【皇太子ご夫妻ご成婚20年記念特集】(2)
昭和61年10月18日、東京・元赤坂の東宮御所では、スペインのエレナ王女を招いてレセプションが行われていた。まだ、立太子の礼の前で「浩宮徳仁(なるひと)さま」と呼ばれていた皇太子さまは、そこで小和田雅子さん、後の皇太子妃雅子さまと出会われた。当時、皇太子さま26歳、雅子さまは22歳。外務省幹部だった父親、小和田恒(ひさし)さん(80)のご令嬢として出席されていたのだ。
日本のプリンスと、米ハーバード大学を卒業し外務省入りする才女。おふたりはまだこのとき、その後の運命を知られる術もなかった。緊張気味にあいさつされる雅子さまに、皇太子さまは穏やかに話をされ、会話は少しずつ弾んだ。
「非常に強いというか、いい印象を受けました。まず、控えめでいらっしゃるんだけれども、自分の思っていることをはっきりとおっしゃって、それでいて、非常に聡明(そうめい)である」「お互いに心が通じ合うというような、そういう感じを強く持ちました」
わずか2、3分程度の時間だったが、皇太子さまは、この際のことを、平成5年のご婚約会見で、こう振り返られている。雅子さまも「とても気さくで、かつすごく配慮のある方」と感じていたと、やはりご婚約会見で明かされている。