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残業時間に歯止めなし 「死ぬ危険」遺族訴え 管理職の過労自殺労災申請

2019年01月04日 21時45分50秒 | 自殺・過重労働
残業時間に歯止めなし 「死ぬ危険」遺族訴え 管理職の過労自殺労災申請
2019年1月4日 (金)配信共同通信社

 製薬大手エーザイの部長だった泰敬(やすゆき)さん(姓は遺族の希望で非公表)=当時(50)=の自殺を巡り、遺族は長時間労働が原因だとして労災申請した。昇進から自ら命を絶つまでの8年間、残業時間は繰り返し過労死ラインを超えた。来年4月施行の働き方改革関連法では「月100時間未満」など残業時間の上限規制が初めて導入されるが、管理職には適用されず、長時間労働に歯止めがないままだ。遺族は「こんな働き方をしたら死ぬ危険があるのに、なぜ防げなかったのか。長時間労働の危険性は管理職も同じだ」と訴える。
 ▽トップグループ
 「念願の部長昇進を果たし、やる気満々だった」。泰敬さんの元気だった姿を妻(51)は思い出す。週末は好きなハーレーダビッドソンの大型バイクを走らせる行動派。一般市販薬の分野でドラッグストアチェーンとの取引を拡大するなどの手腕を評価され、40代早々で部長に登用された。同期でトップグループの早さだった。
 ドラッグストアなどを相手にした小売店営業は、製薬各社がしのぎを削る激戦区。元同僚の部長経験者によると、どれだけ消費者を呼び込める提案ができるかが評価の分かれ目という。
 風邪薬や花粉症対策など季節に合わせた商品のきめ細かな企画提案や、企画後の店舗へのフォロー、顧客企業トップとの懇親・情報交換などが欠かせず、気が抜けない日々が続く。
 ▽不眠
 泰敬さんは自ら営業車のハンドルを握り、関西一円の得意先を回った。部下のマネジメントも加わり、午前8時ごろ仕事を始め、日付が変わるころに帰宅することが多かったという。
 遺族によると、泰敬さんは昇進から数カ月たつと、過労で休日に寝込むようになった。取引先から部下へのクレーム、人員削減問題などが心労に輪を掛けたという。食欲不振や不眠の症状も出て、家族に「寝ても寝た気が全くしない」とこぼした。仕事の持ち帰りも増え、週末は一日中、資料作りや部下からの報告に追われたこともあった。
 ▽対象外
 一般の社員は、経営者と労働組合が協定を結ばないと残業ができない。この時、労使で1カ月の残業時間の上限を決める必要がある。
 労使が合意すれば、どれだけ長時間の残業も可能だったが、6月に成立した働き方改革関連法で初めて罰則付きの上限規制が導入された。大企業では来年4月以降、1カ月に100時間以上の残業ができなくなる。
 政府や労使団体は「労働基準法70年の歴史の中で画期的だ」と評価する。しかし泰敬さんのような管理職は、残業規制などの対象から外れる「管理監督者」として扱われるケースが多く、法改正後も上限規制がかからない。管理職は自分で働く時間を管理できる、という考えがあるからだ。
 管理職の働き方を巡っては実質的な権限がないのに管理監督者として扱われる「名ばかり管理職」も以前から問題視されている。泰敬さんの妻は「過労死ラインを何度も超える人が本当に裁量のある管理職と言えるのか」と法制度や会社の安全対策を批判した。

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