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岡山在住の国際的ギタリスト中林淳眞(なかばやし あつまさ)さんの「語りべギターコンサート」があった。 開演30分前には駆けつけて、最前列で一挙手一投足を見守った。 1時間半に亘る心にしみる名演奏と、曲ごとに想いのこもった中林さんの解説を堪能した。
当コンサートは、社団法人教育振興ノートルダム清心会が、生涯教育講座の一環として、「シニア講座」を開いてくださったもの。
中林淳眞さんのプロフィールはこちら。
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【日 時】
○平成18年10月20日(金)10:00~11:30
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【会 場】
○ノートルダム清心女子大学100ND
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【プログラム】
-第1部-
1.六段 八橋検校
2.千鳥 吉沢検校
3.ミヌエット J.F.ラモー
4.ババーナ G.サンス
5.我が心のアランフェス ロドリーゴ
6.ツィゴイネルワイゼンより P.サラサーテ
7.涙 アデリータ 前奏曲No.5 F.タルレガ
8.カレタのざわめき I.アルベニス
9.三角帽子より「粉屋の踊り」 M.デ.ファリア
-第2部-
1.絵画的ギター組曲 “中南米” 中林淳眞
・メキシコのセレナーデ
・マヤの男
・二つの夜想曲(葉巻と夜明けのコーヒー)
・カリブの真珠
・ハープのごとく
・ティティカカ湖の舟歌
・インカ王女の子守唄
・アンデスの笛
・地平線のサンバ
2.M.ポンセ「エストレリータ」による主題と変奏 中林淳眞
-アンコール-
・マラゲーニャ
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【印象に残った語りべ】
○「我が心のアランフェス」
中林さんの恩師、全盲の作曲家ロドリーゴと一緒に散歩中、彼はバラ園で立ち止まり「今年のバラは蕾が小さいね」という。どうしてそれが分かるのか不思議がっていると「ナイチンゲールのさえずり方で分かる」といわれた。眼が見えないにもかかわらず、人を案内できる洞察力。自然の気配まで的確に把握する直感力に深い感銘を覚えた。
○「インカ王女の子守唄」
伝承と神話の国インカを旅して聞いた奇抜な話。オペラにもなった『オリャンタイ』。
武将オリャンタイとクシコイヨル王女の悲恋物語。神罰を恐れた群集によって、二人の間に生まれた乳飲み子は谷底へ投げ捨てられる。母親クシコイヨルは冷たくなった我が子を体温で温めながら三日三晩、子守唄を歌い続け、強い母性で奇跡的に蘇らせるという話。
○「アンデスの笛」
アンデスの笛とは、ケーナのこと。風葬の時代、男は女性の亡骸から、脚の脛の部分の骨を拾い、磨き、穴を開け、笛に仕上げ霊を葬った。これがケーナの起こり。
12~13世紀には素焼きのケーナとなり、近世に至り植物の葦が使用されるようになった。
○「Mポンセ エストレリータ(小さな星)によるテーマと変奏」
メキシコでの話。クリスマスイヴの夕暮れ、12~13歳のインディオの女の子が鶏の毛をむしりながら泣いている。訳を聞くと「朝から晩まで働かされて眠る間がない」という。
中林さんが慰めにクルスマス・キャロルのビジャンシーコを弾いて聴かせると、少女の頬を大粒の涙が伝う。折からの夕日に宝石のように輝き光りながら…。
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【奏法で参考になったこと】
○「カリブの真珠(=キューバのこと)」…曲の終盤は、左指だけで弾き、右指先はホールの周りを叩いてリズムをとる。
○「ハープのごとく」…右人差し指の爪で1→6弦をハープのように弾く。低音はサウンドホール部、高音は下駒(ブリッジ)に近いところを。
○「アンデスの笛」…右親指の背で6本の弦を叩くように弾く。
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