「僕、死ぬ」と何度も 元気な中に募るストレス 「いのち、結んで 日本骨髄バンク30年」
2022年6月8日 (水)配信共同通信社
大阪府豊中市に住んでいた会社員田中浩章(たなか・ひろあき)(45)の長男謙智(けんち)(5)は2021年7月、血液の難病「特発性再生不良性貧血」の治療のため、名古屋市の病院に入院した。病室には主に母友希(ゆき)(43)が付き添い、浩章は仕事を続けながら近くに借りたアパートに住み込み、闘病生活を支えた。
再生不良性貧血は骨髄の中の「造血幹細胞」に異常が起き、赤血球や白血球、血小板が減少する病気。貧血になりやすいほか、感染症への抵抗力が落ちたり、出血が止まらなくなったりするなどの症状が現れる。謙智の治療には、造血幹細胞を攻撃するリンパ球の働きを抑えて血をつくる能力を回復させる「免疫抑制療法」が取られることになった。
謙智に与えられたスペースは、カーテンで仕切られた4人部屋の一角。ベッド二つほどの空間で、主に友希と2人で一日の大半を過ごさなければならない。採血や輸血などのため、左腕には心臓まで伸びる中心静脈カテーテルがつながれている。免疫抑制療法は、全身がむくむなどの副作用がある。
血液のがんである白血病とは異なり
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