■市民オンブズマン群馬は本日午前11時に、東京地検特捜部を訪れて、小渕優子・代議士による無登録、無資格による観劇ツアーにかかる輸送サービス及び付帯サービスの提供に対して、同人に対する旅行業法違反容疑で告発状を改めて提出しました。内容は次のとおりです。
**********
告 発 状
告発人
住所 群馬県安中市野殿980番地
職業 会社員(市民オンブズマン群馬 代表)
氏名 小川 賢(昭和27年3月5日生) 印
住所 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
職業 自営業(市民オンブズマン群馬 事務局長)
氏名 鈴木 庸(昭和26年9月10日生) 印
被告発人
住所 東京都千代田区永田町2-1-2 衆議院第二議員会館823号室
職業 衆議院議員
氏名 小渕優子
平成27年6月23日
東京地方検察庁特捜部長殿
第1 告発の趣旨
被告発人の告発事実記載の所為は、旅行業法第3条に定める登録義務を欠いたまま、旅行業法第2条第1項第1号(運送のサービス提供に関わる企画・募集・手配等の業務)、同第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)を実施したことで同法違反に該当すると思料するので、同人に対する厳重なる処罰を求めて告発をする。
第2 告発事実
被告発人は公職である衆議院議員であるところ、旅行業法第3条に定める「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」とする登録を受けないまま、すなわち旅行業法の資格を持たないまま、自らが主宰・代表する「小渕優子後援会」及び「自民党群馬県ふるさと振興支部」をして、旅行業法第2条第1項第1号に定める「対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為」に該当する事業を行わせた。
すなわち、募集要項を作って、代金を受け取るという行為が旅行業と定義づけられているのである。被告発人が後援会の名のもとに募集要項を作らせて、対価として一人当たり1万2000円を集めたのは明らかである。
具体的には、被告発人自らが主催・代表する政治団体に「小渕優子後援会女性部大会」を企画させ、「群馬」「高崎」ナンバーの大型バス26台をチャーターさせて、群馬第5選挙区内の投票人ら約1000人を対象に、一人当たり1万2000円を会費名目で徴収させ、東京・日本橋浜町の「明治座」における天童よしみショーの観劇ツアーを平成26年10月8日に実行させた。
明治座のエントランスに掛かっていたボードには「本日の御予約団体様」として、〈昼の部 小渕優子後援会女性部大会〉とされていた。
なお、被告発者は2014年10月20日に経産相を辞任する際の記者会見では、昼と夜の2部にわけて小渕優子後援会女性部大会を企画したと説明している。
また、観劇ツアーに参加した選挙人全員に対して、昼食として明治座の弁当を提供させていた。
なお、観劇ツアーの会費は被告発人の後援会の地区ごとの代表者を通して被告発人の秘書が選挙人らから現金で集め、自らの後援会の事務所などで管理させていた。
以上の事実によれば、無資格のまま、旅行業法第2条第1項第1号(運送のサービス提供に係る企画・募集・手配等の業務)の観点から、群馬バスなどのバス会社と運送サービスの提供に係るやりとりを行ったことや、同じく無資格のまま、同法第2条第1項第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)の観点から、明治座と観劇や食事など付帯サービスの提供に係るやりとりを行ったことは明らかである。
なお、被告発人はそれ以前にも毎年同様の観劇ツアーを実施したり、後楽園球場での巨人戦の観戦ツアーも実施したりしたことが報じられている。
第3 添付資料
1 「週刊新潮」平成26年10月23日号関連記事 1通
**********
なお、東京地検を訪問するにあたって、特捜部の担当者に面談を申し入れたのですが、残念ながら多忙を理由に、また事前のアポイントもないということで、直接会えませんでした。そこで、前回同様に、東京地検の文書課の担当者に応対してもらい、事情を説明するとともに、あくまで「東京地検特捜部からのコメントにより、修正が必要と思われる箇所を見直した結果、再度告発状を提出する」という当会のスタンスを理解していただきました。
そして、控え様に持参した告発状の最後に、受領確認の署名と押印をしていただきました↓
20150623_tokyochiken_obuchiyuko_ryokougyohouihan_kokuhatujo_juryoukakunin.pdf
■今回、小渕優子・前経産相に対する告発状の再提出に至った経緯は次のとおりです。
市民オンブズマン群馬は、2014年10月20日に代議士・小渕優子を公職選挙法及び政治資金規正法違反容疑で告発した件に引き続き、同23日に中之条町長(当時)・折田謙一郎を政治資金規正法違反容疑で告発しました。その後、10月31日には、代議士・小渕優子に対する差替えのための告発状と、前中之条町長・折田謙一郎に対する追加の告発状を東京地検に提出しました。
これらについては、2015年4月28日付で東京地検から、小渕優子については、いずれも不起訴(嫌疑不十分)、折田謙一郎については、小渕優子の関係の後援会の収支報告の虚偽記載については在宅での起訴となりましたが、折田自身の後援会の収支報告の虚偽記載については不起訴(嫌疑不十分)という処分告知書が当会に送られてきました。
上記の一連の告発に加えて、当会では、代議士・小渕優子が経産相を辞任するきっかけとなった東京への観劇ツアーについて、小渕優子が旅行業法に定めた登録をしないまま、旅行業法に定めた行為をした容疑で、2014年11月21日に、東京地検特捜部に旅行業法違反で告発をしました。その根拠等は当時、取材の報道陣には次のように説明しておきました。
1.告発根拠
今回、旅行業法違反で告発した根拠は次の通りです。
旅行業法では、「運送」と「宿泊」のサービス提供に関わる、企画・募集・手配等の業務を「旅行業」と定義されています。(旅行業法第2条第1項第1号)
また、運送・宿泊以外のサービス提供、たとえば「食事の提供」「観光施設等への入場」「体験プログラム」等については、運送・宿泊のサービスに付随して取り扱う場合に限って「旅行業」となります。(旅行業法第2条第1項第2号)
また、被告発人が仮にこれらの行為を、利益を得ずに行っていたとしても、「旅行業法施行要領」により、(1) 事業者が法第2条第1項各号に掲げる行為を行うことによって、経済的収入を得ていれば報酬となり得ます。また、(2) 企画旅行のように包括料金で取引されるものは、旅行者から収受した金銭は全て一旦事業者の収入として計上されるので、報酬を得ているものと認められます。
さらに、行程全体に対して「参加費お一人様1万2000円」という形で、募集した時点で、包括料金での取引となります。
この場合、利益が出なくても、たとえ赤字でも、一旦事業者の収入となるので、報酬を得ていると判断され、旅行業法の適用を受けるため、旅行業法の登録のない者が行うと違法と判断されます。
報酬を得て法第2条第1項各号に掲げる行為を行うのであれば旅行業の登録が必要になります。
さらに、旅行業法では、不特定多数とか会員のみだとかの制約は特にないため、自分の後援会内のネットワークのみで募集とか、後援会女性部だけを対象に募集とかは、関係ないと思料します。
これらのことから、被告発人の所為は、旅行業法違反で罰せられることになります。
2.観劇ツアーの収支に関する疑義
週刊誌の記事によれば、小渕優子後援会などが主催した東京観劇ツアーの旅行代金は一人当たり1万2000円だと報じられています。
その費用の内訳として、旅行業に長年携わっていたことのある当会会員の話によれば、バス代とバスに関する雑費(乗務員費用と通行料など)で、群馬県から東京まで往復した場合の一人当たりの単価は3000円前後です。したがって、バス1台当たりチャーター費用としては、
約3000円×バス1台の乗車人員40人=約12万円
となります。
ちなみに、バス会社に対しても、相当の値引き交渉をすることが、後援会のツアー計画時の常識であり、26台を同じ日にバス会社の予約の都合に合わせて日程を組んだということも考えられるため、さらに安く仕入れた可能性もあります。
つまり、約12万円あれば、大型バス1台あたりの、東京往復のバス代とバスに関する費用は賄えます。
残額9000円のうちの、劇場(東京・明治座)に払った金額がいくらかがポイントです。
劇場側、もしくは劇場と交渉した関係者が、実際に支払った金額を公開してくれれば、観劇ツアーで、被告発人がどのくらい儲けたのかが判明します。当然のことながら、もし、昼食代の費用を一人1000円と予測し、その1000円を差し引いて、単価8000円より安ければ、被告発人が利益を得たのは歴然です。
団体の貸切り料金は、公開しているチケット代の半分もしないのが通例のようです。確かに、週刊新潮などが報じているように幕の内弁当代として、単価1000円くらいはかかったのかもしれません。同様な規模の劇場の一つの公演を貸し切るのに、価格交渉をした結果、単価2000円で交渉できた、という経験があるということです。
したがって、明治座の場合、しかも昔から小渕恵三元首相の頃から、小渕ファミリーと関係の深い明治座であれば、バス26台を使って1000人を送り込めば、単価5000円×1000人=全部で500万円で、2時間~3時間、劇場を貸切るのは容易なことだ、という予測は十分可能だと思われます。
実際、500万円で貸し切っていても不思議ではありません。従って、単価ベースで、
バス3千円+弁当1千円+劇場代2千~5千円=計6千~9千円
が、観劇+食事のための仕入れ値となり、利益は一人6千~3千円となります。バス26台で1000人なら、600万~300万円が利益となる勘定になります。
今回の被告発人が後援会を通じて選挙人から一人1万2000円の代金を集めさせていた群馬発東京への日帰り観劇ツアーでは、バス26台分=1000人が集まれば、利益が発生しない方がおかしいというのが、業界の常識だということです。もし、明治座が食事代に単価5000円を費やしているとしたら、話は別ですが…。
なお、補足情報として、劇場公演の場合、「昼」と「夜」の1日2回の事例が多く、そのうちの「昼」の部は集客することが比較的難しいことから、「夜」の部の講演で利益を確保したうえでの「昼」の部の団体貸切の「割引率」は相当なものがあります。なぜなら「夜」の部の経費で、「昼」の部の経費を賄える部分もあるからです。
費用の内訳は、捜査権限を持つ東京地検特捜部であれば簡単に知り得ることでしょうが、マスコミ関係者からは「明治座に領収書の内訳をいくらきいても、教えようとしない。なにか都合の悪いことを隠している気がする」というコメントも聞きました。
ネットで、今回の小渕優子後援会による観劇ツアー問題で「有権者を接待した」と言う論調が広まっていますが、実際には話が逆だと思われます。
すなわち、観劇ツアーの開催により、一人1万2千円を徴収した範囲内でも、コストを抑えて利益を上げておきながら、さらに、明治座に8百数十万円の領収書を2通、それぞれ小渕優子後援会と、自民党群馬ふるさと振興支部とに出していることで、さらに、支出を水増しして、マネーロンダリングをすることで裏金を捻出している可能性が指摘されます。つまり、「2重でもうけた」という予測ができます。
結論として、集めた代金の総額と、支払った費用の内訳が正確に把握できれば、被告発人のマネーロンダリングの実態が把握できると思われます。すでに当時、特捜部では、地元群馬県において、関係者らからいろいろな観点から任意聴取していたことから、この観劇ツアーについても、詳細に情報を入手したことと思われました。当会のような市民団体としては、捜査権がありませんから、とりあえず告発状により東京地検特捜部の捜査を後押しできればよいと考えています。
■ところがその後、衆議院議員選挙が2014年12月14日に投開票された8日後の2014年12月22日付で、東京地検特捜部は当会の告発状の記載内容が不備だとして、返戻しました。返戻しの理由は次のとおりでした。
貴殿から提出されました「告発状」と題する書面(平成26年11月21日付け)1通及びその他の資料を拝見し,検討しました。
告発は,刑罰法規に該当する具体的な犯罪事実を捜査機関に申告して,犯人の処罰を求めるものですから,構成要件に該当する具体的な事実を具体的な証拠に基づき,できる限り特定して記載していただく必要があります。
しかしながら,前記各書面には,罰条の記載が無く,いかなる事実をもっていかなる罰条に触れるものとして告発する趣旨であるのか必ずしも判然としません。
また,前記各書面の記載から,被告発人が,旅行業法所定の登録を受けないままに旅行業を営んだ旨の旅行業法第3条違反を告発するものと仮定した場合であっても,当該犯罪が成立するとされる事実及び理由が不明と言わざるを得ません。
以上の点を御検討いただきたく,前記書面を返戻致します。
■その後、当会で旅行業法の条項を改めて吟味し、小渕優子による一連の観劇会の所業について検討を重ねた結果、次の結論に達しました。旅行業法では、同法第二条で「旅行業」を次のとおり定義しています。
対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為
要するに、この法律では「募集要項を作って、代金を受け取る」という行為を旅行業と言っています。続いて、同法第三条には「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」と定めています。
■小渕優子及びその関係する後援会は、いずれもこの登録を受けていないのは、明らかです。 まして、東京地検がその権限をもって調べれば容易に確認できるはずです。
そのことをきちんと東京地検特捜部に調べてもらいたいと願い、当会は2014年11月21日に告発状を郵送で提出しましたが、東京地検特捜部では告発状の記載内容が不明確なので、犯罪の成立についてよく理解できないため、よく告発状の記載内容を再検討するようにと、コメントを付けて、当会の告発状を送り返してきたのでした。
■そのため、東京地検からの返戻し理由を踏まえて、今回の再告発状では、前段にこのことを明記しました。
その上で、最初の告発状で、告発の趣旨として記載した旅行業法第二条第1項第1号(運送のサービス提供に係る企画・募集・手記等の業務)及び同第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)について、 運送のサービスを提供したバス会社とのやりとりや、観劇や食事など付帯サービスを提供した明治座とのやりとりの存在があったにちがいないと考えて、その旨追加で明記しました。
今回修正したあらたな告発状に対して、東京地検が受理をするのかどうか、そして仮に受理をした場合、どのような行動をとるのか、皆様と共に注視していきたいと思います。
また、旅行業法に詳しい一般社団法人全国旅行業協会や同協会群馬支部(=一般社団法人群馬県旅行業協会)にもこの問題について見解を求めることにしています。
■なお、当会は、この告発状の再提出にあわせて、群馬県庁の記者クラブで記者会見をしました。告発状提出の模様、および記者会見の様子は追って報告します。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
**********
告 発 状
告発人
住所 群馬県安中市野殿980番地
職業 会社員(市民オンブズマン群馬 代表)
氏名 小川 賢(昭和27年3月5日生) 印
住所 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
職業 自営業(市民オンブズマン群馬 事務局長)
氏名 鈴木 庸(昭和26年9月10日生) 印
被告発人
住所 東京都千代田区永田町2-1-2 衆議院第二議員会館823号室
職業 衆議院議員
氏名 小渕優子
平成27年6月23日
東京地方検察庁特捜部長殿
第1 告発の趣旨
被告発人の告発事実記載の所為は、旅行業法第3条に定める登録義務を欠いたまま、旅行業法第2条第1項第1号(運送のサービス提供に関わる企画・募集・手配等の業務)、同第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)を実施したことで同法違反に該当すると思料するので、同人に対する厳重なる処罰を求めて告発をする。
第2 告発事実
被告発人は公職である衆議院議員であるところ、旅行業法第3条に定める「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」とする登録を受けないまま、すなわち旅行業法の資格を持たないまま、自らが主宰・代表する「小渕優子後援会」及び「自民党群馬県ふるさと振興支部」をして、旅行業法第2条第1項第1号に定める「対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為」に該当する事業を行わせた。
すなわち、募集要項を作って、代金を受け取るという行為が旅行業と定義づけられているのである。被告発人が後援会の名のもとに募集要項を作らせて、対価として一人当たり1万2000円を集めたのは明らかである。
具体的には、被告発人自らが主催・代表する政治団体に「小渕優子後援会女性部大会」を企画させ、「群馬」「高崎」ナンバーの大型バス26台をチャーターさせて、群馬第5選挙区内の投票人ら約1000人を対象に、一人当たり1万2000円を会費名目で徴収させ、東京・日本橋浜町の「明治座」における天童よしみショーの観劇ツアーを平成26年10月8日に実行させた。
明治座のエントランスに掛かっていたボードには「本日の御予約団体様」として、〈昼の部 小渕優子後援会女性部大会〉とされていた。
なお、被告発者は2014年10月20日に経産相を辞任する際の記者会見では、昼と夜の2部にわけて小渕優子後援会女性部大会を企画したと説明している。
また、観劇ツアーに参加した選挙人全員に対して、昼食として明治座の弁当を提供させていた。
なお、観劇ツアーの会費は被告発人の後援会の地区ごとの代表者を通して被告発人の秘書が選挙人らから現金で集め、自らの後援会の事務所などで管理させていた。
以上の事実によれば、無資格のまま、旅行業法第2条第1項第1号(運送のサービス提供に係る企画・募集・手配等の業務)の観点から、群馬バスなどのバス会社と運送サービスの提供に係るやりとりを行ったことや、同じく無資格のまま、同法第2条第1項第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)の観点から、明治座と観劇や食事など付帯サービスの提供に係るやりとりを行ったことは明らかである。
なお、被告発人はそれ以前にも毎年同様の観劇ツアーを実施したり、後楽園球場での巨人戦の観戦ツアーも実施したりしたことが報じられている。
第3 添付資料
1 「週刊新潮」平成26年10月23日号関連記事 1通
**********
なお、東京地検を訪問するにあたって、特捜部の担当者に面談を申し入れたのですが、残念ながら多忙を理由に、また事前のアポイントもないということで、直接会えませんでした。そこで、前回同様に、東京地検の文書課の担当者に応対してもらい、事情を説明するとともに、あくまで「東京地検特捜部からのコメントにより、修正が必要と思われる箇所を見直した結果、再度告発状を提出する」という当会のスタンスを理解していただきました。
そして、控え様に持参した告発状の最後に、受領確認の署名と押印をしていただきました↓
20150623_tokyochiken_obuchiyuko_ryokougyohouihan_kokuhatujo_juryoukakunin.pdf
■今回、小渕優子・前経産相に対する告発状の再提出に至った経緯は次のとおりです。
市民オンブズマン群馬は、2014年10月20日に代議士・小渕優子を公職選挙法及び政治資金規正法違反容疑で告発した件に引き続き、同23日に中之条町長(当時)・折田謙一郎を政治資金規正法違反容疑で告発しました。その後、10月31日には、代議士・小渕優子に対する差替えのための告発状と、前中之条町長・折田謙一郎に対する追加の告発状を東京地検に提出しました。
これらについては、2015年4月28日付で東京地検から、小渕優子については、いずれも不起訴(嫌疑不十分)、折田謙一郎については、小渕優子の関係の後援会の収支報告の虚偽記載については在宅での起訴となりましたが、折田自身の後援会の収支報告の虚偽記載については不起訴(嫌疑不十分)という処分告知書が当会に送られてきました。
上記の一連の告発に加えて、当会では、代議士・小渕優子が経産相を辞任するきっかけとなった東京への観劇ツアーについて、小渕優子が旅行業法に定めた登録をしないまま、旅行業法に定めた行為をした容疑で、2014年11月21日に、東京地検特捜部に旅行業法違反で告発をしました。その根拠等は当時、取材の報道陣には次のように説明しておきました。
1.告発根拠
今回、旅行業法違反で告発した根拠は次の通りです。
旅行業法では、「運送」と「宿泊」のサービス提供に関わる、企画・募集・手配等の業務を「旅行業」と定義されています。(旅行業法第2条第1項第1号)
また、運送・宿泊以外のサービス提供、たとえば「食事の提供」「観光施設等への入場」「体験プログラム」等については、運送・宿泊のサービスに付随して取り扱う場合に限って「旅行業」となります。(旅行業法第2条第1項第2号)
また、被告発人が仮にこれらの行為を、利益を得ずに行っていたとしても、「旅行業法施行要領」により、(1) 事業者が法第2条第1項各号に掲げる行為を行うことによって、経済的収入を得ていれば報酬となり得ます。また、(2) 企画旅行のように包括料金で取引されるものは、旅行者から収受した金銭は全て一旦事業者の収入として計上されるので、報酬を得ているものと認められます。
さらに、行程全体に対して「参加費お一人様1万2000円」という形で、募集した時点で、包括料金での取引となります。
この場合、利益が出なくても、たとえ赤字でも、一旦事業者の収入となるので、報酬を得ていると判断され、旅行業法の適用を受けるため、旅行業法の登録のない者が行うと違法と判断されます。
報酬を得て法第2条第1項各号に掲げる行為を行うのであれば旅行業の登録が必要になります。
さらに、旅行業法では、不特定多数とか会員のみだとかの制約は特にないため、自分の後援会内のネットワークのみで募集とか、後援会女性部だけを対象に募集とかは、関係ないと思料します。
これらのことから、被告発人の所為は、旅行業法違反で罰せられることになります。
2.観劇ツアーの収支に関する疑義
週刊誌の記事によれば、小渕優子後援会などが主催した東京観劇ツアーの旅行代金は一人当たり1万2000円だと報じられています。
その費用の内訳として、旅行業に長年携わっていたことのある当会会員の話によれば、バス代とバスに関する雑費(乗務員費用と通行料など)で、群馬県から東京まで往復した場合の一人当たりの単価は3000円前後です。したがって、バス1台当たりチャーター費用としては、
約3000円×バス1台の乗車人員40人=約12万円
となります。
ちなみに、バス会社に対しても、相当の値引き交渉をすることが、後援会のツアー計画時の常識であり、26台を同じ日にバス会社の予約の都合に合わせて日程を組んだということも考えられるため、さらに安く仕入れた可能性もあります。
つまり、約12万円あれば、大型バス1台あたりの、東京往復のバス代とバスに関する費用は賄えます。
残額9000円のうちの、劇場(東京・明治座)に払った金額がいくらかがポイントです。
劇場側、もしくは劇場と交渉した関係者が、実際に支払った金額を公開してくれれば、観劇ツアーで、被告発人がどのくらい儲けたのかが判明します。当然のことながら、もし、昼食代の費用を一人1000円と予測し、その1000円を差し引いて、単価8000円より安ければ、被告発人が利益を得たのは歴然です。
団体の貸切り料金は、公開しているチケット代の半分もしないのが通例のようです。確かに、週刊新潮などが報じているように幕の内弁当代として、単価1000円くらいはかかったのかもしれません。同様な規模の劇場の一つの公演を貸し切るのに、価格交渉をした結果、単価2000円で交渉できた、という経験があるということです。
したがって、明治座の場合、しかも昔から小渕恵三元首相の頃から、小渕ファミリーと関係の深い明治座であれば、バス26台を使って1000人を送り込めば、単価5000円×1000人=全部で500万円で、2時間~3時間、劇場を貸切るのは容易なことだ、という予測は十分可能だと思われます。
実際、500万円で貸し切っていても不思議ではありません。従って、単価ベースで、
バス3千円+弁当1千円+劇場代2千~5千円=計6千~9千円
が、観劇+食事のための仕入れ値となり、利益は一人6千~3千円となります。バス26台で1000人なら、600万~300万円が利益となる勘定になります。
今回の被告発人が後援会を通じて選挙人から一人1万2000円の代金を集めさせていた群馬発東京への日帰り観劇ツアーでは、バス26台分=1000人が集まれば、利益が発生しない方がおかしいというのが、業界の常識だということです。もし、明治座が食事代に単価5000円を費やしているとしたら、話は別ですが…。
なお、補足情報として、劇場公演の場合、「昼」と「夜」の1日2回の事例が多く、そのうちの「昼」の部は集客することが比較的難しいことから、「夜」の部の講演で利益を確保したうえでの「昼」の部の団体貸切の「割引率」は相当なものがあります。なぜなら「夜」の部の経費で、「昼」の部の経費を賄える部分もあるからです。
費用の内訳は、捜査権限を持つ東京地検特捜部であれば簡単に知り得ることでしょうが、マスコミ関係者からは「明治座に領収書の内訳をいくらきいても、教えようとしない。なにか都合の悪いことを隠している気がする」というコメントも聞きました。
ネットで、今回の小渕優子後援会による観劇ツアー問題で「有権者を接待した」と言う論調が広まっていますが、実際には話が逆だと思われます。
すなわち、観劇ツアーの開催により、一人1万2千円を徴収した範囲内でも、コストを抑えて利益を上げておきながら、さらに、明治座に8百数十万円の領収書を2通、それぞれ小渕優子後援会と、自民党群馬ふるさと振興支部とに出していることで、さらに、支出を水増しして、マネーロンダリングをすることで裏金を捻出している可能性が指摘されます。つまり、「2重でもうけた」という予測ができます。
結論として、集めた代金の総額と、支払った費用の内訳が正確に把握できれば、被告発人のマネーロンダリングの実態が把握できると思われます。すでに当時、特捜部では、地元群馬県において、関係者らからいろいろな観点から任意聴取していたことから、この観劇ツアーについても、詳細に情報を入手したことと思われました。当会のような市民団体としては、捜査権がありませんから、とりあえず告発状により東京地検特捜部の捜査を後押しできればよいと考えています。
■ところがその後、衆議院議員選挙が2014年12月14日に投開票された8日後の2014年12月22日付で、東京地検特捜部は当会の告発状の記載内容が不備だとして、返戻しました。返戻しの理由は次のとおりでした。
貴殿から提出されました「告発状」と題する書面(平成26年11月21日付け)1通及びその他の資料を拝見し,検討しました。
告発は,刑罰法規に該当する具体的な犯罪事実を捜査機関に申告して,犯人の処罰を求めるものですから,構成要件に該当する具体的な事実を具体的な証拠に基づき,できる限り特定して記載していただく必要があります。
しかしながら,前記各書面には,罰条の記載が無く,いかなる事実をもっていかなる罰条に触れるものとして告発する趣旨であるのか必ずしも判然としません。
また,前記各書面の記載から,被告発人が,旅行業法所定の登録を受けないままに旅行業を営んだ旨の旅行業法第3条違反を告発するものと仮定した場合であっても,当該犯罪が成立するとされる事実及び理由が不明と言わざるを得ません。
以上の点を御検討いただきたく,前記書面を返戻致します。
■その後、当会で旅行業法の条項を改めて吟味し、小渕優子による一連の観劇会の所業について検討を重ねた結果、次の結論に達しました。旅行業法では、同法第二条で「旅行業」を次のとおり定義しています。
対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為
要するに、この法律では「募集要項を作って、代金を受け取る」という行為を旅行業と言っています。続いて、同法第三条には「旅行業又は旅行業者代理業を営もうとする者は、観光庁長官の行う登録を受けなければならない」と定めています。
■小渕優子及びその関係する後援会は、いずれもこの登録を受けていないのは、明らかです。 まして、東京地検がその権限をもって調べれば容易に確認できるはずです。
そのことをきちんと東京地検特捜部に調べてもらいたいと願い、当会は2014年11月21日に告発状を郵送で提出しましたが、東京地検特捜部では告発状の記載内容が不明確なので、犯罪の成立についてよく理解できないため、よく告発状の記載内容を再検討するようにと、コメントを付けて、当会の告発状を送り返してきたのでした。
■そのため、東京地検からの返戻し理由を踏まえて、今回の再告発状では、前段にこのことを明記しました。
その上で、最初の告発状で、告発の趣旨として記載した旅行業法第二条第1項第1号(運送のサービス提供に係る企画・募集・手記等の業務)及び同第2号(運送以外のサービス提供として食事の提供、観光施設等への入場など付帯サービス)について、 運送のサービスを提供したバス会社とのやりとりや、観劇や食事など付帯サービスを提供した明治座とのやりとりの存在があったにちがいないと考えて、その旨追加で明記しました。
今回修正したあらたな告発状に対して、東京地検が受理をするのかどうか、そして仮に受理をした場合、どのような行動をとるのか、皆様と共に注視していきたいと思います。
また、旅行業法に詳しい一般社団法人全国旅行業協会や同協会群馬支部(=一般社団法人群馬県旅行業協会)にもこの問題について見解を求めることにしています。
■なお、当会は、この告発状の再提出にあわせて、群馬県庁の記者クラブで記者会見をしました。告発状提出の模様、および記者会見の様子は追って報告します。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】