講演会:「認知症、不幸じゃない」 妻みとった男性が講演 橿原 /奈良
2022年11月20日 (日)配信毎日新聞社
講演会:「認知症、不幸じゃない」 妻みとった男性が講演 橿原 /奈良
認知症当事者らが体験を語る講演会が19日、県橿原文化会館(橿原市北八木町3)であり、若年性認知症の妻を10年間の介護の末にみとった大淀町の元自衛官、正楽忠司さん(73)が演壇に立った。正楽さんは介護を通じて得られた人生観や出会えた人などのことを紹介し、「不便ではあっても、決して不幸ではない」と訴えた。
講演会は認知症家族の自助団体「認知症家族交流会なないろ」(橿原市)の主催。
正楽さんが妻博子さんの変化に気付いたのは、2003年に陸上自衛隊を定年退職して間もなくのことだ。05年には若年性認知症と診断され、「真面目に生きてきたのにどうして」と泣きじゃくる博子さんに、かける言葉が見つからなかった。
それからは病気の進行を遅らそうと懸命に支え、「生きていても仕方ない」と泣く博子さんを励ました。しかし、診断の5年後には意思疎通が難しくなり、入院を余儀なくされた際には無力感と罪悪感で涙を流した。
肺炎を繰り返した博子さんは診断からちょうど10年後の15年4月、66歳で息を引き取った。自助団体に出会ったことで救われたという正楽さんは「先行きの見えない中で介護する家族も当事者。完璧を求めず、相談してほしい」と話した。【稲生陽】
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