■平地と山地がバランスよく位置している群馬県では、自転車によるヒルクライムが近年盛んになっています。有名なところでは、高崎市の榛名山ヒルクライムと前橋市の赤城山ヒルクライムが双璧で、コロナ禍明けの今年は前者が5月14日、後者が9月24日に開催され、県内外から大勢の自転車愛好家が集まります。
群馬県におけるヒルクライムの人気ルートとしては、入門レベルが二度上峠(北軽井沢経由コース)(高崎市~吾妻郡)、初級レベルが榛名山ヒルクライム(榛名神社コース)、中級レベルが碓氷峠(安中市~長野県北佐久郡)や渋峠・山田峠(吾妻郡~志賀高原経由~長野県下高井郡)、榛名山ヒルクライム(榛名湖コース)、土坂峠(多野郡~埼玉県秩父郡)、二度上峠(高崎経由コース)(高崎市~吾妻郡)、上級レベルが渋峠・山田峠(草津経由コース)(吾妻郡~長野県下高井郡)、十石峠(神流経由コース)(多野郡~長野県南佐久郡)、赤城山ヒルクライム、最上級レベルが車坂峠ヒルクライム(吾妻郡~長野県小諸市)となっています。
上毛三山のうち、赤城山、榛名山はヒルクライム大会が毎年開催されていますが、残るひとつの妙義山は、そうしたイベントはないようです。上記にもある通り、碓氷峠の国道18号線の旧道を車で走ると結構、サイクリストに出会います。この碓氷峠のルートに妙義山を加えれば、バリエーションに富むコース設定が可能と思われますが、安中市も富岡市も今のところ全然関心がなさそうです。
■さて、9月24日に開催された赤城山ヒルクライムには、2000人を超えるサイクリストが県内外から参加しました。
**********上毛新聞2023年9月25日11:00
2089人が秋晴れの坂に挑む まえばし赤城山ヒルクライム 群馬・前橋市
↑赤城山山頂を目指してスタートする出場者↑
赤城山を自転車で駆け上がる「まえばし赤城山ヒルクライム大会2023」(同実行委主催)が24日開かれ、爽やかな秋晴れの下、2089人が懸命にペダルをこいだ。群馬県内外の9~87歳が年代や性別ごとに19部門に出場。最もレベルが高いエキスパート男子は板子佑士(いたこゆうじ)さん(39)=兵庫県=が54分22秒で初優勝し、同女子は高橋綾さん(36)=前橋市=が1時間04分07秒で4連覇を果たした。
3月に開業した「道の駅まえばし赤城」(同市田口町)を新たなスタート地点とし、公開種目として電動アシスト自転車「eバイク」枠を新設。赤城山山頂コース(標高差1238メートル、18.6キロ)と、キッズ・eバイク部門(同166メートル、3.4キロ)の2コースを設けた。
山本龍前橋市長は「日頃鍛えた健脚を存分に発揮し、楽しんで走り抜いてほしい」とあいさつ。午前7時に最初の号砲が鳴り、出場者が次々とスタートした。沿道では八木節や和太鼓が演奏され、大会を盛り上げた。
優勝した板子さんは、昨年の大会は途中で足を痛めて棄権した。「悔しい思いをした分うれしい。今年40歳になるが、来年も上位に入れるよう頑張りたい」と早くも次回を見据えた。大会4連覇の高橋さんは「気温が上がり過ぎず、湿度が低くて走りやすかった。目標タイムを超える記録が出せて良かった」と喜んだ。
最高齢で出場した前橋市の石田哲美(てつみ)さん(87)は、一般男子(70歳以上)に出場。腰のリハビリを兼ねて75歳から競技を始めた。「久しぶりの大会出場で気合が入った。完走できなかったが、気持ち良かった」と笑顔で話した。
新コースとなった今大会は、序盤に急カーブで転倒の恐れがある場所があり、急きょ測定距離を4キロ短くした。出場者は測定しないその区間を低速走行した。今月8日の「ツール・ド・北海道」で、選手が対向車と衝突した死亡事故を踏まえ、主催者は左側通行の厳守を呼びかけて安全面にも配慮した。
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■主催者の前橋市のHPによると、「まえばし赤城山ヒルクライム大会2023」は、雄大な裾野を持つ日本百名山・赤城山を舞台に、60を超える連続カーブが待ち受けるコースを駆け上がる日本屈指のヒルクライムレースと定義付けています。
今年は、2023年3月21日に開設した道の駅「まえばし赤城」を新たなスタート地点とし、全長22.6km、標高差1293mの新コースで開催されました。コースも年齢や体力に応じて選択でき、一般参加のほか、キッズやe-bike(赤城山山頂コース・7.4㎞コース) の参加枠もあります。
参加申込みは、5月22日(月)20:00~5月28日(日)23:59は、個人協賛枠として先着100名が対象で、一般参加料とは別に個人協賛金として10,000円が必要です。6月1日(木) 20:00~7月12日(水) 23:59は一般枠(先着2,300名)、キッズヒルクライム (先着50名)、e-bike「赤城山山頂コース」 (先着10名)、e-bike「7.4㎞コース」(先着20名)への参加希望者の申し込み期間で、競技時間は7:00~11:00(交通規制6:30~11:30)です。
参加料は、山頂までの22.6㎞コースの場合、エキスパート男子・女子(中学生以上)、一般男子A(高校生以上~29歳以下)、一般男子B(30歳以上~39歳以下)、一般男子C(40歳以上~44歳以下)、一般男子D(45歳以上~49歳以下)、一般 男子E(50歳以上~59歳以下)、一般 男子F(60歳以上~69歳以下)、一般男子G(70歳以上)、一般女子A(高校生以上~29歳以下)、一般女子B(30歳以上~39歳以下)、一般女子C(40歳以上~49歳以下)、一般女子D(50歳以上)、はすべて9,000円、ジュニア男子・女子(中学生)が4,000円、e-bike中学生以上は表彰対象外ですが9,000円となっています。
また7.4㎞コースの参加料は、キッズヒルクライム男子・女子(小学4~6年生)が3,000円、e-bike(レンタル付き)中学生以上が表彰対象外で5,000円です。
一般コースは、道の駅「まえばし赤城」から赤城山総合観光案内所までの全長22.6km、平均勾配5.7%、最大勾配9.7%、標高差1,293mで、キッズヒルクライムは、同じく道の駅「まえばし赤城」をスタートし、途中の畜産試験場交差点までの全長7.4km、平均勾配2.9%、標高差221mです。
そして、令和2年10月、県道4号線 (まえばし赤城山ヒルクライムコース)において、自転車で下山する際に落車、転倒事故が発生したとして、下山の際は対向車両、歩行者、動物等の飛び出しなどに十分留意し、慎重に回避できる法定速度内で走行するよう注意喚起がなされています。
■筆者はかつて、国内外で自転車ツアーにチャレンジしたことがありますが、年を重ねたことから、現在はもっぱら観戦を楽しんでいます。今年5月の榛名山ヒルクライム(ハルヒル)に続いて、今回の赤城山ヒルクライムに参加した知人から、先日、大会参加の感想を聞くことがありました。
それによると、赤城山ヒルクライムのほうが、ハルヒルよりハードなので、それなりに充実感があるが、参加者への気配りはハルヒルのほうがよいとのことです。とりわけ、今回の赤城山ヒルクライムでは、スタート地点がはじめて道の駅「まえばし赤城」になったが、スタート前にトイレで少しでも体重を軽くしておきたいという参加者の都合を考えずに、トイレの数が極めて少なかったため、参加者の多くが万全のコンディションでスタートできなかったということです。
次回の開催には、スタート地点に十二分な数の仮設トイレの用意が主催者である前橋市に求められます。
個人で参加した私の友人は、群馬県にあるCOW GUNMAという参加チームが印象に残ったと言っていました。なんでもバイオレット・ピンクのユニフォームが格好良いのだそうです。チーム名のCOW(climb over wall)は「壁を乗り越える」という意味で、ロード・アンド・ヒルクライムチームとして、県内の赤城・榛名・秋間エリアなど恵まれた練習環境を最大限に活用して、練習を重ねていて、2016年度からは新規で全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)に登録しています。
■今回は未確認ですが、2017年9月24日に開催された第7回まえばし赤城山ヒルクライム大会には、海外から初参加として、台湾から1チーム13人が来日し、全員が完走しました。群馬県では、ヒルクライムではありませんが、利根沼田地区で、コロナ禍前の2019年まで望郷ライン・センチュリーライドを9回にわたり開催し、毎年台湾から数10人の参加があり、群馬県台湾総会では毎回お世話をさせていただいておりました。
関東最大級の山岳ライドをキャッチフレーズとして、同地区では、今年は「ツール・ド×10,000UP in Gunma」という企画を6か月限定で実施中です。これは百名山に数えられる日光白根山、至仏山、武尊山、谷川岳、赤城山の標高分の計1万メートルを駆け上がる5つのコースから構成されていて、チャレンジ精神のあるサイクリストらにアピールしています。
ちなみに、台湾は日本とならび世界最大級の自転車メーカーを輩出している自転車産業国で、人口一人当たりの生産台数は世界1位です。「自転車業界の世界市場シェアの分析」によれば、2020年の自転車(部品も含む)市場シェアで、1位シマノ5.2%、2位巨大機械工業(ジャイアント)4.2%、3位アクセルグループ2.9%、4位ドレル1.9%、5位メリダ・インダストリーズ1.8%、6位ブリジストンサイクル0.7%、7位パナソニックサイクルテック0.6%で、2位のジャイアント、5位のメリダ(メリダ・インダストリーズ )が台湾の会社です。
【群馬県台湾総会書記からの報告】
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