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第2回 過去の研究とはひと味違う!最新のたばこ論文

2018年03月21日 22時32分39秒 | 行政
第2回 過去の研究とはひと味違う!最新のたばこ論文
呼吸器 内山伸(浅草クリニック)
スペシャリストの視点2018年3月19日 (月)配信 一般内科疾患呼吸器疾患その他

今回扱う論文
Low cigarette consumption and risk of coronary heart disease and stroke: meta-analysis of 141 cohort studies in 55 study reports

はじめに
 「街を歩いていると、灰皿をよく投げ付けられた」
 小柄な男性は、大きなボディーガードに囲まれて会場に現れました。米ハーバード大学公衆衛生大学院に在籍していた時に開催された元ニューヨーク市長・ジュリアーニ氏の講演で、彼がニューヨークを禁煙にした際のエピソードを話してくれました。多くのレストラン経営者が「客が遠のく」「売り上げが下がる」などと反論するなど、大都市を禁煙にした苦労は計り知れないものだったようです。しかし、今や米国ではレストランなどが禁煙なのは当たり前。一方でどこかの国は、いまだに禁煙法案をどうするか議論しているくらいです。
 呼吸器内科医としては、ぜひとも日本も公共の場所を禁煙にして欲しいのですが、多くのステークホルダーが存在し、実現しないのが現状です。せめて東京オリンピックまでには何とかしてほしいと願っています。
 今回は、呼吸器に限らず、多くの診療科で問題となる喫煙についてのメタ解析がBMJ誌に発表されたので、その内容を吟味します。
論文の概要
 よくある“たばこと心血管系のリスク”を見た研究ではありますが、ほんの少したばこを吸っても心血管系のリスクが高まることを報告した点が注目されます。喫煙と冠動脈疾患・脳卒中のリスクとの関係を見ています。過去の同様の発表と違うこところは、以下の箇所です。
〈これまでで分かっていること〉
多くの喫煙者が喫煙量を大幅に減らすと、喫煙に関連する疾患のリスクを下げることができる
1997年の報告では、少量の喫煙数(1日5本以下)は予想よりも心疾患リスクが高かった
〈今回の研究で分かったこと〉
1日約1本喫煙する男性は、非喫煙者と比べて冠動脈疾患リスクが48%上昇し、脳卒中リスクが25%上昇する。
1日約1本喫煙する女性は、非喫煙者と比べて冠動脈疾患リスクが57%上昇し、脳卒中リスクが31%上昇する。
1日約1本吸う人は、1日20本喫煙した時と同じように、40-50%の超過リスクがある。
 なぜ“1本のたばこ”にこだわるのかと疑問に思ってIntroductionを読んでみると、英国で2009年から2014年の間に、1日1-5本吸う人の割合が18.2%から23.6%に増加しており、米国でも2005年から2014年の間に1日10本以下の喫煙者が16%から27%に増えているとのこと。喫煙量が少なければ、健康被害は大きくないと思っている人が多いという事実も、今回の研究を行った理由の一つだそうです。

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