市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

再び大規模停電で大量の放射能放出の危機をネズミ一匹に押し付けたがる東電とマスコミの体質

2013-03-21 23:02:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■「大山鳴動してネズミ1匹」という諺があります。大きい山が音を響かせて揺れ動くので、大噴火でも起こるのかと思っていると、小さな鼠が一匹出てきただけだったという意味から、大騒ぎしたわりには、実際には結果が小さいことを言う時に用いられます。しかし、今週初め3月18日(月)午後6時57分に東電福島第1原発で起きた大規模な停電により、その後、1、3、4号機の使用済み燃料プール代替冷却システムなどが停止して、再び大量の放射性物質が撒き散らされる危機に国民を晒しておきながら、東電は3月20日(水)午後4時30分からの記者会見で、事故の原因がネズミ1匹だったことを写真で示して示唆しました。おそらく、この発表を信じる人はほとんどいないでしょう。

東電が今回の停電事故の原因の可能性を示唆するネズミの死骸が発見された仮設配電盤。

 東京電力福島第1原発で18日晩に発生した停電では、事故対応に当っている免震重要棟の電気も一時止まりました。さらに、1、3、4号機(4号機の燃料プールには燃料集合体1533体を収納)の使用済み燃料プール代替冷却システムのほか、燃料6377体を保管する共用プールの冷却もストップし、放射性物質を含む汚染水を処理するセシウム吸着装置「キュリオン」や、3号機の格納容器ガス管理システムの一部など、結果的に9つの設備がほぼ同時に停止しました。なお、2号機プールの冷却システムは電源工事のため3月18日朝から停止していましたが、同日午後6時半すぎに冷却を再開していました。

 当然、電源異常が疑われ、東電も「配電盤か接続ケーブルに原因の可能性がある」と言っていましたが、3月19日になっても原因を特定できませんでした。復旧の目処が立たないことから、このまま冷却できない場合、3月18日午後4時時点で、1~4号機プールの水温は13.7~25度で、その時点で最も温度が高かった4号機の燃料プールでは、4~5日で保安規定の管理温度の上限である65度に達する危険が生じたのでした。

 しかも、東電が停電事故を公表したのは、発生約3時間後の3月18日午後10時すぎでした。東電は「点検する場所が多く、現場確認に手間取った」と釈明していましたが、この時点では、まだ原因が判らないままでした。

 東電福島第1原発では平成24年1月にも1~4号機の使用済み燃料プールの冷却が1時間余り停止するトラブルがあったばかりです。平成24年6月には4号機プールで約30時間にわたって冷却が停止、水温が一時約43度まで上昇しました。いずれも、放射性物質の拡散量が増えたと見られています。

■その後も、停電原因が特定できないまま、東電は、3月19日の午前10時に東京都千代田区の本社でようやく1回目の会見を開きました。「所内の仮設配電盤に異常が発生した可能性があるが、現時点でも復旧しておらず、原因は調査中で、冷却装置復旧のメドはたっていない。故障箇所の修理に時間がかかる場合、冷却装置への電線をつなぎ替えてプールの冷却を再開する対策を検討する」と発表しました。使用済み燃料は熱を発し続けており、3月19日午前10時の燃料プールの水温は約16~31度とみられ、1時間に約0.08~0.37度ずつ上昇するとしていて、最も水温が高い4号機で、社内規定の65度に達するまでは停電後4日半かかるので「時間的な余裕はある」(東電)という釈明付きでした。

 この記者会見では、不安が広がった地元住民などに対する謝罪の言葉はほとんどなく、淡々とした状況説明に終始し、東日本大震災直後の事故対応のまずさが問題となった東電の「体質」が少しも変わっていないことを改めて示した形でした。

 会見の冒頭、尾野昌之原子力・立地本部長代理は「まず、発生の状況ですが…」と切り出しました。住民感情を考えれば、まずは謝罪が“常識”ですが、約2時間に及んだ会見終盤にやっと「ご心配をおかけして大変申し訳ない」と短く述べただけでした。

 さらに、午後4時30分から行われた2回目の会見でも、尾野氏は自らは謝罪を口にしませんでした。報道陣から「午前の会見では一般の人たちへの反省、謝罪の言葉が一言ぐらいしかなかったが」と話が振られた後に「ご心配をおかけしていることには申し訳ないと思っております。現在、復旧に万全を尽くしておりまして、何とぞご理解いただきたい」と淡々と述べたに過ぎません。

 会見は、停電状況を知ってもらうことが目的ですが、1回目の会見で尾野氏が行った停止した設備についての解説では、A4用紙に書かれた配線図をそのまま白板に貼り付けて使用し、最前列の席からも見るのが難しいほど小さかったが、説明はそのまま続けられました。

■東電によると、停電で1、3、4号機の使用済み燃料プール代替冷却システムなど9つの設備が停止したが、そのうち8設備は3月19日夜までに復旧し、燃料6377体が保管されている共用プールの冷却設備も、3月20日午前0時すぎに運転を再開しました。停電の影響を受けた9設備は約29時間ぶりに全面復旧しましたが、停電の原因については、その時点ではまだ特定できていませんでした。

 そして、ついに東電は3月20日(水)午後4時30分からの記者会見で、仮設電源盤の壁面や計器用変流器(端子)がすすけていることを示す写真を公表し、仮設電源盤の下の床に、体長15センチ程度のネズミと思われる小動物が死んでいたことを明らかにしました。

 東電によると、3月20日午後0時半ごろ、システムにつながる仮設配電盤内部の、電線をつなぐ端子と付近の壁が黒く焦げているのを停電原因調査中の作業員が発見し、焦げ跡の下には、体長約15センチ(しっぽまで入れると25センチ程度)のネズミとみられる小動物の死がいが落ちていたため、小動物が接触して感電、配電盤がショートしたため、何らかの原因で過電流が流れ、停電につながった可能性があると示唆しています。

 この仮設配電盤は、平成23年5月から、トラックの荷台に積まれた状態で、屋外で使用されていました。複数の電線がつながり、すき間が生じてネズミなどの小動物が入り込む恐れが十分、予測できたにもかかわらず、東電は対策を講じていなかったことになります。仮設配電盤は今月中にも本格的な設備に切り替える予定だったということです。

トラック荷台の仮設配電盤。

 また、冷却システムにつながる重要な配電盤にもかかわらずバックアップ設備はありませんでした。今回の事故では、修理を試みましたが、原因は特定できず、結局、別の配電盤につなぎ替えて復旧にこぎつけた格好です。

 電力会社なのに、電気のことがわかっていないのではないか。そういう疑惑が現実を持って、私たちの前に突きつけられていることになります。

 東日本大震災に伴う事故発生以降では、最大規模だった今回の停電でしたが、冷却システムの停止により、プール水温が上がり沸騰、蒸発、燃料が露出して過熱する危険性もありました。3月20日午前0時過ぎに、最後まで止まっていた共用プールのシステムが復旧し、保管されている燃料6377体の冷却は再開されたものの、停電事故発生から全面復旧まで、実に丸1日以上、約29時間が経過していました。

 復旧後のプール水温は最も時間がかかった共用プールで31.8度、4号機のプールは31度、1、3号機は17度でした。停電前に比べ上昇は1~6.3度で、東電は「元の水温に戻るには数日かかる」としていますが、またも失墜した東電の信用度が元に戻るには、さらに長い時間がかかることでしょう。

■しかも、その原因がネズミ1匹だったかもしれないという原因特定に結びつけるまでには、更に半日がかかり、事故発生からなんと41時間後でした。

 この仮設配電盤は3、4号機と共用プール冷却システムにつながっており、1号機は仮設配電盤のある系統とは別系統の電源でしたが、電源多重化工事のため停電時に3、4号機側の電源系統と連結しており、東電はこの影響を受けた可能性があるとしています。


 東電は、3月20日未明に冷却装置が全面復旧した後、本格的な原因調査に着手し、半日後、3、4号機のプール冷却装置などに電気を供給していた仮設配電盤(長さ5.7メートル、高さ2.3メートル、幅1.8メートル)の端子と壁面に黒い跡を発見したと記者発表しました。ネズミが接触した端子には6900キロボルトの高電圧の電気が流れていて、絶縁はされておらず、侵入したネズミが感電して、はじき飛ばされ、壁面にぶつかって、焼け焦げた体毛等が周辺に付着したとみられています。

■福島第1原発はこの1年間、ほぼ安定した状態を保っていると見られていました。原子炉の圧力容器の下部温度は17~31度を維持しているといわれていますが、放射線量が高く、いまだ炉心の破損状況や溶け落ちた燃料の正確な状態は把握できていません。

 原子炉内の温度が100度未満になる「冷温停止状態」は平成23年12月に達成し、昨年9月に誤って3号機の燃料貯蔵プールに鉄骨を落下させたトラブルがあったものの、大きな事故もなく、東電は原子炉を制御できていると説明してきました。

 炉内の状況が安定したため、事故当初に比べ第1原発からの放射性物質の放出量は8千万分の1に減少し防護スーツや全面マスクを外して作業できる場所も増えていると東電は説明していますが、依然として放射線量が高く数時間いるだけで死亡するレベルの場所もあります。廃炉作業を計画するのに炉内の全体的な状況を把握する必要があり、1、2号機の原子炉建屋では、1階床に穴を開け、温度計や線量計を挿入して測定し、滞留水や堆積物の採取も始めました。

 最も原子炉の圧力容器が破損していると見られる2号機の原子炉建屋地下には、東電が4足歩行ロボットを投入したが、途中でバランスを崩して失敗し、小型カメラや線量計で圧力抑制室周辺の調査も試みましたが、床に穴を開けた際に障害物が見つかったため機器が入れられず、作業はストップしたままとなっています。

■お粗末な今回の停電事故での東電の対応について、ネットには厳しい意見が溢れています。

「そのネズミすら嘘八百の可能性すらあるのが東電クオリティ」
「東電の体質を考えたら、鼠の死骸配電盤に放り込んだかもしれんと疑うべきだろうに」
「わざとらしいネズミの写真からして、本当の原因は他にある。人為的ミスによる過負荷や短絡だと思う」
「はぁ?ネズミで配電盤がショート?それで停電にはならんだろ。ブレーカーすら作動しないんじゃないか」
「そんな三日四日かかって調べた結果、配電盤にネズミっておかし過ぎ!素人がやってる訳じゃ無いんだから。そんなの1,2時間で解る事だろよ!」
「あれだけハッキリとショートした後とショートした原因が転がってるのを丸一日かかっても見つけられなかった、それくらい”目がフシ穴”だったってことでいいんだな?」
「しかしなあ、ネズミのせいにするとは東電最低だな。自らマネージメント出来ないと告白しているようなもの」
「これが原因でどうしてこんなに時間がかかったんだ。一箇所の事故で全部停電とはなんといいかげんな仮設備だ。東電には福島をみる能力が無い」
「配電盤の中の死骸見つけるだけの作業に丸1日以上かかる不思議な事象」
・・・などなど。

■一方で東電の報告によれば、ネズミと停電との因果関係についてははっきりとは言及していません。

**********
福島第一原子力発電所における電源設備の不具合について(続報8)
平成25年3月20日 東京電力株式会社
3月18日午後6時57分頃、福島第一原子力発電所免震重要棟において、電源が瞬時停止する事象が発生いたしましたが、その後の状況についてお伝えいたします。
 福島第一原子力発電所における電源設備の不具合に関する調査を行っていたところ、本日(3月20日)午後0時36分頃、仮設3/4号M/C(A)の電源盤内において、端子および壁面がすすけていることを確認しておりますが、その後、双葉消防署による確認の結果、午後1時57分、火災ではないと判断されました。
 引き続き、電源設備の不具合状況の調査をすすめてまいります。
 調査状況については、新たなことが判明し次第お知らせいたします。
http://www.tepco.co.jp/news/2013/1225710_5311.html
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130320_03-j.pdf
**********

 また、今回の停電事故に関する東電野「福島第一原子力発電所における電源設備の不具合に関する時系列(通報連絡、メール実績)」
jikeiretu.pdf
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130320_02-j.pdf
を見ると、電源盤に問題があると事故直後にはにわかっており、3月19日は朝から本格的に現場の状況を詳細に確認していたはずなのに、マスコミの記事によれば、3月20日午前0時過ぎになって、突然、壁の焼け焦げや小動物の死骸が発見されたことになっており、それまでは何もなかったとしか思えません。マスコミがこぞって停電の原因をネズミ説として書きたてた背景には、それなりのワケがあるのかもしれません。

【ひらく会情報部】

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タゴ事件から18年…岡田市長が理事長を兼務し再び伏魔殿化しつつある安中市土地開発公社と市民の不安

2013-03-18 22:41:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■当会では、東邦亜鉛安中製錬所周辺のカドミウム汚染土壌の除染のための公害特別土地改良事業のアンケート調査が今年1月下旬から地元関係者に配布されたのを契機に、その経緯と実態を調査するために、各方面に情報開示請求をしています。その関係で、平成25年2月25日に、次の内容で、安中市長に行政文書開示請求を行いました。

<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
安中市(産業部農林課を含む)が保有する公害防除特別土地改良事業推進委員会が関係する次の情報。
①平成25年1月17日付で「各位」あてに発出した「アンケート調査へのご協力のお願い」と題する書面を作成し、発送するまでの経緯を示す情報(推進委員会と事務局による調査方法に関する打合せ議事録等を含む)
②推進委員会(事務局を含む)の事務事業に関する情報(所掌を定めた規程、規約、要領、組織表、組織図、役員名簿、委員名簿、メンバー表等を含む)
③平成6年10月に行った191名対象の意向調査のためのアンケート結果(請求人関係のものも含む)
④平成8年発足以降、推進委員会における内部(事務局と役員との連絡文書を含む)及び外部(国や県や市や住民等)との会議録(「7月21日に開催された推進委員会役員会」の会議録、推進委員会名で住民に出された通知等を含む)
⑤区画整理方式による事業推進のため、平成8年ごろ作成して地元で説明した資料、及び今回の事業内容の地元向け説明資料(後者は、もしあれば。不存在であればその旨回答下さい)
⑥平成8年ごろ作成した事業計画における北野殿の事業対象区域内の地目別面積(農地、原野、住宅地、道路敷、官地、東邦亜鉛所有地がわかるもの)
⑦事業推進に欠かせない客土用の土取り場として有望視されていた市内鷲宮にある県稚蚕人工飼育センター安中桑園の表土について市公社による工業団地造成の工期の問題等により、残念ながら土取場としての利用を市が断念した経緯(上記④にも関連するが、これまで群馬県に対して買収を打診してきた協議録を含む。また、群馬県との協議ではじめて土取り場を断念したことが議題に上ったとされる平成25年1月9日の会議録も含む)
⑧平成25年2月20日の岩野谷地区における地区別懇談会で、安中市長は、既に造成のための入札を行っているかのような発言をしたが、安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの(なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む)
⑨上記の公社による入札に関する情報(開発計画の内容がわかる情報を含む)

■その結果、平成25年3月8日付で、次の行政文書については不存在とする決定通知書が安中市長から届きました。

<行政文書が存在しない理由>
 請求内容⑧「安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの」に係る情報について、企画課が保有する行政文書は不存在である。
 請求内容⑧カツコ内部分「(なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む)」に関しての情報及び請求内容⑨カツコ内部分「(開発計画の内容がわかる情報を含む)に関しての情報」については、安中市土地開発公社(以下「公社」という)に係る情報である。
 公社が保有する情報については、安中市情報公開条例第24条第2項により、公社に対し平成25年2月26日付文書にて、上記開示請求内容に係る情報の提出を求めたが、公社から同年3月7日付文書で、『当該申し出のあった情報については、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」と認められたため提出できない』旨の回答がなされた。
 公社が保有する情報については、実施機関(市)からの提出依頼に対して、公社から情報提供があったときに実施機関が保有する情報になるが、本件については、公社から情報の提出がなかったため、実施機関として開示できる行政文書は不存在である。
<事務担当課>
総務部企画課 電話番号 027-392-1111 内線(1021)
<備考>
入札結果に関する情報については別紙情報提供を参照のこと。

〔提供する情報〕
開示を請求する行政文書の内容又は件名
⑨「上記の公社による入札に関する情報」のうち、入札結果に関する情報
〔提供する情報の所在〕
安中市のホームページ内《入札・契約情報》にて閲覧することができます。
○安中市のホームページ
トップ > 入札・契約情報 > 公共工事の入札結果〔安中市発注の建設工事、測量等委託業務の入札結果です〕 > 平成25年2月12日執行分(指名競争入札)

kjhd.pdf

■こうして、安中市土地開発公社は、タゴ51億事件発生から18年目にして、ついにまた伏魔殿に戻りつつあることが判明したのです。タゴ事件では、ゴルフのシングルプレーヤーだった元職員タゴが、ゴルフ好きだった当時の小川勝寿市長との特別な関係により、誰も公社の事業内容や経理の実態を監査しようとしなかったため、巨額横領事件の温床となりましたが、今回は、タゴと懇意だった岡田義弘現市長が、公社理事長を兼務しており、タゴから公社の表も裏も教えてもらっていた経験と知見から、公社事業に注力している様子がうかがえますが、公社の情報を安中市が把握できないとなると、再びタゴ51億円事件の悪夢が市民の脳裏をよぎります。

 そこで当会は、さっそく本日、次の異議申立書を岡田市長宛に提出しました。

**********
          異議申立書
                    平成25年3月18日
安中市長 岡田義弘 様
                   異議申立人
                     郵便番号 379-0114
 住  所 安中市野殿980番地
 氏  名 小川 賢 (61歳)
 連 絡 先 TEL:090-XXXX-XXXX
行政不服審査法の規定に基づき、次のとおり公文書非開示決定に対して異議申立を行います。

1.異議申立に係る処分:
異議申立人は平成25年2月25日付で安中市長に対して「⑧安中桑園の買収に関する市と県とのやりとりのわかるもの」及び補足としての「なお、群馬県では既に市と仮契約を結んでいると説明しているので、仮契約の内容も含む」について、また「⑨上記の公社による入札に関する情報」及び補足としての「開発計画の内容が分かる情報を含む」について情報開示をしたが、それらについてなされた平成25年3月8日付安企発第2162号の安中市長による不存在処分処分。
2.異議申立に係る処分があったことを知った年月日:平成25年3月9日
3.異議申立の趣旨:
本件処分は、条例を不当に解釈し運用されたものであり、本件処分の取り消しを求めます。
4.異議申立の理由:
(1)異議申立人は安中市民であり納税者として行政文書の開示を求める権利を有しています。
(2)請求した情報は、安中市土地開発公社(以下「公社」という)に関係する情報が含まれているとしても、公社の基本金500万円を支出している安中市の管理下に置かれていることから、公社に関する情報は、安中市が必ず保有していなければならない。今回の安中桑園の買収及び造成工事は、いわゆる公拡法に基づく公社の事業ではなくプロパー事業の可能性がある。しかし公共用地の先行取得であろうが、公社のプロパー事業であろうが、公社に関わる事業について、安中市が必要な情報は全て取得していなければならない。なぜなら、公社の行う事業に対しては安中市が債務保証人として全て関与するからである。
(3)安中市長は、公社が保有する情報について、条例第24条第2項「実施機関が保有していないものについて、当該情報の公開の申出があったときは、当該法人(=公社)に対して当該情報を実施機関に提出するよう求めることができる」と定めてあることを引用して、同年3月7日付文書で『当該申出のあった情報については、「公社の経営に支障を及ぼすおそれのある情報」と認められたため提出できない』旨の回答がなされたことを、不存在の根拠に挙げている。しかし、今回の不存在通知には、公社理事長が市長宛に出したとされる文書の内容が具体的に示されておらず、しかも、どのような当該情報が公社の経営に支障を及ぼすおそれがあるのか、個々に具体的に判断できるような理由が示されていない。また、不存在とされている当該文書のタイトルや内容、内訳についても全く示されていない。これは、明らかに条例の誤った解釈及び運用である。
(4)安中市の場合、市長が公社理事長を兼務している。これは、平成7年5月18日に公社内部でひそかに発覚した巨額詐欺横領事件を契機に、こうした不祥事の再発を防ぐために、それ以降、11年以上にわたり、公社の理事長には、市長以外の人物が就任していた。総務省においても、公社の透明性の観点から、市長が公社理事長を兼務することがないようにと指導している。まして、毎年2000万円もの公金を市民のためにではなく、元公社職員の豪遊のツケとして群馬銀行に和解金の支払をしている現状がこのあと89年間も継続される可能性があることを鑑みれば、公社に存在していて、安中市が把握できな情報というものはあってはならないはずである。
(5)しかも、安中市長が兼務している公社理事長が、安中市長の提出命令にたいして「ノー」と言えるのであれば、行政ガバナンス(統治)の観点から非常にゆゆしき問題であり、ましてや史上空前の横領事件を起こした自治体と公社という関係にある実情からすれば、公社の情報について、安中市が入手していないものが存在するということ自体、許されるものではない。さらに、公社の理事は、現在、全員が安中市の部課長クラスの幹部で占められている。このことから、公社の運営面において、安中市が情報を保有していないということはおよそありえない。
(6)今回の請求で⑨として公社による入札に関する情報として、入札結果については、安中市のホームページ上に掲載されていることが情報提供された。この入札は、「鷺宮物流団地造成工事」と銘打って、平成25年2月12日に開札されているが、この入札は、ホームページによれば「安中市発注の建設工事、測量等委託業務」とあるが、実際の入札実施機関は公社である可能性が高い。だが、公社は事業費の借り入れなどは全て安中市に依存しなければならず、債務保証人である安中市が、公社事業に必要な情報は全て保有しているのは明らかである。
(7)以上のことから、公社に関する情報が条例第24条に基づいて、安中市長から公社理事長に情報提出命令が出された場合に、公社理事長がそれを拒める立場には無く、また、公社の情報は、全て安中市が把握していなければならない。さもないと、公社を舞台にした巨額詐欺横領事件の再発防止が担保されず、再び、当該事件発覚以前の状態に安中市が置かれていることになり、非常に危険な状況になってしまうからである。
(8)よって、本件処分を取り消し、全面開示を求める。
5.処分庁の教示の有無及びその内容:
なし。
     以 上
**********

■やはり、タゴ51億円事件で、きちんと真相を解明し、責任の所在を明確化し、再発防止策をしかり決めておかなかったツケが今になって表面化してきています。公社の事業内容や運営の実態が市民の目に触れられないことになると、タゴ51億円事件の発生リスクが再び高まっているということができます。

 この異議申立の行方に注目したいと思います。

【ひらく会情報部】

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ハレンチ知事・大澤の公舎目的外使用問題で控訴理由書の策定作業を進める市民オンブズマン群馬

2013-03-18 00:18:00 | オンブズマン活動
■知事・大澤による知事公舎を舞台にした愛人との度重なる目的外使用については、2月27日の前橋地裁における原告オンブズマン2名の請求が棄却・却下されたため、3月12日に控訴手続きを採った事は、既に報告済みです。これに関連して、3月16日の午後2時から前橋市内で開催された市民オンブズマン群馬の3月例会で、同3月8日付の朝日ぐんま紙のコラム「からっ風」に次の記事が掲載されていたことが報告されました。

平成25年3月12日に前橋地裁で提出した高裁宛控訴状。地裁の事務官は、オンブズマンが控訴することを予め予期していたかのように、既に控訴手続のファイルを準備してくれていた。

**********
からっ風
 市民オンブズマンが群馬県の大沢正明知事を訴えた裁判の判決が先月27日、前橋地裁であった。原告は、知事が女性を知事公舎に泊めたのは県公舎管理規則に違反する目的外使用だとして知事に弁済を求めていたが、原告の敗訴に終わった▼問題は、週刊新潮が2011年7月、知事が公舎を「ラブホテル代わりに利用しているようなもの」と報じて公になった。知事は直後の記者会見で、1泊させたと認めたが、女性は愛人ではないと断言し、週刊新潮への抗議は「相談して考えたい」と話した。しかし、編集部に確認すると、これまで書面での抗議や告訴はないという▼規則は公舎の目的を「公務の円滑な運営を図るため」と定める。判決は、女性が泊まった7月8日、公舎で実際何かあったかには踏み込んでおらず、1泊させたことだけでは目的外使用とはいえないと結論付けた。つまり、知事の「潔白」がはっきりしたわけではない。▼判決は、女性が公舎に過去何回来て、何回泊まったのかも特定していない。1泊ではもちろん、仮に週刊新顔が報じた通り43回だったとしても、規則が禁ずる他人の「同居」とはいえないと述べてい
る。要は使用の中身だ▼原告は一審で公舎の現場検証を求めたが、認められなかったという。控訴したら知事と女性を証人として法廷に呼ぶよう求めたらいい。知事は前述の会見で、今後を問われて「正々堂々とやっていきます」と答えた。拒む理由はない。(朝日新聞前橋総局長・高谷秀男)

3月8日付の朝日ぐんまコラム「からっ風」。朝日ぐんまは県内情報の充実を図るため、朝日新聞東京本社と県内のASA(朝日新聞販売所)で構成する群馬県朝日会の出資で、1983年に朝日新聞の姉妹紙として創刊された。当初の隔週から月4回、金曜日発行となり、大きさもタブロイド判(一般紙の半分)からブランケット判(一般紙の大きさ)に変わっている。紙面はASAから朝日新聞などに無料で折り込まれている。
**********


■この記事にあるように、市民オンブズマン群馬では、この問題でついて、一番の当事者である知事・大澤正明の証人尋問をしてはどうか、ということについて例会で話題に上ったことがあります。そのときには、知事の証人尋問をするよりも、公舎が目的外使用をされている客観的な証拠を得るためには、公舎内部の現場を検証することが必要と考えて、現場検証命令の申立てを裁判所に行いました。この背景には、群馬県知事が管財課に、知事公舎の敷地を前橋市に売却することを予定しているという情報が、被告の県知事の準備書面に書かれていたこともあり、証拠隠滅を抑止するためにも、現場検証命令を裁判所に要請したのでした。

 しかし、結局、前橋地裁は、市民オンブズマン群馬から提出された公社の現場検証命令の申立てを認めませんでした。その理由について、前橋地裁では、知事・大澤が愛人を公舎に引き入れてラブホテル代わりに使っていたことを確認するには、すでに週刊誌にも写真入りで報道されており、現場検証をする必要性は乏しいと判断していた経緯がありました。

 そのため、市民オンブズマン群馬では最終弁論のときも、完全勝訴を確信しており、よもや、被告の県知事の言い分を120%受け入れて、オンブズマン側を敗訴させるとは思いもよりませんでした。もちろん、これまでの裁判所の行政側に肩入れする傾向は何度も目にして来ましたが、今回のように明らかに税金の不正使用と、公舎という公務のために使用すべき施設をラブホテル代わりにしたことで、いくら偏向判決を行う群馬県の司直としても、知事・大澤に灸を据える必要があると判断するはずだとの強い確信を持っていたからです。

 このことについては裁判の途中で、地裁の大野裁判長から、「ラブホテル」は一晩限りの使用だが、今回は公費を投入して目隠しフェンス等を設備して知事・大澤が恒常的に愛人と宿泊を伴う公舎の利用を行ったわけだから「妾宅」という表現がふさわしい、とコメントをしたという経緯もありました。

■ところが、僅かながらも信じていた司法の良識への信頼というものが、無残にも打ち砕かれた今回の原告敗訴判決で、あらためて、現場検証申立てに加えて、証人尋問の申立てを行う必要を痛感させられた次第です。

 今回の場合、証人尋問の対象となる人物は、公舎を長年目的外使用していた知事・大澤正明と、同人と一緒に頻繁に公舎を利用していた知人女性(=愛人)、それに、知事・大澤と知人女性との仲を、議会事務局長時代からよくしっていた茂原副知事、さらに、この記事を書いた週刊新潮の記者あたりが想定されます。

 いずれにしても、現場検証と関係者の証人尋問の双方から、公舎の内部で何が行われていたのかを明らかにすることは、群馬県トップ自らが公舎という公務を行うための神聖な場所で、目的外使用をしていたというコンプライアンス上からも問題のある事件をきちんと総括するためにも不可欠なことですので、4月18日までの控訴理由書提出期限までに、慎重に討議を重ねて、もっとも有効な方策を見出して行くことにしています。

■また、2月27日の原告敗訴判決の直後に、市民オンブズマン群馬では、地裁での勝訴を予め予期していた群馬県の管財課が、前橋市への公舎土地売却に備えて、公舎建物の解体・撤去・更地化のための工事費用の見積を試算している可能性があるため、平成25年2月27日付で、群馬県知事宛に、次の開示請求をしていました。

<開示を請求する公文書の内容又は件名>
大澤知事が一時知事公舎として使用していた大大手町1号館の解体、撤去、更地化に関して、知事が作成、受領、発行、保有しているすべての情報(事前準備、検討段階のものも含む。ただし、昨年8月ごろまでに、県管財課と前橋市との間でk評議したやり取りは既に請求人に開示した文書は除く。

 この結果、平成25年3月13日管第75-13号で公文書不存在決定通知書が市民オンブズマン事務局に届きました。内容は次のとおりです。
<公文書が存在しない理由>
係争中の住民訴訟に関連するため、平成24年9月中旬意向、大手町1号公舎に係る解体、撤去、更地化の検討を中断しており、平成24年9月19日付け公文書開示請求意向に文書は作成等していないため。(平成24年9月19日付け公文書開示請求を受けて、それ以前に作成等した文書は、平成24年11月22日に開示済みです。)
<事務担当課等>
総務部管財課財産管理係 電話番号 027-226-2113


 とりあえず、群馬県では、まだ更地化に向けた実作業には着手していないと言うことですが、知らないうちに解体されないように、定期的に公舎更地化情報については、群馬県知事に開示を求めて経緯をチェックしていく方針です。

【市民オンブズマン事務局からの報告】

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みどり市大間々町13区を巡る不正会計問題に関するオンブズマンの6回目公開質問に対するみどり市長の回答

2013-03-17 22:24:00 | オンブズマン活動
■市民オンブズマン群馬には、これまでにも前橋市広瀬町三丁目の2000世帯にも及ぶマンモス自治会に長年君臨してきた区長が独裁体制を敷いていた問題について取り組んできましたが、みどり市大間々町13区に住む会員らからも同様な問題が寄せられており、マンモス自治区の運営の利権を巡って繰り広げられるさまざまなトラブルの実態には共通性のあることが判明してきています。

 今回のみどり市の大間々町13区の場合も、人口が5000人を超えるマンモス自治区ですが、平成19年に同区の川島孝区長と前任の区長が、区の民主的な運営を願って是正を求める住民を相手取り、損害賠償請求蘇張を提起しました。3年近くの係争の結果、川島区長や前任区長が行ってきた不正会計が明るみに出たため、区長側から和解を申し入れ、2010年5月に民主的な区の運営を区長と区民が一緒なって実現するよう和解条項が締結され、新体制で区が運営されるかと思いきや、不正会計を行った区長が再度、区長のシンパらで構成される区長選出会議で推薦され、みどり市長が委嘱状を交付して、引き続き非民主的な区の運営が継続され、裁判で被告とされた住民らは区費の徴収もされず(一時は、市の広報も配布拒否されていた)、いわゆる「村八分」とされている状況が続いています。この背景には、公民館の建設を巡る区長とそのシンパの建設会社、そして当時県議だった現市長らによる確執が取り沙汰されています。

■不正会計の事実が裁判で認められたにもかかわらず、なぜ再びみどり市は区長に委嘱状を出せるのか?この問題について、同区の住民である会員らから平成24年8月例会で現地の実態報告と要請があったため、市民オンブズマン群馬が住民らと協力して、みどり市と協議を続けています。その経緯当については、平成24年10月15日付http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/871.html及び平成25年2月4日付http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/956.htmlの当会のブログで報告済みです。

 前回2月4日付の報告のとおり、市民オンブズマン群馬ではみどり市長に対して、平成24年12月4日付第3回目の公開質問状への回答と、あらたに平成25年2月1日付第4、5回目の公開質問状を提出してそれらへの回答を求めていました。

 その結果、平成25年2月20日付で、みどり市長から次の内容の回答が到来しました。

**********
                    総第190号
                    平成25年2月20日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
                 みどり市長 石 原   条
     公開質問状について(回答)
 このことについて、2012年12月4日付け及び2013年2月1日付けで提出のありましたご質問(3回目、4回目及び5回目)につきまして、下記のとおり回答します。
 また、回答期限の延長につきまして、快諾をいただきましたことにつきまして、御礼申しあげます。
 なお、公開質問状のご質問の内容にあっては、住民自治の範囲内の問題に対するものが含まれているため、当方からの回答は差し控えさせていただきたく、ご質問の要旨を以下の3点に整理し、回答させていただきますことをご了承願います。
          記
要旨1 補助金支出の違法性について
     公開質問状(3回目)質問1から4 公開質問状(4回目)質問4、5
     公開質問状(5回目)質問1から4
回答1 公開質問状(2回目)の質問2に対する回答のとおりですが、公民館を新築した場合の補助率は、本体工事費の3分の2以内(補助金の額は、1,800万円を限度とする。)」と規定されておりますので、この範囲内において適正に処理されていたものと考えております。また、当市が保存すべき書類については、適正に保存されていたものと考えられます,
 なお、情報公側により当市が保存すべき書類については、公開している状況にあります。

周旨2 区長委嘱の是非について
     公開質問状(1回目)質問1から3
回答2 公開質問状(1回回)の質問1に対する回答のとおりですが、区長の委嘱につきましては、みどり市区制設置規則(平成18年みどり市規則第7号)第3条第3項の規定により大間々町第13区の住民の方が推薦した者を市長が委嘱することとなっております。また、背任の疑義がある等のことですが、13区が民主的な運営のもとにおいて、区長を推薦していただいていると考えています。

要旨3 大間々第13区の運営について
     公開質問状(4回目)質問6、7  公開質問状(5回目)質問4
回答3 公開質問状(1回目)の質問に対する回答のとおりですが、適正な運営規模については、検討すべき余地はあると考えますが、原則としてはで住民自治の視点から区民の意見を尊重し、更に行政の迅返、公平な運営などの大局的視点から態の行政組幟などを含めて検討すべきものであり、本書で回答できる内容ではないと考えます。
 なお、行政区の運営につきましては、必要により助言等を行っている状況ではありますが、公開質問状(5向日)の質問4にありますように和解調書の内容が「13区が民主的な運営をする」ということのようですので、区の運営につきましては、区の住民自治の範囲内の問題であると考えられます。
                    【この件に関するお問合せ先】
                     総務部総務課行政係
                     電話;0277-76-0961(直通)
**********

■みどり市のこの回答内容を見ると、区長への委嘱状発行は、あくまでも区から推薦状があがってきたので区制設置規則の第3条第3項の規定「区長及び副区長は、その区域内の住民が推薦したものを市長が委嘱する」に基づいたものであり、区長が不正会計をはたらいて背任行為をしていても、同規則第9条に定める「市長は、区の組織及び運営に監視必要があるときは、適切な助言又は勧告をすることができる」という権限は行使するつもりがないようです。

 そこで、会員と協議の上、平成25年2月27日付で第6回目の公開質問状をみどり市長に提出しました。

**********
                    2013年2月27日
〒376-0192群馬県みどり市笠懸町鹿2952
みどり市長 石原 条 様
                    市民オンブズマン群馬
                    代表 小川  賢
          公 開 質 問 状(6回目)
 貴殿におかれましては、平素より地方自治に真摯に取り組まれ、そのご努力に対して、敬意を表します。
 さて、貴殿に対して平成24年12月4日付で3回目の公開質問状、平成25年2月1日付で4回目と5回目の公開質問状を提出し、同2月1日には貴市笠懸庁舎の会議室で、当会メンバーが貴市総務課行政係のご担当者らに面談し、貴市大間々町13区の民主的な運営のための課題と対策について説明をし、速やかに対応策を講ずるように要請しました。
 このたび、平成25年2月20日付で上記公開質問状に対する貴回答書を頂きました。貴殿の本件に対する考え方の基本を示唆するものとして、重く受け止めたいと思いますが、一部、当会の公開質問状で回答を求めているにもかかわらず、お答えいただいていない部分があります。貴殿はこの理由について“住民自治の範囲内の問題に対するもの”としているように感じられますが、貴殿自身にもかかわることも含まれて折、ぜひ、このことについても、貴殿の考え方をお聞かせいただく必要があり、さらに追加として、次の質問をさせていただきます。

質問1 補助金支出の違法性について
(1) 貴殿は回答書で「公民館を新築した場合の補助率は『本体工事費の3分の2以内(補助金の額は1,800万円を限度とする。)』と規程されており、この範囲内で適正に処理されている問題ない」と述べていますが、補助金には公民館の登記料も含まれていたはずですが、この登記料についても適正に処理されていたのでしょうか?あるいは、登記料は公金から支出されたのではなかったのでしょうか?
(2) また、貴殿は「当市が保存すべき書類については、適正に保存されていて、情報公開により当市が保存すべき書類については、公開している状況にあります」と述べていますが、区民からの公開請求にもかかわらず、貴市役所立会いのもとで帳簿の公開を行った際にも平成14年度、平成15年度の情報は開示されませんでした。そのことについても、「適正に保存されていて、情報公開により公開している状況だった」と言えるのでしょうか?

質問2 区長委嘱の是非について
(1) 貴殿は回答書で「みどり市区制設置規則第3条第3項の規定により大間々町第13区の住民の方が推薦したものを市長が委嘱することになっている」として、背任行為を行った人物に対しても、「区民より推薦がある」ことを理由に委嘱状の交付という、行政による事務事業を行ったことについて問題視していないようですが、地方自治法にもそのような規定があるのでしょうか?
(2) 区長らの背任行為についても、貴殿は「背任の疑義が有る等のことですが」と述べていますが、貴殿は地元の新聞記事を読んでないのでしょうか?当会では、貴市役所の会議室で、平成25年2月1日に、総務課行政係の深沢係長と、常見係員との面談の際に、区長らの不正行為について詳しく説明し、新聞記事の存在についても説明しました。さらにそのときに、「他県では、不正行為を行ったものに対して自治体が委嘱をすることはありえない」と一様に判断していたことも、貴職員らに伝えました。しかし、その際に、貴職員らは「他県ではどうあれ、他県との違いがある」旨の発言がありましたが、貴市では、今回の判断を前例として、今後も不正行為をしたものに対しても、委嘱状の交付は問題ないという判断を行うのでしょうか?

質問3 大間々第13区の運営について
(1) 政治家とは、行政に不備が有れば、改革するのが当然のはずです。貴殿が回答書で「和解調書の内容が『大間々13区が民主的な運営をする』ということのようですので、区の運営につきましては、区の住民自治の範囲内であると考えられる」と述べています。民主主義とは、自分で犯してしまったことを自分で責任を取ると言うことをおっしゃりたいのだと思われます。今回、当会の質問で「13区金銭出納簿に県議謝礼」と明記されている事実に関する事項に対する貴殿からの回答が示されておりません。この件について、貴殿の回答をお示し願いますでしょうか?
(2) 大間々13区の区民のかたがたからは「正常な区に戻すことができれば,それで十分なのです、それで終了です。しかし、このような非民主的な状況が続くのであれば、これまでの貴市からの回答並びに証拠書類を広く、全国のオンブズマンはもとより、全国の自治体、政党、マスコミ、他の市民団体等に広報して、それぞれ各分野の関係者の皆様方のご意見を聴取していきたいと考えます。その件について、とくにご意見があれば、お聞かせ願いえますか?

 なお、本質問状は、貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、その経過を含めて回答の内容を、記者会見を通じて、あるいはまた、当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし、大間々町13区の区民はもとより、みどり市の市民をはじめ、広く群馬県民に広報してまいる所存です。つきましては、平成25年3月15日(金)限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
          記
市民オンブズマン群馬 事務局長 鈴木 庸
〒371-0801群馬県前橋市文京町1-15-10 電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
**********

■これに対して、みどり市長から平成25年3月14日付で、次の回答書が送られてきました。やはり、まともにこの問題に取り組む気持ちはなさそうです。

**********
                         総第208号
                     平成25年3月14日
市民オンブズマン群馬
代表  小 川  賢 様
                    みどり市長  石 原  条
          公開質問状について(回答)
 このことについて、2013年2月27日付けで提出のありましたご質問につきまして、下記のとおり回答します。また、貴会におかれましては、地方公共団体等における不正・不当な行為を監視し、これを是正することを目的とするご活動に対しまして、敬意を表します。
 なお、当方といたしましては、第三者も関係することから慎重な対応を行い、ご質問に対し真摯に対応させていただいております。今回ご質問いただいた質問3(2)の後段(「しかし」以下)につきましては、真意を図りかねますので当該部分についての意見等は差し控えさせていただきます。
 ※ゴシック体括弧書きの部分につきましては、当方の解釈による部分です。
          記

質問1 補助金支出の違法性について
(1)貴殿は回答書で「公民館を新築した場合の補助率は「本体工事費の3分の2以内(補助金の額は1,800万円を限度とする。)』と規程(規定)されており、この範囲内で適正に処理されている問題ない」と述べていますが、補助金には公民館の登記料も含まれていたはずですが、この登記料についても適正に処理されていたのでしょうか?あるいは、登記料は公金から支出されたのではなかったのでしょうか?
(2)また、貴殿は「当市が保存すべき書類については、適正に保存されていて、情報公開により当市が保存すべき書類については、公開している状況にあります」と述べていますが、区民からの公開請求にもかかわらず、貴市役所立会いのもとで帳簿の公開を行った際にも平成14年度、平成15年度の情報は開示されませんでした。そのことについても、「適正に保存されていて、情報公開により公開している状況だった」と言えるのでしょうか?
回答1-(1)公開質問状(2回目)の質問2に対する回答のとおりですが、公民館を新築した場合の補助率は「本体工事費の3分の2以内(補助金の額は、1、800万円を限度とする。)」と規定されておりますので、この範囲内において適正に処理されていたものと考えております。
回答1-(2)「当市が保存すべき書類」ということで回答を差し上げた次第であります。なお、当時、市役所立会いのもとで帳簿の公開を行った書類は、区が保有していたもので、区が管理していた書類を公開したものと認識しています。

質問2 区長委嘱の是非について
(1)貴殿は回答書で「みどり市区制設置規則第3条第3項の規定により大間々町第13区の住民の方が推薦したものを委嘱することになっている」として、背任行為を行った人物に対しても、 ̄区民より推薦がある」ことを理由に委嘱状の交付という、行政による事務事業を行ったことについて問題視していないようですが、地方自治法にもそのような規定があるのでしょうか?
(2)区長らの背任行為についても、貴殿は「背任の疑義が有る等のことですが」と述べていますが、貴殿は地元の新聞記事を読んでないのでしょうか?当会では、貴市役所の会議室で、平成25年2月1日に、総務課行敏保の深沢保長と、常見係員との面談の際に、区長らの不正行為について詳しく説明し、新聞記事の存在についても説明しました。さらにそのときに、「他県では、不正行為を行ったものに対して自治体が委嘱をすることはありえない」と一様に判断したことも、貴職員らに伝えました。しかし、その際に、貴職員らは「他県ではどうあれ、他県との違いがある」旨の発言がありましたが、貴市では、今回の判断を前例として、今後も不正行為をしたものに対しても、委嘱状の交付は問題ないという判断を行うのでしょうか?
回答2-(1)当該区長の委嘱につきましては、地方自治法の規定ではなく、みどり市区制設置規則の規定により行っております。
回答2-(2)区長及び副区長の任命に当たっては、みどり市区政設置規則の規定によりその区域内の住民が推薦した者を市長が委嘱することとしており、それ以外の資格要件については、特段の定めはない状況です。
 なお、区の住民の方が区長及び副区長の候補者を決定するに当たっては、区の民主的な運営のもと、区の構成員から適任者として一定の支持が得られた者を選任しているものと考えています。


質問3 大間々第13区の運営について
(1)政治家とは、行政に不備が有れば、改革するのが当然のはずです。貴殿が回答書で「和解調書の内容が『大間々13区が民主的な運営をする』ということですので、区の運営につきましては、区の住民自治の範囲内であると考えられる」と述べています。民主主義とは、自分で犯してしまったことを自分で責任を取ると言うことをおっしやりたいのだと思われます。今回、当会の質問で「13区金銭出納簿に県議謝礼」と明記されている事実に関する事項に対する貴殿からの回答が示されておりません。この件について、貴殿の回答をお示し願いますでしょうか?
(2)大間々13区の区民のかたがたからは「正常な区に戻すことができれば,それで十分なのです、それで終了です。()しかし、このような非民主的な状況が続くのであれば、これまでの貴市からの回答並びに証拠書類を広く、全国のオンブズマンはもとより、全国の自治体、政党、マスコミ、他の市民団体等に広報して、それぞれ各分野の関係者の皆様方のご意見を聴取していきたいと考えます。その件について、とくにご意見があれば、お聞かせ願いえ(願い)ますか?
回答3-(1)平成25年2月20日付けの回答のとおりですが、今回のご質問にあっても趣旨が分かりかねますので、回答は差し控えさせていただきます。
回答3-(2)当該ご質問の前段部分(「しかし」以前)の回答になりますが、和解調書の内容が「13区が民主的な運営をする」ということのようですので、区の運営につきましては、区の住民自治の範囲内の問題であると考元られます。
 なお、当方といたしましては、直接的に介入することはできないまでも、行政区の運営につきましては、必要により助言等を行っている状況ではありますが、大間々町第13区の区民の方からは、和解後において同区の運営に対する問合せ等は受けていない状況です。

                   【この伴に間するお問合せ先】
                    総務部総務課行政係
                    電話:0277-76-0961(直通)



**********

■不正経理をはたらいていた張本人が、なぜ再度推薦されるのか、その背景についてみどり市長は調査をして、問題点を把握した上で区制設置規則に基づき、委嘱状の交付を検討しなければならないところですが、そのことについては全く触れていません。もっとも、みどり市長が県議当時、区長の意向を受けて群馬県に公民館建設促進の働きかけをした際に、謝礼を受け取っていた事実を指摘されても、あいかわらず「今回のご質問にあっても趣旨が分かりかねますので、回答は差し控えさせていただきます」としていることから、そうした違法行為について自ら認識していることがうかがえます。

 みどり市長に対しては、再度、きちんと回答をしていただくために、市民オンブズマン群馬では第7回目の公開質問状の作成準備に入っています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考資料
【みどり市区制設置規則】
http://www1.g-reiki.net/midori/reiki_honbun/r326RG00000017.html
○みどり市区制設置規則 平成18年3月27日 規則第7号
(目的)
第1条 この規則は、地方自治の本旨に基づき、市民に対し市行政の運営の徹底を図り、住民の福祉増進を期するため、区制機関を設置し、自治行政の円満な遂行を期することを目的とする。
(区の名称及び区域)
第2条 本市を32区に画し、区の名称及び区域は、別表第1のとおりとする。
(平20規則2・一部改正)
(区長及び副区長の設置等)
第3条 前条の区に区長及び副区長を置く。
2 前項の区長及び副区長の定数は、別表第2に定めるとおりとする。
3 区長及び副区長は、その区域内の住民が推薦した者を市長が委嘱する。
(職務)
第4条 区長は、市長及びその他の行政機関の委嘱による行政事務及びその区域内の自主的行政事務を処理する。
2 副区長は、区長を補佐し、区長に事故があるとき、又は区長が欠けたときは、その職務を代理する。
(任期)
第5条 区長及び副区長の任期は、原則2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠により選ばれた者の任期は、前任者の残任期間とする。
3 区長及び副区長は、その任期が満了しても後任者が就任するまでは、その職務を行う。
(班又は組の設置)
第6条 区の区域を分かち、班又は組を置き、その区域は、別に定める。
(班又は組の区域等の変更)
第7条 班又は組を分離し、又は合併し、区域等を変更する場合は、区内関係住民の協議に基づき市長の承認を受けなければならない。
(守秘義務)
第8条 区長及び副区長は、厳正かつ公平に職務を遂行し、職務上知り得た事実で市及び市民が不利益になるような事柄については、他に漏らしてはならない。
(助言又は勧告)
第9条 市長は、区の組織及び運営に関し必要があるときは、適切な助言又は勧告をすることができる。
(報酬)
第10条 区長、副区長に対し、みどり市報酬費用弁償支給条例(平成18年みどり市条例第47号)に定めるところにより報酬を支給する。
(平19規則29・一部改正)
(その他)
第11条 この規則に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この規則は、平成18年3月27日から施行する。
(経過措置)
2 この規則の施行の日の前日までに、合併前の笠懸町区長設置規程(昭和34年笠懸村訓令第7号)、大間々町区制設置規則(昭和28年大間々町規則第3号)、東村区設置条例(昭和44年東村条例第4号)又は東村区制設置規則(昭和61年東村規則第1号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの規則の相当規定によりなされたものとみなす。
附 則(平成19年9月27日規則第29号)
この規則は、公布の日から施行し、平成19年4月1日から適用する。
附 則(平成20年2月8日規則第2号)
この規則は、平成20年4月1日から施行する。

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汚染状況重点調査地域なのに0.23μSv/h以上の場所は無いと県内で唯一汚染実施計画を策定しない安中市

2013-03-17 09:36:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災

■環境省によれば、「汚染状況重点調査地域」とは、放射性物質汚染対処特措法に基づき、1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域について重点的に調査測定が必要な地域として指定されている地域のことを指します。
http://josen.env.go.jp/zone/summary/list.html
 これは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う、原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(放射性物質汚染対処特措法)に基づいて、汚染状況重点調査地域として指定された地域で、群馬県では、当初、桐生市、沼田市、渋川市、安中市、みどり市、下仁田町、中之条町、みなかみ町、高山村、東吾妻町、川場村及び片品村の12市町村でしたが、その後、平成24年24年12月14日にみなかみ町と片品村が、空間線量の測定の結果、空間線量率が減少して、解除をされ、同12月27日に告示が交付されたため、現在では、桐生市、沼田市、渋川市、安中市、みどり市、下仁田町、中之条町、高山村、東吾妻町及び川場村の10市町村が指定となっています。また、他県も含めた汚染状況重点調査地域に指定されている市町村は、101市町村あります。

 「汚染状況重点調査地域」として指定を受けた市町村は、汚染の状況について調査測定を実施し、除染を実施する区域や除染の実施者、手法などを定めた除染実施計画を策定します。市町村、県、国等は、この計画に基づき除染を実施していますが、平成25年1月829日現在で、除染実施計画を策定済みの市町村は、合計93市町村に上っています。

**********
除染実施計画策定済み市町村(計93市町村)(平成25年1月29日現在の計画策定状況)
岩手県(3):一関市、奥州市、平泉町
宮城県(8):白石市、角田市、栗原市、七ヶ宿町、大河原町、丸森町、亘理町、山元町
福島県(35):福島市、桑折町、鏡石町、天栄村、湯川村、会津美里町、西郷村、泉崎村、中島村、矢吹町、棚倉町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、広野町、新地町、田村市、須賀川市、伊達市、鮫川村、相馬市、大玉村、川俣町、小野町、二本松市、会津坂下町、川内村、国見町、本宮市、白河市、石川町、三春町、郡山市、南相馬市
茨城県(19):日立市、土浦市、龍ケ崎市、常総市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、取手市、牛久市、ひたちなか市、鹿嶋市、守谷市、稲敷市、つくばみらい市、東海村、美浦村、阿見町、利根町、つくば市
栃木県(8):佐野市、鹿沼市、日光市、大田原市、矢板市、那須塩原市、塩谷町、那須町
群馬県(9):桐生市、沼田市、渋川市、みどり市、下仁田町、中之条町、高山村、東吾妻町、川場村
埼玉県(2):三郷市、吉川市
千葉県(9):松戸市、野田市、佐倉市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市、印西市、白井市

■このように、群馬県内で、汚染状況重点調査地域に指定された10市町村のうち、未だに除染実施計画を策定していないのは安中市のみとなっています。

 安中市では、最初のうちは、除染実施計画を検討したようですが、その後、平成24年1月から2月にかけて安中市内の山林を除く地域を1km四方のメッシュで区切って、その中の1箇所を計測し、高線量を検出した41メッシュを再計測したところ、「面的」に除染が必要な毎時0.23マイクロシーベルトを超える箇所がなかったとして、また、小中学校の校庭についても平成24年1月に測定したら0.23マイクロシーベルトを超えた学校が4校あったが、同2月の測定ではどの学校も超えなかったとして、除染対策を施さずにこのまま時間や自然現象による減衰に委ねる、つまり、何も対策を採らないという方針を打ち出しています。
http://www.city.annaka.gunma.jp/news/taisaku.pdf
■一方、安中市内の市民団体の「放射能から子どもを守ろう安中の会」の会報No.5(2013.2.14発行)によれば、平成24年10月21日に、安中市内の保育園における土壌調査測定を実施したところ、次の表1の結果が得られています。
<表1 安中市内保育園の土墳銅壷測定結果と健康への影響>
       測定結果[ベクレル/kg] 過剰死※[人/1,000人]
保育園A ①  234          0.28
     ② 2,127          2.57
     ③ 1,149          1.38
     ④ 3,280          3.43
保育園B ①  743          0.88
     ②  858          0.83
     ③  730          0.98
     ④  499          0.61
※表中の過剰死とは、放射締の影響で1000人のうち何人がガンで死亡するのかを表した数値。

 同会では、安中市での除染が全く進まない現状の中、せめて子どもたちの集まる場所だけでも除染を実施するには、目に見えない放射能を数値で「見える化」し、日常的に子どもたちが被曝をしているという現状を現場の方ノマに伝えるしかない、との思いから、安中市内の2か所の保育園園庭の土壌測定調査(土そのものに放射性物質がどのくらい含まれているかを測定する調査)を、各園4か所ずつ、合計8か所行ったものです。測定結果から、園庭で子どもたちが過ごすことで、どの位の健康被害が出るのかという試算評価は、群馬県立県民健康科学大学診療放射線学部の倉石政彦氏が行いました。

 安中市のホームページを確認すると上記の2園とも、除染をするか否かの基準値である空間放射線量:毎時0.23マイクロシーベルトを超えている場所はないと結論付けられています。しかし、同会では、「上記の土壌測定結果から、基準値を超えていない=身体への影響が全くないというわけではない」と判断しています。

 その判断の理由として、同会では「この毎時0.23マイクロシーベルトという基準値は、教育現場においてももちろん、“これを超えなければ問題ない値”という認識をされています。しかし、私たちは①この数値は大人も含めた基準値であり、放射線の感受性が高い子どもにもそのまま適用してもよいのか②“子ども”と一口に言っても0歳児と12歳児が同じ基準値でいいのか③そもそも空間放射線量のみの測定で、子どもたちにとって安心な場所といえるのか④科学的に解明されていない低綾里の恒常的な被曝についてはどのように考えるのか、など疑問も多々あります」と述べています。

■同会では、平成24年12月13日に、上記の土壌測定調査を行った2つの保育園で、主に両保育園の保護者を対象に「放射能対策を考える会」を開いたところ、参加者20名のうち保育園保護者は5名(対象家庭は約80家庭)しか来ませんでした。

 同会では、この「考える会」を企画した当初は、案内用チラシに両保育園名を明記し、プログラムの中にも両保育園園長の挨拶を予定していましたが、チラシに保育園名が出ることで「ここの保育園だけが汚染されているように思われると困る」などの懸念が保育園側から出されたため、保育園名の明記や園長挨拶を取りやめざるを得ませんでした。保育園の園長は、安中市行政との係わり合いが深いことから、安中市の意向が影響を及ぼしていたことは想像に難くありません。

 同会によれば、保護者以外の参加者から次のコメントがあったということです。
●学校関係者の方:「放射能の影響を受けやすい小さな子どもほど、早い対策をとった方がいい」
●安中市市議会議員:「安中市の空間放射線量は、生活実態に則った測り方をしていない。妙義児童館では、グランドの土を5cm剥いで土を入れ替えて徐染している。市議会でも保育園の除染を要望しているので、是非当事者からも声をあげて欲しい」
●近隣の除染業の方:「まずきちんと測り、危険を知る事が大事。私たちは3.11以前に戻すために命がけで除染している。」
●地域の方:「現在でも0.15ある。安心できるレベルでない。事故前に戻すことが私たちにとって当然の権利ではないか。しかし、測ろうとすると地域で怒られたりもする。だからこそ、早く署名などして私たち自身が動いていかないと、声を上げていかないと。」
●保護者:「将来息子に『放射能の危険が解ってたのに、なぜお母さんは何もしてくれなかったjと言われないように、今自分ができることを頑張ってやっていきたい。』

■平成24年6月に原発事故子ども・被災者支援法(支援法)が成立しましたが、この第一条(目的)には、「放射性物質による放射線か人の健康に及ぼす危険について科学的に解明されていない」と明記されています。そして、「特に子どもへの配慮」が必要であり、この法律がその者たちの「不安解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的とする」とあります。そこで同会では、この支援法対象地域に群馬県も指定されるよう、関係省庁への働きかけを行うように、群馬県と安中市に要望書を提出しました。

 同会では、支援法対象地域になるメリットとして、次の点を挙げています。
 ①支援対象地域になれば、もしも健康被害が出た場合、被曝と病気の因果関係の立証責任を被告である国が負う。逆に支援対象地域外では、その立証責任は被害者が負うことになってしまう。
 ②また安中市のように除染が進んでいない地域でも、支援法では子どもたちの被曝線董を下げるための除染も網羅しており、遅々として進まない現状を打開できる手段になりうる。
 ③除染となると、風評被害を心配する声も出るが、この支援法は子どもたちの“もしも”のためのセーフティネットを今から構築しておこう、という前向きな法律の性質上、風評被害の声をかわすことができる手段となりうる。

■同会では、平成25年1月28日に安中市保育園園長会に出席し、「空間線量が基準値以下でも土壌自体には明らかに放射性物質は存在し、子どもたちは恒常的に外部被曝に加えて内部被曝している」ということを、土壌調査結果をもとに報告しました。また、「放射性プルームが安中市に到達した時点では子ども達は無防備に相当量の被曝をしており、このような初期被曝を考えると、今現在基準値以下だから何もしなくてもいいのだろうか」と問題提起をしました。

 しかし、安中市では、ひたすら、時間の経過による放射線量率の減衰を待ち、その間、何の対策も採らずに、この子どもたちに重大な影響を及ぼしかねない問題を乗り切ろうとしているようです。

■当会のこれまでの測定記録を見ても、とりわけ、松井田地区では、0.23マイクロシーベルトを超える場所も依然としてかなり存在することは間違いありません。

 にもかかわらず、安中市の除染対策は、ごく限られた範囲に留まっており、このままでは、せっかく汚染状況重点調査地域に指定されたのも関わらず、みすみす除染対策を講ずる機会を見過ごしかねません。

 安中市は、東邦亜鉛安中製錬所によるカドミウムをはじめとする重金属汚染土壌の除染作業にもきわめて消極的です。そうした臭いものには蓋をするという体質が、ふるさとの将来を背負う子どもたちの将来に影を落とす放射能汚染に対して、消極的にさせているのかもしれません。

■こうした将来へのビジョンに乏しい安中市政を憂い、「放射能から子どもを守ろう安中の会」では、群馬県内で汚染状況重点調査地域に指定された市町村のうち、安中市だけが「除染計画」を策定していないことから「このままでは、除染の意思がないということで、県や環境相から指定取り消しを促されかねない」と危機感を強め、自ら「除染計画」を策定することを決意しています。

 こうした中、群馬県が平成25年3月13日に、県内各地の放射線量をまとめた県放射線マップを作成して、群馬県のHP上で公開を始めました。このことを報じた平成25年3月14日付の上毛新聞の見出しは、あたかも放射能の不安がかき消されつつあることをイメージさせます。

**********上毛新聞2013年3月14日一面
県 放射線マップ公開
最大4割低減 不安払拭へ1115地点測定
 県と35市町村でつくる放射線対策会議は13日、県内1115地点の放射線量(2012年9月末時点)を地図上で閲覧できる県放射線マップを作成、県ホームページで公開を始めた。継続調査している679地点は1年前との比較が可能。毎時0.3マイクロシーベルト以上の比較的高線量だった5地点がゼロになるなど、「場所によっては約4割の線量低減」(県環境保全課)を視覚的に確認できる。同会議は今後、年2回ずつ更新し、県民の不安払拭に役立てていく。[17面にc票差結果一覧]
 調査は地表から高さ1mでの線量を測定。市町村が選んだ学校や公園、公共施設などの「生活圏」を測定地点とした。マップは0.1ミリシーベルト未満から0.4マイクロシーベルト以上まで、0.1ミリシーベルト刻みで段階に色分けして表示。線量の高い赤色やだいだい色から、黄色、水色、紺色へと低くなる。
 全県マップを見ると、11年9月末に県北部に5地点あっただいだい色(0.3以上0.4未満)は、12年はゼロに。逆に、紺色(0.1未満)や水色(0.1以上0.2未満)の割合が4.8ポイント増の98.5%を占め、線量低下が見て取れる。
 除染の目安になる0.23マイクロシーベルトを含む黄色(0.2以上0.3未満)は北毛に17地点あるが、前年の38地点から半減した。
 マップは縮尺2500分の1まで拡大でき、測定値のほかに測定場所の名称や住所、地面の状態など詳しい情報を調べることができる。このほか、文部科学省が北関東3県と東北の被災3県で11年9月と12年12月に実施した航空機によるモニタリング調査結果も掲載している。
 県は8ページの小冊子にしたマップ概要版を1千部作成し、市町村や公的機関に配布して住民や利用者が閲監できるようにする。
 本県では現在、半減期が約2年の「セシウム134」と約30年の「セシウム137」が影響している。県内の線量が1年間で4割前後も低減した理由として、県はセシウム134の減衰に加え、市町村が取り組んでいる除染の効果、通常の清掃か都合や雨などで洗い流された可能性を挙げる。
 県内全域で放射線量の推移を詳細に比較できるマップは他県でも例がない。同会議は県内全域で安全宣言を発表できるまで更新を続けていく考え。
http://www.pref.gunma.jp/05/e0900088.html


群馬県放射線マップ(2011年9月30日現在)

群馬県放射線マップ(2012年9月30日現在
**********

■放射線や放射能が目に見えないことをいいことに、実際には健康に被害を及ぼす状況であっても「風評被害」などという都合のよい言葉を使いたがり、放射線や放射能に対して「正しく恐れる」ことをさせたがらない行政やマスコミのやり方には注意しなければなりません。あくまでも放射能汚染の原因者は東京電力であり、原子力の安全神話をでっちあげてきた責任は政府自民党であることを常に認識しておかなければならないのです。

【ひらく会情報部】

※参考情報
【群馬県放射線マップ測定値別の放射線量】(マイクロシーベルト/時。2012年9月30日時点)
<測定期間・前橋市>
測定地点・名称          測定価
第二保育所            0.06
元総社保育所           0.07
清里保育所            0.08
細井保育所            0.09
富士見保育所           0.06
下川淵小学校           0.08
永明小学校            0.07
駒形小学校            0.08
大室小学校            0.07
滝窪小学校金丸分校        0.09
月田小学校            0.05
大胡中学校            0.08
富士見総合グランド        0.08
王山運動場            0.06
粕川西部運動場          0.1
総合運動公園           0.08
六供清掃工場南東(出入口)    0.06
亀泉清掃工場北東(出入口)    0.06
大胡クリーンセンター北西(角地) 0.06
前橋市最終処分場南(出入口)   0.06
富士見最終処分場西(出口)    0.07
水質浄化センター東境界(東門)  0.07
六供西公園            0.09
六供町南部公園          0.05
前橋市道路補修センター      0.05
薬師公園             0.05
雷電公園             0.05
河原添公園            0.06
上新田地下ポンプ場        0.05
六供生川公園           0.06
六供天神公園           0.11
前橋工科大グランド        0.07
鯏臘・・唄曄          
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