Dr.北村が語る現代思春期:痩せでも肥満でも月経異常に 適正な体重コントロールを
2018年3月12日 (月)配信毎日新聞社
BMI(Body Mass Index)についてご存じですか。成人の肥満判定に用いられる指標で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値をBMIと言います。日本肥満学会ではBMI25・0以上を肥満、18・5未満を痩せ、18・5以上25・0未満を普通体重と定義しています。ちなみに、僕は22・1でした。
2016年「国民健康・栄養調査」の結果によると、日本人の肥満の割合は男性31・3%、女性20・6%であり、この10年間、男女とも有意な増減はみられませんが、痩せは男性4・4%、女性11・6%で、女性では有意に増加していることがわかります。なお、20歳代女性の肥満の割合は9・5%、痩せは20・7%ですから、依然として、女性には痩せ願望の強いことが見て取れます。
痩せと肥満ですが、月経異常になる割合をみると、V字カーブを作ることが知られています。すなわち、体重が多くても、少なくても、月経異常の頻度が上がるという意味です。月経周期は、月経のあった日から次の月経の前日までの日数を数えますが、正常周期は25日から38日の間にあって、その変動が6日以内であると定義されています。月経周期は、排卵を中心としてダイナミックな女性ホルモンの変動によって作られ、この女性ホルモンは痩せでも肥満でも分泌量が減少し、結果として、続発性無月経といって3カ月以上月経が来ないような事態になります。
日本産科婦人科学会が18歳以下の続発性無月経280例を対象に行った調査によれば、原因の第1位は減食によるもの(43・6%)、次いで環境などのストレスによるもの(10・7%)、過度のスポーツ(7・0%)、過食(6・3%)、代謝内分泌疾患(2・7%)、その他・不明となっていました。体重減少による無月経は、一般に、3カ月に15~20%以上体重が減少すると起こることが多いと言われています。中には、神経性食欲不振症といって、摂食異常と痩せ、エストロゲン分泌の減少、無月経、精神的には反社会的行動やうつ状態などを特徴とした病気が原因となっていることもあります。
続発性無月経は、性機能が未熟な思春期にしばしば認められますが、無月経の期間が長引くほど重症化し、治療が困難になります。「3カ月以上の無月経を放置しない」ように配慮し、原因の除去を最優先した治療が必要となるので、婦人科での受診をお勧めします。痩せでも肥満でも不適切な食習慣を適正化し体重をコントロールすることが大切であることは言うまでもありませんが、「言うは易(やす)く行うは難し」ですよね。(日本家族計画協会クリニック所長、北村邦夫)
2018年3月12日 (月)配信毎日新聞社
BMI(Body Mass Index)についてご存じですか。成人の肥満判定に用いられる指標で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値をBMIと言います。日本肥満学会ではBMI25・0以上を肥満、18・5未満を痩せ、18・5以上25・0未満を普通体重と定義しています。ちなみに、僕は22・1でした。
2016年「国民健康・栄養調査」の結果によると、日本人の肥満の割合は男性31・3%、女性20・6%であり、この10年間、男女とも有意な増減はみられませんが、痩せは男性4・4%、女性11・6%で、女性では有意に増加していることがわかります。なお、20歳代女性の肥満の割合は9・5%、痩せは20・7%ですから、依然として、女性には痩せ願望の強いことが見て取れます。
痩せと肥満ですが、月経異常になる割合をみると、V字カーブを作ることが知られています。すなわち、体重が多くても、少なくても、月経異常の頻度が上がるという意味です。月経周期は、月経のあった日から次の月経の前日までの日数を数えますが、正常周期は25日から38日の間にあって、その変動が6日以内であると定義されています。月経周期は、排卵を中心としてダイナミックな女性ホルモンの変動によって作られ、この女性ホルモンは痩せでも肥満でも分泌量が減少し、結果として、続発性無月経といって3カ月以上月経が来ないような事態になります。
日本産科婦人科学会が18歳以下の続発性無月経280例を対象に行った調査によれば、原因の第1位は減食によるもの(43・6%)、次いで環境などのストレスによるもの(10・7%)、過度のスポーツ(7・0%)、過食(6・3%)、代謝内分泌疾患(2・7%)、その他・不明となっていました。体重減少による無月経は、一般に、3カ月に15~20%以上体重が減少すると起こることが多いと言われています。中には、神経性食欲不振症といって、摂食異常と痩せ、エストロゲン分泌の減少、無月経、精神的には反社会的行動やうつ状態などを特徴とした病気が原因となっていることもあります。
続発性無月経は、性機能が未熟な思春期にしばしば認められますが、無月経の期間が長引くほど重症化し、治療が困難になります。「3カ月以上の無月経を放置しない」ように配慮し、原因の除去を最優先した治療が必要となるので、婦人科での受診をお勧めします。痩せでも肥満でも不適切な食習慣を適正化し体重をコントロールすることが大切であることは言うまでもありませんが、「言うは易(やす)く行うは難し」ですよね。(日本家族計画協会クリニック所長、北村邦夫)
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