■ひらく会海外取材班は12月25日から、久しぶりに台湾の取材を行っています。これまで、台北、高雄、台北と移動し、大みそかの本日は台中で年越しを迎えることになりました。日本では大みそかの行事でにぎやかですが、こちらでは、年越しのカウントダウンは、各地で催されるものの、テレビの番組では、あと16日後に迫った総統選挙の話題で持ちきりです。
↑12月25日に成田空港で搭乗したハロー・キティ・ジェット。エバー航空は親切なサービスで定評があり、日本人にも台湾人にも好評。↑
↑成田空港出発ロビーの大Xマスツリー。↑
↑出迎えの人々でごった返す台湾の桃園国際空港到着ロビー。↑
↑桃園空港ターミナルの乗車エリアから車で台北市内に向かう。↑
↑台北市内の交差点脇の建物の壁面には立法委員候補者のポスターがライトアップされている。若い女性候補が目立つ。↑
↑到着後さっそく夕食は台湾の家庭料理。好物の豚の角煮に加え、青菜、カラスミ、芋ご飯など。↑
↑茶の間ではテレビで総統選挙候補者の政見放送をやっていた。画面は国民党の朱立倫候補。他に次期総統の呼び声高い民進党の蔡英文候補。そして新民党の宋楚瑜候補の計3名が出馬。↑
12月18日に公示され1月16日投開票の台湾総統選挙は、中華民国の総統と副総統を選出するための選挙ですが、同じ日に第九回中華民国立法委員選挙も実施されるので、ダブル選挙となります。現在の総統である国民党の馬英九は、中華民国憲法に定められた三選禁止によって出馬できないため、国民党からは別の新しい総統候補者を選出することになりました。
当初、与党の国民党は、総裁候補者に女性の洪秀柱を選出しましたが、中共(中国共産党)が支配する中国との統一発言などで物議を醸したため、2015年10月17日に新たに新北市長で国民党主席の朱立倫を総統候補に指名し直しました。
一方、野党の民進党は、前回2012年の総統選挙で馬英久に敗れた蔡英文が、一旦敗北の責任をとって民進党の主席を辞任したものの、その後返り咲いて、今回再び民進党主席として総統選にチャレンジすることになりました。
なお、総統選の候補者としては、もうひとり、親民党主席の宋楚瑜・元台湾省長がいます。
■以上の3人の候補者が、来る1月16日に投開票が行われる台湾の総統選に出馬するわけですが、下馬評では民進党が断然有利という見方がされております。
そのような状況下で、当会取材班が台湾を訪問した翌々日の12月27日の夜に、3名の総統選立候補者が台北市内での1回目のテレビ討論会に参加しました。支持率で大幅にリードしている民進党の蔡英文に対し、国民党の朱立倫が最大の争点である対中政策についてしつこく質問を浴びせました。なぜなら、選挙の前哨戦で劣勢が続く国民党としては、「民進党が政権を奪回した場合、中国との関係が不安定になる」とテレビ討論会でアピールして、なんとか公開の場で追い込むチャンスだったからです。
その結果、たしかにテレビ討論後の視聴者アンケート結果によれば、民進党の支持率が2~3ポイント下がると報道したマスコミもありますが、国民党の支持率は依然として伸びず、やはり台湾の人たち、とりわけ本省人と呼ばれる戦前から台湾に住んでいた方々や若い世代にとっては、現総統の馬英九による親中・媚中政策にはほとほと嫌気が差しているようです。
↑翌朝、台北の天母を散歩していたらアメリカンスクールの裏手にこのような超高層ビルが建設中なのに度肝を抜かれた。日本人駐在員が多く住むこの高級住宅地区ではまさかの初の超高層ビルだ。↑
↑12月26日に高雄に向かう為、台北駅に到着。↑
↑予約をしておいた新幹線の出発までまだ40分ある。まずは切符を入手することに。↑
↑予約しておいた新幹線の切符をゲット。途中停車駅は板橋と台中のみ。高雄市の玄関の左営駅まで96分で到着予定。↑
↑まだ待ち時間があったので、台北駅ビルの中をぶらぶら。中央広場の大聖誕樹。↑
↑日本では高砂族とよばれる原住民らの住む地域の観光キャンペーンでダンス・リハーサル中の原住民の若者グループ。↑
↑台湾新幹線は北部のトンネル地帯ではなく南部の平野部で最高速度を記録する。写真は速度291キロの表示。↑
↑というわけで正午きっかりに高雄の左営駅に到着。現地スタッフの出迎えを受ける。台湾では南投県以南は民進党の牙城。↑
■この後、2回目のテレビ討論会は1月2日に開催されますが、台湾の民間のテレビ局の報道などによれば、国民党の立法院候補者らの支援者多数を招待しての宴席問題や、国民党支配が続く苗栗県の財政破綻問題、さらには中共資本による台湾のテレビ局の買収問題などが明るみにされており、国民党の巻き返しは困難を極めることが予想されます。
このように1月16日の台湾総統選では、8年ぶりの民進党政権と初の女性総統の誕生の可能性が高まっていますが、今年10月6日に民進党主席の蔡英文が、極秘に日本の山口県を訪れて、安倍首相の実弟で元代議士の岸信夫と面談し、翌10月7日には東京に移動して安倍首相とも会談したことが台湾で報じられています。このことは日本でも産経新聞が報道していますが、日本政府も台湾の民進党も中国を無用に刺激しないようにとの配慮から、安倍晋三首相と蔡英文主席の会談の事実は否定しています。
民進党は蔡主席の訪日は、日本との経済連携について関係者と協議するためのものであるとの姿勢をとっていますが、総統選に当選した場合には訪日ができなくなることから、民進党主席の立場である今のうちに日本政府と接触して今後の協力をアピールしたものと考えられます。また、日本政府としても、今後の日台関係を睨んで次期総統有力候補者との面識を得ておく必要性を認識したものと思われます。
■今回の台湾取材で判明した興味深いことについて述べてみます。
日本を訪れる台湾からの観光客が近年さらに増加していますが、その背景には、台湾への中国大陸からの観光客の増加と、それに伴う台湾国内の観光地における宿泊施設や観光バス会社の中国資本化です。これらは国民党の馬英九政権が、大陸からの観光客に門戸を開いた結果、観光客のみならず、同じ大陸の観光業者が台湾に進出してビジネスを展開しているため、台湾の観光地はどこも中国人観光客でいっぱいになり、情緒がなくなってしまったため、日本の観光地に目を向けた結果だというのです。
現地の人に聞いても、今年日本に何回も旅行に行ったという人が多く見られます。とくに距離的に近い九州が人気です。温泉旅館に宿泊したら部屋に露天風呂が付いていて1日6回も入浴できたと喜んでいるかたもおります。日本政府も積極的に外国人観光客の誘致を進めており、その成果は着実に表れていますが、中国大陸からの観光客の増加を手放しで喜ぶ前に、中国人観光客のマナーや取扱業者の実態なども慎重に把握する必要があります。
現に、中国人観光客の宿泊する温泉旅館や、ツアーを実施する観光会社、あるいは中国人観光客目当ての土産物店などでは、日本においても中国資本化が相当進んでいると言われています。台湾での中国人観光客の増加による諸問題は、決して対岸の火事ではないことに注目したいと思います。
■今回、台湾の若い世代のかたがたと話す機会に恵まれました。彼らの質問の中で、次の話題が記憶に残りました。それは、「日本の天皇家は平和主義者で政治に関与せず、日本の象徴として存在しているのに、日本の安倍首相はなぜそんなに靖国神社を参拝したがるのか?」「同じ敗戦国なのに、ドイツは十分謝罪したとして周辺国から何も問われないのに、なぜ日本だけが未だに戦争責任に対する謝罪を韓国や中国から求められるのか?」というものです。
これに対して、当取材班は次のとおり説明しました。
「ドイツの場合は、全て戦争はナチスという忌まわしい政権下で発生したものであり、ナチスを徹底的に排除することにより目に見える形で戦争責任の謝罪を都合よくアピールできた。この点は、ドイツは実に巧妙と言える」
「一方、日本の場合、軍部が天皇を利用した上に、戦後、進駐軍が天皇の紋章をそのまま継承することを靖国神社に許したため、中国や韓国などが最近になって国内の反日運動を煽る際に、格好の口実となってしまった」
「戦争によって命を落とした軍人や軍属は、どの国でも愛国者として祀られている。台湾でも国立の忠烈祠があるが、日本の場合は靖国“神社”であるため、宗教的な観点から天皇家と同じ紋章が使われており、このことも、中国や韓国に格好の口実とされている」
「政教分離の立場から、安倍首相は靖国神社の参拝を控えるべきだが、自分の一部の支持者・団体を意識して、愛国主義をアピールするために参拝に踏み切ったものと思われる」
「したがって、戦後、進駐軍が靖国神社を日本版アーリントン墓地のような国立戦没者追悼施設(民間の戦死者も含めて)にしてしまえばこの問題は起こらなかったと思う」
幸い、当取材班の説明に対して、台湾の若いかたがたは一定の納得を得たようでした。
■次に、彼らは「なぜ韓国はあのように慰安婦問題にこだわるのか?」と質問を浴びせてきました。
これについて当取材班は、次の通り説明しました。
「韓国を含む朝鮮民族は昔からコンプレックスを特徴としており、自分が弱い立場にあるときに、強いものには媚びるが、相手と同等の立場あるいは相手より強い立場になると途端に、自分が弱い立場にあった時代のことを自分中心に都合よく解釈し、歴史を捻じ曲げて主張を始める」
「日本が朝鮮半島の統治をした当時は、日本の国力は乏しかったにもかかわらず、国際社会から、腐敗しきった朝鮮王朝に代わってなんとかまともな統治をしてほしいと懇願されたため、無理を押して朝鮮併合を行った」
「その後は台湾と同様、あるいはそれ以上に、朝鮮半島のインフラ整備や社会、経済、教育、衛生面等で巨額の投資をし、戦後の韓国の復興にも巨額の賠償金を支払ったり、経済援助を行ったりして尽力をしてきた」
「しかし、コンプレックス意識は時代を経ても継承されてしまい、いくら日本側が謝罪の意思を示しても、韓国人にとっては、ますますコンプレックスを増長するネタにされてしまう」
「先日、ノーベル賞の受賞者が決まったが、日本人が受賞するたびに韓国ではアンフェアだと騒ぐ。しかしスポーツの国際大会での事例でも分かるように、フィギアスケートのような採点競技や、サッカーのような判定要素のある協議などで、カネをつかって審判を篭絡し、ルールを捻じ曲げてまでもアンフェアな勝ちにこだわる」
「自分の体験では、韓国の一般民衆の多くはさほどコンプレックス度は高くないと思うが、政府が人気取りのために反日運動を政策として展開するため、どうしてもそれに乗せられる国民がアンフェアな言動を発して物議を醸す」
これについても、概ね共感を得た様子で、「近代史をよく知っている。台湾でも近代史について、我々も知るべきだ」と意外にも褒められてしまいました。
■台湾でも急速に少子・高齢化が進むと見られています。そのため、台湾の年配者と話すと、日本の介護制度について非常に関心度が高いことがわかります。もちろん、我が国の介護制度にも深刻な問題点があるのですが、それらを含めて、日本の制度をよく精査して、間もなく到来する台湾の高齢化社会への対応に、政府も一般市民の非常な関心を示しています。
当会取材班は、台湾のかたがたから「日本ではこの問題はどうなのか?」「日本人としてこの問題をどう思うか?」という質問を受けるたびに、ネガティブな観点からも含めて、日本の現況をありのままに、つぶさに説明することを心がけました。しかし台湾の人たちからは、「日本はすばらしい」「日本のやり方を見て、自分たちも今後の手本にしたい」と礼賛の言葉がいつも返ってくるのです。
もっとも当会取材班が今回、接触した台湾の皆さんは、いわゆる本省人系ばかりでした。こうした人たちは、総統選挙に際して、以前から民進党の支援者が圧倒的です。今回も、台湾南部では民進党のポスターやプラカードが至る所で見受けられました。
ぜひ、新年1月16日に投開票される台湾総統選では民進党から初の女性総統が誕生し、立法院でも民進党が過半数の議席を確保できるように、当会海外取材班としても強く希望しています。
【ひらく会情報部・海外取材班】
↑12月25日に成田空港で搭乗したハロー・キティ・ジェット。エバー航空は親切なサービスで定評があり、日本人にも台湾人にも好評。↑
↑成田空港出発ロビーの大Xマスツリー。↑
↑出迎えの人々でごった返す台湾の桃園国際空港到着ロビー。↑
↑桃園空港ターミナルの乗車エリアから車で台北市内に向かう。↑
↑台北市内の交差点脇の建物の壁面には立法委員候補者のポスターがライトアップされている。若い女性候補が目立つ。↑
↑到着後さっそく夕食は台湾の家庭料理。好物の豚の角煮に加え、青菜、カラスミ、芋ご飯など。↑
↑茶の間ではテレビで総統選挙候補者の政見放送をやっていた。画面は国民党の朱立倫候補。他に次期総統の呼び声高い民進党の蔡英文候補。そして新民党の宋楚瑜候補の計3名が出馬。↑
12月18日に公示され1月16日投開票の台湾総統選挙は、中華民国の総統と副総統を選出するための選挙ですが、同じ日に第九回中華民国立法委員選挙も実施されるので、ダブル選挙となります。現在の総統である国民党の馬英九は、中華民国憲法に定められた三選禁止によって出馬できないため、国民党からは別の新しい総統候補者を選出することになりました。
当初、与党の国民党は、総裁候補者に女性の洪秀柱を選出しましたが、中共(中国共産党)が支配する中国との統一発言などで物議を醸したため、2015年10月17日に新たに新北市長で国民党主席の朱立倫を総統候補に指名し直しました。
一方、野党の民進党は、前回2012年の総統選挙で馬英久に敗れた蔡英文が、一旦敗北の責任をとって民進党の主席を辞任したものの、その後返り咲いて、今回再び民進党主席として総統選にチャレンジすることになりました。
なお、総統選の候補者としては、もうひとり、親民党主席の宋楚瑜・元台湾省長がいます。
■以上の3人の候補者が、来る1月16日に投開票が行われる台湾の総統選に出馬するわけですが、下馬評では民進党が断然有利という見方がされております。
そのような状況下で、当会取材班が台湾を訪問した翌々日の12月27日の夜に、3名の総統選立候補者が台北市内での1回目のテレビ討論会に参加しました。支持率で大幅にリードしている民進党の蔡英文に対し、国民党の朱立倫が最大の争点である対中政策についてしつこく質問を浴びせました。なぜなら、選挙の前哨戦で劣勢が続く国民党としては、「民進党が政権を奪回した場合、中国との関係が不安定になる」とテレビ討論会でアピールして、なんとか公開の場で追い込むチャンスだったからです。
その結果、たしかにテレビ討論後の視聴者アンケート結果によれば、民進党の支持率が2~3ポイント下がると報道したマスコミもありますが、国民党の支持率は依然として伸びず、やはり台湾の人たち、とりわけ本省人と呼ばれる戦前から台湾に住んでいた方々や若い世代にとっては、現総統の馬英九による親中・媚中政策にはほとほと嫌気が差しているようです。
↑翌朝、台北の天母を散歩していたらアメリカンスクールの裏手にこのような超高層ビルが建設中なのに度肝を抜かれた。日本人駐在員が多く住むこの高級住宅地区ではまさかの初の超高層ビルだ。↑
↑12月26日に高雄に向かう為、台北駅に到着。↑
↑予約をしておいた新幹線の出発までまだ40分ある。まずは切符を入手することに。↑
↑予約しておいた新幹線の切符をゲット。途中停車駅は板橋と台中のみ。高雄市の玄関の左営駅まで96分で到着予定。↑
↑まだ待ち時間があったので、台北駅ビルの中をぶらぶら。中央広場の大聖誕樹。↑
↑日本では高砂族とよばれる原住民らの住む地域の観光キャンペーンでダンス・リハーサル中の原住民の若者グループ。↑
↑台湾新幹線は北部のトンネル地帯ではなく南部の平野部で最高速度を記録する。写真は速度291キロの表示。↑
↑というわけで正午きっかりに高雄の左営駅に到着。現地スタッフの出迎えを受ける。台湾では南投県以南は民進党の牙城。↑
■この後、2回目のテレビ討論会は1月2日に開催されますが、台湾の民間のテレビ局の報道などによれば、国民党の立法院候補者らの支援者多数を招待しての宴席問題や、国民党支配が続く苗栗県の財政破綻問題、さらには中共資本による台湾のテレビ局の買収問題などが明るみにされており、国民党の巻き返しは困難を極めることが予想されます。
このように1月16日の台湾総統選では、8年ぶりの民進党政権と初の女性総統の誕生の可能性が高まっていますが、今年10月6日に民進党主席の蔡英文が、極秘に日本の山口県を訪れて、安倍首相の実弟で元代議士の岸信夫と面談し、翌10月7日には東京に移動して安倍首相とも会談したことが台湾で報じられています。このことは日本でも産経新聞が報道していますが、日本政府も台湾の民進党も中国を無用に刺激しないようにとの配慮から、安倍晋三首相と蔡英文主席の会談の事実は否定しています。
民進党は蔡主席の訪日は、日本との経済連携について関係者と協議するためのものであるとの姿勢をとっていますが、総統選に当選した場合には訪日ができなくなることから、民進党主席の立場である今のうちに日本政府と接触して今後の協力をアピールしたものと考えられます。また、日本政府としても、今後の日台関係を睨んで次期総統有力候補者との面識を得ておく必要性を認識したものと思われます。
■今回の台湾取材で判明した興味深いことについて述べてみます。
日本を訪れる台湾からの観光客が近年さらに増加していますが、その背景には、台湾への中国大陸からの観光客の増加と、それに伴う台湾国内の観光地における宿泊施設や観光バス会社の中国資本化です。これらは国民党の馬英九政権が、大陸からの観光客に門戸を開いた結果、観光客のみならず、同じ大陸の観光業者が台湾に進出してビジネスを展開しているため、台湾の観光地はどこも中国人観光客でいっぱいになり、情緒がなくなってしまったため、日本の観光地に目を向けた結果だというのです。
現地の人に聞いても、今年日本に何回も旅行に行ったという人が多く見られます。とくに距離的に近い九州が人気です。温泉旅館に宿泊したら部屋に露天風呂が付いていて1日6回も入浴できたと喜んでいるかたもおります。日本政府も積極的に外国人観光客の誘致を進めており、その成果は着実に表れていますが、中国大陸からの観光客の増加を手放しで喜ぶ前に、中国人観光客のマナーや取扱業者の実態なども慎重に把握する必要があります。
現に、中国人観光客の宿泊する温泉旅館や、ツアーを実施する観光会社、あるいは中国人観光客目当ての土産物店などでは、日本においても中国資本化が相当進んでいると言われています。台湾での中国人観光客の増加による諸問題は、決して対岸の火事ではないことに注目したいと思います。
■今回、台湾の若い世代のかたがたと話す機会に恵まれました。彼らの質問の中で、次の話題が記憶に残りました。それは、「日本の天皇家は平和主義者で政治に関与せず、日本の象徴として存在しているのに、日本の安倍首相はなぜそんなに靖国神社を参拝したがるのか?」「同じ敗戦国なのに、ドイツは十分謝罪したとして周辺国から何も問われないのに、なぜ日本だけが未だに戦争責任に対する謝罪を韓国や中国から求められるのか?」というものです。
これに対して、当取材班は次のとおり説明しました。
「ドイツの場合は、全て戦争はナチスという忌まわしい政権下で発生したものであり、ナチスを徹底的に排除することにより目に見える形で戦争責任の謝罪を都合よくアピールできた。この点は、ドイツは実に巧妙と言える」
「一方、日本の場合、軍部が天皇を利用した上に、戦後、進駐軍が天皇の紋章をそのまま継承することを靖国神社に許したため、中国や韓国などが最近になって国内の反日運動を煽る際に、格好の口実となってしまった」
「戦争によって命を落とした軍人や軍属は、どの国でも愛国者として祀られている。台湾でも国立の忠烈祠があるが、日本の場合は靖国“神社”であるため、宗教的な観点から天皇家と同じ紋章が使われており、このことも、中国や韓国に格好の口実とされている」
「政教分離の立場から、安倍首相は靖国神社の参拝を控えるべきだが、自分の一部の支持者・団体を意識して、愛国主義をアピールするために参拝に踏み切ったものと思われる」
「したがって、戦後、進駐軍が靖国神社を日本版アーリントン墓地のような国立戦没者追悼施設(民間の戦死者も含めて)にしてしまえばこの問題は起こらなかったと思う」
幸い、当取材班の説明に対して、台湾の若いかたがたは一定の納得を得たようでした。
■次に、彼らは「なぜ韓国はあのように慰安婦問題にこだわるのか?」と質問を浴びせてきました。
これについて当取材班は、次の通り説明しました。
「韓国を含む朝鮮民族は昔からコンプレックスを特徴としており、自分が弱い立場にあるときに、強いものには媚びるが、相手と同等の立場あるいは相手より強い立場になると途端に、自分が弱い立場にあった時代のことを自分中心に都合よく解釈し、歴史を捻じ曲げて主張を始める」
「日本が朝鮮半島の統治をした当時は、日本の国力は乏しかったにもかかわらず、国際社会から、腐敗しきった朝鮮王朝に代わってなんとかまともな統治をしてほしいと懇願されたため、無理を押して朝鮮併合を行った」
「その後は台湾と同様、あるいはそれ以上に、朝鮮半島のインフラ整備や社会、経済、教育、衛生面等で巨額の投資をし、戦後の韓国の復興にも巨額の賠償金を支払ったり、経済援助を行ったりして尽力をしてきた」
「しかし、コンプレックス意識は時代を経ても継承されてしまい、いくら日本側が謝罪の意思を示しても、韓国人にとっては、ますますコンプレックスを増長するネタにされてしまう」
「先日、ノーベル賞の受賞者が決まったが、日本人が受賞するたびに韓国ではアンフェアだと騒ぐ。しかしスポーツの国際大会での事例でも分かるように、フィギアスケートのような採点競技や、サッカーのような判定要素のある協議などで、カネをつかって審判を篭絡し、ルールを捻じ曲げてまでもアンフェアな勝ちにこだわる」
「自分の体験では、韓国の一般民衆の多くはさほどコンプレックス度は高くないと思うが、政府が人気取りのために反日運動を政策として展開するため、どうしてもそれに乗せられる国民がアンフェアな言動を発して物議を醸す」
これについても、概ね共感を得た様子で、「近代史をよく知っている。台湾でも近代史について、我々も知るべきだ」と意外にも褒められてしまいました。
■台湾でも急速に少子・高齢化が進むと見られています。そのため、台湾の年配者と話すと、日本の介護制度について非常に関心度が高いことがわかります。もちろん、我が国の介護制度にも深刻な問題点があるのですが、それらを含めて、日本の制度をよく精査して、間もなく到来する台湾の高齢化社会への対応に、政府も一般市民の非常な関心を示しています。
当会取材班は、台湾のかたがたから「日本ではこの問題はどうなのか?」「日本人としてこの問題をどう思うか?」という質問を受けるたびに、ネガティブな観点からも含めて、日本の現況をありのままに、つぶさに説明することを心がけました。しかし台湾の人たちからは、「日本はすばらしい」「日本のやり方を見て、自分たちも今後の手本にしたい」と礼賛の言葉がいつも返ってくるのです。
もっとも当会取材班が今回、接触した台湾の皆さんは、いわゆる本省人系ばかりでした。こうした人たちは、総統選挙に際して、以前から民進党の支援者が圧倒的です。今回も、台湾南部では民進党のポスターやプラカードが至る所で見受けられました。
ぜひ、新年1月16日に投開票される台湾総統選では民進党から初の女性総統が誕生し、立法院でも民進党が過半数の議席を確保できるように、当会海外取材班としても強く希望しています。
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