第47回 欧州糖尿病学会(EASD2011) 【開催期間:2011年9月12日~16日】
耐糖能異常例では余暇時間の活動性を高めることで炎症が抑制される
2011年9月20日 カテゴリ:一般内科疾患・循環器疾患・内分泌・代謝疾患
耐糖能異常(IGT)例では炎症が亢進していることが分かっているが、身体活動度が炎症にどのような影響を及ぼすか明らかにされていなかった。今回、スウェーデンUniversity of GottenburgのMargareta Hellgren氏は、この疑問に答えるためにIGT例の余暇時間における身体活動度を調べ、CRP値との関連を検討し、その結果を9月12~16日にポルトガル、リスボン市で開催された第47回欧州糖尿病学会(EASD)で報告した。
IGT例では減量や運動療法などライフスタイルに介入することで、2型糖尿病の発症を予防あるいは延長できることが示されている。これらの介入は炎症を抑制すると考えられるが、実際に余暇時間における身体活動度の違いがIGT例の炎症に及ぼす影響は十分に検討されていなかった。
本研究の目的は余暇時間における身体活動度が、IGT例の炎症に及ぼす影響を検討することである。スウェーデンのSkaraborg地域に居住する30~75歳の住民の中からランダムに2,816例を抽出し、経口糖負荷試験(OGTT)を行い、炎症の指標であるCRP値を測定し、質問票を用いて身体活動度を含めたライフスタイルを評価した。
WHOの診断基準(1999)に基づき、対象を2型糖尿病群(158例、5.6%)、IGT群(213例、7.6%)、空腹時血糖異常(IFG)群(129例、4.6%)に分類し、耐糖能が正常であった例を耐糖能正常(NGT)群とした。IGT群の213例のうち、余暇時間における身体活動度、CRP値、喫煙に関するデータが欠損していた11例を除外し、202例を解析対象とした。さらにこの202例を身体活動度が高い群(35例)と低い群(167例)に分け、NGT群と比較検討した。質問票から評価した身体活動度の内的妥当性は、心拍数と身体活動度、CRP値の関連から確認した。なお、多変量解析では年齢、BMI、喫煙習慣を共変数とした。
まず女性では、IGT群のCRP値はNGT群に比べて有意に高く、群間差(ΔCRP)は1.53mg/dL(95%CI 0.71~2.35、p<0.001)であった。次に身体活動度の高低で分けてみると、身体活動度が低い女性では、IGT群でNGT群に比べてCRP値が有意に高かったが(ΔCRP=1.83、0.79~2.86、p=0.001)、身体活動度が高い女性では有意な差を認めなかった(ΔCRP=0.43、-0.72~1.58、p=0.462)。
一方、男性ではIGT群とNGT群のΔCRPは0.69mg/dL(-0.68~2.06、p=0.322)で有意差を認めなかった。しかし、身体活動度の高低で分けてみると女性と同じ傾向を認め、身体活動度が低い男性では、IGT群とNGT群のΔCRP1.40(0.08~2.72、p=0.038)で有意差を認め、身体活動度が高いと有意差は消失していた(ΔCRP=0.32)。
余暇時間における身体活動度とCRP値の間に有意な負の相関(p=0.004)を認め、安静時心拍数とCRP値の継続的な相関も確認された。
以上の結果を踏まえHellgren氏は、「身体活動度の高さがIGT例の炎症を抑制しており、それが2型糖尿病への進展を予防している可能性がある」と述べ、「IGT例には身体活動度を高めるように積極的に働き掛ける必要がある」と結論した。
耐糖能異常例では余暇時間の活動性を高めることで炎症が抑制される
2011年9月20日 カテゴリ:一般内科疾患・循環器疾患・内分泌・代謝疾患
耐糖能異常(IGT)例では炎症が亢進していることが分かっているが、身体活動度が炎症にどのような影響を及ぼすか明らかにされていなかった。今回、スウェーデンUniversity of GottenburgのMargareta Hellgren氏は、この疑問に答えるためにIGT例の余暇時間における身体活動度を調べ、CRP値との関連を検討し、その結果を9月12~16日にポルトガル、リスボン市で開催された第47回欧州糖尿病学会(EASD)で報告した。
IGT例では減量や運動療法などライフスタイルに介入することで、2型糖尿病の発症を予防あるいは延長できることが示されている。これらの介入は炎症を抑制すると考えられるが、実際に余暇時間における身体活動度の違いがIGT例の炎症に及ぼす影響は十分に検討されていなかった。
本研究の目的は余暇時間における身体活動度が、IGT例の炎症に及ぼす影響を検討することである。スウェーデンのSkaraborg地域に居住する30~75歳の住民の中からランダムに2,816例を抽出し、経口糖負荷試験(OGTT)を行い、炎症の指標であるCRP値を測定し、質問票を用いて身体活動度を含めたライフスタイルを評価した。
WHOの診断基準(1999)に基づき、対象を2型糖尿病群(158例、5.6%)、IGT群(213例、7.6%)、空腹時血糖異常(IFG)群(129例、4.6%)に分類し、耐糖能が正常であった例を耐糖能正常(NGT)群とした。IGT群の213例のうち、余暇時間における身体活動度、CRP値、喫煙に関するデータが欠損していた11例を除外し、202例を解析対象とした。さらにこの202例を身体活動度が高い群(35例)と低い群(167例)に分け、NGT群と比較検討した。質問票から評価した身体活動度の内的妥当性は、心拍数と身体活動度、CRP値の関連から確認した。なお、多変量解析では年齢、BMI、喫煙習慣を共変数とした。
まず女性では、IGT群のCRP値はNGT群に比べて有意に高く、群間差(ΔCRP)は1.53mg/dL(95%CI 0.71~2.35、p<0.001)であった。次に身体活動度の高低で分けてみると、身体活動度が低い女性では、IGT群でNGT群に比べてCRP値が有意に高かったが(ΔCRP=1.83、0.79~2.86、p=0.001)、身体活動度が高い女性では有意な差を認めなかった(ΔCRP=0.43、-0.72~1.58、p=0.462)。
一方、男性ではIGT群とNGT群のΔCRPは0.69mg/dL(-0.68~2.06、p=0.322)で有意差を認めなかった。しかし、身体活動度の高低で分けてみると女性と同じ傾向を認め、身体活動度が低い男性では、IGT群とNGT群のΔCRP1.40(0.08~2.72、p=0.038)で有意差を認め、身体活動度が高いと有意差は消失していた(ΔCRP=0.32)。
余暇時間における身体活動度とCRP値の間に有意な負の相関(p=0.004)を認め、安静時心拍数とCRP値の継続的な相関も確認された。
以上の結果を踏まえHellgren氏は、「身体活動度の高さがIGT例の炎症を抑制しており、それが2型糖尿病への進展を予防している可能性がある」と述べ、「IGT例には身体活動度を高めるように積極的に働き掛ける必要がある」と結論した。