■市民オンブズマン群馬では、昨年春から一貫して大同スラグ問題に取り組んでいます。とりわけ、当会の誇るスラグ不法投棄特別調査チームの中核であるリットン調査団の、昼夜を問わずスラグ不法投棄現場に、いつでもどこでも出動する活動は、スラグ不法投棄撲滅にむけた大きな存在として、評価に値するものです。
さて、当会の9月30日付ブログの末尾に10月1日追記として紹介したとおり、9月30日の毎日新聞に、これまで大同スラグ問題に粘り強く取り組んできた毎日新聞の記者の思いが綴られている熱血記事が掲載されています。本件記事の末尾の「記者の目:鉄鋼スラグ 有害物質問題=杉本修作(特別報道グループ)」をご覧下さい。
↑2015年9月30日毎日新聞全国版10面↑
■リットン調査団を擁する当会も、大同スラグ問題に対して、これまで粘り強く取り組んで参りました。群馬県による告発と、県警による大同特殊鋼やその関係先への家宅捜索から1ヶ月が経過した今、あらためて、この問題について、別な視点から考察してみたいと思います。題して、
「オンブズマンの目:鉄鋼スラグ 有害物質問題=リットン特別調査チーム(その1)」。
**********
有害スラグ問題を斬りはじめて2年余。群馬県に住む者として“きれいな群馬ちゃん”を取り戻すため微力ながら活動してまいりました。企業の刑事責任は今後の捜査で解明されることになりますが、我々もこれまでの行政の対応を厳しく問いたい!のです。
◆この事件の発端
この問題は有害スラグの“聖地”:渋川市のスカイランドパーク遊園地の駐車場に有害スラグがゴロゴロしているのが、そもそもの発端でした。水を吸った有害スラグが膨潤して、地表面が激しく凸凹になったため、駐車場舗装修繕工事の名目で、大同が、撤去した有害スラグを産業廃棄物の許可を取らずに収集運搬・中間処理しようとしました。
また、大同は、有害スラグを細かく砕き、あらためて蒸気でエージング処理して、それを下層路盤材として納入しようと画策しました。さらに、それさえ飽き足らず、有害スラグ混合上層路盤材を「渋川市にテスト施工させろ!」という大同特殊鋼からの要請を受けて、渋川市が簡単に許可してしまったのが事件の始まりでした。
テスト施工のいきさつについてはこちらを参照してください。
○2014年11月18日:大同有毒スラグ問題を斬る!…オンブズマン提訴で分かった渋川市の超法規的対応と大同特殊鋼との癒着↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1463.html
◆毎日新聞の記事では、次のとおり報道しています。
・・・取材で入手した大同の内部文書の中に、2011年11月にスラグの利用拡大に向けて大同と建設会社が開いた会議の資料がある。出荷状況などに加え「国土交通省へもアプローチ検討」「県議も使う」などと記され、行政や議員の取り込みを画策していたことがうかがえる。建設会社は県OBの天下りも受け入れていた。これらが奏功したかは分からないが、建設会社はその後、国が推進する八ッ場ダム(群馬県長野原町)の住民移転代替地の関連工事3件を計約4億円で受注し、そこにスラグを運び込んでいた。・・・
佐藤建設工業が受け入れている県職OBの話は、大変気になる所です。ブラック大同・佐藤による「行政や議員の取り込みを画策」の追及は毎日新聞に任せることにして、オンブズマンの目としては、会議資料を別な視点で読み取っていきたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/0e/279ed09450720f9cee69707a8709e5f4.jpg)
※PDFはこちら→ 3c1129.pdf
上に示したのが、問題の内部資料です。
確かに「県議も使う」「県訪問」「国交省へもアプローチ検討」など恐ろしい文字が並んでいます。我々が今回、特に注目したいのは、表の下「*8、9月 処分場道路工事発生スラグを再処理、佐藤建設へ出荷(約600m3)」という文章についてです。
●注目点その1:ここで使われている「再処理」という言葉の意味は何でしょうか?考えてみましょう。
大同特殊鋼渋川工場には、スラグの破砕施設に加えて、蒸気でスラグを蒸し上げるエージングという施設がありました。スカイランドパーク駐車場の建設に使用されていたチョー有害スラグは、サイズが100ミリと大きいため、撤去して回収後、大同に持ち込まれて破砕され、膨張による隆起現象を防ぐためのエージング処理を施されたと考えられます。
破砕は産廃の中間処理にあたります。一旦工事で使用された現場から廃棄物を受け入れて、再処理するには、産業廃棄物処理業の許可を得ていなければなりません。また、その運搬には産業廃棄物収集運搬の許可を得なければなりません。
●注目点その2:「処分場道路工事」とは何でしょうか? 当会では既にこの問題を取り上げています。
次のブログをご覧ください。
○2014年10月15日:大同有毒スラグ問題を斬る!…りんご団地の隣の小林製工運送の最終処分場を巡る変更申請手続の疑問点↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1426.html
↑小林製工運輸株式会社の最終処分場となっていますが、実質的に大同特殊鋼の最終処分場です。産業廃棄物の種類として「鉱さい」と記されています。スラグが「鉱さい」にあたると大同は認識しているのです。↑
↑処分場入口です。アスファルトがヒビだらけです。左に行くと超“デカ”スラグを施工してある様子が見られます↑
↑処分場からヒビだらけな道路が続きます。写真を撮影した日の3年前に、補修工事をしています。超有害スラグを掘削して、ブラック佐藤建設工業が無許可で運び出し、大同で破砕・エージングの処理を無許可でして、またしても道路下に不法投棄しています。そして、このように再びヒビだらけなのは、ブラック佐藤の有害スラグ入り砕石は、使い物にならない不良建設資材であることの証です。処分場の看板には「鉱さい」と記入してあることから、スラグが産業廃棄物であることを認識し、他方、佐藤建設工業は、産業廃棄物の収集運搬のがれき類の許可をもっていることから、許可外の「鉱さい」の運搬は、法律違反であることを充分認識しているはずです。ブラック企業が好んで口にする「知らなかった」「わからない」は通用しません。↑
↑処分場の左下の道路には、大同特殊鋼が不法投棄した超デカスラグの様子が見られます。↑
このように、「処分場道路工事」というのは、小林製工運輸の最終処分場前の道路(市道です)に、大同の有害スラグが路盤材として使用され、それが膨張したことが原因でアスファルト舗装が凸凹になってしまったため、大同が大林組に改修させた工事のことを指していると考えられます。
◆内部資料に記されている「*8、9月 処分場道路工事発生スラグを再処理、佐藤建設へ出荷(約600m3)」というのは、この産業廃棄物処分場の工事に関連して、平成23年8月~9月に処分場に入るための管理用進入路工事が施工されたことを指していると考えられます。
この道路は市道ですが、小林製工運送(株)が既存の道路を改良して渋川市に引き渡したものです。大林組が施工したこの改良工事の内容を見ていくと、元々あった市道に大同猛毒デカスラグが敷設されていたため、約600m3を掘削・撤去したことがわかります。
群馬用水の調査でも判明しているように、このデカスラグは超猛毒で、遮断型処分場へ処分しなければならないところ、今回取り上げた内部資料によると、なんと大同特殊鋼渋川工場で破砕・エージングという処理をしてから、佐藤建設工業へ約600m3もの量が引き渡されてしまったのです。佐藤建設工業は、大同が排出し続けた大量の超猛毒デカスラグを、盛土材置き場、または箱島中央混合所、もしくは直接現場に搬入することで、「処分」してしまったようです。
**********
このように信じられないことが、我が群馬県では続けられてきたのです。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
※参考資料
9月30日の毎日新聞に、これまで大同スラグ問題に粘り強く取り組んできた記者の思いが綴られている、熱血記事が掲載されています。
**********毎日新聞2015年09年30日
Listening:<記者の目>鉄鋼スラグ 有害物質問題=杉本修作(特別報道グループ)
↑大同特殊鋼東京本社に家宅捜索に入る群馬県警の捜査員=東京都港区で2015年9月11日、田口雅士撮影↑
◇行政は環境守る気概を
大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から排出された鉄鋼スラグに有害物質が含まれていた問題で、群馬県警は11日、強制捜査に乗り出した。有害スラグを再生資源と偽って出荷する「リサイクル偽装」に捜査のメスが入るのは過去に例がない。取材を始めて2年余。企業の刑事責任は今後の捜査で解明されるが、私はここで、これまでの行政の対応を問いたい。
この問題は一昨年6月、渋川市の遊園地の駐車場で環境基準を超える有害物質が検出されたのが始まりだった。群馬県は昨年1月、大同やスラグ販売先の建設会社に立ち入り検査し、その結果を今月公表。大同はスラグに有害なフッ素が含有されていることを知りつつ販売額以上の費用を販売管理費などの名目で支払う「逆有償取引」で出荷していたことなどから、県は大同のスラグを廃棄物と認定し、廃棄物処理法違反容疑で大同や建設会社を刑事告発した。
取材で入手した大同の内部文書の中に、2011年11月にスラグの利用拡大に向けて大同と建設会社が開いた会議の資料がある。出荷状況などに加え「国土交通省へもアプローチ検討」「県議も使う」などと記され、行政や議員の取り込みを画策していたことがうかがえる。建設会社は県OBの天下りも受け入れていた。これらが奏功したかは分からないが、建設会社はその後、国が推進する八ッ場ダム(群馬県長野原町)の住民移転代替地の関連工事3件を計約4億円で受注し、そこにスラグを運び込んでいた。
◇「事なかれ主義」、告発まで2年余
私は昨年5月、この移転代替地工事にスラグが無許可で使われていることを確認した。国交省のダム事務所に写真を送って調査を求めたものの「受注した建設会社に確認したがスラグ砕石は使用していないとの回答で、目視点検でも写真のような砕石は見つけられなかった」などとして調査は不要と判断された。
しかし、建設会社が不正をしたとすれば、素直に「スラグを混ぜました」と言うはずがない。その後、国交省は昨年7月、建設会社を「優良受注者」として表彰。私たちが昨年8月5日朝刊で「八ッ場ダム代替地整備に有害資材」と報じたことを受けて、国交省はようやく重い腰を上げて調査を始め、有害スラグの無許可使用などを認めた。
県も一部の担当部署が当初は「火消し」に回った。環境森林部が廃棄物処理法に基づく検査を進める一方、県道を所管する県土整備部は昨年5月、県道6カ所をサンプリング調査して「安全性が確認された」と表明した。県関係者はこう漏らす。「県土整備部は検査や刑事告発に消極的だった。問題が大きくなれば、自らの職責を問われるからだ」。スラグは県道でアスファルトの下の緩衝材として広く利用されていた。撤去となれば交通網への影響は避けられず、行政の責任を追及する声が上がる可能性がある。
有害スラグの利用はその後も次々明らかになり、国交省と県土整備部は昨年11月、対策会議を発足させて調査範囲を拡大せざるを得なかった。発注工事についてはサンプリングではなく、資料などで利用が疑われる工事も調査対象に加えられた。県内93カ所で環境基準を超えるスラグが見つかり、54カ所で周辺土壌に汚染が広がっていることが判明、昨年末には県庁内で刑事告発の方針も固まった。現時点で地下水への影響は確認されず、深刻な汚染が起きる前に調査が進んだことは良かったが、報道などによる指摘がなければどこまで調査したのか、また刑事告発まで踏み切ったのか、疑問は残る。
◇近隣県も対象に、調査ためらうな
現在の調査対象は国と県、県内2市の発注工事のみだが、他の市町村や近隣県を含めて徹底した調査を求めたい。また、八ッ場ダムの移転代替地の多くは住民に分譲済みで「私有地」を理由に調査対象から外れているが、苦渋の決断で移転を容認した人々に禍根を残さないためにも調査をためらうべきではない。
これまでも「リサイクル偽装」が確認される度、行政の対応は問題になった。有害物質を含む土壌埋め戻し材「フェロシルト」が01〜05年に不法投棄された事件では、問題のフェロシルトを三重県がリサイクル推奨品に認定していたとして批判された。ごみ減量のため国はリサイクル製品の利用を後押しし、自治体が率先して使うことを全て悪いとは言えないが、問われるのは偽装を生まない監視と起きた場合の行動だ。今回のスラグ問題は氷山の一角かもしれない。行政は「事なかれ主義」でなく、環境を守る気概を示してほしい。
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さて、当会の9月30日付ブログの末尾に10月1日追記として紹介したとおり、9月30日の毎日新聞に、これまで大同スラグ問題に粘り強く取り組んできた毎日新聞の記者の思いが綴られている熱血記事が掲載されています。本件記事の末尾の「記者の目:鉄鋼スラグ 有害物質問題=杉本修作(特別報道グループ)」をご覧下さい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/36/028452e216c525843b33baa63d72ceb6.jpg)
↑2015年9月30日毎日新聞全国版10面↑
■リットン調査団を擁する当会も、大同スラグ問題に対して、これまで粘り強く取り組んで参りました。群馬県による告発と、県警による大同特殊鋼やその関係先への家宅捜索から1ヶ月が経過した今、あらためて、この問題について、別な視点から考察してみたいと思います。題して、
「オンブズマンの目:鉄鋼スラグ 有害物質問題=リットン特別調査チーム(その1)」。
**********
有害スラグ問題を斬りはじめて2年余。群馬県に住む者として“きれいな群馬ちゃん”を取り戻すため微力ながら活動してまいりました。企業の刑事責任は今後の捜査で解明されることになりますが、我々もこれまでの行政の対応を厳しく問いたい!のです。
◆この事件の発端
この問題は有害スラグの“聖地”:渋川市のスカイランドパーク遊園地の駐車場に有害スラグがゴロゴロしているのが、そもそもの発端でした。水を吸った有害スラグが膨潤して、地表面が激しく凸凹になったため、駐車場舗装修繕工事の名目で、大同が、撤去した有害スラグを産業廃棄物の許可を取らずに収集運搬・中間処理しようとしました。
また、大同は、有害スラグを細かく砕き、あらためて蒸気でエージング処理して、それを下層路盤材として納入しようと画策しました。さらに、それさえ飽き足らず、有害スラグ混合上層路盤材を「渋川市にテスト施工させろ!」という大同特殊鋼からの要請を受けて、渋川市が簡単に許可してしまったのが事件の始まりでした。
テスト施工のいきさつについてはこちらを参照してください。
○2014年11月18日:大同有毒スラグ問題を斬る!…オンブズマン提訴で分かった渋川市の超法規的対応と大同特殊鋼との癒着↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1463.html
◆毎日新聞の記事では、次のとおり報道しています。
・・・取材で入手した大同の内部文書の中に、2011年11月にスラグの利用拡大に向けて大同と建設会社が開いた会議の資料がある。出荷状況などに加え「国土交通省へもアプローチ検討」「県議も使う」などと記され、行政や議員の取り込みを画策していたことがうかがえる。建設会社は県OBの天下りも受け入れていた。これらが奏功したかは分からないが、建設会社はその後、国が推進する八ッ場ダム(群馬県長野原町)の住民移転代替地の関連工事3件を計約4億円で受注し、そこにスラグを運び込んでいた。・・・
佐藤建設工業が受け入れている県職OBの話は、大変気になる所です。ブラック大同・佐藤による「行政や議員の取り込みを画策」の追及は毎日新聞に任せることにして、オンブズマンの目としては、会議資料を別な視点で読み取っていきたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/0e/279ed09450720f9cee69707a8709e5f4.jpg)
※PDFはこちら→ 3c1129.pdf
上に示したのが、問題の内部資料です。
確かに「県議も使う」「県訪問」「国交省へもアプローチ検討」など恐ろしい文字が並んでいます。我々が今回、特に注目したいのは、表の下「*8、9月 処分場道路工事発生スラグを再処理、佐藤建設へ出荷(約600m3)」という文章についてです。
●注目点その1:ここで使われている「再処理」という言葉の意味は何でしょうか?考えてみましょう。
大同特殊鋼渋川工場には、スラグの破砕施設に加えて、蒸気でスラグを蒸し上げるエージングという施設がありました。スカイランドパーク駐車場の建設に使用されていたチョー有害スラグは、サイズが100ミリと大きいため、撤去して回収後、大同に持ち込まれて破砕され、膨張による隆起現象を防ぐためのエージング処理を施されたと考えられます。
破砕は産廃の中間処理にあたります。一旦工事で使用された現場から廃棄物を受け入れて、再処理するには、産業廃棄物処理業の許可を得ていなければなりません。また、その運搬には産業廃棄物収集運搬の許可を得なければなりません。
●注目点その2:「処分場道路工事」とは何でしょうか? 当会では既にこの問題を取り上げています。
次のブログをご覧ください。
○2014年10月15日:大同有毒スラグ問題を斬る!…りんご団地の隣の小林製工運送の最終処分場を巡る変更申請手続の疑問点↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1426.html
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/fc/d1d4dcf401e12d82bfd3d131d80528fe.jpg)
↑小林製工運輸株式会社の最終処分場となっていますが、実質的に大同特殊鋼の最終処分場です。産業廃棄物の種類として「鉱さい」と記されています。スラグが「鉱さい」にあたると大同は認識しているのです。↑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/1f/34b45a0ee383c282dd797e8b23b315d7.jpg)
↑処分場入口です。アスファルトがヒビだらけです。左に行くと超“デカ”スラグを施工してある様子が見られます↑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/be/81ce017ca3fabdfacb593a25180027e9.jpg)
↑処分場からヒビだらけな道路が続きます。写真を撮影した日の3年前に、補修工事をしています。超有害スラグを掘削して、ブラック佐藤建設工業が無許可で運び出し、大同で破砕・エージングの処理を無許可でして、またしても道路下に不法投棄しています。そして、このように再びヒビだらけなのは、ブラック佐藤の有害スラグ入り砕石は、使い物にならない不良建設資材であることの証です。処分場の看板には「鉱さい」と記入してあることから、スラグが産業廃棄物であることを認識し、他方、佐藤建設工業は、産業廃棄物の収集運搬のがれき類の許可をもっていることから、許可外の「鉱さい」の運搬は、法律違反であることを充分認識しているはずです。ブラック企業が好んで口にする「知らなかった」「わからない」は通用しません。↑
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/46/37b778e971b9fb8e41f4e20e56bbdb7b.jpg)
↑処分場の左下の道路には、大同特殊鋼が不法投棄した超デカスラグの様子が見られます。↑
このように、「処分場道路工事」というのは、小林製工運輸の最終処分場前の道路(市道です)に、大同の有害スラグが路盤材として使用され、それが膨張したことが原因でアスファルト舗装が凸凹になってしまったため、大同が大林組に改修させた工事のことを指していると考えられます。
◆内部資料に記されている「*8、9月 処分場道路工事発生スラグを再処理、佐藤建設へ出荷(約600m3)」というのは、この産業廃棄物処分場の工事に関連して、平成23年8月~9月に処分場に入るための管理用進入路工事が施工されたことを指していると考えられます。
この道路は市道ですが、小林製工運送(株)が既存の道路を改良して渋川市に引き渡したものです。大林組が施工したこの改良工事の内容を見ていくと、元々あった市道に大同猛毒デカスラグが敷設されていたため、約600m3を掘削・撤去したことがわかります。
群馬用水の調査でも判明しているように、このデカスラグは超猛毒で、遮断型処分場へ処分しなければならないところ、今回取り上げた内部資料によると、なんと大同特殊鋼渋川工場で破砕・エージングという処理をしてから、佐藤建設工業へ約600m3もの量が引き渡されてしまったのです。佐藤建設工業は、大同が排出し続けた大量の超猛毒デカスラグを、盛土材置き場、または箱島中央混合所、もしくは直接現場に搬入することで、「処分」してしまったようです。
**********
このように信じられないことが、我が群馬県では続けられてきたのです。
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
※参考資料
9月30日の毎日新聞に、これまで大同スラグ問題に粘り強く取り組んできた記者の思いが綴られている、熱血記事が掲載されています。
**********毎日新聞2015年09年30日
Listening:<記者の目>鉄鋼スラグ 有害物質問題=杉本修作(特別報道グループ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/95/56ea81af2fb632473904cf4c0626f198.jpg)
↑大同特殊鋼東京本社に家宅捜索に入る群馬県警の捜査員=東京都港区で2015年9月11日、田口雅士撮影↑
◇行政は環境守る気概を
大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)から排出された鉄鋼スラグに有害物質が含まれていた問題で、群馬県警は11日、強制捜査に乗り出した。有害スラグを再生資源と偽って出荷する「リサイクル偽装」に捜査のメスが入るのは過去に例がない。取材を始めて2年余。企業の刑事責任は今後の捜査で解明されるが、私はここで、これまでの行政の対応を問いたい。
この問題は一昨年6月、渋川市の遊園地の駐車場で環境基準を超える有害物質が検出されたのが始まりだった。群馬県は昨年1月、大同やスラグ販売先の建設会社に立ち入り検査し、その結果を今月公表。大同はスラグに有害なフッ素が含有されていることを知りつつ販売額以上の費用を販売管理費などの名目で支払う「逆有償取引」で出荷していたことなどから、県は大同のスラグを廃棄物と認定し、廃棄物処理法違反容疑で大同や建設会社を刑事告発した。
取材で入手した大同の内部文書の中に、2011年11月にスラグの利用拡大に向けて大同と建設会社が開いた会議の資料がある。出荷状況などに加え「国土交通省へもアプローチ検討」「県議も使う」などと記され、行政や議員の取り込みを画策していたことがうかがえる。建設会社は県OBの天下りも受け入れていた。これらが奏功したかは分からないが、建設会社はその後、国が推進する八ッ場ダム(群馬県長野原町)の住民移転代替地の関連工事3件を計約4億円で受注し、そこにスラグを運び込んでいた。
◇「事なかれ主義」、告発まで2年余
私は昨年5月、この移転代替地工事にスラグが無許可で使われていることを確認した。国交省のダム事務所に写真を送って調査を求めたものの「受注した建設会社に確認したがスラグ砕石は使用していないとの回答で、目視点検でも写真のような砕石は見つけられなかった」などとして調査は不要と判断された。
しかし、建設会社が不正をしたとすれば、素直に「スラグを混ぜました」と言うはずがない。その後、国交省は昨年7月、建設会社を「優良受注者」として表彰。私たちが昨年8月5日朝刊で「八ッ場ダム代替地整備に有害資材」と報じたことを受けて、国交省はようやく重い腰を上げて調査を始め、有害スラグの無許可使用などを認めた。
県も一部の担当部署が当初は「火消し」に回った。環境森林部が廃棄物処理法に基づく検査を進める一方、県道を所管する県土整備部は昨年5月、県道6カ所をサンプリング調査して「安全性が確認された」と表明した。県関係者はこう漏らす。「県土整備部は検査や刑事告発に消極的だった。問題が大きくなれば、自らの職責を問われるからだ」。スラグは県道でアスファルトの下の緩衝材として広く利用されていた。撤去となれば交通網への影響は避けられず、行政の責任を追及する声が上がる可能性がある。
有害スラグの利用はその後も次々明らかになり、国交省と県土整備部は昨年11月、対策会議を発足させて調査範囲を拡大せざるを得なかった。発注工事についてはサンプリングではなく、資料などで利用が疑われる工事も調査対象に加えられた。県内93カ所で環境基準を超えるスラグが見つかり、54カ所で周辺土壌に汚染が広がっていることが判明、昨年末には県庁内で刑事告発の方針も固まった。現時点で地下水への影響は確認されず、深刻な汚染が起きる前に調査が進んだことは良かったが、報道などによる指摘がなければどこまで調査したのか、また刑事告発まで踏み切ったのか、疑問は残る。
◇近隣県も対象に、調査ためらうな
現在の調査対象は国と県、県内2市の発注工事のみだが、他の市町村や近隣県を含めて徹底した調査を求めたい。また、八ッ場ダムの移転代替地の多くは住民に分譲済みで「私有地」を理由に調査対象から外れているが、苦渋の決断で移転を容認した人々に禍根を残さないためにも調査をためらうべきではない。
これまでも「リサイクル偽装」が確認される度、行政の対応は問題になった。有害物質を含む土壌埋め戻し材「フェロシルト」が01〜05年に不法投棄された事件では、問題のフェロシルトを三重県がリサイクル推奨品に認定していたとして批判された。ごみ減量のため国はリサイクル製品の利用を後押しし、自治体が率先して使うことを全て悪いとは言えないが、問われるのは偽装を生まない監視と起きた場合の行動だ。今回のスラグ問題は氷山の一角かもしれない。行政は「事なかれ主義」でなく、環境を守る気概を示してほしい。
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