高齢者2割負担の段階的導入を提言、厚労省
社保審医療保険部会、「政治が法治国家の仕組み歪めた」との指摘も
厚生労働省は11月16日に社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の第58回会議を開き、70~74歳の高齢者が支払う医療費の自己負担の在り方や、高齢者医療への支援金を各健康保険組合が加入者の給与水準に応じて負担にする「総報酬割」の導入などについて議論した。
高齢者の患者負担を段階的に1割から2割に引き上げる厚労省案に賛否が呈せられる一方、法定の2割負担を凍結している政府の対応について、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、「政治が法治国家の仕組みを歪めている」と問題視した。
高齢者の患者負担について、厚労省は70歳に到達する人から段階的に2割負担とすることで、5年間かけて70~74歳の高齢者への2割負担を全面的に導入する案を提案した上で、見直しの開始時期などの論点を示した。委員からは、2割負担の導入を反対する意見、全面導入を求める意見、段階的導入を支持する意見に分かれた。
日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、「消費税も上がり、年金に頼る高齢者が受診抑制して症状が悪化する可能性もある。1割負担にとどめるべき」と発言。日本歯科医師会常務理事の堀憲郎氏も、「70~74歳は重要な時期で、受診抑制で症状が悪化するとその後の質の高い生活ができなくなることが懸念される」として1割負担の据え置きを訴えた。
これに対して白川氏は、「この場では『1割負担がいい』などとは全く違う議論が行われるべき。
高齢者の2割負担は法律で定められている。
それを5年間実施してこなかったことが問題の本質だ。
法治国家である以上は、法律が定められたらそれに則ることは当然のことだが、政治がこの当たり前の仕組みを歪めてしまったと言わざるを得ない」と批判。
その上で、厚労省が提案する段階的な2割負担への移行についても、「来年度から法律に定められた通りに直ちに実施すべき」と述べた。
全国健康保険協会理事長の小林剛氏も、高齢者の患者負担に対する政府の特例予算措置を批判した上で、「段階的負担増でいいと思う。これなら国民の理解も得られる」と発言。
NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子氏は、「2割負担への移行を先送りした結果、消費税増税目前の最悪の時期での導入になるが、法律に則って粛々と行うべき。
ただ、低所得者層に十分に配慮し、受診抑制につながらないようにすべき」と低所得者層への配慮を条件に2割負担への移行を支持した。
ほかにも「手続き的に問題があるので、1割負担がいいなら法改正した上で1割負担にすべき」(東京大学大学院経済学研究科教授の岩本康志)、「ここで政府がけしからんという議論をしても仕方がない」(日本労働組合総連合会副事務局長の菅家功氏)などの意見があったが、意見はまとまらず、遠藤会長は「次回も継続審議する」と述べた。
総報酬制、世代間の公平性の視点から疑義も
総報酬割について白川氏は、「公平性の観点からあり得る」と述べ、導入を支持した上で、全国健康保険協会(協会けんぽ)が総報酬割に全面移行した場合の負担額を試算した厚労省の資料について「協会けんぽの現行の後期高齢者支援金の負担額は1兆8100億円とあるが、このうち2100億円は国からの助成金。
すべてを総報酬割にすると負担額は1兆6000億円になって2100億円のマイナスとしてあるが、これは協会けんぽの保険料ではなく、(報酬差を埋める名目が助成金になくなるため)国の助成金が引き上げられるという意味だ」と解説。
この浮いた分の助成金について白川氏は、「財務省がほかの項目で使ったり、協会けんぽが別の項目で使うという可能性はあるが、団塊世代が入ってくると負担が重くなる前期高齢者の負担に2100億円を使うのがいいのではないか」と提案。
小林氏は白川氏の発言について「特にコメントすることはない」と述べた。
菅家氏は「そもそも、いつまでも支援金という制度を維持し続けるのか。被用者保険全体の45%の財源を前期と後期の高齢者支援に充て、自分たちの保険集団とは関係のないところに持っていかれている。高齢化がさらに進んで、この45%が5割を超え、6割に近づいた時、いったいこれは保険制度として何なのか。保険制度の在り方の問題があることを認識しないといけない」と問題提起。
さらに、「総報酬割にすると公平と言うが、ではそれを支える現役世代に対しての公平性はどうなのかという歴然とした問題がある。もっと根本の議論をした上で、個別の議論をしなければ意味がない」と訴えた。
社保審医療保険部会では、70~74歳の高齢者が支払う医療費の自己負担について、70歳に到達する人から段階的に2割負担とする厚労省案を軸に意見交換した。
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社保審医療保険部会、「政治が法治国家の仕組み歪めた」との指摘も
厚生労働省は11月16日に社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の第58回会議を開き、70~74歳の高齢者が支払う医療費の自己負担の在り方や、高齢者医療への支援金を各健康保険組合が加入者の給与水準に応じて負担にする「総報酬割」の導入などについて議論した。
高齢者の患者負担を段階的に1割から2割に引き上げる厚労省案に賛否が呈せられる一方、法定の2割負担を凍結している政府の対応について、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、「政治が法治国家の仕組みを歪めている」と問題視した。
高齢者の患者負担について、厚労省は70歳に到達する人から段階的に2割負担とすることで、5年間かけて70~74歳の高齢者への2割負担を全面的に導入する案を提案した上で、見直しの開始時期などの論点を示した。委員からは、2割負担の導入を反対する意見、全面導入を求める意見、段階的導入を支持する意見に分かれた。
日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、「消費税も上がり、年金に頼る高齢者が受診抑制して症状が悪化する可能性もある。1割負担にとどめるべき」と発言。日本歯科医師会常務理事の堀憲郎氏も、「70~74歳は重要な時期で、受診抑制で症状が悪化するとその後の質の高い生活ができなくなることが懸念される」として1割負担の据え置きを訴えた。
これに対して白川氏は、「この場では『1割負担がいい』などとは全く違う議論が行われるべき。
高齢者の2割負担は法律で定められている。
それを5年間実施してこなかったことが問題の本質だ。
法治国家である以上は、法律が定められたらそれに則ることは当然のことだが、政治がこの当たり前の仕組みを歪めてしまったと言わざるを得ない」と批判。
その上で、厚労省が提案する段階的な2割負担への移行についても、「来年度から法律に定められた通りに直ちに実施すべき」と述べた。
全国健康保険協会理事長の小林剛氏も、高齢者の患者負担に対する政府の特例予算措置を批判した上で、「段階的負担増でいいと思う。これなら国民の理解も得られる」と発言。
NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子氏は、「2割負担への移行を先送りした結果、消費税増税目前の最悪の時期での導入になるが、法律に則って粛々と行うべき。
ただ、低所得者層に十分に配慮し、受診抑制につながらないようにすべき」と低所得者層への配慮を条件に2割負担への移行を支持した。
ほかにも「手続き的に問題があるので、1割負担がいいなら法改正した上で1割負担にすべき」(東京大学大学院経済学研究科教授の岩本康志)、「ここで政府がけしからんという議論をしても仕方がない」(日本労働組合総連合会副事務局長の菅家功氏)などの意見があったが、意見はまとまらず、遠藤会長は「次回も継続審議する」と述べた。
総報酬制、世代間の公平性の視点から疑義も
総報酬割について白川氏は、「公平性の観点からあり得る」と述べ、導入を支持した上で、全国健康保険協会(協会けんぽ)が総報酬割に全面移行した場合の負担額を試算した厚労省の資料について「協会けんぽの現行の後期高齢者支援金の負担額は1兆8100億円とあるが、このうち2100億円は国からの助成金。
すべてを総報酬割にすると負担額は1兆6000億円になって2100億円のマイナスとしてあるが、これは協会けんぽの保険料ではなく、(報酬差を埋める名目が助成金になくなるため)国の助成金が引き上げられるという意味だ」と解説。
この浮いた分の助成金について白川氏は、「財務省がほかの項目で使ったり、協会けんぽが別の項目で使うという可能性はあるが、団塊世代が入ってくると負担が重くなる前期高齢者の負担に2100億円を使うのがいいのではないか」と提案。
小林氏は白川氏の発言について「特にコメントすることはない」と述べた。
菅家氏は「そもそも、いつまでも支援金という制度を維持し続けるのか。被用者保険全体の45%の財源を前期と後期の高齢者支援に充て、自分たちの保険集団とは関係のないところに持っていかれている。高齢化がさらに進んで、この45%が5割を超え、6割に近づいた時、いったいこれは保険制度として何なのか。保険制度の在り方の問題があることを認識しないといけない」と問題提起。
さらに、「総報酬割にすると公平と言うが、ではそれを支える現役世代に対しての公平性はどうなのかという歴然とした問題がある。もっと根本の議論をした上で、個別の議論をしなければ意味がない」と訴えた。
社保審医療保険部会では、70~74歳の高齢者が支払う医療費の自己負担について、70歳に到達する人から段階的に2割負担とする厚労省案を軸に意見交換した。
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