市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

館林北部第三工業団地を巡る土壌汚染問題の責任明確化が問われる館林市と群馬県環境森林部(その2)

2024-02-05 00:29:27 | スラグ不法投棄問題

館林北部第二工業団地にある既存のダノンジャパンの工場

■これに対し、令和5年12月13日付県支広第40-35号で、群馬県知事から当会会員あてに、処分庁から次の内容の弁明書が送られてきました。

*****11/30知事からの弁明書*****
(別紙:処分についての審査請求用)

                  弁 明 書


 下記1の審査請求について、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の規定により下記のとおり弁明する。

                   記

1 審査請求
  審奎請求年月日:令和5年10月27日付け
  事件名:「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の土壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、士壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える士壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの士地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に土壌汚染されていることが想定される。 トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の土対法に基づく県への届出書なども含む。)」の公文書部分開示決定に対する審査請求

2 開示請求公文書の特定について
   「館林市の北部第三工業団地において、トーモクが館林市から取得した土地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出をトーモクが県に提出した際、県は当該土地の士壌がフッ素及びその化合物により汚染されている恐れがあるとして、土壌調査を命じた。その結果、環境基準を超える土壌汚染が確認され、トーモクと館林市との間で係争となり、土壌検査や土壌の入れ替え工事費用約5.2億円を、館林市が負担することで和解となった。そうすると、同じく館林市が造成して分譲したトーモクの土地以外の部分についても、例えばダノンの土地も同様に士壌汚染されていることが想定される。トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報(ダノン等の士対法に基づく県への届出書なども含む)。」という請求書の記載から、請求者は土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。以下「法」という。)の調査命令の発出に関する審査に関する文書の開示を求めているものと考えた。
   法では、一定の規模以上の土地の形質の変更を行う場合、法第4条第1項の規定により事前に届出を行い、届出に係る土地が士壌汚染のおそれがあると認めるときは、法第4条第3項の規定により、知事は、当該士地の所有者等(土地の所有者、晉理者又は占有者をいう。以下同じ。)に対して土壌汚染状況調査(法第2条第2項)を命ずることができるとされている。
   同団地の土地において株式会社トーモクが所有する土地で工場を建設しようとした大同薬品工業株式会社が、平成30年3月1日付けで法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更の届出を提出し、この届出に対し県が法に基づく審査を行った結果、当該届出に係る土地について土壌汚染のおそれがあるとして平成30年4月5日付けで法第4条第3項の規定により土地の所有者等である株式会社トーモクに対し土壌汚染状況調査を命じている。
   この届出のほかに、同団地の土地において、株式会社トーモク及び大同薬品工業株式会社に係る届出は提出されていないことから、「トーモクが館林市から取得した士地に大同薬品工業が工場を建設するのに先立ち、土壌汚染対策法に基づく届出」とは、この平成30年3月1日付けで大同薬品工業株式会社が提出した法第4条第1項の届出であると考えた。
   また、「トーモクが県に届出をした時点で、既に工場建設が済んでいるところについて、県がなぜ調査命令を出していないのか、その理由がわかる一切の情報」とは、同団地の土地において工場建設等の目的で法第4条第1項の届出が提出されたもののうち、株式会社トーモクが所有する士地における法第4条第1項の届出が提出された平成30年3月1日以前に届出が提出され、事務処理が完結しているものについて、その届出の審査を含む事務処理に関する文書及び同団地の土壌汚染のおそれに関連する情報を記録した文書が該当するものとして文書を特定した。
   すなわち、平成30年3月1日時点で既に事務処理が完結している「平成25年2月12日付け環保第30046-97号」、「平成25年9月19日付け環保第30046-62号」及び「平成25年12月10日付け環保第30046-124号」を特定した。また、土壌汚染のおそれに関連する情報を記録した文書として、同団地造成当時の館林市産業政策課(館林市土地開発公社(当時))及び群馬県(環境保全課(以下「当課」という。))間の応対記録を特定した。

3 群馬県情報公開条例における開示・不開示の解釈について
  (1)群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号。以下「条例」という。)第14条では、開示請求に係る公文書に不開示情報が記録されている場合は、当該公文書を開示してはならない旨を定めている。
  (2)同条第3号は、法人等に関する情報の不開示情報としての要件を定めている。
    ア 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の某準」では、「法人その他の団体」(同号本文)には、株式会社等の会社が含まれるとされている。
    イ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「法人その他の団体・・・に関する情報」(同号本文)とは、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報など、法人等と何らかの関連性を有する情報を指すとされている。
    ウ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、同号ただし書の解釈として、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとされている。この場合には、現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれるとされている。
      なお、法人等の事業活動と人の生命、健康等に対する危害などとの明確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害などの発生が予想される場合もあり得るとされている。
    エ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、同号イに該当する可能性のある情報の会社における具体例として、販売計画など販売上の戦略が明らかにされ又は具体的に推測される情報で通常一般に入手できないものを挙げている。
  (3)同条第6号は、県が行う事務又は事業に関する情報の不開示情報としての要件
を定めている。
    ア 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準Jでは、「当該事務又は事業の性質上」(同号本文)とは、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断するに当たっては、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法などに照らして行うという趣旨であるとされている。
    イ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)とは、実施機関に広範な裁駄権限を与える趣旨ではなく、各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定又はその趣旨に照らして公益的な開示の必要性などの種々の利益を考慮した上での「適正な遂行」と言えるものであることが求められるとされている。 「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求されるとされている。
    ウ 「群馬県情報公開条例の解釈及び運用の基準」では、「検査」(同号イ)とは、法令等の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格・等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることをいうとされ、事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価、判断を加えた上で、一定の決定を伴うことがある事務であるとされている。また、このような事務に関する情報の中には、事前に公にすれば、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となったり、行政客体における法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したりするなどのおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするとされている。

4 公文書を開示しない理由
   以下の(1)及び(2)のとおり、上記3で示した不開示情報に該当するものについて、開示しない理由を述べる。
   なお、不開示清報に該当するものに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報があり、これらは、当初、条例第14条第6号イに該当するとして不開示としたが、検討の結果、同条第3号イにも該当することから、この点について、以下の(2)エのとおり不開示の理由を追加する。
  (1)本件審査請求に係る公文書(平成23年度作成 士壌汚染対策法(4条相談等関係))に記載されている館林市産業政策課(館林市士地開発公社(当時))との応対及び法に基づく審査に関する情報を、条例第14条第6号イに該当するとして不開示とした。
    ア 対象公文書の説明
      対象公文岩は、館林市産業政策課(同公社)の担当者及び当課の担当者間での応対記録を供覧した文書である。
    イ 背景となる制度やそれに関する事務の流れ、関係法令の説明
      当課では、事業者等から法に関する相談があった場合は必要に応じてその応対記録を作成し、適切な期間保存している。
    ウ 不開示とした情報の説明
      当該公文書には、同団地の土地における法に基づく審査に関する情報が含まれている。
    エ 条例第14条第6号イ該当性について
       まず、当該公文書における当課の判断は、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」 (同号本文)に該当する。
       次に、当該公文書は、土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成するため、土地の所有者等に土壌汚染状況調査を実施させるための要件該当性(法第4条第3項、法施行規則第26条各号)を判断するにあたり参考となる資料の一部である。その判断に当たっては、土壌汚染のおそれに関する情報を調べる必要があることから、当該審査に係る事務は「検査」(同号イ)に該当し、「当該事務又は事業の性質上」(同号本文)に該当する。
       そして、次の(ア)及び(イ)のとおり、当該公文書は、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」 (同号木文)に該当する。
      (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
          当該公文書は、当時の館林市土地開発公社が造成した館林市北部第三工業団地に係る上壌汚染対策に関する館林市産業政策課(同公社)の担当者(以下「相手方」という。)との応対記録であり、相手方から自主的に報告された情報及びその情報に基づく当時の当課における土壌汚染のおそれの判断を含んでいる。相手方にとっては、当該情報を断りもなく開示されることは当然、想定していないと考えられる。また、当該公文書には法人情報に類する情報も含まれている。
          これらを開示することは、当課に対する相手方からの信用を失墜させ、以後、相手方からの自主的な報告や情報提供、聴取への応諾等が行われなくなることが危惧される。
          このことは、今後、当課において、法が規定する土壌汚染状況調査の契機(法第3条から第5条まで参照)では捕らえ切れない士壌・地下水汚染の把握を難しくさせるとともに、これらに対する適切な対策及び指導等も困難にさせ、ひいては法の施行にまで影響を及ぼすおそれが高いことから、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
      (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不適切な対応を助長するおそれ
          当該公文害には、上記(ア)のとおり、同団地の土地を対象にして自主的に報告された情報及びその情報に基づく当課における同土地に対する土壌汚染のおそれの判断が含まれているが、これは、あくまでも同団地の土地に対しての土壌汚染のおそれの判断内容であって、広く同団地の土地以外の土地に対して一律に適用できる判断ではない。しかし、開示することによって、法に茎づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体をして、当該判断内容が広く一般に通じるものと無用の誤解を与えるおそれが出てくる。また、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態となる可能性が出てくる。
          このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき土壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に土壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)が達成できなくなることを意味する。
          こうしたことから、当該公文書を開示することは、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握を困難にするおそれがあることから、上記(ア)と同様に、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
       以上の理由から、不開示とした。
  (2)本件審査請求に係る公文書(平成24年度及び平成25年度作成 土壌汚染対策法第4条に基づく一定の規模以上の土地の形質の変更届出書について(H24-82、H25-47及びH25-111))に記載されている届出者に関する情報及び当課における法に基づく審査に関する情報を、それぞれ、条例第14条第3号イ及び同条第6号イに該当するとして不開示とした。
    ア 対象公文書の説明
       対象公文書は、同団地に進出する事業者から、法第4条第1項の規定による一定の規模以上の土地の形質の変更届出書が提出されたことを受け、当課が法に基づく審査を行ったものである。
    イ 背景となる制度やそれに関する事務の流れ、関係法令の説明
       法第4条第1項では、一定の規模以上の土地の形質の変更をしようとする者は、土地の形質の変更に着手する30日前までに知事に届け出なければならないとされている。そして、知事は、当該土地が特定有害物質(法第2条第1項)によって汚染されているおそれがある、すなわち、士壌汚染のおそれがあると認めるときは、当該土地の所有者等に対し、土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、調査し報告することを命ずることができる(法第4条第3項)。
       法を所管する当課では、届出書の内容及び届出対象地における、当課で収集した土壌汚染のおそれに関する情報に基づき、法施行規則第26条各号の要件該当性の判断に係る審査を行う。また、届出者に対して、当該届出を受理した旨を通知している。
    ウ 不開示とした情報の説明
       当該公文書は、法第4条第1項の規定に基づく届出の情報として、届出者の事業内容に関する情報が含まれ、また、届出に対して、当課が法に基づく審査を行った経緯・結果に関する情報が含まれる。
    エ 条例第14条第3号イ該当性について
       当該届出者は、法人たる株式会社であり、法第4条第1項の届出書に添付される情報は当該法人の事業に関する情報が含まれている。多くの場合、届出者は企図する事業戦略の一環として法第4条第1項による届出を行うものであるが、添付情報の中には、土地の形質の変更を行う具体的場所に係る面積並びに平面図、立面図及び断面図、さらには事業の全体が把握できる計画図等、事業の内容が明らかにされ又は具体的に推測される情報が多く含まれている。これらは第三者が通常一般には入手できない情報である。これらの情報を開示することは、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが考えられる。
       さらに、当課及び管轄環境事務所が行う所管法令及び所管法令以外の審査結果に関する情報には、届出者が届出を行おうとする土地で使用されている特定有害物質の種類や施設情報を推知できてしまうものもあり、仮に開示した場合、届出者の競合会社等に情報が漏出することにつながり、届出者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えられる。
       また、届出対象地周辺において、現に、土壌汚染による健康被害が確認されたという情報を県が把握していない以上、情報を開示しないことで人の生命、健康等の利益が法人等の権利利益を上回るとは考えられず、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが認められる情報を除く。」(条例第1 4条第3号ただし書)にも該当しない。
       以上の理由から、不開示とした。
    オ 条例第14条第6号イ該当性について
       まず、当該公文書における当課の判断は、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」(同号本文)に該当する。
       次に、当該公文書における法に基づく審査は、士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成するため、土地の所有者等に土壌汚染状況調査を実施させるための要件該当性(法第4条第3項、法施行規則第26条各号)を判断するものである。その判断に当たっては土壌汚染のおそれに関する情報を調べる必要があることから、当該審査に係る事務は「検査」(同号イ)に該当し、「当該事務又は事業の性質上J (同号本文)に該当する。
       ここで、上記土壌汚染のおそれに関する情報とは、法第56条第2項に基づき、上記審査のみに使用するとして、使用目的を限定して関係行政機関から提供された情報を含み、審査の効率化を図るため当課で加工した情報である。上記土壌汚染のおそれに関する情報には、公共安全情報(条例第14条第4号)としての性格を有するものも含まれる。ただし、これらの情報は、上記のとおり当課で加工したものであり、公共安全情報に直接該当するものではないと思料し、「県の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報」(条例第14条第6号本文)に該当する。
       そして、次の(ア)及び(イ)のとおり、当該公文書は、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
      (ア)相手方との信頼関係を損なうおそれ
          当該公文書は、上記のとおり使用目的を限定して提供された情報を含んだものであることから、情報を提供した関係行政機関においては当該情報を開示することは当然想定していないと考えられ、仮に開示すれば、それは目的外の使用に当たることから、関係行政機関と当課との信頼関係が著しく損なわれ、今後、関係行政機関から必要な協力を得られない可能性が強く懸念される。この場合、今後、当課では上記法に基づく適正な審査を行えなくなることを意味するものであり、これは、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれJ (同号本文)に該当する。
      (イ)法解釈の錯誤に伴う自己判断による不滴切な対応を助長するおそれ
          当該公文書は、当課による土壌汚染のおそれの判断内容を含んだものであるが、この判断はあくまでその当時施行されていた法令に基づくものである。判断は、法令等の新たな施行に基づき、その都度されるものである。この内容を開示することにより、法に基づく届出をしようとする者や自主的な土壌汚染対策をする者等の行政客体に、現状においても、当該判断内容が広く一般に通じるものとの誤解を与えるおそれがある。
          このことは、これを判断の拠り所の一つとして法解釈の錯誤を生じさせ、その結果、自己判断による不適切な対応を行い、事前に被ることが予想される法的な不利益を回避するために当課への相談・報告自体を躊躇・忌避する事態が生じる可能性が出てくる。
          このように、行政客体による調査報告を含む正確な情報が得られなくなることは、収集した情報に基づき士壌汚染のおそれの判断を行う事務を担う当課にとって、業務を全うできなくなることを意味する。仮に、汚染が判明した場合、本来であれば、管轄行政機関は速やか にその汚染による人の健康に係る被害が生じるおそれの有無を把握しなくてはならないが、先述した土壌汚染のおそれを判断するために行う情報の収集が滞ることによって、必要な対応が取れなくなる事態が想定される。このことは、最終的に士壌汚染による人の健康被害を防止するという法の目的(法第1条参照)を達成できなくなることを意味する。
          こうしたことから、当該公文書を開示することは、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握を困難にするおそれがあることから、上記(ア)と同様に、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」(同号本文)に該当する。
       以上の理由から、不開示とした。

5 審査請求人の主張に対する反論
(1)審査請求の理由1関係
    審査請求人(以下「請求人」という。)が「処分庁は対応日時、相手方、対応者以外の部分を不開示とし、その理由を(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4   (1)工のとおり、条例第1  4条第6号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。
(2)審査請求の理由2関係
    請求人が「土対法施行規則第26条で定める基準による審査内容及び結果、(中略)を不開示とし、その理由を(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4(2)オのとおり、条例第14条第6号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。なお、検討の結果、同条第3号イにも該当していたことから、上記4(2)エにおいて不開示の理由を追加した。
(3)審査請求の理由3関係
    請求人が「土地の形質の変更の規模、(中略)を不開示とし、(中略)条例の解釈を故意かつ不当に捻じ曲げており、撤回しなければなりません。」と主張している点について、上記4(2)エのとおり、条例第14条第3号イの該当性について、条例を所管する県民活動支援・広聴課が示している一般的な解釈に基づき不開示と判断したものであり、その解釈を故意かつ不当に捻じ曲げていない。
(4)審査請求の理由4関係
    請求人が「群馬県情報公開条例第14条第6号イには、(中略)上記1と2に示した黒塗り箇所が、なぜこの条項に該当するのか、全く理解できません。」と主張している点について、1は上記4(1)で、2は上記4(2)で示したとおりである。
(5)審査請求の理由5関係
    請求人が「群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第6号イの解説(4)で、(中略)この観点からの判断の経過と結果について説明がされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。」と主張している点について、上記4(1)エ及び4(2)オで示したとおりである。
(6)審査請求の理由6関係
    請求人が「群熙県情報公開条例第14条第3号イには、(中略)但し書きとして「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く」と付記されています。本件黒塗り情報はまさにこの但し書きに該当しています。」と主張している点について、上記4(2)エで示したとおりである。
(7)審査請求の理由7閲係
    請求人が「群馬県情報公開条例の解釈と運用基準によれば、同条例第14条第3号イの解説(4)で、(中略)「単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる」としており、この観点からの判断と結果についての説明がなされないまま黒塗りの部分開示処分されたことは、容認できません。」と主張している点について、上記4(2)エで示したとおりである。
(8)審査請求の理由8関係
    請求人が「今回の処分は直ちに取り消されなければなりません。」と主張している点について、上記のとおり、処分の取消しは不適当であると考える。

    令和5年11月30日
                     群馬県知事 山本 一太
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項つづく】

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