オズマがバス釣りをベイトリールを用いて始めたのは,1990年1月の埼玉県ビン沼川だった。当時は,ABU・ライトが195gというとてつもない軽量さを発揮していた。記憶では,当時の市場ではABUがまだまだ圧倒的に人気があり,チームダイワがその先進性でようやく日本の市場を変えつつあったころだったのではないか。
だが,オズマのABU・ライトは,わずか数ヵ月後,1990年3月末の牛久沼で水没した。無理な釣行だった
。前日夜から霞ヶ浦で釣りをし,クルマで寝てそのままボート釣り。途中で寝ぼけ眼になったオズマは,ふと手が緩んだ
。そして竿(ダイワ・カーボウィスカー)とともにベイトタックルは消えた。
その後,1990年4月29日。これが運命の水郷本格的釣行だった。
まさに爆釣。北浦のどのポイントへ行っても5匹ぐらいはすぐに釣れる
。それも,それまでの河口湖ナイトバッシングで苦労して釣っていた25cmそこそこでなく,いきなり40オーバーばかり
。
だが,相変わらずタックルはスピニングだったので,抵抗の強いスピナベやクランクは敬遠されてしまっていた。
そして1990年11月。卒業旅行が琵琶湖遠征,ということになり,オズマが次にやっと購入したベイトリールが「BSS-2000ULS」;「バンタム・スーパースピードマスター2000ULS」だった。たしか,新宿のサンスイ(当時は薬屋さんの上にあったと記憶している)で購入したものだ。
そのコンパクトさに可能性を感じた。
そして5ボールベアリング。
ファイティン・スタードラグ。最新鋭の機構があった。
正面からみるとこんな感じ。独特のクラッチの位置
だったが,使いやすかった。
本当に使えるようになったのは1991年11月から。
潮来釣具でチューニングしてもらってからだ。
このリールはいまのシマノとまったく異なり,マグネットブレーキである。そして,とにかく独特のデザイン。仲間内では「お前の好みは変わっている」と言われたが,パーミングがとにかくしやすく,それで購入したのだ。少ないバイト代がほとんど消えたのが印象に残っている
。
だが,オイルの挿し方などをロクに勉強していなかったため,このリールが実際に活躍するのは1991年,実に1年後である。そのきっかけをつくったのが,初代スコーピオン2000である。
仙人の1990JBTAクラシック優勝に関わったリール。
遠心ブレーキで,驚きのスプール回転だった。
デザインは,当時「ダイワ」に似ているとも言われ
たが,このリールのコンセプト「Japan Style」に感激した。
クラッチも普通の位置に。最初は回りすぎて
遠投が難しかった。
このスコーピオンは,社会人はじめてのボーナスで購入したものだ。
そして購入後。すぐに実戦で試したかったが,潮来まで行く交通費がない。仕方なく,足立区の花畑運河に行った。バスは釣れなかったが,ピッチングらしきものをずいぶん練習したものだ。
そして,北浦での快進撃はまさにこのスコーピオンが火をつけた。
いままで飛ばせなかったポイントに届く。トルクもすごい
キャスコンを締めればフルキャストもガンガン行けたので,とにかくこのリールがオズマの初期の水郷で大活躍した。
そして1991年11月23日。友人Kとふと訪れた潮来釣具センターではなんとリールのチューニングを1台3000円で行ってくれるという。さっそく依頼した。友人とともに,オズマは上のスピードマスターとこのスコーピオン,友人はABU・1500Cを。
作業が終わってビックリ。別のリールになっていた。いままでの回転をはるかに超える回転があった。
だが,「爆釣=超ハードな連続使用」でもあった。とにかくガンガン遠投して釣った時代だった。竿も7フィートのBSR-1702を購入し,さらに沖へ沖へ
,という釣り方をしていた。あっというまにリールが壊れていった
。毎回オイル挿しなどのメンテはしていたが,ナツメ7号のヘビキャロなどもしていたので,リールにかかる負荷は相当だったのだろう。
1993年12月。初代スコーピオン1501が発売された。そこからオズマはフルタイムレフトへ移行していった。効率をよくするために。若さゆえに。
そして2010年。もうリールのストックは5台はある。上記のリールが復活することもないだろう。何より実戦投入できない。クラッチが死んでいるのだ。長く殿堂入りしていたが,ついに手放すときがきたようだ。
さようならスコーピオン。さようならスーパースピードマスター
。我が青春を支えたリール達
。限られたスペースのために,これらのリールはどこかの中古店に並ぶだろう。
本当にありがとう。このリール2台への思いは忘れないぞ(
写真
をしっかり撮影しておきました)
。
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