市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

はらぼじ観光被疑事件・・・初めて被告人の言い分を裁判官が聞いた第4回公判の様子(その1)

2013-11-22 22:33:00 | はらぼじ観光被疑事件
■群馬県の観光発展に貢献してきた前橋市のはらぼじ観光は、群馬県の観光行政の元締めである観光局観光物産課が旅行業法に定めてある法律を、業界の実態を知らぬまま、立入り検査などで前時代的な検査マニュアルをかざして嫌がらせをしてきたため、旅行業の登録をしていても、群馬県の観光業の発展には阻害要因にしかならないと判断し、自ら登録を返上しました。そして、旅行者に対して直接債務を負わない形での新しいビジネスモデルに着眼し、顧客で宿泊業者らに事前に説明した上で取引をして、宿泊業者からも、利用客からも、双方から喜ばれていました。

 ところがそれを妬んだ旅行業協会が、はらぼじ観光を告訴し、告訴状を送りつけたため、司直は、地元の政治の圧力もあったらしく、最初のうちは渋々捜査をしていましたが、そのうち、選挙の時期が過ぎてしまい、関心がなくなっていたところ、再度ハッパが上層部から掛けられたためか、今年の春、ようやく検察がはらぼじ観光の元社長を起訴し、8月から裁判所で審理が行われています。

 そして、平成25年11月18日(月)午後1時半から、この事件(事件番号:平成25年(ろ)第9号旅行業法違反、裁判官:高橋芳久)に掛かる審理の一環として、前橋簡易裁判所の2号法廷で第4回目の弁論が行われました。

 傍聴席は1、2席を残して後は全て傍聴者らで埋まりました。定刻1時30分から2、3分遅れて裁判官が姿を現しました。全員起立し、礼をして着席し、いよいよ第4回公判が始まりました。被告人質問におけるやりとりはおおよそ次のとおりです。

**********
<被告人質問>
【弁護人原田】平成16年(2004年)10月の旅行業更新手続きの時に県庁の立ち入り検査を拒否しても、更新登録完了の書類が県庁から郵送された、と「松浦の主張」にありますが、なぜ、立ち入り検査を拒否したのですか?
【被告人松浦】立ち入り検査マニュアルの時代遅れ、現実離れしていることを問題にし、指摘したかったからです。インターネットで旅行商品が販売できるようになり、ありふれた旅行商品はインターネット業界にそっくり取られている。それなのに既存の店舗で営業している業者には「カウンターがどこにある」「料金表を貼り出しているか」「資格者はいるか」などの意味のない検査マニュアルを強要していることを指摘したかった。
【弁護人】拒否しても、県庁から何の連絡もなく登録更新されたのですね?
【被告人】そうです。そして、立ち入り検査と、登録制度がいかに形式的なものなのか、ということを知りました。
【弁護人】松浦の主張で平成19年(2007年)2月に突然、公機関から接触があった事実を記録してあります。「前橋合同庁舎内、旅行業管轄部署の圧力」「群馬県庁、旅行業管轄部署の圧力」「中学校の娘の担任と学年主任からの圧力」「伊勢崎警察署警察官の自宅訪問」そして、2007年7月22日に群馬県知事選挙があった。一連の公権力からの接触で、何を感じ、接触に対してどう対処しましたか?
【被告人】最初の前橋市上細井町の合同庁舎内の旅行業を管轄する部署からの、立ち入り検査の依頼はどういう意味かがわからなかったので、立ち入り検査マニュアルの時代遅れを指摘しました。検査マニュアルと現実がマッチしていない。そんな形式上の検査は拒否する、と答え、県職員もそれで引き下がりました。続いて、県庁内の観光物産課か当時の国際観光課からの立ち入り検査の依頼で、選挙運動への圧力だとわかりました。娘の担任の先生と学年主任の先生とからの呼び出しは、松浦の方が逆に先生二人に苦言を言うだけのものでした。桃の木小学校です。伊勢崎警察の若い警察官が来たのは、上司の指示で圧力の目的は知らなかったようです。数年以上の間、役所からの接触など何もなかったのに1ヶ月の間に4ヶ所の役所から接触を図られました。その時、選挙運動をしていた仲間の話では、選挙運動への圧力は日常茶飯事だという話しがあります。
【弁護人】旅行業登録放棄と選挙運動への圧力が深い関わりがあるということですね?
被告人】そうです。県職員が小寺知事を知事選で勝たせるために、対立候補を目立って応援していた私に立ち入り検査やその他の理由をつけて圧力をかけてきた。選挙運動の内容は自治会長宛、私のお客さん、高校の同窓会名簿、を対象に3万通程度のダイレクトメールをした。前年秋から私のお客さんの出発地へ候補者を向かわせて顔を売るようにしたことなどです。許認可があるから不当な圧力を受けなければならない。不当な圧力から逃げたいという気持ちはずっとありました。
【弁護人】はらぼじ観光を刑事告訴した、全国旅行業協会にしても、群馬県旅行業協会にしても一度も会ったこともないし、指導も受けていない、ということですね?
【被告人】そうです。一度も会ったことはありません。
【弁護人】以前、旅行業協会に入会していたということですが、その時、協会内ではどんなことをしていましたか?
【被告人】共同企画で積極的に集客したり(はらぼじ観光が一番多く集客したこともありました)会員の研修旅行には母親が数回参加しています。会員の中では積極的に会の活動に参加しています。
【弁護人】辞めた理由はなぜですか?
【被告人】旅行業協会が、私にとっても、世の中全体にとっても、ためにならない存在だと思ったからです。規制、他社排除ばかりで、独自性のある強い会社にすることができなくなります。
【弁護人】辞めたということは、具体的にどういうことですか?
【被告人】新たに1100万円を、供託し、登録をし直すということです。弁済負担金分担金はそのまま1年近く預けたままです。1100万円を工面してまで、登録をし直しました。
【弁護人】旅行業登録を受けていたとき、県庁職員の指導管理を拒否したのはなぜですか?
【被告人】県職員が現実を何もしらないで、時代遅れのマニュアルで形式的な検査は必要がないと思ったからです。立ち入り検査を理由にして選挙運動に圧力をかける。そういう違法行為を受け入れることはないという思いからです。登録返上後は県の担当部署にしても旅行業協会にしても、はらぼじ観光を指導管理しようとは全くしていない。唯一の連絡が来たのは登録返上直後にホームページに以前使っていた登録番号が載っているのを電話で指摘されたときだけ。これは単なる消し忘れですぐに消しています。
【弁護人】平成23年(2011年)4月19日、全国旅行業協会からの通知、刑事告訴するぞ!という内容の内容証明書郵便が来ています。登録返上から3年、旅行業協会も県庁も何もかかわってこなかったのに突然、事前の話し合いもなしに、告訴するぞ、の通知が来たのですね?
【被告人】3年の間、何もなく営業していたのに、突然、通知が来ました。弁護士7人の連名での通知ですが、その弁護士事務所に電話を2回しても、誰一人の弁護士も電話に出ません。選挙への圧力の経験から、これは悪意によるもので何かのウラがあると考え、告訴されたら、されたで戦えばよいと思い、「刑事告訴の御礼」という返事を全国旅行業協会、その群馬県支部、埼玉県支部、新潟県支部、に送っています。
【弁護人】供述調書の中身、警察官が調書をとった内容です。「9月11日 中村第2老人会 高橋正一証言」「9月23日 行幸田グラウンドゴルフ 真下英男証言」「11月11日 岩鞍リゾートホテル 星野松江証言」「平成24年(2012年)1月13日 全国旅行業協会群馬県支部 青木穣証言」(ちなみに4月10日群馬県議会議員選挙が行われた)「4月11日 (2度目の)岩鞍リゾートホテル 星野松江証言」「4月17日 岩鞍リゾートホテル 吉野証言」(ちなみに4月19日、はらぼじ観光への強制捜査。被害者がいない、緊急性のない事件の捜査で17人の警察官がやってきて、仕事ができない状態にされた)「5月3日 岩鞍リゾートホテル 星野寛(県議)証言」そして、裁判が始まるのは翌年、1年と2ヶ月経ってから。供述調書を読んで何を感じましたか?
【被告人】契約ホテルが30数軒あるのに、一つのホテルだけに、限定して捜査に行っている。強制捜査の前年11月11日に岩鞍リゾートホテルに警察官が行って、社長夫人で副支配人の星野松江から調書をとっている。私は選挙運動への圧力を経験しているからわかるのですが、これは、選挙を前にした不当な圧力です。そして4月10日の県会議員選挙の翌日の4月11日に同じ岩鞍リゾートホテルにまた警察官が行って同じ星野松江の証言を取っています。さらに4月17日には前橋東警察署に呼び出し証言をとっているのは、岩鞍リゾートホテルの社員ではらぼじ観光の担当だった吉野。4月19日には強制捜査、17人の警察官が大挙してやってきました。百歩譲って、はらぼじ観光の仕事が違法だったとしても、一人か二人の警察官がやってきて、事情を聞けばよいことです。正直に何もかも公開して仕事をしていました。押収品として預金通帳全部をもっていかれました。金の流れを調べて、岩鞍リゾートホテルの白バス行為を見つけることが目的だったのでしょう。同じく押収品として持っていった、はらぼじ観光のシステムをすぐには調べていません。パソコンのカギがないと開かないのに、そのカギを松浦の側から「カギがないと調べられないでしょ」と指摘した始末ですから。5月3日には社長で県会議員に当選したばかりの星野寛の証言を取っています。はらぼじ観光の契約ホテル旅館は30数軒あったのに、岩鞍リゾートホテルだけに警察官が何度も行っていることから、はらぼじ観光の容疑は岩鞍リゾートホテルに警察が行く理由作りだった。
【弁護人】6月15日大金グランドホテル和田茂証言、 はらぼじ観光の契約ホテルの中で岩鞍リゾートホテル以外のホテルへ、警察がはじめて行っていますが、被告人はこれはどういうことだと感じましたか?
【被告人】一つだけのホテルに行ったことのカモフラージュではないでしょうか?
【弁護人】被告人は、あらためて、旅行業法と旅行業法施行規則を読み直して、何を主張したいのですか?
【被告人】総合案内所(予約センター)とランドオペレーターが合法だという文面がないこと。地域限定という供託金100万円の資格が追加されたこと。はらぼじ観光の業種は地域限定です。そういう意味からも昨年以前は法規制に触れない部分の仕事で、違法性はありません。総合案内所(予約センター)とはらぼじ観光が業態が同じなのは「契約先に限定して広告している」「契約金をいただいての契約」「お客さんから対価は受けとらないから債務が発生しない」「歩合的な手数料はお客さんがサービスを受けた後で契約先からいただく」具体的にそういう点で同じです。刑事告訴した旅行業協会が賛助会員として多くの事業所を認めています。今はなくなったかどうかはわかりませんが、旅行業法施行規則でも債務が発生しないので違法でない、と言っています。
<検事からの質問>
【北村検事】警察の誰が、××したのですか?
【被告人】××××××××××××××××××××××××
【北村検事】総合案内所と違って、松浦のしていた仕事は消費者と直接接していますね。事故が起きた時の責任はどうするのですか?
【被告人】消費者と直接接しています。日航機の事故、JRの事故資格や既得権に守られたものが大きな事故を起こしているというというのが現実です。はらぼじ観光の仕事は、事故の責任は契約先であるホテル旅館の側にあります。はらぼじ観光は契約先を広告することが仕事です。はらぼじ観光は自ら宿泊サービスにしても無料の範囲で行っている送迎サービスを提供もしていません。もちろん、事故を起こすような施設を紹介した道義的な責任はあるでしょうから、社会的に抹殺される覚悟はできています。事故が起きなくても、警察が来たことで、このように会社をつぶしてまで、真実を問うているのですから。
**********

■第4回公判はおよそ1時間続きました。被告人であるはらぼじ観光の元代表者は、捜査の異常性や、その背景なども含めて、事件の内容分析まで踏み込んだ説明をしたため、傍聴席では、いつ裁判官や検察側から発言を止められてしまうのか、ハラハラしながら、聞き入っていました。

 被告人質問が終わると、裁判官と検察、弁護人の3者で、次回5回目の公判の日程が打ち合わされました。その結果、第5回公判は、年末の日程が立て込んでいるという裁判所の都合により、平成26年1月20日(月)午前10:00から前橋簡易裁判所で開かれることが決まりました。

 証拠調べが終わったとして、次回はいよいよ検察官が刑事訴訟法293条に基づいて行う、事実及び法律の適用についての意見陳述、つまり論告が行われます。この中で、もしかしたら、容疑の罰状に関する意見が述べられるかもしれません。この場合は、論告求刑ということになります。

■それにしても旅行業法違反行為というのは、どういう事例があるのでしょう。ネットで調べてみました。

 旅行業法における旅行業の定義として、①報酬を得て、②旅行業務を行う、③事業のことだとされています。

 このうち①報酬については、旅行者から受け取る「取扱い手数料」、宿泊運送機関から受け取る「販売手数料」、自己で旅行を実施した結果得る「利益」だということです。

 ②旅行業務については、旅行の企画・実施、運送・宿泊機関との計画に係る「基本的旅行業務」、食事や観光等、添乗・渡航手続代行等に係る「付随的旅行業務」、旅行相談に係る「旅行相談業務」に分類されるようです。

 ③業務については、上記の旅行業務を繰り返して続けることだということです。


■したがって、旅行業に該当しない業務として次の例があるようです。

 1 運送機関の代理行為のみを行う行為(例:道路沿いのガソリンスタンドがカーフェリー切符を販売。コンビニで航空券、鉄道やバス切符の販売)

 2 手配代行業者(例:ツアーオペレータ、ランドオペレーター。これらは運送・宿泊機関と旅行業者の間に入り、運送機関、ホテル、食事等の手配を専門的に扱う業者で、直接旅行者と取引関係が生じないので旅行業には非該当)

 3 添乗員派遣業者

 4 運送・宿泊以外のサービスのみを手配する場合(例:演劇、催し物等の入場券を販売するプレイガイド)。

 5 運送・宿泊機関が行う自社業務範囲内の行為(例:バス会社が自社のバスを使って営業する日帰り旅行。※日帰りでなくお泊り旅行の場合はどうなのか?)

■旅行業法では、旅行者の保護を図るために、一定の営業保証金を供託所に供託し、そのことを役所に届けるのだそうです。

 つまり、本来、旅行業法の原点は、旅行者を騙してカネを持ち逃げしないように、供託金を預けさせることです。

 こうしてみると、はらぼじ観光が、旅行者と金銭の授受をしていないと主張しているので、この観点から、旅行業に該当しないことになります。

 また、いろいろな輸送・宿泊施設の情報を旅行者に提供して、それをもとに旅行者が自ら輸送・宿泊施設を選択して利用する場合、輸送・宿泊施設の情報を旅行者に提供して、輸送・宿泊施設から広告費として対価を受け取る事業は、運送・宿泊機関の広報活動行為のみを行う行為であり旅行業に該当しないことになります。

■ここで、どうしても分からないのは、運送機関の代理行為のみを行う行為は、旅行業に非該当であるのに、なぜ宿泊機関の代理行為のみを行う行為が、非該当であると明記されていないことです。

 このことについて、はらぼじ観光では、「旅行業協会が賛助会員として傘下においている予約センターあるいは総合案内所という業態は、旅行業の資格なしで、予約の媒介をする仕事を専門に行っている」と主張しています。この背景として、受け取る手数料は客がサービスを受けた後なので、取り逃げの可能性がないため、旅行業に非該当だという判断根拠があるようです。

 そうすると、輸送・宿泊施設の予約の媒介をしている予約センターのような旅行会社は、旅行者から直接金銭の授受がないため、旅行業とは見なされていないという理屈は理解できます。同じように、輸送・宿泊施設の予約の媒介をしている通常の旅行会社は、旅行者の求めに応じて手配しているため、そこに旅行者からの金銭の授受があるから旅行業法に該当するという考え方も理解できます。

■ではなぜ、旅行者からカネを受け取っていないのに、旅行業協会から、はらぼじ観光だけが、捜査時期から1年半も遅れてから起訴されたのか、という疑問が生じます。

 第4回公判で、検察側が「総合案内所と違って、松浦(=はらぼじ)のしていた仕事は消費者と直接接していますね。事故が起きた時の責任はどうするのか?」とわざわざ聞いています。どうやら、はらぼじのしていたことは消費者(=旅行者)と直接コンタクトしていたことを暗に批判して違法性を仄めかしているようです。

 しかし旅行業法では、旅行者との間で金銭の授受が無ければ旅行業に非該当だとしていることから、検察側のこの論理が良く分かりません。

■むしろ、旅行業協会は、はらぼじ観光に対して、このような言いがかりをつける暇があったら、消費者に対して、もっと積極的にコンタクトして、消費者から旅行者に変化してもらい、交通・宿泊施設をもっと利用するように、業界で自由にビジネスモデルを提案し実行できるような雰囲気気作りを目指すべきでしょう。

 とにかく、消費者=旅行者の保護がきちんと担保されていれば、どのようなビジネス形態でも、観光産業の活性化という成果が出せれば問題ないはずです。

 にもかかわらず、こうして小規模な個人経営の旅行業者をいじめるだけで、業界のことも旅行者の気持ちも分かろうとしない県の観光行政に携わる職員らに、立入検査権を付与させて、前時代的なマニュアルで業界を縛ろうとするのは、百害あって一利なしだと痛感させられます。

■そのため、はらぼじ観光被疑事件の第4回公判が終わった後、市民オンブズマン群馬では群馬県の観光行政を司る県観光物産課を訪れて、彼らから、旅行業法の解釈と運用の仕方、そして、はらぼじ観光だけがなぜこのような仕打ちに遭うのかについて、彼らの見解を聞いてみることにしました。

【市民オンブズマン群馬からの報告・この項続く】

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大量未不臭ガス放散事件で約1週間後に渋々安中市に口頭で報告した東京ガスに何の反応もしない安中市

2013-11-21 23:11:00 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■東京ガスが、安中市北野殿にある安中バルブステーション施設構内にある放散塔から、周辺住民に内緒でこっそりと大量の生ガスを放出した事件で、東京ガスが、住民の指摘により、ガス放出から1週間近く経過してから、安中市役所に事後報告したことが報道記事から判明しました。そこで当会は、事実関係を確認すべく、平成25年10月29日付で安中市長に対して行政文書開示請求書を提出しました。

**********
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
 平成25年10月26日付東京新聞群馬版の記事によれば、東京ガスが9月18日~19日にかけて臭いが消えたままのガスを高崎・前橋・渋川地区に供給した問題発生の処理の過程で、東京ガスが野殿地区に設置したガス中継基地にある高さ30mの放散塔から生ガスを19日深夜から20日昼にかけて上空に放出したことについて、東京ガスが問題発生の1週間後の同年9月25日に、この生ガスの上空への放出について、安中市に報告したことが報じられています。この東京ガスによるガス放出に関連する次の情報。
(1)東京ガスから安中市に対して、ガス放出の県で連絡や報告のあったことを示す一切の情報。
(2)東京ガスの報告をうけて、安中市が対応した内容や時期等がわかる一切の情報。
**********

■この結果、安中市から11月19日に、上記(1)について部分開示決定通知書が、上記(2)について不存在通知書が出されました。




 上記(1)については、市民部安全安心課より次の資料が部分開示されました。

**********

部長・真下 課長・粟野 係長・上原 係・真下 供覧・宇佐美・松井

9月25日 16:30頃 東京ガス 群馬支社 ■■■■ ■■氏
                     設備部 ■■■■■■■■ ■■氏 来庁

 概要については以下のとおり。

 9月19日、付臭装置の一時停止により臭いの付いていない都市ガスを供給してしまった。無臭ガスの封じ込めを行ったが、一部が各家庭等に供給されてしまったため前橋や高崎には注意喚起をお願いした。なお当日中には臭いが付いたガスの供給を開始した。
 安中については都市ガスを使用している住宅等がないため、状況説明と謝罪カ!遅れてしまった。
 9月19日深夜から翌日未明にかけて野厭にある東京ガスの施設(バルブステーション)で封じ込めた無臭ガスを放散した。
 安中市民2名(■■氏と■■氏)から公開質問状が届いた。回答については現在社内で調整中とのこと。

9月26日 ■■氏から電話あり。
 岩野谷4区区長に事情を説明し、本日近隣住民に説明に回るとのこ、と。
 なお、対象地域内に岡田市長宅も含まれているため、ご承知置き願いたいとのこと。
**********

 そして、東京ガスから安中市に提出されたという20ページの文書がこれに添付されてありました。しかし、この文書は東京ガスが、同社のホームページに掲載した9月19日付の「群馬地区における臭いの突いていないガス送出に伴うガス使用上の注意のお願い」と、同じく9月19日付の「群馬地区における臭いの付いたガスへの復旧のお知らせ」の2件のプレスリリースした記事をそのままコピーしたものでした。




■驚いたことに、安中市は当会に対して開示した、東京ガスからの報告の聞き取りメモで、東京ガスからの来庁者名の所属と氏名を黒塗りしていたことです。

 さっそくこのことについて、当会が、安中市に対して、情報公開条例の運用の誤りを指摘したところ、「即答できないので、手続き上、異議申立をする必要がある」という見解でした。

 東京ガスが可燃性、爆発性のある生ガスを、すぐちかくに住宅のある場所なのに、住民に何の連絡もせずに大量放出したことは、当然、市民の生命と財産にかかわる行為であり、それに関する情報は、個人情報だろうが、きちんと開示する必要があります。

 また、東京ガスは公益事業を標榜している為、同社の責任部署に携わる職員の所属部署や氏名を公表するのは、通常の場合でも何の問題も無いはずです。

 こうした安中市の秘密体質を改めさせる為に、当会は11月20日付で次の内容の異議申立書を安中市長宛に提出しました。

**********
          異議申立書
                    平成25年11月20日
安中市長 岡田義弘 様
                 異議申立人
                   郵便番号 379-0114
                   住  所 安中市野殿980番地
                   氏  名 小川 賢 (61歳)
行政不服審査法の規定に基づき、次のとおり公文書非開示決定に対して異議申立を行います。
1.異議申立に係る処分:
異議申立人が安中市情報公開条例(以下「条例」という)に基づき、平成25年11月6日付で安中市長に対して提出した行政文書開示請求の結果、安中市長が平成25年11月13日付安安第2075号行政文書部分開示決定通知書で「(1)東京ガスから安中市に対して、ガス放出の件で連絡や報告のあったことを示す一切の情報」において為した、「個人の職名及び氏名、住所、印影、電話番号、FAX番号、メールアドレス」に関する不開示処分。
2.異議申立に係る処分があったことを知った年月日:平成25年11月19日
3.異議申立の趣旨:
本件処分は、条例を不当に解釈し運用されたものであり、本件処分の取り消しを求めます。
4.異議申立の理由:
(1)異議申立人は安中市民であり納税者として行政文書の開示を求める権利を有しています。
(2)請求した情報は、東京ガスが可燃性、爆発性のある生ガスを安中市北野殿地区にある安中バルブステーションから9月19日深夜から20日の午前10時頃まで、大量の未不臭ガスを、事前に安中市や周辺住民らに事前に情報提供をしないまま、騒音や振動を伴う作業とともに、生ガスの状態で大気中に放出したことに関して、一週間後の9月26日に安中市や地元区長にようやく口頭で事情説明があった事件に関するものである。
(3)この事件では、異議申立人ら地元住民が、以前、地元の生活道路や通学路に高圧ガス導管を敷設する作業をした当時から、東京ガスの不誠実な対応を目の当たりにし、こうした事件発生についても当時から、地元住民の間で危惧されており、異議申立人も、地元との災害防止協定の締結を東京ガスに求めてきたが、一蹴された経緯がある。
(4)したがって、東京ガスが1週間遅れて安中市に事後報告をしたことに関する情報は、条例第7条第1項第2号の但し書きイに該当する。もしこれらの情報を不開示とした場合、東京ガスは安中市の対応を甘く見なして、事件の重大性を認識することなく、結果的に再発防止に向けた緊張感の醸成が損なわれてしまうことになる。
(5)よって、本件処分を取り消し、全面開示を求める。
5.処分庁の教示の有無及びその内容:上記の決定通知書で「この決定に不服がある場合は、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に市長に対して異議申立をすることができます」と教示されました。
          以 上
**********

■さらに驚いたのは、上記(2)の「東京ガスの報告をうけて、安中市が対応した内容や時期等がわかる一切の情報」が不存在だったことです。不存在の理由がふるっています。「東京ガスの報告を受けて、なにも対応していないので、該当する情報が存在しない」のだそうです。

 東京ガスに対して厳しく事件の報告書の提出を要求したり、地元と災害防止協定を結び、再発防止のための情報開示を求めたりする強い要請を出すのが、一般的な常識だと思います。しかし、安中市は東京ガスに何も言わず、市として、この事件を市民に事後報告しようとする気が皆無だというのは、非常に問題です。

 おそらく、この背景には、東京ガスと安中市長との癒着が想定されます。なにしろ、高圧ガス導管敷設に際しても、地元住民が計画を知ったときには、既に岡田市長の息のかかった地元岩野他に代表区長の赤見氏が同意書に署名押印をした後で、住民がルート変更など東京ガスに提案しても、東京ガスは聞く耳をもたず、既に代表区長の同意を取っているとの一点張りだったからです。

■当会は将来の再発防止策の決め手とすべく、安中市長に対して、東京ガスが地元との災害防止協定の締結を実行するように、取り計らいを要請することにしています。

【ひらく会情報部・東京ガス高圧導管敷設問題研究班】

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タゴ事件18周年・・・理事長就任7年目で無借金を達成したのに公社伏魔殿化にこだわり続ける岡田市長

2013-11-18 01:41:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■長野県建設業厚生年金基金で使途不明の約23億8700万円のうち約6400万円を着服したとして、業務上横領の容疑で、11月14日早朝、バンコクから成田に到着した機内で逮捕された同基金のサカモト元事務長のニュースがマスコミを賑わせています。一方、安中市土地開発公社で18年前に発覚した51億円余の横領事件は、14億3445万円の使途不明金を今に持ち越したまま、公社が安中市の連帯保証のもとに103年間掛けて毎年12月25日のクリスマスの日に群馬銀行に和解金という名のタゴの豪遊のツケとも言うべき尻拭い金を支払っています。その公社の実態を知ろうとしても安中市はかたくなに情報開示を拒んでいるため、群馬県のルートで資料を入手し、分析してみました。それをみると、驚くべき事実が浮かび上がってきたのです。

 安中市鷺宮にある県の稚蚕人工飼料センター(旧・県立蚕糸学校演習桑園)跡地99,359㎡を、安中市土地開発公社が今年2月に群馬県から買い取り、物流基地として工業団地造成工事を開始したのは、今年の春でした。群馬県から4億6790万円、そして造成費の約4億円の前払い金ととして関東建設に支払った1億6590万円の合計6億3380万円をどのように工面したのか興味深かったからです。

 ところが、既に当会のブログで報告したとおり、公社が金融機関から借り入れる時に安中市が連帯保証人として保証書を差し出すはずなのに、安中市は保証していないというのです。情報公開請求で公社情報が不開示にされたため異議申立をしてみましたが、情報保護審査会までもが、確かに公社が金融機関から借りれた証拠はないと説明しました。

■そこで、さらに、群馬県内の土地開発公社の経営状況を見ている群馬県市町村課地方債・公営企業係(電話027-226-2227)に聞いてみたところ、プロパー事業で収益が上がり、キャッシュフロー上、余裕が生まれて、手持ちの現金を使って、鷺宮の土地買収や造成工事の前払い金を支払っているというのです。

 さっそく平成25円9月17日付で、「安中市土地開発公社に係る平成16年度以降の各年度の財務諸表(曽根気計算書、貸借対照表、借入れ等の状況が分かるデータを含む)」という内容で、群馬県知事あてに公文書開示請求を行いました。


 その結果、10月はじめに群馬県から平成19年度~24年度分(年度は決算書年度)が開示されました。しかし、請求した情報のうち、平成16年度~18年度分は、「安中市から群馬県に提出されているが、保存期間が5年であり、保存期間経過後に破棄している」という理由で不存在という通知がありました。


■開示された情報を分析してみたところ、岡田市長が安中市と地開発公社理事長に就任した平成19年度から、今年の3月末までの、公社の経営状況が分かってきました。

 土地開発公社は公有地の拡大の推進に関する法律によって、設立されましたが、その事業内容は、公共用地の先行取得事業とプロパー事業と呼ばれる工業団地・住宅団地の造成事業の2つに分けられます。

 前者は、法律上余り儲けを出すことが出来ませんが、後者は団地造成その他の土地造成にかかる公営事業に相当する事業という建前で、かなりフリーハンドで事業を行える余地があります。

 タゴ51億円事件で単独犯とされた元職員も、古城団地、芝原団地、磯部団地、さざんか団地などの造成で違法行為を働いていたことが、刑事記録からも分かっています。

■平成19年度から24年度までの6年間の損益計算書の推移を見てみましょう。

損益計算書。

 この期間中に、公社が公有地取得事業で上げた収益とそれに要した原価を列挙してみます。

平成19年度  収益 288,171,246  原価 285,164,247
平成20年度  収益 218,355,981  原価 211,996,099
平成21年度  収益      0  原価      0
平成22年度  収益  27,364,714  原価  26,567,684
平成23年度  収益 326,062,980  原価 316,565,998
平成24年度  収益 191,507,868  原価 185,929,970
       合計1,051,462,789  合計1,026,223,998 差額25,238,791(収益の2.4%)

 同様に、公社がプロパー事業で上げた収益とそれに要した原価を列挙してみます。

平成19年度  収益 446,467,200  原価 353,057,085
平成20年度  収益 294,190,402  原価 158,373,860
平成21年度  収益      0  原価      0
平成22年度  収益      0  原価      0
平成23年度  収益1,816,500,432  原価1,037,399,376
平成24年度  収益      0  原価      0
        合計2,557,158,034  合計1,548,830,321 差額1,008,327,713(収益の39.4%)

■このように、プロパー事業の分野では、驚くべき高収益を上げています。では、具体的にどのような事業で収益を上げたのでしょうか。事業名を列挙してみます。

平成19年度 横野平工業団地(B団地1期):面積18,078㎡
       収益 208,177,200  原価 133,465,045 差額74,712,155(収益の35.9%)
平成19年度 大見山工業用地:面積39,155.53㎡
       収益 238,290,000  原価 219,592,040 差額18,697,960(収益の7.8%)
平成20年度 横野平工業団地(B団地2期):面積26,170㎡
       収益 294,190,402  原価 158,373,860 差額135,816,542(収益の46.2%)
平成23年度 横野平工業団地(A団地3期):面積112,334.83㎡
       収益1,573,110,844  原価 871,743,659 差額701,367,185(収益の44.6%)
平成23年度 大見山工業用地(第2期):面積26,455.39
       収益 243,389,588  原価 165,655,717 差額 77,733,871(収益の31.9%)

 こうしてみると、松井田地区の大見山工業団地の場合は、1㎡あたり6085円~9200円で販売されていますが、西横野地区の工業団地の場合は、1㎡当たり1万1242円~1万4004円で販売されていたことがわかります。

■次に損益計算表から、事業総利益の推移を見てみましょう。

        事業収益  事業原価  販管費  事業利益
平成19年度  734,638,446  638,221,332  811,590 95,605,524
平成20年度  512,546,383  370,369,950  673,613 141,502,811
平成21年度       0       0  633,605 ▲633,605
平成22年度   27,364,714   26,567,684  471,849   325,181
平成23年度 2,142,563,412 1,353,965,473  840,376 787,757,552
平成24年度  191,507,868  185,929,970  693,558  4,884,340

 これをみると販売費及び一般管理費(販管費)が異常に少ないことがわかります。これは公社の職員は全員安中市職員なので、彼らの人件費はもともと俸給で我々の税金を原資にして支払われており、彼らが公社の事務事業で必要となる様々な関連経費は通常一般管理費という形で計上されますが、年間数十万円で済ませているようです。

 横野平工業団地の用地造成工事が完了して販売した平成20年度と平成21年度は、公社が莫大な利益を上げていることが分かります。とりわけ、平成23年度は、横野平工業団地(A団地3期)の11.2ヘクタールと、大見山工業団地(第2期)の2.6ヘクタールを売り上げ、8億円近い収益を上げました。

 このため、平成24年度に新規のプロパー事業として、群馬県から467,980,890円で買収した鷺宮物流団地(面積99,359㎡)と造成工事費の前払い分(40%)165,900,000円、及び教育委員会の遺跡調査など関連経費を加えた計6347,033,120円、その他、綾瀬二子塚古墳史跡公園用地や綾瀬街区公園用地にかかった用地費等や、松井田町総合運動公園用地の支払利息などを加えた、総額738,078,620円を支払っても、年度末の平成25年3月末時点で、まだ3億1000万円が残っていました。

 従って、このままで推移すれば平成25年2月12日に行われた鷺宮物流団地の造成工事の指名競争入札で税抜き価格395,000,000円(税込価格414,750,0000円)で落札した関東建設工業㈱に支払うことになる残り60%分の248,850,000円も手ガネで支払えることになります。

キャッシュフロー。

■また、かつて塩漬け土地として銀行に多額の利息を支払っていた、タゴの置き土産の秋間の山林(環境保全林取得用地、面積12,971㎡、帳簿残高37,908,549円)や、いずれも県営団地事業で販売委託された安中市土地開発公社の元職員タゴが不正取引をしていた板鼻の古城住宅団地の公社所有地の4区画分の空き地(面積1047.99㎡、帳簿残高43,939,404円)と下磯部住宅団地の公社所有の空き地1区画(面積256.85㎡、帳簿残高12,127,170円)は既に平成19年度の時点で銀行借入を解消しており、新たな利息は掛かっていません。

 この観点から、貸借対照表において、固定負債として「長期借入金」と「民事訴訟解決金(=群馬銀行への103年ローンの和解金残高)」の平成19年度以降の推移を見てみましょう。

貸借対照表。

平成19年度 長期借入金 168,629,000 和解金ローン残高 1,870,000,000
平成20年度 長期借入金 893,135,000 和解金ローン残高 1,850,000,000
平成21年度 長期借入金 411,522,000 和解金ローン残高 1,830,000,000
平成22年度 長期借入金 171,874,000 和解金ローン残高 1,810,000,000
平成23年度 長期借入金      0 和解金ローン残高 1,790,000,000
平成24年度 長期借入金      0 和解金ローン残高 1,770,000,000

このように、平成23年度から長期借入金はゼロとなっています。

■次に借入金の内訳を長期借入金と短期借入金で借入先の金融機関別に平成19年度以降の推移を見てみましょう。

<長期借入金>
平成19年度 群馬銀行  期首 522,488,718 期末      0
       東和銀行  期首  27,115,000 期末      0
       けんしん  期首      0 期末  59,818,000(利息2.00%)
       JA碓氷安中 期首 397,098,000 期末 108,811,000(利息1.25%)
平成20年度 けんしん  期首  59,818,000 期末  59,818,000(利息2.00%)
       JA碓氷安中 期首 108,811,000 期末 833,317,000(利息0.80-1.25%)
平成21年度 けんしん  期首  59,818,000 期末      0(利息2.00%)
       JA碓氷安中 期首 833,317,000 期末 411,522,000(利息0.80-1.25%)
平成22年度 JA碓氷安中 期首 411,522,000 期末 171,874,000(利息0.80-1.25%)
平成23年度 JA碓氷安中 期首 171,874,000 期末      0(利息0.80-1.25%)
平成24年度 なし

<短期借入金>
平成19年度 群馬銀行  期首 104,172,000 期末 356,991,479(利息2.20-2.25%)
       東和銀行  期首      0 期末  27,115,000(利息2.20-2.25%)
       けんしん  期首  59,818,000 期末      0(利息1.65%)
       JA碓氷安中 期首 153,064,000 期末 309,615,000(利息1.00-1.25%)
平成20年度 群馬銀行  期首 356,991,479 期末      0(利息2.10-2.30%)
       東和銀行  期首  27,115,000 期末      0(利息2.10-2.30%)
       JA碓氷安中 期首 309,615,000 期末      0(利息1.00-1.25%)
平成21年度 けんしん  期首      0 期末  59,818,000(利息2.00%)
       JA碓氷安中 期首      0 期末 545,795,000(利息0.80-1.25%)
平成22年度 JA碓氷安中 期首 545,795,000 期末 218,380,000(利息0.80-1.25%)
平成23年度 JA碓氷安中 期首 218,380,000 期末 171,874,000(利息0.80-1.25%)
平成24年度 JA碓氷安中 期首 171,874,000 期末      0(利息0.80-1.25%)

■こうして、利益率40数%のプロパー事業で、公社は莫大な利益を挙げ、内部留保に努めた結果、現時点では借入金ゼロとなっているようです。

 そして公社は今年2月に現在、鷺宮にある約10町歩(99,359㎡)の桑園跡地を群馬県から総額467,980,890円で取得し、この春から造成工事中です。

 横野平工業団地(A団地3期)の用地が11.2町歩(112,334.83㎡)で、用地費が337,064,460円でしたから、1㎡当たり3000円となります。これに対して、鷺宮物流団地の場合は、1㎡あたり4710円となり、公社の仕入れコストとしては、1.6倍近く高い価格です。

 この物流団地は地元の運送会社が既に造成後の買取を約束しているようですから、公社はコストとして、用地費467,980,000円+造成費414,750,000円+販管費900,00円(仮定)=883,630,000円を費やすことになります。この時、利益率を46%とすれば、販売価格は866,631,278円になると計算できます。そうすれば、公社が地元の運送会社に販売するときの価格は1,636,351,852円ということになり、差額の769,720,574円が公社の収益として計上されることになります。

 もちろん、地元の運送会社がもっと高く買えば、さらにこの収益は増大するでしょう。

 そうすると、この収益だけで、タゴ51億円事件の尻拭いの群馬銀行への103年ローンの残高17億7000万円(89年分)のうち、38年分が確保できることになります。

■しかし、公社の貸借対照表には、タゴに対する損害賠償請求債権として、2,208,211,500円が毎年計上されています。

 岡田市長は、この債権の行使よりも、群銀への債務の行使を最優先にしています。そのために、我々の血税で勤務する市の職員ら(部課長をはじめ少なくとも20数名に上ると思われます)を公社事業に投入し続けています。本来は公社事業に携わるこれらの職員の人件費は当然、公社の資本金を出している安中市に支払わなければなりません。

 岡田市長は、とりあえず公社の借入金をゼロの状態まで持ってきました。平成19年度以降の借入金の返済総額は2,033,038,716円に上ります。この間、金融機関から借り入れた金額は長期借入金が総額895,216,000円、短期借入金が総額344,269,000円になります。差し引き793,563,716円が公社から出て行ったことになります。このほかに、群銀への和解金が毎年2000万円ずつ、6年間で1億2000万円が流出したことになります。

■こうして、公社の無借金化の道筋を固めた岡田市長ですが、公社の内部情報については相変わらず開示しようとしません。群馬県では土地開発公社の解散の動きが多くの自治体で進められていますが、安中市の場合はタゴ51億円事件のため、公社を解散することが出来ないでおります。

 こうして、かつては全国有数のワースト公社だった安中市土地開発公社は、プロパー事業のおかげで、急速に息を吹き返しつつあるようです。平成19年度初めに前期からの繰越損失が15億7100万円余りあったのが、平成24年度末には5億6200万円弱まで縮小したからです。

 岡田市長が、鷺宮の桑園跡地を群馬県から買い取る際に、急に公社を使って買収する方針に切り替えたり、桑園跡地の健全な表土を自らの地元の北野殿地区の東邦亜鉛安中製錬所周辺のカドミウム汚染土壌対策の公害特別土地改良事業の客土にリサイクルしようとしなかったりしたのも、全てはタゴ事件の痕跡を消し去り、公社を舞台にした利権構造を再構築するための一連の施策とみられます。

■こうした公社の最近の活発な動きと、岡田市政のこれまでの経過や、タゴの動静などと対比させてみましょう。

 今回入手した公社財務諸表から、興味深いことが分かります。それはかつて土地開発公社のメーンバンクであり、元職員タゴのインチキ金銭消費貸借証書の不自然さを見破ろうとせず、タゴに盆暮れの付け届けに余念のなかった群馬銀行が、平成20年度を最後に公社への融資から撤退したことです。

 公社としては、金利の高い地方銀行の群馬銀行や東和銀行からの借り入れを避けて、少しでも金利の低い金融機関に借り換えをしたほうがよいわけで、これは一刻も早く公社の負債を減らしたい岡田市政にとっては、当然のなりゆきと言えます。

 その代わりに、群馬銀行はタゴ事件和解10年後の対応として、安中市土地開発公社の理事長を兼務する岡田市長が、平成19年11月から、今後の支払い方法について相談を持ちかけられた際に、「公社は健全経営が行われている状況だから、これまでの10年間と同様に毎年12月25日に2000万円を支払ってほしい。ほんとは、もっと前倒しに返済してほしいくらいだ」と言い、岡田市長もこれ幸いと、あっさり群銀の提案を受け容れたのでした。

 その結果、平成20年12月17日と19日に、安中市は住民に対して事後報告の形で「巨額詐欺事件 群銀との和解10年後の対応について」と題する住民説明をひらき、同年12月25日から再び10年間、タゴの豪遊の尻拭い金を群銀に支払っているのです。

 群銀としては、103年ローンを認めてやったからこそ、公社は和解金の返済負担が軽くなり、公社の復活も現実味を帯びているのだという自負があるでしょう。

 というわけで、あれから早くも5年が経過しようとしており、今年のクリスマスに公社は累計16回目の2000万円支払いを行うことになります。本来、このカネは安中市民のために使われるものです。

■もうひとつ、気になるのは、平成21年9月に、晴れて刑期が満了して出所した元職員タゴの動静です。平成22年4月に岡田市長が安中市長選で再選された直後に、タゴの配偶者が、タゴの親友から「お宅の旦那から(タゴ事件発覚直後の1995年5月末に)預かっていた絵画等6点を返却する」と連絡を受け、それを公社に寄贈すると申し入れていました。

 その時は、既にタゴも配偶者と一緒に住んでおり(当時は藤岡市だった)、当然、岡田市政が継続することになったことはよく承知をしていたからこそ、タゴは絵画等6点の寄贈を、配偶者を通じて岡田市長に申し入れたのでした。

 公社の借入れ金の返済が急に進んだのは、まさにこの頃と符号します。もしかしたら、公社の運営方法の表もウラも知り尽くしているタゴが、平成21年9月の刑期満了で、群馬県に堂々と舞い戻り、岡田理事長に、公社事業のノウハウを伝授していたのかもしれません。もともと、岡田市長もかつてはタゴと一緒に公社で幹事として交流を深めていた時期があります。安中市政を震撼させた大事件を経て、二人の間にはさらに強い仲間意識が醸成されたことでしょう。

■タゴは藤岡市から高崎市に移り住んでいるという未確認情報があります。もしこれが事実だとすれば、来年4月に岡田市長が3選された場合、いよいよタゴが安中市土地開発公社の顧問として凱旋する話も、あながち荒唐無稽とはいえない環境になります。

 当会は引き続き、岡田市長兼公社理事長に、安中市土地開発公社の内部情報の開示を求めていく所存です。

 ちなみに、群馬県の桐生市では土地開発公社も情報公開条例において実施機関として加えられています。51億円事件を引きずる安中市も、当然、条例で公社も実施機関に含めなければならないのですが、安中市長も安中市議会も、そのことには全く無関心です。こういう自治体だからこそ、史上空前の51億円もの巨額横領事件の舞台となったということが出来ます。我々市民の力で、なんとか土地開発公社の運営状況を市民の前に晒せるようにしなければなりません。

【ひらく会情報部・タゴ51億円事件18周年記念調査班】

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政官業に渦巻く思惑で警察から不純捜査行為を受けた“はらぼじ観光”被疑事件第4回公判が明日に迫る

2013-11-17 21:04:00 | オンブズマン活動
■市民オンブズマン群馬の会員が経営していた「はらぼじ観光」をターゲットにした被疑事件の第4回口頭弁論は明日、平成25年11月18日(月)午後1時30分から前橋簡易裁判所1階の2号法廷で開かれます。

 この異常な事件では、旅行業界の黒幕政治家の意向を受けた群馬県が警察の事情聴取で、直接当事者と面識のない県職員らに、「はらぼじ観光は違法な悪徳業者だ」という趣旨で、事実と反する供述をさせていることが判明しています。

 そこで、当会では、本来、納税者であり、主権者である県民の安心な生活を脅かすウソの証言をした県職員から、あらためて事情聴取のためのヒヤリングをしようと思い、一部の職員と面談しようとしました。しかし群馬県は、職員個人との接触を禁し、あくまで警察の事情聴取は職員が個人としての立場で発言したものであり、群馬県では組織としてこの事件に対応するので、個人の意見には関知しないというのです。

 そのため、きちんと書面でこのことを確認すべく、市民オンブズマン群馬では平成25年9月11日に公開質問状を県知事宛に提出していたところ、同9月18日付で群馬県観光局観光物産課から「警察から捜査協力依頼がおり、職務の一環として答えたものであり、供述調書に記載されていること以外申し上げることはありません。なお、職務上の事柄に関して、職員個人と接触することはお控えください。」という、僅3行たらずに極めて素っ気無い非礼な回答が来ました。

■そのため、市民オンブズマン群馬では、9月19日付で県知事宛に公開質問状(第2回)を提出しました。

**********
                    2013年9月19日
群馬県知事 大澤正明 様
(観光物産課)
                   市民オンブズマン群馬
                    代表 小川  賢
     公 開 質 問 状(第2回)
 貴職におかれましては、群馬県の観光産業の活性化、国際化に尽力され、そのご活動に対して、群馬県民として敬意を表します。
 さて、この度、平成25年9月11日付当会からの公開質問状について、平成25年9月18日付観光第222-47号にて回答書を賜りました。
 この内容について幾つか確認したい事項があるため、第2回目の公開質問状を提出します。
質問2-1
 貴殿(観光物産課)は、「警察から捜査協力依頼があり、職務の一環として答えたものであり、供述調書に記載されていること以外、申し上げることはありません」とのみ、回答しています。ということは、供述調書に記載されている内容は、組織主義として、群馬県知事(観光物産課)としての供述だと受け止めてもよろしいですね。「はい」「いいえ」でお答えください。なお、「いいえ」の場合は、その理由をご教示願います。
質問2-2
となると、供述調書に記載されている情報は、属人主義による職務上の個人の供述ではなく、組織として対応していることを前提としたものであり、その内容に、虚偽や憶測の部分がある場合でも、それは組織として事前に十分に認識した上での情報であるということで受け止めてもよろしいですね。「はい」「いいえ」でお答えください。なお、「いいえ」の場合は、その理由をご教示願います。
質問2-3
 貴殿(観光物産課)は、「なお、職務上の事柄に関して、職員個人と接触することはお控えください」と回答しています。
 となると、職員個人が組織としての発言ができないということを意味するのでしょうか。「はい」「いいえ」でお答えください。
質問2-4
 前項の関連で、職務上の事柄に関して、組織の構成員である職員個人と、その職務に利害を持つ県民が接触できないということは、行政の事務事業執行上、極めて由々しき不具合を引き起こしかねませんが、これについてはどのようにお考えですか。「問題ない」「一般的には問題があるが、今回の場合は問題ない」あるいは「その他」でお答えください。いずれの場合にも、それぞれの回答理由を合わせてご教示ください。
質問2-5
 ここでいう職務上の事柄に関して、県知事のいう「職員個人」と接触するのがダメなのであれば、いったい、どなたと接触すれば、組織としての見解をうかがえるのか、知事本人なのか、それとも部課長等の管理職なのか、ハッキリとご教示ください。また、その根拠も合わせてご教示ください。
質問2-6
 初回の公開質問状にも書かせていただきましたが、貴殿(観光物産課)から職務上の一環として警察にお答えいただいた供述調書の内容について、事実と齟齬のある部分が相当部分あるようです。このため、当会としては、当会会員である松浦と貴殿の、どちらの主張が正しいのか判断をしたいので、貴殿もしくはしかるべき接触可能な貴組織の責任者を交えて会合の機会を設けることを貴殿に提案したいと存じますが、貴殿の見解をお示しください。
質問2-7
このはらぼじ観光の代表者を巡る被疑事件の根拠とされた県庁の関係職員の供述内容が、属人主義の立場ではなく、組織主義の立場でなされたというのであれば、なぜ松浦がトラブルを多発させる悪徳業者であり、どのような理由と根拠で、旅行業法違反を問われなければならないのか、組織として警察や司直に文書で説明をしなければならないと考えます。貴殿は、群馬県の観光業を振興させてきた県民に対して、このまま理不尽な仕打ちを組織の長として看過するつもりなのか、それとも、組織として警察や司直に、この被疑事件について文書できちんと見解をしめすつもりがあるのかどうか、貴殿の見解をご教示ください。
なお、本質問状は貴職に提出する際に記者会見で明らかにし、また貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、再度記者会見で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時にその経過を含めて当市民オンブズマン群馬のホームページ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。つきましては、平成25年9月30日(月)限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。
          記
市民オンブズマン群馬  事務局長 鈴木 庸
〒371-0801 群馬県前橋市文京町1-15-10
電話 027-224-8567 FAX 027-224-6624
**********

■その回答が9月27日付で事務局に届きました。今後は8行の回答ですが、相変わらずオンブズマンが出した公開質問の各項目ごとの回答を無視しています。

**********


                    観第222-47号
                   平成25年9月27日
市民オンブズマン群馬
 代表 小川 賢様
               群馬県知事 大澤 正明
               (観光物産課)
     公開質問状への回答について
 平成25年9月11日付け貴職からの公開質問状について、下記のとおり回答します。
          記
 警察への捜査協力は職務の一環として行われたものであり、供述調書に記載されていること以外に申し上げることがないことは、平成25年9月18日付け観第222-47号「公開質問状への回答について」で回答したとおりです。
 供述調書の信用性は、基本的に刑事訴訟の中で判断されるべきものと認識しております。
 なお、前回、職員個人への接触をお控えいただくよう回答したのは、貴殿が供述調書に関して供述者である職員個人への接触を図られていたことを踏まえてのものであり、行政事務一般について申し上げたものではありません。本件に関しては、観光物産課が担当課として対応させていただきます。
**********

■明日の第4回公判には、群馬県職員が何名傍聴するのか分かりませんが、裁判終了後、市民オンブズマン群馬としては、群馬県から寄せられた上記2通の回答内容に関連して、この事件の背景となった旅行業法の取扱いにおける行政側の見解や判断基準などを、担当課の観光物産課のしかるべき人物から直接説明を求める予定です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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群馬県知事公舎妾宅化損害賠償事件の上告で、最高裁から記録到着通知がオンブズマンに届く

2013-11-16 23:17:00 | オンブズマン活動

■公金で建てられ運営されている群馬県の知事公舎ですが、あろうことが妻帯者であるにもかかわらず、単身で入居願を群馬県に提出した知事・大澤正明。彼は、自分で自分に入居許可を出し、風呂場の改装や玄関ゲートのリモコン化、ブロック塀の上に目隠し用の塀を嵩上げ、隣のマンション側にも目隠し用の常緑樹を自分で取り壊しを指示した本来の知事公舎の敷地内から移植、玄関脇にも目隠し用の竹垣設置などなど、言語道断の浪費を続けていました。しかもこの浪費の目的は、実は20年来の愛人と週末の逢瀬を楽しむためでした。この問題で、市民オンブズマン群馬では、知事公舎の妾宅化に費やされた公金の支払いを県知事に求めるべく、住民訴訟を提起しました。地裁、高裁ともに行政側を擁護する裁判官により門前払い判決が出たため、9月30日付で最高裁に上告しました。この度、最高裁第一小法廷から、「記録到着通知書」がオンブズマンに届きました。

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                    平成25年11月14日
〒379-0114
安中市野殿980番地
 小川賢 様
 平成25年(行ツ)第460号
 平成25年(行ヒ)第497号
               最高裁判所第一小法廷
                   裁判所書記官 佐古 智明
     記録到着通知書
 原裁判所から下記事伴記緑の送付を受けました。今後は,当裁判所で審理することになりますのでお知らせします。
 なお,審理する上で書面を提出してもらう必要が生じたときは連絡します。その際には,提出する書面に当裁判所における事件番号(下記1)を必ず記載してください。
          記
1 当裁判所における事件番号
  平成25年(行ツ)第460号
  平成25年(行ヒ)第497号
2 当事者
  上告人 兼 申立人  鈴木庸 外1
  被上告人兼相手方  群馬県知事
3 原裁判所及び原審事件番号
  東京高等裁判所
  平成25年(行コ)第139号
  当裁判所所在地  〒I02-8651 東京都千代田区隼町4番2号
  電話 03-3264-8111  (内線2172・2173・2174・2180・2181・2182)
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■市民オンブズマン群馬のメンバーらは、東京高裁での平成25年8月9日の控訴審判決を不服として、判決直後に上告受理申立書を東京高裁に提出しました。8月12日付で東京高裁から原告らと被告双方に上告受理申立て通知書が送られてきました。それにもとづき、原告オンブズマンらは9月30日付で上告理由書と上告受理申立理由書を東京高裁に提出しました。

 その後、東京高裁では、オンブズマンらが出した上告受理申立書、上告理由書、上告受理申立て理由書の書類に不備がないかどうか審査を行ってきましたが、不備がないと判断したため、控訴審までの裁判記録一式と上告受理申立書、上告理由書、上告受理申立て書を最高裁判所に送付したようです。

 だから今回、最高裁判所から、これらの書類・記録等を東京高裁から受け取ったため、当事者であるオンブズマンのメンバーら2名と、群馬県知事に対して「記録到着通知書」が送られてきたと思われます。

 今後は、最高裁において内容について審理が行われ、オンブズマンらの上告受理申立てに理由があると判断した場合は、「上告受理決定」を当事者らに送達し、口頭弁論期日がひらかれることになります。この場合は、おそらく控訴審判決をひっくり返す判決になる可能性が高いことになります。

 一方、オンブズマンのメンバーらの上告受理申立てに理由がないと判断した場合には、申立に対して「不受理決定」を行い、事件が終了してしまいます。

 したがって、今後、「上告受理決定」もしくは「上告不受理決定」のどちらかが最高裁から届くことになります。これまでのオンブズマンのメンバーらの経験では、前者が届いたことは泣く、「上告不受理決定」しか届いた記憶がありませんが、それが出されるまでの期間は、千差万別です。早い場合は1ヶ月で「不受理決定」が出されることもあります。また、4年近く経過指定から、ある日突然「不受理決定」が送りつけられることもあります。

■最高裁判所から記録到着通知書が送付された後、一般に、事件に動きがあるまで1~2年くらいかかります。上告受理申立の理由がないことが明らかな場合には、上記のとおり1~2ヶ月で「不受理決定」が出されるので、年末から年明けまでにそうした通知がくるかどうかが、ひとつの節目になりそうです。

 いずれにしても、群馬県知事と、知事公舎を管理する管財課が所属する総務部とは、共に共同正犯の関係にあるため、最高裁から「不受理通知」が届くのを見越して、知事公舎の解体、撤去、そして更地にしたあと前橋市に売却するための準備を水面下で進めているに違いありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


※オンブズマンのメンバーらが最高裁に上告した賽に提出した2種類の書類を以下に示します。
【上告理由書】
上告審事件番号平成25年(行サ)第159号 行政上告提起事件
(控訴審事件番号平成25年(行コ)第139号 知事公舎妾宅化損害賠償請求控訴事件)
上 告 人 鈴木庸 外1名
被上告人 群馬県知事 大澤正明
最高裁判所 御中
          上告理由書
                    平成25年9月30日
上告人
 住所 群馬県前橋市文京町1-15-10
 氏名 鈴木 庸  印
 住所 群馬県安中市野殿980
 氏名 小川 賢
 頭書事件につき、上告人らは以下のとおり上告理由を提出する。
 我が国憲法のもとでは、公務員は日本国憲法第15条第2項に基き、国民全体の奉仕者であって、一部への奉仕者ではないとされている。また公務員は、第99条により「憲法を尊重し擁護する義務」を負っている。
 この場合、公務員とは、厳密に言えば職業や職種ではなく地位で、国または地方自治体の職にあるもの全てが対象となる。その者の職の選任方法の如何を問わず、また職が立法、司法、行政のいずれの部門に属しているかも問わない。
 日本国憲法第15条第1項では「公務員を選定し、およびこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定されている。これは「あらゆる公務員の終局的な任命権」が国民にあるという国民主権の原理を表明したものである。
 したがって、公務員は法令を遵守するとともに、上司の職務上の命令には“重大かつ明白な瑕疵”がある場合を除いて、忠実に従う義務がある。これに関連する法令としては、国家公務員法第98条及び地方公務員法第32条がある。
 このように公務員の究極の使用者は国民であることに照らしてみれば、本事件で、群馬県知事・大澤正明が、国民の血税で建設し運用していた財産を、私的な不倫行為(民法第770条で定めた貞操義務の不履行)の場として使用していたにもかかわらず、また、知事・大澤の公舎での不貞行為に対して、被上告人である群馬県が問題視せずに容認していることを上告人らが裁判提起したのだから、一審あるいは二審がしかるべき判断をすべきであった。
 ところが、一審も二審も上告人らの請求を退けた。これは明らかに憲法の解釈がゆがめられていることを示している。
 このことが何を意味しているかといえば、知事・大澤の不貞行為を知りつつ被上告人の群馬県が公舎の妾宅化のために血税を投入したことに対して、裁判所が、憲法に定められた公務員の倫理や義務について正しく判断をしていないという現実である。
 どうやら本事件は、地方の自治体で発生した些細な出来事だというふうに公務員側には受け止められているのかもしれない。
 だが、公務の特性である①公益性・非営利性(活動の多くは金銭に換えられない公共的な価値を追求)、②公平・中立性(法令にしたがって執行。特定の者だけ優遇することは許されない)、③独占性(公共の目的のため役割が配分され、個々の業務は独占的)、④権力性(公権力を背景にして公務を執行)の観点に照らしても、公務員側は、自らの非を自らが気付くべきである。
 ところが、国民がそのことを公務員側に指摘しても、率直に事実を認めるどころか、公権力を自らの都合よく解釈して、自分らの非を正当化しようとするのである。これは、国民主権をうたう日本国憲法の理念に反するものであり、本事件は地方の自治体で発生した些細な事ではなく、その本質の中に重大な問題が包含されている。
 公舎での不倫という人のみち、即ち社会秩序の原理や、血税の公舎妾宅化目的の投入という職業倫理の欠如から発生した本事件では、公務員倫理のあり方が正面から問われていると言える。
 公務員倫理は公務員に対する社会の期待や信頼に応える行動基準であり、その職務がより大きく社会に影響を与える。だから、公務員には高い職業倫理が求められているのである。
 確かに裁判所も公務員側の立場にあるわけだが、職業倫理は司法というしっかりと独立した礎に載っているはずである。図らずも。一審、二審ともに、被上告人の主張する誤った公務員倫理を追認してしまったが、最高裁では一審、二審の判断にとらわれることなく、きちんとした判断が行われることを、上告人らは、主権者の国民として強く要請する。     以上

【上告受理申立書】
上告審事件番号平成25年(行ノ)第159号 行政上告受理申立て事件
(控訴審事件番号平成25年(行コ)第139号 知事公舎妾宅化損害賠償請求控訴事件)
申立人 鈴木庸 外1名
相手方 群馬県知事 大澤正明
最高裁判所 御中
          上告受理申立て理由書
                    平成25年9月30日
申立人
 住所 群馬県前橋市文京町1-15-10
 氏名 鈴木 庸  印
 住所 群馬県安中市野殿980
 氏名 小川 賢
 頭書事件につき、申立人らは以下のとおり上告受理の申立て理由を提出する。
 控訴審の事実認定に異議がある。
 上告人らが、最初に主張したいことは、相手方の群馬県知事・大澤正明が、群馬県民の血税で建てられ運用されていた公舎を使って、不倫をしていたことである。
 この場合、法律の専門家である司直のかたがたには釈迦に説法であるが、問題点として3つ挙げることができる。
 そのひとつは、群馬県知事・大澤正明の「不倫」行為である。不倫は民法第770条で定めた不貞行為(貞操義務の不履行)であり、配偶者を持つ知事・大澤には婚姻により貞操義務を有する。だが、実際には20年にわたり配偶者以外の女性と不倫をしており、浮気という類のものではない。知事・大澤の不倫は、県議会や県庁の関係者の間では周知の事実でり、本事件では、群馬県庁の副知事や総務部関係者が知事の不倫をしりつつ、いや、知っているからこそ、知事の不倫環境を整備して知事の関心を得るべく、血税を公舎に平然と投じたのであり、相手方の責任はきわめて重大である。
 ふたつ目は、地方自治法に違反していることである。同法第2条第14項には「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」とある。
 これに照らせば、本事件で群馬県は、その事務を処理するに当たって、住民の福祉ではなく、群馬県知事・大澤正明の「不倫」のための福祉の増進に努めており、最小の経費で最大の効果を挙げるどころか、血税を知事個人の私的な欲求を満たすためにつぎ込んだことになり、あきらかに地方自治法に違反している。
 みっつ目は、地方公務員法に違反していることである。同法第33条には「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」と定めてある。群馬県知事・大澤正明が、配偶者以外の女性と県議当時から20年にわたり関係を結び、しかも、公的な施設を逢瀬の場として多年にわたり利用してきたことを、なぜ裁判所はこの地方公務員法に問わないのか、きわめて不可思議である。もし、同じ公務員として、群馬県知事・大澤正明のとった行動が地方公務員法に違背していないのであれば、きちんと判決文でそのように明示されなければならない。
 本控訴事件では、相手方の証人尋問を要請したが、裁判所はこれを却下した。申立人らは、本事件が公に知られる端緒となった平成22年7月13日発売の週刊新潮の記事を見て、群馬県知事・大澤正明が、公社を舞台に不倫を繰り返してきたことを知り、直ちに真相を確認すべく、情報公開請求を行った。開示情報が遅く、しかも不十分だったため、あらためて公開質問状や追加の情報公開請求を行ったが、真相解明と責任の所在の確証を得るにはさらに時間がかかることから、住民監査請求に踏み切った。
 ところが、群馬県の監査委員4名のうち2名は群馬県議会議員だが、そのうち1名の狩野県議は不倫で相手に子どもまでつくらせた人物だったため、同じく不倫に関連した本件の監査業務に関与することを忌避するための申立を相手方にしたが、拒否された。監査結果は当初危惧したように、公共施設を舞台にした不倫について不問にするという判断がなされたため、司法の判断を仰ぐべく提訴したものである。
 一審では、申立人らの請求は却下・棄却されたが、知事・大澤が過去に遡って公舎に配偶者以外の女性を恒常的に連れ込んでいた事実は否定しなかった。
 ところが二審では、その事実を全て否定するとともに、公舎の前にある小学校に面したブロック塀の上に児童の目を憚った設置した目隠しフェンスや、配偶者以外の女性を車に同情させて容易に連れ込め易いように公舎入口のゲートをリモコン電動ゲートにしたり、隣にあるマンションの4階以上に住む住民らの目を憚って何本も移植したサンゴジュの木々や、配偶者以外の女性を公舎建物に連れ込み易いように玄関脇に竹垣を設けたりしたことなどは、住民として普段から注意していれば十分に気付いたはずであり、監査請求の提起がそれらの公金支出を伴う行為から1年以上を経過した後であることは住民である申立人らの怠慢だという、判決を出したのである。
 知事・大澤が配偶者以外の女性を公舎に恒常的に連れ込んでいたことについては、隣接のマンションの住民が週刊誌の記者にかたり、それが記事に掲載されている。しかし、知事・大澤は、この記事について事実無根だとして弁護士に法的対応を相談していると語った。ところが、現在に至るまで、知事・大澤は、週刊誌に記事を掲載した新潮社に対して何ら法的対応措置をとっていない。
 申立人らは、そのような知事・大澤の事情を察して、法廷での証言での機会を提供すべき、前述の通り証人尋問を高裁に申し立てたが、知事・大澤は「その必要は無い」として応じなかったのである。
 このことから、知事・大澤が恒常的に公舎に配偶者以外の女性を連れ込んで、光熱水費を公務以外の目的で費消したのは明らかであるが、高裁は、判決の中で「控訴人らは,大澤が平成22年に30回,平成23年1月から6月までの間に13回,知人女性を本件公舎に宿泊させたものであって同女と同居していた旨主張するが,平成23年7月8日から9日にかけての1泊(本件公舎提供行為)以外に,大澤が上記の女性を本件公舎に宿泊させたことを認めるに足りる証拠はないから,上記の主張は採用できない。」としてこの事実に目を瞑った。これは、経験則違反である。
 このように、主権在民を無視した相手方の主張や、それを支持する形の判決をくだした司法の判断は、地方自治法第2条第14項および地方公務員法第33条に違背しており、適切な判断がなされるべきである。
 最後に、万が一、申立人らの上告受理申立て理由書が不受理となり、高裁判決が確定したあかつきには、地方公務員法第33条の改正として、「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。ただし、公舎を使って不倫をする場合であっても、職の信用を傷つけたことにならないし、職員の職全体の不名誉となるような行為とならない」というふうに、但し書きを付け加えるように法務省や総務省など関係省庁に働きかけを行う。
 また、相手方の群馬県には、当然のことながら、群馬県公舎管理規則第8条(遵守事項)の第1項第三号に禁止行為のひとつとして定めのある「職員と生計を一にする者(使用人を除く)を同居させること」に加えて、但し書きとして、「但し、ここでいう『使用人』には、愛人、妾、2号とよばれる配偶者以外の者も含む」という記載をつけて、相手方の主張にそった改正を求め、今後、公務員が公舎や官舎を舞台に類似の行為を行っても、判断に二重基準が生じないような措置を取るよう促すことにしている。     以上
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