市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アニータ事件とタゴ事件、こんなに違う責任追及のやり方

2009-04-16 01:28:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■通称「アニータ事件」と呼ばれるのは、青森県住宅供給公社を舞台にした巨額横領事件ですが、同事件では、同公社の元経理担当主幹千田郁司が1993年2月から2001年まで計約14億5900万円を横領しました。事件の規模は、安中市土地開発公社を舞台にしたタゴ51億円事件に比べると、犯行規模は約3.5分の1に過ぎませんが、マスコミでの報じられ方は、何十倍にもなりました。

 この事件は、2001年9月11日の米国での同時多発テロをきっかけに、日本政府が我が国から海外に出て行ったカネの流れを調べたところ、青森県から南米チリに対して高額な送金がたびたびあるのがわかり、その連絡を受けた仙台国税局が、青森県住宅供給公社の税務調査をしたところ横領が発覚したものです。横領は1993年2月から始まりましたが、公訴時効のため1994年10月以降の計約14億4600万円が起訴されました。千田郁司は青森市の飲食店で知り合ったチリ人女性アニータ・アルバラードと結婚した1997年から横領額が急増し、約11億円がチリ人妻に渡ったとされています。


↑3月31日に解散し、今後3年間清算業務を続けることになった青森県住宅供給公社↑


↑県合同ビル内の各階案内板。最上階の8階に公社がある。↑
■千田郁司は2002年、青森地裁で懲役14年の判決が確定し、その後山形刑務所に服役をしていると報じられました。一方、事件発覚から間もなく、青森県住宅供給公社は千田郁司を相手取り民事訴訟を起こし、1993年2月以降の横領額全額の賠償を命じる判決が出ました。

 さらに、同公社は、千田受刑者が横領を重ねていた1992年度から2001年12月まで在職した旧役職員22人中、賠償請求を拒否した19人を相手どって、総額9億円余の損害賠償を求めた民事訴訟を2002年5月に提訴しました。しかし、同年7月の第一回口頭弁論後、非公開の弁論準備手続きが長期化、口頭弁論が再開したのは、約3年後の2005年10月で、その後証拠調べが行われました。2006年2月28日、青森地裁での判決言い渡しでは、公社側が求める総額約9億円の損害賠償請求に対し、認められたのは元職員の直属の上司5人に対する4230万円だけでした。そこで、公社は、判決を不服として仙台高裁に控訴し、同年6月9日の控訴審初公判で裁判所が双方に和解を勧告。結局、同年9月12日に、被告9人が総額1850万円を支払うことで決着したのでした。和解額は全体の僅か1.2%に過ぎませんが、公社の上司の監督責任をはっきりさせたことは評価されます。

■このように、同公社は、14億円を超す損金の穴埋めをするために、元職員の千田郁司を相手どり損害賠償請求を起こすとともに、元役職員22人に対しても、一人当たり15万円から1億円を超える範囲で、総額約9億円の損害賠償を求め、うち損害賠償に応じなかった19人を相手取り、民事訴訟で最終的に直属上司5名に計4230万円の支払を命じる判決が出ましたが、公社はこれを不服として控訴までしたのです。最終的には、裁判所の和解勧告で1850万円しか回収できませんでしたが、安中市のタゴ事件での公社関係者の対応とは雲泥の差です。

 しかし、合計して総額9億円を超えるカネをチリに送らせたチリ人の妻アニータは、善意の第三者の立場を主張して、被害金の返還を拒みました。そこで同公社は国際取引問題に詳しい弁護士を起用して、チリのアニータの豪邸などを処分しましたが、結局高い弁護士料で相殺され、実際の回収額はわずかな額に留まりました。

■そうしたなかで、今年の4月1日に青森県住宅供給公社が、3月31日付で解散したというニュースが駆け巡りました。安中市土地開発公社のタゴ事件と背景が異常に似ていることから、当会は、2001年12月に公になった、このアニータ事件に多大な関心を寄せてきましたが、この解散の報道には大変ショックを受けました。

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“アニータ事件”青森の住宅供給公社が解散
 東北地方整備局は3月31日、地方住宅供給公社法に基づき、元職員による14億円横領事件が起きた青森県住宅供給公社が同日付で解散することを認可した。事件に加え、住宅需要が一段落したことなどが理由という。
 整備局などによると、3月31日付で岩手、福島、富山の住宅供給公社も解散認可を受け、住宅供給公社解散は青森を含めた4社が全国初という。
 事件は、元経理担当主幹の千田郁司受刑者(51)が大金をチリ人妻アニータ・アルバラードさん(36)に渡したことなどが発覚して注目された。
 公社は4月1日から清算法人に移行し、今後3年かけて残った財産の処理を進める。財産は県内7市町にある土地(簿価約20億円)と預金約40億円の計約60億円。千田受刑者に対する約14億5000万円の債権は清算終了後に青森県に譲渡するという。
 公社はアニータさんの豪邸を競売にかけ、民事訴訟で歴代役員に損害賠償を請求するなどして被害金の回収を進めたが、費用もかかり実質的な回収額は5300万円程度にとどまった。千田受刑者への賠償請求は続けるが、公社は「回収は難しい」とし、めどは立っていない。
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■この記事の内容を確認するため、当会情報部では急きょ特別調査班を立ち上げて、現地に赴きました。

 青森県で2001年に発覚したアニータ事件とよばれる巨額横領事件の舞台となった青森県住宅供給公社は、青森県の県庁所在地である青森市の新町にあります。青森駅から東に向かって10分ほど歩くと、県庁があり、その東隣の公園の北隣りに青森県の関係団体機関の建物が並んでいますが、その一角に8階建ての県合同ビルが見えます。このビルの1階ロビーに掲示されている各階案内板には、最上階の8階に青森県住宅供給公社の名前があります。

↑青森市新町2-4-1にある県共同ビルの外観。8階の右側に住宅供給公社がある。↑

 さっそく、関係者の話を聴取するためにエレベーターで8階に上りました。8階には道路公社などもありましたが、住宅供給公社には、まだ6名くらい事務員がいました。入口に近い席にいた女子事務員に「群馬県安中市から来ました。いわゆるアニータ事件で有罪となった千田服役囚に対する損害賠償請求権の取り扱いについてお聞きしたい」と声をかけたところ、怪訝そうな顔で、奥にいた上司らしい別の女子職員に取り次ぎました。間もなく、上司の職員が出てきて「ここは清算業務だけなので、損害賠償の裁判のことであれば、県庁の庶務課が担当です」というので、「では別の建物ですか?」と聞くと、同じ階にあるというので、案内していただきました。

 エレベーターの出口から右手の奥の北側の部屋が庶務課でした。部屋に通されて、担当の女子職員を紹介してもらって、改めて、来訪の目的を告げたところ、「とりあえず会議室でお待ちください」と、入口の左手の部屋で待たされました。まもなく、一人の男性が部屋に入ってきました。青森県住宅供給公社事務長で、青森県土地開発公社と青森県道路公社の総務部長も兼務されている方でした。

 さっそく、安中市土地開発公社の巨額詐欺横領事件について説明しました。そのあと、いわゆるアニータ事件について、同公社の対応等を質問してみました。しかし、同事務長は、4月1日に就任したばかりで、前任者から裁判については詳しい引き継ぎを受けておらず、事情がわからないとして、「詳しい者を呼んできます」と言って、事件の事情をよく知る実務担当者を呼びに行きました。

 ほどなく、事務長は一人の中堅職員を連れて戻って来ました。同じく青森県住宅供給公社・青森県土地開発公社・青森県道路公社の総務部庶務課の主査のかたです。そこで、挨拶もそこそこに、当会から次の事情説明をしました。

①安中市土地開発公社では、単独犯とされた元職員に対して、損害賠償請求訴訟を起こし、初公判から僅か4日目の平成11年5月31日に被告元職員が欠席のまま、勝訴判決が出たこと。

②元職員は刑事事件で、平成8年4月8日に懲役14年、未決勾留200日の判決を受け、刑期はおそらく今年の9月21日ごろ正式出所となると思われるが、別の情報では数年前にすでに仮出所したという情報もあること。

③そのため当会は、仮出所した場合の居場所を千葉刑務所を管轄する法務省に問い合わせたが、安中市とは別法人の土地開発公社の事件に対して、安中市民は直接の被害者ではないため、服役囚の出所情報は教えられないと言われたこと。

④一方、安中市では、元職員は刑務所で服役中であると議会答弁しておきながら、元職員の居場所を突き止めて請求するなどと市民に説明しており、既に出所している場合には、損害賠償の民事判決後10年間で、債務が履行されないまま、請求権を行使しないでおくと、民法で言う消滅時効にかかってしまう恐れがあること。

⑤元職員は、公金から3億円余りを横領していたほか、群馬銀行から総額49億円を、公社理事長印を自由に使って、さらに債務保証の市長印さえも友達の秘書係長を使って借用書に押印させ、騙し取ったが、そのうちの10億円は、借り換えだったため、実際に群馬銀行側のいう損害は39億円だったが、そのうち、6億円を、群銀などの金融機関にあった家族名義の預金や、骨董品、株券、会員権の公売等による現金化により損害額に充当させ、残り33億円を巡って、群銀が安中市土地開発公社と、連帯保証人の安中市を相手取って3年近く民事訴訟が行われ、その結果、裁判所の和解勧告により、群銀が9億円を減額し、残り24億5千万円を103年かけて和解金として、土地開発公社と安中市が連帯して、群馬銀行に返済することになったこと。

⑥しかし、この10年間、安中市と土地開発公社は総額1488万円しか、元職員の財産処分による換価等で回収できなかったこと。また、土地開発公社は安中氏と連帯保証人にして、今後さらに10年間、毎年12月25日に2000万円ずつ群馬銀行に返済する約束をいち早く行ったが、肝心の元職員や、事件の関係者らからの詐欺横領金の回収努力をまったく行わないまま、徒に消滅時効の到来を待っている観があること。

■こうした背景と実情を説明したあと、アニータ事件での青森県住宅供給公社の対応について、説明を求めました。お二人とも、当会の説明に大変関心を持って聞いていただき、さかんにこちらの説明内容を聞いて、メモも取っていただきました。そして、実務に詳しい同主査の話によると、同公社の最近の動きや、今後の動向はつぎのとおりです。

①青森県住宅供給公社の場合、このたび、解散したことにより本来の事務事業は行わないが、残余の財産の処分のため清算事業のみを3年間ほど継続すること。

②元職員の千田郁司に対する損害賠償請求権は、住宅供給公社から青森県が引き継ぐことになったこと。

③元職員に対する14億5千万円の債権は、元職員が山形刑務所に服役していることから、服役している限りは時効が中断すると判断していること。

④しかし、安中市の場合と同様に、刑事事件で懲役14年の実刑判決を受けた元職員が、初犯で、服役態度が良好などという理由で、いつ仮出所となるかわからない可能性もあるため、毎年1回は、債務履行を求めて書面で元職員に対して請求確認を欠かさずに行ってきていること。

⑤清算業務機関3年間のうちに、千田郁司への損害賠償請求権を得た判決から10年が経過すること。上記のように、服役中であれば、時効の針はストップすると思っているが、仮出所しているとなると話は別。毎年、千田には損害金の請求をしているが、いずれにしても、10年が経過するこの3年間に提訴すべきかどうか決定する予定であること。

⑥公社としては、損害額の回収のため、元職員の千田郁司からの賠償金と、歴代公社の役員・監事の責任による賠償金、それに、千田から高級腕時計などをプレゼントされた事件関係者から任意に品物を返納してもらい、それらを公売に掛けて現金化したこと。

 このように、安中市土地開発公社の無責任な対応と異なり、あくまでも、損害回収を一義的に考える青森県住宅供給公社の真摯な対応姿勢がひしひしと伝わってきました。これにくらべると、我らが安中市の対応のいい加減ぶりがますます際立って感じられます。

 当会では、3月末に安中市長のことについて安中市監査委員あてに監査請求書を提出しました。しかし、当会の監査請求書が受理されたかどうかはまだ、安中市から何も連絡がありません。

【ひらく会情報部・アニータ事件特別調査班】


↑青森県庁。今後、アニータの夫である千田郁司への損害賠償請求権は公社から県へと引き継がれる。↑
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定額給付金・・・安中市の場合

2009-04-12 15:52:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政

安中市から安中住民に対して定額給付金の申請書が今月初めから発送されました。
担当部署は、安中市企画課定額給付金対策係027-381-1111内線1635、1636、1637とあります。

しかし、なぜ役所の申請書というのはこうも分かりにくいのでしょう。同封する書類として、①振込先口座の預金通帳の写し(コピー)と、②受給者(世帯主)の本人確認資料の写し(コピー)として、運転免許証かパスポートか住基カードか外国人登録証か健保の保険者証書か年金手帳が必要とあります。その一方で、留意事項として、「公的身分証明書等の写しについては、日本人世帯に限り、次の場合は添付は不要です。(日本人世帯に限ります)」と書いてあります。

とにかく、①預金通帳の写しは、同封しなければならないようですが、預金通帳の表紙だけなのか、中身全部なのか、何も書いてありません。申請書提出から給付金振込みまで40日から50日くらいかかるとされているので、おそらく、こうした不明瞭な説明による記載ミスを考慮に入れて決めてあるのかもしれません。

また、市役所本庁ではコピーをとってくれないらしく、コピーをとるのは、松井田支所、文化センター、松井田文化会館、公民館、学習センターなどで可能ですが、1枚あたり10円徴収されるようです。

どうせ国はあとで税金で取り戻すわけですから、最初から面倒な事をせずに、税金に充当すれば、よけいな人件費や経費が係らずに済むわけで、今回の定額給付金でよろこぶのは、役人と、委託業者、それに金融機関だけだと思われます。しかも、新たに預金通帳等の個人情報が市役所に握られてしまい、市民にとっては何のメリットもありません。

ところで、この定額給付金は、タゴ一族にも支給されることになりそうです。既にタゴ一族は安中市に住民票を残していないものと思われますが、いずれにしても、公金でタゴの尻拭いをさせられている安中市民としては、税金をこうしてタゴ一族にもバラまかれるのは面白くありません。

そこで、提案ですが、タゴ事件の関係者や、タゴに世話になったかたがたには、自主的に「辞退」マークにチェックマークを付けていただき、安中市土地開発公社に寄付するように、岡田市長から庁内及び議会に通達を出してもらいたいと思います。そうすれば、数十万円程度、公金によるタゴの尻拭いが抑止できます。なお、タゴに世話になった岡田市長は、当然「辞退」にチェックマークを付けるはずです。

なお、受付期間は4月3日から10月5日までとされているので、忘れずに手続きしましょう。

【ひらく会情報部】
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51億円事件の真相をタゴにきくため千葉刑務所を訪れた当時の模様

2009-04-11 07:58:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■当会では、地方自治体としては、国内で最大級の巨額詐欺横領事件であるタゴ51億円事件の真相解明のため、合計4件の住民訴訟を提起してきました。このうち、タゴ51億円事件の温床となった安中市土地開発公社のずさんな土地保有と固定資産税の不課税について、タゴが原市の芝原団地の一区画を隣接土地所有者の市民の名義で勝手に登記して、土地ころがしをしていた事実の真相を明らかにするための裁判を通じて、タゴと面会しようとしたことがあります。

 この平成9年(行ウ)第1号違法確認請求事件として審理されたこの住民訴訟では、事件発覚から3年後の平成10年(1998年)5月8日(金)午後4時から、前橋地裁3階の3号和解室において第9回公判が開かれました。この口頭弁論の最後のほうで、被告中島市長(当時)の訴訟代理人の渡辺明男弁護士は、唐突に、「本件は、公拡法第5条が一番問題になっている。そこで実は、刑務所に服役中の多胡邦夫に面会してみようかと思っている」と裁判長に提案しました。

■このとき、田村洋三裁判長は、渡辺弁護士に「当人がどこの刑務所に居るのか分かっているのか?」と問うと、渡辺弁護士は自信たっぷりに「千葉刑務所と聞いている。これまでに既に市税務課の職員が二、三度、千葉刑務所に行って、タゴに面会しようとしたが会えなかったというので、今度は自分が行って面会し、証言を取りたい」と言いました。「多分、断られるだろうが、ぜひやってみたい」と渡辺弁護士は、力を込めて言いました。

 田村裁判長は「どれくらい(時間があれば)行って来られるか?それによって次回の公判の日取りを決めたい」と渡辺弁護士に尋ねました。同弁護士は「6月の頭に(千葉刑務所に)行きたい」と予定を述べました。

 これに対し、原告側として当会も、多胡受刑者への面会の必要性を痛感し、同受刑者の服役の様子などもさぐるため、急きょ翌5月9日(土)、千葉刑務所を訪れました。このときの模様は、当会が月間で発行していた安中市民通信「まど」1998年5月20日第29号の6ページと7ページに掲載したので、次に引用します。

↑千葉刑務所正門。これは記事掲載当時ではなく、後日撮影されたもの。↑
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タゴ受刑者に真相をききたい! 千葉刑務所へ突撃取材!!

 5月8日の住民訴訟第9回公判において、被告市長の訴訟代理人(渡辺弁護士)は、6月上旬に、千葉刑務所で服役中の多胡邦夫受刑者を訪ね、住民訴訟に関して証言をとりたい、と裁判長に申し出た。
 これに対し、原告側としても、多胡受刑者への面会の必要性を痛感し、同受刑者の服役の様子などもさぐるため、急きょ翌5月9日、千葉刑務所を訪れた。

<タゴに会わせてくれ>

 東京駅で総武線快速電車に乗り換え、千葉駅で下車。ホームの電話帳で「千葉刑務所」を調べると、「電話043・231・1191㈹、作業係232・6079、千葉市若葉区貝塚町192」とあるのを確認。網走と違ってここは番外地ではなさそうだ。持ってきた道路地図には、「貝塚町」は出ているが、刑務所は出ていない。いちばん近そうな「都賀駅」まで行くことにした。千葉駅からは総武線で二つめ、ここまで高崎からおよそ2時間。
 都賀駅前でタクシーに乗り込み、畑と住宅が混在するのどかな風景の中、10分ほどで千葉刑務所へ到着する。
 刑務所の入り口は、やや狭い市道の脇にあり、住宅街に囲まれてひっそりと目立たない感じだ。『千葉刑務所』の標柱の脇には、看板がいくつも掲げられていて、「CAPICキャピックショップ刑務作業品常設即売場、総桐ダンス、高級紳士服、籐製品、鎌倉彫、焼却炉など、お気軽にお立ち寄りください。」とある。
 「釈放出迎えのみなさまへ、釈放者の出迎えは、構内の混雑を避けるため、釈放者一名につき車一台、家族三名までに制限します。それ以外は人構できません。」など様々な注意書きがあり、面会時間は「午前8・30~11・30、午後1・00~4・00」とあり、ご用の方はインターホーンを押して用件をお話ください」とあった。

<塀の中をめざして>

 ちょうどお昼時で、職員も食事時間だろうと、時間つぶしがてら正門から反時計回りで刑務所のまわりを見て回ることにした。
 市道からそれて裏道に入ると、民家が途切れたとたんバリケードが置かれてあり、刑務所らしく高さ6mほどの塀が続いている。監視塔もあり、テレビ監視カメラも塀を真横からとらえている。裏門は大きなスライド式ドアで、トラックや物資の搬出入に利用しているようだ。
 生活道路の先に高い塀がのぞく風景というのも、刑務所ならではの風景だ。間近では塀が見えるだけだが、遠くから眺めると、公団アパートのような4階建ての立派な建物が塀越しに顔を出している。
 さりとて所内の様子はさっぱりわからないので、近くから所内を見下ろせる6階建てマンションの屋上に上がってみた。
 俯瞰(ふかん)すると刑務所内は相当広い、さきほど塀に沿って正門の反対側まで歩いてみたが、塀の距離だけで300mくらいありそうだ。敷地の端から端は500mほどなので、単純に計算しても15ヘクタールはありそうだ。
 所内の北隅には4階建ての近代的な建物がいくつも連なり、窓の格子さえなければ、まさに公団アパートか大手企業の独身寮のようだ。そこから南側へ渡り廊下が並び、平屋の作業棟がいくつも並んでいるのがわかる。
 長さ100mはあろうか、工場のような明かり取り用のFRP板が屋根についていて、隣にも大きな2階建ての作業棟と思しきビルがのぞまれる。
 とにかく建物がびっしりと並ぶ大施設であることにおどろいた。相当数の服役囚を収容しているのだろう。
 マンションを降り、ふたたび外周を歩き出す。昔の施設なのか、古びた建物が鉄条網と金網フェンス越しに数棟建っている。
 フェンスに沿って南へ進むと、大きな通りに出る。角には職員用の寮が建っている。
 大通りの脇に9階建てのマンションがあったので、最上階にあがり、さきほどとは反対側から(南側から北方向へ)刑務所内を俯瞰した。驚いたことに、広大なグランドがみえる。サッカーコートなら四面くらいはとれそうな広さで、立派なゴールまで備えている。芝生や植え込みもよく手入れされているようだ。
 マンションを降りて狭い路地を行くと、刑務所に接した側に小高い森があり、石段の奥に由緒ありげな神社があった。「大六天神社」という。
 ここから10mほどで刑務所の正門だ。歩いて一周するとおよそ20分くらいか。1キロ半はありそうだ。

<招かざる客>

 さて12時半をすぎたので、正門のインターホーンを押してみた。「刑務所の取材に群馬県からきたこと。服役囚に安中市の元職員がいて、詐欺横領で14年の実刑を受け、現在服役中であること。刑務所の概要を示した資料があれば、ほしいこと。服役囚に面会するにはどんな手続きが必要なのか教えてもらいたいこと。などなど、用件を手短に伝えた。
 すぐに上司らしい人物に替わり、「私たちは今日は宿直なので、そうした詳しい話は事務がいる平日でないとわからない。」と迷惑そうな応答。
 「せっかくはるばる群馬県から週末を利用してきました。平日はなかなか仕事で時間がとれない。お手間は取らせないから、立ち話でもちょっと話を聞きたい。」とこちらから食い下がる。
 「では門は開いているから、そのまままっすぐ進んで入ってきてほしい。」と入所のOKがでた。
 土曜日で確かに構内はひっそりとしている。まもなく左手に4階建ての官舎が数棟あり、子供が自転車に乗っていたり、主婦らが立ち話する光景がみえる。駐車場には職員の自家用車がならぶ。
 官舎手前の平屋の建物に、赤い矢印で「面会・差し入れの方の受付はこちら」と書いてある。
 正門からここまで200mくらい。どうやらここからが、本当の刑務所施設のようだ。格子のインターホンから声をかけると、まもなく制服を着た職員がひとり現れ、門を開けた。
 中に入れてもらえるのか、と期待したが、残念ながら職員は門を半開きにしたままで、結局そこで立ち話となった。
 こちらから用件を再度伝える。安中の51億円事件のあらましと、住民訴訟の経緯、また刑事記録ではいまだ巨額のカネが使途不明のままであること、そして民事裁判の結果次第では、巨額の負債のツケを市民がかぶりかねず、市民の間では行政不信が高まっていることなどなど。
 さらにその元職員はココで服役中であることは確認しており、市民の間でも元職員が現在どんな状況下で服役しているのか、たいへん関心をよんでいることも。
 また住民訴訟では元職員の証人尋問の申し立てをずいぶん前に裁判所にしているが、千葉刑務所のほうにはその話がきているか、確認したいこと、そのほか刑務所での一日のスケジュールもききたいし、施設の概要書もあればもらいたい、と付け加えた。
 応対した係官によると、「面会の場合、家族や親戚縁者のときには『面会願い』が必要で、あらかじめアポ(許可)をとってから面会ができる。皆さんのような場合、あらかじめ文書で『特別面会願い』を出してもらいたい。宛先は千葉刑務所長殿として、面会したい期日(ただし平日のみ)、面会の理由、誰が面会に来るか、について記載したモノを郵送すれば、所で検討して、許可不許可の通知を文書で送付する」という。

<ムショ問答>

 係官の話によると、千葉刑務所は長期刑の服役者を収容しているのが特徴で、この場合の長期刑とは8年以上の服役のことだという。受刑者の日課は、最近よくテレビの特集番組などで放送されているのと同じようなものと考えてもらえればよい、という。
 「テレビはあまり観ないので」と食い下がって粘ったが、全国各地の刑務所で法律により同じ日課をこなすので、という回答を引き出すだけにとどまった。
 服役者の部屋はどういったものか? 個室というか独房や相部屋もあるのか、と尋ねると、苦笑いして「とにかくそれぞれの刑の内容などによっていろいろある」とのこと。
 刑務作業は週40時間労働で、これは労働基準法に準拠しているのだそうだ。刑務作業は、それぞれの刑の年数に応じて生産するモノが変わるという。ただし個々の作業ではなく、共同作業だそうだ。
 またヤクザのような累犯囚と初犯とは、一緒のグループにはせず、完全に分離して混ざらないように配慮しているという。
 なお、殺人犯、窃盗犯、横領犯など、犯罪の種類に関わりなく、長期受刑者を収容しているそうだ。
 刑務所の施設の概要、面積、収容者数、職員数、施設配置、設立からの履歴などを記したパンフはあるが、「特別面会願い」の中の追記で資料請求するようにとのことだ。
 「特別面会願い」については様式はとくになく、前記の項目が記入されていればよいが、とくに『面会理由』については最も重要なので、しっかり書くように、とのアドバイスだった。
 15分ほどの立ち話の成果が以上のような次第だったのだが、もちろんタゴ服役囚との面会はアポなしでもあり、不可能だった。しかし面会の手続きだけでも確認できたので、さっそく千葉刑務所長あてに申請したい。

<ムショ界隈のエール>

 正門を出て再度刑務所の周りを一周しながら写真を撮っていると、80歳くらいのご婦人に声をかけられた。その方は近所に住んでいて、当会が写真を撮っている姿を見かけたので声をかけたという。
 「ひょんなことからこの近くに住むようになりましたが、やはり刑務所の近くというのは気持ちのよいものではありません。昔から住んでいる人にきくと、かつては脱走事件もあったそうです。警備には力を入れているようで、職員の数は相当数いますよ。受刑者を見かけることはめったにありませんが、昨年夏の昼下がりに、施設周辺の土手の草刈り作業をしている5名の受刑者を見かけました。一名ずつ見張りの職員がついていましたが、大声で受刑者を罵倒していたことかありました。」
 この婦人の話では、刑務所の正門脇に、帰性会(きせいかい)というのがあり、刑を終え、社会復帰する受刑者たちが出所前の暫定期間をここで過ごし、スムースな社会復帰をするための訓練をおこなうそうだ。
 「最近のニュースをみていると、不祥事や犯罪ばかりで、これでは刑務所が満員になるのではないかと、心配しています。」と婦人がもらす。
 「わざわざ群馬から出向いてこられたそうだが、あなた方のような気持ちを持つ人がたくさん増えれば、世の中もこんなにならないのにねぇ。」と最後に堅気の当方が励まされた。
【ひらく会情報部・編集部】
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■こうして、平成10年5月9日(土)に千葉刑務所を下見した当会では、刑務所の担当官のアドバイスにより、千葉刑務所に対して平成10年5月20日付で「特別面会願い」を提出しました。このころの状況については、当会が当時毎月発行していた安中市民通信「まど」1998年6月20日第30号に詳しく報告してありますので、次に引用します。

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『市民には面会したくない』不発に終わった特別面会願い

 51億円事件については、平成10年3月市議会の一般質問に対し市側から「真相解明調査は終了していますので、議会、市民に報告します。また引き続いて問題があれば調査します」
 「裁判の進行は早まっております。和解もありえます」
 「民事裁判中であり、仮定の回答は出来ませんが、財政調整・基金、庁舎建設積立基金等は議会の議決があれば使えます」(以上平成10年4月25日発行市議会だより第32号より)
という答弁があったことからも、群銀対市・公社で係争中の民事裁判では、近いうちに市民アッと言わせるような動きがあるやもしれません。
 一方、住民訴訟では、「まど」5月号でお知らせしたように、被告の安中市長は「タゴに面会して証言を取りたい」と言い出しました。そこで、当会でも千葉刑務所に対して平成10年5月20日付けで「特別面会願い」を提出しました。

<ムショへ特別面会願い提出>
 千葉刑務所長宛の書面には面会相手氏名、面会希望日時、面会希望人数のほか、面会目的を記入しました。とくに面会目的は念入りに書きました。

《面会目的》
 ・・・我々市民団体は事件の真相解明を追及中だが、巨額横領金は、未だ半分以上が使途不明。平成7年10月に、群馬銀行が公社及び連帯保証人の安中市を相手取り総額35億円の貸金返還請求を民事提訴し、現在係争中だ。事件の結果次第では市民に巨額な負担がかかる恐れがあると、平成8年4月8日刑事事件の判決で裁判長が言及し、市民は民事の行方を固唾を飲んで見守っている。一方、この事件で安中市行政の様々な分野で杜撰な事務運営の実態が浮き彫りになった。とりわけ厳格さを求められる税務関係の不正については、黙認出来ない。我々市民は公社分譲団地を巡る課税問題で住民訴訟を提起している。平成9年1月に提訴し、9回の公判を重ね、そろそろ証拠調べに入る見通しだ。この現状下で、我々は多胡受刑者に面会し、住民訴訟で法廷に出頭し人証尋問に応じる意思があるか、市民に対し事件の真相について今後語る意思があるかどうか、また手記などで事件の真相を記録に残す意思があるかどうか、本人に確認するとともに、事件の疑問点や不明点(巨額不明金の金額と使途、交遊関係、趣味、自分自身の所得税額及びその納税状況など)について質問するため・・・

 最後に追記として、次の資料を入手したいと申し入れました。
①貴所の概要(歴史、施設、職員、組織、配置、収容能力、年間予算)
②受刑者の日課及びスケジュール
③受刑者一人あたりの年間平均経費と、刑務作業から産み出される年間平均利益
④帰性会の活動内容
⑤刑務所が抱える諸問題や課題
⑥出所後の再犯率(刑期、犯行内容、年齢などの傾向)
⑦出所の条件及び手続き
⑧貴所に関する小冊子やパンフレット

<ムショからの返事>

 千葉刑務所からの回答を心待ちにしていたところ、平成10年6月9日に事務局に電話がありました。
 千葉刑務所の回答は次の通り。
「先般頂いた特別面会について受刑者に伝えて意向打診したところ、「親族ないし自分が依頼した弁護士以外には会いたくない」と、本人から願箋で返事が上がってきた。本人は、以前からもそういう意思を持っており、市民の皆さんが遠方から来ても、本人がそう言っているので、場合によっては会えずにお帰り頂くことになってしまうと思う。当所としても本人の意思を尊重しているので」

――ムダ足になるということ?
「実際、そういうことになると思い電話したわけです」
――本人の依頼した弁護士というと、刑事裁判の時の弁護士以外にはいないということですか?
「その辺はプライバシー的なところもあるが、いないらしい。本人が手紙あたりで依頼しているかもしれないが」
――そうですか?
「居るかもわからないが・・・」
――刑事裁判では2人の弁護士が熱心に弁護をしていた。彼等は国選弁護人ではないと思う。本人の家族が、いち早く相談に行っているからだ。これは刑事裁判の時の話ですが。
「そうでしたか。弁護士さんが担当していたんですよね」
――未決勾留期間200日間はずっと弁護士がついて刑事弁護してもらっていましたから。だから、本人が依頼する弁護士とは、どういう弁護士を対象として言っているのか・・・。

<市民との面会を嫌うタゴ>

「ええ、そうですね。もう刑事事件は終わったからね。刑事担当の弁護士を本人は知っているのか判らないが、いずれにしても、本人は親族や、本人が依頼した弁護士以外には会わないということを言っている。皆さんは車か鉄道で来るのだろうが、せっかく遠くから面会に来てもたいへんだ。こちらに来た場合には、直接面会という形になる。当所としては(市民が)来所するのは構いませんが」
――本人の意向はわかりました。行くかどうか検討して決めたい。
「皆さんが近くなら、いいんだが。今回、面会依頼があったから(当人が拒否したの)ではなくて、会いたくないと行って居るので」
――これまでに、安中市の税務課職員が二、三度面会に来たことがあるそうですね。
「そういう経緯もあります。もともと面会許可は、原則として本人の親族だけなので。ところで、追記として皆さんが要望されていたことだが」

<ムショ情報も非開示>

――所内の概要や、日課など、市民の多大な関心を呼んでいるので、ぜひ。
「そういうことは公表していないもので・・・」
――パンフレットなど何かありませんか。勿論、皆さんいらっしゃい、という宣伝の代物ではないだろうが、犯罪者の更生を通じて社会復帰させる業務は、日は当たらないかもしれないが、大切な仕事だと思う。収容人員などについても、公表できないんですか?
「施設の性格上、どうしてもね」
――では、刑務所を見物がてら、お話を聴くというのは?
「施設参観は、やっている。群馬県からも更生援護婦人会や、保護司の方々が来られている。その際には取扱いに注意ということで、印刷物を資料配布しているが・・・」
――ではキャピックの展示品拝見がてら伺えば(その資料は)頂けますね。
「いや、それはお渡しできない」
――受刑者が残していた事件で、安中は混乱が続いています。本人は、市民に会いたくないといっているようだが、当然、市民の活動は親族や弁護士を通じて知っているでしょうからね。
「ええ」
――ところで、我々が面会を希望した受刑者の所内での態度はいかがですか?
「ノーコメント」
というわけで、残念ながらタゴとの直接面会は、先方の都合で実現が危ぶまれる状況になってしまいました。
 また、刑務所の内部状況についても、刑務所側の情報開示は至難であることが判明しました。やはり、犯罪者以外の市民に開かれた刑務所と言うわけには行かないようです。
【事務局】
**********

■以上のように、当会では、いち早くタゴの所在をつきとめて千葉刑務所に赴き、直接タゴに面会を申し入れましたが、「面会したくない」として事実上、拒否されました。ところが、保護司の資格をもつ岡田義弘市長(当時・県議)は、いつでも刑務所の施設参観が可能な立場にありました。また、当時の中島市長時代の安中市政でも、タゴの尻拭いに財政調整基金を使おうという動きがありました。

 当時からまもなく11年が過ぎようとしています。状況は当時と変わらないどころか、当時よりもさらにタゴ事件の発覚前の状況に戻りつつある気がします。タゴは巨額使途不明金のおかげで、一生食うに困らない、しかも非課税の財産をせしめ、タゴから回った横領金で事業を発展させたタゴ一族による運送会社は、今度は、首都圏の重要なインフラ施設を大規模に破損させたにもかかわらず、実質的なお咎めがされていないという、異常づくしのファミリーとして、後世に語り継がなければならないでしょう。

【ひらく会情報部】

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【世界は今】北朝鮮のロケットと千葉のハゲコウ+千葉刑務所の大サギの話

2009-04-06 01:55:00 | 国内外からのトピックス
日本中が北朝鮮のロケット打ち上げで騒いでいた頃、千葉市若葉区では、大トリ物のまっ最中でした。北朝鮮のロケットは11時50分ごろ太平洋に自分で落ちましたが、千葉では、午後2時半ごろ、ようやく獲物が落ちました。

 この獲物の名前は、ハゲコウ。アフリカに広く分布するのでアフリカハゲコウと呼ばれます。体を表すその名前には、個人的にもたいへん親近感?をもっているのですが、4月2日の午後、関東で吹き荒れた強風により浮力を得た雌のハゲコウが、飼育されていた千葉市動物園から飛び立ちました。とはいっても、その後3日間は、動物園から半径1キロ以内を転々としていたようですが。

 せっかく塀の外に出たのに、わずか3日で御用となったハゲコウ。アフリカでは、広々とした空や森を自由に飛び回っています。

 写真は、ケニアのナイロビ市内の緑地で、営巣しているハゲコウ軍団。大きな木の上に、たくさん巣をつくり、日が暮れ出すと、木の上の巣にもどってきます。昼間は、近くのサッカー場を歩き回って、えさ探し。体長が人間の背丈もあるため、近くで見ると迫力があります。

↑人家のすぐ脇の木の上で群れをなすハゲコウ(ナイロビ、08年7月撮影)↑


↑樹上で営巣するハゲコウの群れ↑


↑近くのサッカー場や公園で、ミミズをついばむハゲコウの群れ↑

 千葉で脱走したハゲコウは、体長120センチ、体重6キロと小柄だったようです。

 ところで、千葉市動物園は、千葉市若葉区にあります。若葉区と言えば、我らが安中市役所が生んだ史上最大の巨大サギが1996年4月からお世話になっている千葉刑務所があります。脱走したハゲコウが、もうあと1キロ半、南に飛べば、また塀の中だったのに。やはり、自ら塀の中には落ちたくなかったのでしょうね。

 安中出身の大型サギが仮出所さえしてなければ、ハゲコウとの大トリ同士の出会いがあって、大トリ物に花を添えたかもしれませんね。

<ハゲコウ>
分類:脊索動物門 鳥綱 コウノトリ目 コウノトリ科
学名:Leptoptilos crumeniferus
英名:Marabou stork
特徴:アフリカ全域に分布し、草原や湿地などに群れで暮らしています。ハゲコウの仲間は数種が知られますが、いずれも首と頭部の皮膚が裸出しており、これはハゲワシなどと同様、腐肉を食べるときの衛生上の問題に対処しているものです。カエルやヘビなどを自力で捕らえて食べることもあるようです。寒さには弱いようで、千葉市動物公園では冬季の間室内に収容しています。ハゲコウも春を待ちかねていたんですね。

【日本産ハゲジイ】

コメント (2)
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エイプリル・フールに岡田理事長=市長から公開質問状の回答届く

2009-04-05 23:55:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■平成21年2月17日に岩野谷公民館で開催された地区別懇談会で、最後に時間切れ寸前に、当会は岡田義弘市長兼安中市土地開発公社理事長に6項目の公開質問状を提出しておりました。その後、2月20日付で書面による回答延期通知が来ました。その後、一ヶ月以上経過しましたが、何の音沙汰もありませんでした。ところが、年度が変わった途端、突然、安中市と土地開発公社から2つに分けて回答書が送られてきました。回答書の日付けが3月31日になっていることから、エイヤーっとばかりに、放り出した格好です。4月1日に届いたことから、エイプリル・フールかと一瞬思ってしまいました。

 まずは、当会の質問に対する安中市・公社の回答内容を見てみましょう。

*********
【安中市土地開発公社に係る公開質問状の回答について】

質問1.公社が被った損失の責任は、歴代の公社役員や職員にあると考えられます。なぜ、そうした人たちへの責任の所在追求を行わないのですか。

公社回答)公社が被った損失の責任は、ひとえに有印公文書偽造、同行使、有印公文書変造、同行使、詐欺を行った元職員であると考えます。刑事及び民事ともに司法の判断を仰ぎ、判決(和解)も出ており、関係職員の処分も行われていることから、既に決着していると認識しています。

質問2.群馬銀行との和解条項を、さらに10年間継続するということですが、市民には事件の経緯が分かりません。公社にも落ち度があり、その責任は上記1項で追及されるべきと考えますが、群銀の責任についてももっと、市民に明らかにして、あらためて、群銀との裁判を視野に入れた行動をとるつもりはおありですか。

公社回答)和解を受け入れておりますので、現時点においては(株)群馬銀行に対して裁判を視野に入れた行動をとるつもりはございません。

質問3.元職員は、すでに仮出所したとの情報もあるようですが、公式には、いつ刑期を終えるのでしょうか。

公社回答)個人情報に該当することから回答できません。

質問4.元職員の出所を機会に、元職員およびその関係者らへの損害賠償請求をどのように行う予定ですか。

公社回答)本人の所在を確認して損害賠償を請求する方針です。元職員に対し、現在は22億821万1500円の損害賠償請求権が残っています。

5.公社の損失は、市とは別法人である公社に解決の責任があると思いますが、元職員が正規な手続きを踏まずに購入したりした土地を、なぜ買い取ろうとしているのですか。

安中市回答)市が土地開発公社から収得する土地は、先行収得依頼した土地です。

6.元職員から絵画や骨董品をもらった安中市の関係者はたくさんいたようですが、彼らに返還を求めましたか。

公社回答)ご指摘の点につきましては、把握しておりません。
**********

■それでは、それぞれの質疑応答について分析してみましょう。

【質問1】公社が被った損失の責任は、歴代の公社役員や職員にあると考えられます。なぜ、そうした人たちへの責任の所在追求を行わないのですか。
>>公社回答)公社が被った損失の責任は、ひとえに有印公文書偽造、同行使、有印公文書変造、同行使、詐欺を行った元職員であると考えます。刑事及び民事ともに司法の判断を仰ぎ、判決(和解)も出ており、関係職員の処分も行われていることから、既に決着していると認識しています。

 安中市民の感想は「えっ?」という感じ。公社の回答には呆れ果ててしまいます。元職員タゴにはもちろん責任がありますが、上司らの管理責任は追及しようとしません。タゴを金庫番に任命し、一緒にゴルフばかりして、肝心の帳簿や通帳は一切確認しなかったのに、責任がないだと。責任を取らない公務員など、考えられません。しかも、民事で司法の判断を仰いだから、既に決着済みだ、などとよく言えたものですね。民事で司法の判断が出たから、10年間で、債権確保に尽力せねばならないのに、何もせずに時間を浪費した責任はどうするのでしょうか? 市役所の関係者の処分も済んだといっていますが、数名の関係者が僅かの期間に僅かな減給処分にとどまり、誰もクビにもならず、民間とは大違いの大甘な対応で幕引きされました。公社関係者の間では、既にタゴ事件は他人事のようです。あっ、それと、元職員は文書偽造のほか、3億円以上、市から公社に振り込まれた公金も横領しています。なぜか、警察は、元職員が起用した弁護士のいうことを聞いて、詐欺罪だけ強調して、横領罪では立件しませんでしたが。

【質問2】群馬銀行との和解条項を、さらに10年間継続するということですが、市民には事件の経緯が分かりません。公社にも落ち度があり、その責任は上記1項で追及されるべきと考えますが、群銀の責任についてももっと、市民に明らかにして、あらためて、群銀との裁判を視野に入れた行動をとるつもりはおありですか。
>>公社回答)和解を受け入れておりますので、現時点においては(株)群馬銀行に対して裁判を視野に入れた行動をとるつもりはございません。

 へぇー。やはり、公社は群銀と一線を交える気力は毛頭ないと宣言しました。群馬銀行には、永久に反旗を翻さないつもりのようです。公社の担当者は、安中市の市長や幹部ですから、公社の回答=安中市の回答、ということになります。もっとも、群馬銀行に楯突けば、「タゴの裏金の流れがどこに回ったのかバラしちゃうよ」と言われかねません。タゴ事件としがらみのある、あるいは、脛に傷のある公社=安中市役所のかたがたにとっては、黙って群銀のいうことを聞くしか方法がないということのようです。

【質問3】元職員は、すでに仮出所したとの情報もあるようですが、公式には、いつ刑期を終えるのでしょうか。
>>公社回答)個人情報に該当することから回答できません。

 これまた、恐れ入りました。個人情報だからタゴの出所情報は知っていても教えられませんということのようです。やはり、知らないと答えるわけには行かないので、知っているけど回答できないという答え方です。公社は被害者だから、法務省に問い合わせれば、タゴの居場所と出所時期について、教えてもらえますが、安中市民が法務省に問い合わせても、タゴ事件の被害者ではないから、という理由で教えてもらえません。安中市の庇護のもとにしか存在できない土地開発公社なのに、なぜタゴの出所情報についても個人情報だとして、隠すのか。やはり、タゴ事件にいろいろ関与した連中の罪を全部一人かぶって、ムショ入りしたタゴは、公社にとって特別の存在のようです。ちなみに、当会の調査では、タゴは数年ほど千葉刑務所でおとなしくしていましたが、数年前に仮出所して、現在首都圏の某マンションで正式な刑期満了日である9月21日ごろを待ちかねているようです。

【質問4】元職員の出所を機会に、元職員およびその関係者らへの損害賠償請求をどのように行う予定ですか。
>>公社回答)本人の所在を確認して損害賠償を請求する方針です。元職員に対し、現在は22億821万1500円の損害賠償請求権が残っています。

 はて、「本人の所在を確認して損害賠償請求方針」とのことですが、本人の所在は、服役中だから判っているはずなのでは? やはり当会が指摘するように、既に仮出所して首都圏の某所に行方をくらましているのが正解なんですね。また、出所後の所在は、運送会社のオーナーのタゴの親族に聞けば、いつでも判るはずです。でも、心配があります。公社の岡田理事長は、10年前に、僅か4日間の裁判で勝ち取った損害賠償請求権を後生大事に抱えているようですが、本気でそう思っているとしたら、えらいことになります。当会が問題提起したように、10年間、放っておくと、損害賠償請求権が時効で消滅してしまいかねません。きたる5月31日までに、きちんとタゴを再提訴して、消滅時効を回避するつもりは果たしてあるのでしょうか。おそらく、公社も安中市の幹部にも、そのような意思は全くないと思います。勿論、住民報告会や広報あんなかなどでは、「1円たりとも、タゴから損害金を回収する」と息巻いていますが、実際は「仰げば尊し、タゴの恩」。「公社事件のもろもろの裏事情を全て飲み込んで、ひとりムショ暮らしを甘受したタゴに対して、どうして損害賠償請求を迫れるというのか…」さぞかし、こんな心境なのでは。

【質問5】公社の損失は、市とは別法人である公社に解決の責任があると思いますが、元職員が正規な手続きを踏まずに購入したりした土地を、なぜ買い取ろうとしているのですか。
>>安中市回答)市が土地開発公社から収得する土地は、先行収得依頼した土地です。

 これはこれは・・・唯一、安中市として回答いただきましたが、どうしようもない山林を、先行収得依頼したのは、タゴでしょう? そんなにタゴの負の遺産を大事に匿うのですか? この分では、市役所の前にあるタゴの自宅も、所有名義のタゴの配偶者から、公金を使って高額で買い取りかねませんね。

【質問6】元職員から絵画や骨董品をもらった安中市の関係者はたくさんいたようですが、彼らに返還を求めましたか。
>>公社回答)ご指摘の点につきましては、把握しておりません。

 それはそうでしょう。岡田理事長も、タゴには公社監事・理事時代にいろいろ世話になったそうですから、いまさら、把握していますとは、言えませんよね。岡田理事長が市議時代、公社の幹事としてタゴが作ったインチキ決算書で、前年の繰越金をネコババされても、ちゃんと判子をおして、お墨付きを与えたくらいだから、公社の杜撰な経理は知り尽くしているはずです。そのお礼にタゴから大きな壷がプレゼントされたのかどうかは、岡田理事長ご自身に聞いてみないと判りませんが、当時は公社の理事・幹事に市議会議員も多数関与していました。六本木にある自治大学校に、安中市役所から2人目のエリート職員として研修派遣されたのをよいことに酒の飲めない(といわれる)タゴを赤坂の料亭に呼び出し、どんちゃん騒ぎをした金も使途不明金として計上されているはずです。一方、執行部側も、当時の小川市長をはじめ、部課長クラス、上司、同僚、ヒラに至るまで、多数タゴの世話になった方々がおられましたね。万一、タゴへの請求権を消滅時効にしてしまった場合、その他の公社関係者の皆様のも既に時効になっていることから、もうそろそろ刑事記録の公開をしてもよろしいでしょうか。

 それにしても、タゴ事件発覚からまもなく14周年を迎えるというのに、安中市制は、14年前に戻った感があります。さながらバック・ツー・ザ・フューチャー?

【ひらく会情報部】


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