大谷手術ならより長期要す 肘障害に詳しい古島医師 2度目は難度上がると指摘
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(おおたに・しょうへい)の右肘靱帯(じんたい)損傷が判明し、2018年に続いて2度目の靱帯再建手術に踏み切る可能性が取りざたされている。野球選手の肘障害に詳しい慶友整形外科病院(群馬県館林市)の古島弘三(ふるしま・こうぞう)医師は25日、共同通信の取材に応じ「慎重にならざるを得ない。1度目よりも早く復帰するということはまずない」と、回復により長い期間を要するとの見解を示した。
18年10月に手術を受けた際は、19年5月から打者のみで出場、投手では20年に復帰した。仮に再度の手術となると「手術の難易度は格段に上がる。選手のパフォーマンスは戻せるが、執刀側が難しい作業になる」と指摘。一方で「部分損傷でも痛みがあるならば手術は必要」と判断基準を示した。
今季の登板はなくなったものの、打者として出場を続ける方針だ。「二刀流」ならではの状況だが、医師の立場から「投手としての復帰を考えた場合、肘が痛いのに試合に出続けることはお勧めはできない」と述べた。
今季の大谷は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で大活躍し、横に大きく曲がる「スイーパー」で打者を牛耳ってきた。ただ、夏場に入って体にけいれんを起こすなど、疲労の色は隠せず「休養を取りながらいかないと。想像したくはなかったが、リスクはあると感じながら見ていた」と複雑な心境を吐露した。
数々の常識を覆してきた29歳のスター選手に訪れた試練。さまざまな症例に携わってきた古島氏は「1カ月くらいは状況を見るのではないか。それでも、痛くて投球ができないということであれば、手術せざるを得ないと思う」と予測した。
※肘靱帯(じんたい)再建手術
損傷した肘の靱帯を切除し、他の部位から正常な腱(けん)を移植する手術で、投手では復帰に1年以上かかる。1970年代にフランク・ジョーブ博士が考案し、ドジャースの投手だったトミー・ジョンが74年に初めて受けたことにちなみ「トミー・ジョン手術」とも呼ばれる。同投手は46歳で引退するまで通算288勝を挙げた。プロ野球では村田兆治(むらた・ちょうじ)(元ロッテ)が受けた後に広まり、桑田真澄(くわた・ますみ)(元巨人)、ダルビッシュ有(ゆう)(パドレス)らが経験した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます