年3月末までに発行され費消されたタクシー券のそれぞれの年度ごとの枚数と金額。
②平成29年4月からバーコード付きのタクシー券に切り替えた後、平成30年3月末までに発行され費消されたタクシー券の枚数と金額。
③過去10年間に、住民から寄せられたタクシー券不正使用についての投書の時期とその内容。
④過去10年間に、タクシー券不正についての確認または調査により、判明した不正の実態と内容と対応策がわかるもの。
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■この結果、2018年6月21日付で安中市から行政文書開示決定通知書及び同部分開示決定通知書、そして請求に関する写しの一覧表が当会に送られてきました。
※開示決定通知書と写しの一覧表:PDF ⇒ 201807040jm.pdf
そして、時間的な都合を調整し、同7月4日(水)午前9時に安中市役所2階の総務部行政課で開示を受けました。
開示された情報一式は次のとおりです。
●①この制度が発足してから平成29年3月末までに発行され費消されたタクシー券のそれぞれの年度ごとの枚数と金額
①-1 平成24年度タクシー利用券助成事業の発券状況及び利用状況の実績について(安介第114-2 H25.4.18):PDF ⇒ 20180704124nx.pdf
①-2 平成25年度~平成28年度タクシー利用補助実績集計:PDF ⇒ 2018070422528nx.pdf
●②平成29年4月からバーコード付きのタクシー券に切り替えた後、平成30年3月末までに発行され費消されたタクシー券の枚数と金額
②平成29年度タクシー利用補助実績集計:PDF ⇒ 20180704a29nx.pdf
●③過去10年間に、住民から寄せられたタクシー券不正使用についての当初の時期とその内容
③-1 市民の声の送付について(H26.10.31):PDF ⇒ 20180704b1t.pdf
③-2 市民の声投稿(タクシー利用券について)に対する回答について(安介第1317号 H29.9.11):PDF ⇒ 20180704b2se.pdf
●④過去10年間に、タクシー券不正についての確認または調査により、判明した不正の実態と内容と対応策がわかるもの
④-1 タクシー利用券の取扱いに係わる注意事項通知の発送について(安介第983号 H24.9.10):PDF ⇒ 20180704c1nvmh240910.pdf
④-2 安中地域用タクシー券の取扱いに係わる周知通知の発送について(安介第1059-1号 H25.9.27):PDF ⇒ 20180704c2nvmh250927.pdf
■開示情報によれば、タクシー券の利用状況は、安中市と松井田町が合併した2006年度では、年間補助金支出金額は6060万9670円でしたが、6年後の2012年には4865万4390円と約2割減少しました。また、利用枚数合計は2006年度が11万1752枚でしたが、2012年度は合計8万6873枚でした。
一方発券の方は2006年が22万3839枚で、2012年は22万3977枚とほぼ横ばいとなっています。
直近の平成29年度のタクシー券利用実績を見ると、タクシー利用券の枚数合計が7万6699枚で、補助金支出金額合計は4326万2580円でした。高齢者人口の増加にもかかわらず、依然としてタクシー利用券の使用比率(利用枚数/発行枚数)が低迷していることがわかります。
以上のことから、タクシー利用券は、あまり活用されない原因が何かあるようです。
■さて、今回の開示請求の目的である不正利用の状況について、市民からこれまでに寄せられたのは次のとおりであることがわかりました。
(1)2014年10月31日付で文化センターから総務部に送られた「しみんの声」
「タクシー券の利用に疑問があります。
・一回の乗車に一枚と限られておりますが、二枚やると運転手がよろこぶそうです。
・私(82才)は原市ですが、夜、須藤病院から■■■■■を利用し、降車の際、券一枚と残りを現金で渡したところ「何だ券か」と云われました。
苦しい財政からの支出に申し訳なく思っております。」
(2)2017年8月7日に市民の声として投稿
「件名;安中市が車を持たない高齢者に発行するタクシー券について。
上記のタクシー券を行政から発行してもらった高齢者が使わず残った分をタクシーの運転手に売り渡している人達がいます。元は税金から出ている物なので、これは大変な不正だと思います。」
■一方、タクシー券の不適切使用に関する匿名電話があったとして、安中市は次の通知を、市内のタクシー業者である「㈲アークタクシー」「安中タクシー㈱」「高崎駅構内自動車株磯部営業所及び松井田営業所」「ツバメタクシー㈲」「榛名観光タクシー㈲」に対して発出したことがあります。
↑安中市内のタクシー会社。上から、ツバメタクシー、安中タクシー、構内タクシー。↑
(1)2012年9月11日に、同年5月以降「1人の乗客から複数枚のタクシー利用券を受領する運転手がいる」との数件の匿名電話があったことと、使用年月日の記入の無い利用券、特に同一対象者の利用券に記入がないものが目立つことについて、注意喚起の通知を配布。
(2)2013年9月27日に、「1回の乗車において複数枚のタクシー券を請求する運転手がいると、数件の匿名電話が市に寄せられている」として、注意喚起の通知を配布。
■そして安中市は、2017年8月7日の市民の声として投稿された意見をもとに、住民に対しても、冒頭の「おしらせ版あんなか 平成29年11月15日号(No.249)」の3頁の中段に「タクシー券の適正使用のお願い」として、「タクシー券を他の人に譲ったり、販売したり、他人のタクシー券を使用したりする行為は不正使用にあたりますので、 絶対に行わないように」との不正防止喚起の記事を掲載しました。
■情報開示の際に、担当部署の保健福祉部介護高齢課の反町課長をはじめ、および高齢者対策係の平柳と時澤の両担当者と、松井田支所の住民福祉課の佐藤と二見の両担当者の皆さんの説明によると、昨年2017年4月から導入したバーコード付きのタクシー券は、不正使用の防止というより、誰が・いつ・どのタクシー会社を使用したかという集計作業の便宜のためであることがわかりました。
また、タクシー券は、そのままタクシー運転手に渡されてしまい、利用者の手元にはなにも残らないことから、実際に使用したかどうかは、タクシー運転手の自己申告次第となってしまい、利用者側からの使用実績を示す証拠が必要であることも判明しました。
つまり、利用者は、タクシー券の使用に当たり、大勢で乗り合わせる場合はともかく、一人で乗車する場合には、かならず自己負担分もあるはずですから、タクシーを利用したあと、下車する際にタクシー運転手から渡された領収書を安中市に提出するか、もしくは、タクシー利用券に半券を付けて、利用した場合には、利用券にある使用月日・時間と同じものを半券にも記載し、タクシー運転手に使命と所属会社名を書いてもらったものを領収書代わりに受け取れば、使用実績が突合できることになります。
現在のシステムは、タクシー運転手側のみの利用申告のかたちになっており、利用者側からの使用実績が安中市にフィードバックされないため、不正使用の温床が未だに遺されていると思われます。
こうした改善点について当会は、思いついたことを担当部署にとりあえず説明しておきました。
■他方、市内のタクシー業者を訪れて、こうしたタクシー券の利用実態について、ヒヤリングを試みました。
市内のあるタクシー会社の配車担当者は、「(タクシー運転手ではなく利用者である)お客様のマナーにも問題がある」と開口一番、コメントを発しました。
さらに、「1円も出そうとせず、乗ろうとする考えかた自体が間違っている。一枚だけと(券に)描いてあるのに、一緒に二枚以上差し出すお客様がいるのも事実」だとして、「市役所から時々注意喚起の通知もいただいている。業界としてはこのタクシー券の補助は本当にありがたいお話であり、この制度がなくなってしまえば、大変であり、それはお客様にとっても大変な話し。だから、ルールはきちんと守るように、乗る側も乗っていただく側もともに共通認識が必要」との見解が示されました。
その上で、「本当に(券の)足りない人、本当に(券を)使いたいという人たちにとっては、全く足りないのが実状。安中市内の場合、基本料金は730円で、そのうち500円の券を使えるのはメリットが多い。しかし、安中市内で言えば、山間地の秋間地区の人の場合、施設や病院、買い物の場合は、街なかまで遠距離を移動しなければならず、自己負担率も高くなり、500円の補助では十分とは言えない。その意味で、山間部の多い松井田町のタクシー券方式の方が、合理的だと思うので、旧・安中市も旧・松井田町と同じ方式にしたほうが良いと思う」という、毎日乗客の声を聞いている立場から、こうした提案もありました。
さらに、現在、対象者が旧・安中地区では「年齢が満75歳以上の方、1〜3級の身体障がい者手帳をお持ちの方および母子世帯のうち自動車を保有していない方」となっており、旧・松井田地区では「年齢が満70歳以上の方、身体障がい者手帳または精神・知的障がい者手帳をお持ちの方、および母子・父子世帯のうち自動車を保有していない方」となっていますが、これを、世帯に軽トラックなど車両を保有している場合には、家族に乗せて行ってもらえる可能性があるため、申請資格から基本的に除外したり、70歳以上で運転免許証を返納したことを条件に入れるなどして、きめ細かく、必要な人にいきわたるようにしたほうが良い」とする提案もありました。
こうした業界の声はどの程度、安中市行政に反映されているのか未知数です。もし、こうした業界の意見をこれまで聞いてこなかったのであれば、毎年1度はきちんと業者からも意見をヒヤリングすることが重要です。
■安中市も認めていますが、現在のシステムの不具合点としては、前述のとおりタクシー券そのものの使用方法が安中市に2種類あり、分かりにくいことです。これは明らかに安中地区方式のほうが合理性に劣るため、松井田地区方式に一本化すべきだと思います。
また、現在はタクシー券を使った場合、使用者は予め券に記名されますが、使用した時間と行程について、使用者から安中市に対してなにも報告や帳票が来ないことです。すべて、券を受け取ったタクシー運転手からタクシー会社を通じて、安中市に毎月、利用されたタクシー券の集計表と、そこにタクシー券が添付されてきており、それに基づいて月末一括支払いの形をとっているようです。
そこで、現在のタクシー券に新たに半券を付けて、下車の際に、その半券に、タクシー運転手に押印もしくはサインをしてもらうか、或いは、半券に領収書を付けて返してもらい、次年度に申請する際に、前年度の実績として市の窓口に提出して貰うようにすべきです。
現在のシステムだと、利用者の手元になにも残らない形なので、いつどのように使用したのか、タクシーの運転手側の申告を信じるしかないからです。
一部の心ない利用者あるいは運転手により、タクシー券利用制度の信頼が失われてしまうと、本当にタクシー券を必要としている市民にとっても、この制度で潤う地元タクシー業者にとっても、不利益となります。安中市は、不正利用の防止のため、もっと知恵を絞ってこの制度の信頼性と便宜性を常に高める努力をする必要があります。
【ひらく会情報部】
※参考情報「安中市のタクシー補助」
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●サービスの内容
タクシー以外の交通機関を利用することが困難な在宅の高齢者等が、通院などでタクシーを利用したときに料金の一部を補助します。
●対象者および補助内容
合併前の旧安中市および旧松井田町の補助制度を継続して実施しているため、お住まいの地域により申請窓口や対象者が異なりますのでご注意ください。
○安中地域(旧安中市内)にお住まいの方
対象者 年齢が満75歳以上の方、1〜3級の身体障がい者手帳をお持ちの方および母子世帯のうち自動車を保有していない方
補助 1枚あたり500円を補助する券を年度内で最大36枚交付
申請 本庁介護高齢課高齢者対策係
※タクシー券は1回の乗車につき1人1枚使用可能(1人が1回に複数枚使用することはできません)
申請書:ワードファイル
PDFファイル
お問い合わせ:安中市役所本庁 介護高齢課高齢者対策係
電話 027-382-1111(内線1181)
○松井田地域(旧松井田町内)にお住まいの方
対象者 年齢が満70歳以上の方、身体障がい者手帳または精神・知的障がい者手帳をお持ちの方、および母子・父子世帯のうち自動車を保有していない方
補助 1枚あたり330円から19段階(地区と乗車距離による)で補助する券を年間24枚交付(特別な事情がある場合に限り、追加交付を行っています)
申請 支所住民福祉課健康介護係
※タクシー券は1回の乗車につき1人1枚使用可能(1人が1回に複数枚使用することはできません)
お問い合わせ:安中市役所支所 住民福祉課健康介護係
電話 027-382-1111(内線2152)
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