コロナと夏風邪、熊本で「同時流行」 7月急増、小児救急は「すでに逼迫」
熊本県内で新型コロナウイルスの感染者が「第8波」ピーク時の半数相当に拡大し、乳幼児がかかりやすい夏風邪も複数の種類が同時流行している。重症化した子どもの治療や小児救急を担う熊本赤十字病院(熊本市東区)では7月以降、患者が急増。小児科医は「現場は既に逼迫[ひっぱく]しており、このまま増加が続けば受け入れが難しくなる」と危機感を募らせる。
2日午前1時。生後1カ月の赤ちゃんを抱いた母親が、小児救急外来に駆け込んできた。赤ちゃんは鼻水やせきの症状があり、おなかを激しく上下させて苦しそうに呼吸していた。
かかりつけ医から夏風邪の一種「RSウイルス」と診断されており、すぐに小児集中治療室(PICU)に運ばれた。小児集中治療科の平井克樹部長(50)は「3カ月未満の子どもがRSウイルスに感染すると、重症化しやすい。夜間に受け入れられなかったら、この子も命の危険があった」と話す。
熊本赤十字病院は24時間体制の小児救急外来と入院病棟(32床)、PICU(8床)を運用する。感染症の患者の受け入れは4月ごろから増え始めた。
7月になると、月1500人前後だった外来患者は約1800人に急増。夜間の来院は1日に約30人、土日は1日約100~200人といずれも通常の3~4倍の患者が押し寄せており、待ち時間が2~3時間になることも珍しくない。
入院ベッドも常に満床に近い状況で、やむなく断る場合もある。
夜間当直はこれまで外来とPICUに医師を1人ずつ配置して対応していたが、患者の急増を受けて4月から1人増やし、両方をカバーさせている。小児救急外来の医師は17人で、当直を含めて「ぎりぎりの状態」で回しているという。
患者は5歳未満が中心で、RSウイルスのほか、同じく夏風邪症状のヘルパンギーナやヒトメタニューモ、インフルエンザが目立つ。新型コロナで重症化する子どもは少ないものの、7月には肺炎になった小学生が入院した。
平井部長は「今夏は複数の感染症の流行がだらだらと続き、終わりが見えない。これからお盆の帰省や旅行でさらに患者が増える恐れがあり、感染対策を徹底して拡大を防いでほしい」と話している。(清島理紗)
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