医療費月1千万円、最多 健保組合、背景に高額薬
2023年1月11日 (水)配信共同通信社
健康保険組合加入者の中で、2021年度に1カ月の医療費が1千万円以上となった患者が延べ1517人と過去最多を更新したことが10日分かった。11年から10年間で約8倍に増えた。高額医薬品が近年相次いで登場し、定着したことが背景にある。21年度は1億円以上も7人いた。健康保険組合連合会(健保連)がまとめた。
健保組合は約1400あり、大企業の社員や家族約2850万人が入る。患者の自己負担は、毎月の負担額に上限を設ける高額療養費制度などを活用すれば数十万円までで済む。残りは加入先の健保組合が負担する。
21年度の最高は1億6852万円。1億円以上の7人は、いずれも筋力が徐々に衰える脊髄性筋萎縮症の点滴薬「ゾルゲンスマ」を使った。20年に公的医療保険適用となり、投与は2歳未満の患者に1回限りで、薬価は1億6707万円とされた。
金額上位100人中48人が19年に保険適用された白血病などの点滴薬「キムリア」(3264万円)を使用。他に血友病治療に関する高額薬なども定着しつつある。
健保連は特定の健保組合の過重負担回避へ、高額な医療費が生じた組合に交付金を出している。
担当者は「新薬を待ち望む患者がおり、保険による費用負担は当然と考えるが、組合財政への影響は大きい」と強調。湿布薬のように市販品で代用できる薬を保険適用から外す案など、保険医療の範囲を改めて議論すべきだと提案する。
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