水中を泳ぐペンギンの頭から泡が出てくることがあります。これは羽毛の間にたまっていた空気が出てくるのです。身体全体から泡が出ることもあります。
似たような形で泳ぐイルカは、頭のてっぺんにある鼻から呼気が出ます。お間違えなきよう。
モデルは海遊館のキング。
これ、何でしょう。アドベンチャーワールドのペンギン王国で見つけました。見た目の質感は爪みたいで、ある程度の堅さがありそうです。
正体はこちら。キングのクチバシにあるオレンジやピンクのあの部分です。『嘴鞘（ししょう）』または『嘴片』とよばれます。換羽の時に剥がれ落ちて、更新されるのです。このモデルは海遊館の換羽直後のキング。美しいですね。
こちらは旭山動物園の換羽中キング。嘴片が半分浮いて、新しい嘴片が見えています。そのうちに古い嘴片はポロリと取れて落ちるはずです。
アドベンチャーワールドのキング、窓際のA席列です。いったん外に出したタマゴをハラの下に収納するところです。クチバシで足の前に引き寄せ、
小刻みに歩み寄って、両足を左右から合わせるようにしながらクチバシでタマゴを押し込む。
ハラの皮をかぶせれば完了です。周囲のキングの動きを見れば、かなりの手際よさで素早くやっているのがわかります。
抱卵中、ときどき身体の向きを変えたりすることでタマゴが回転し、転卵できちゃうんですって。（タマゴはあちこち向きを変えてまんべんなく温める必要があります。）
もっとも、これは偽タマゴで、大切な本物タマゴはすでに孵卵器に入っているかも。
アドベンチャーワールドのジェンツー親子です。さて、ヒナはどっち向きでお昼寝しているかな？
ヒナの頭は向かって左側。首をぐいっと曲げているので、首なしに見えます。
「あ、しまった・・・」 上陸スロープにうまく乗りきれなかったキング。
「やり直しじゃな」 いったん体勢を立て直し、向きを変えて、
バシャッ！と水面を打って戻って行きました。越前松島水族館のぺんぎん館プールは夕方になると水位を下げるので、上陸には注意が必要です。さて、王様は次はどうなさるでしょうか。つづく。
越前松島水族館のペンギン散歩。白いペンギン道を歩くフンボルト、それぞれペンギンらしい形の影をお供にしています。私はペンギン形の影を撮るのが好きですが、
一瞬の違いで角度が変わり、影の形も変わってしまうので、トホホです。
アドベンチャーワールドのキング（左）とエンペラー（右）。オトナとコドモくらい違いますね。
立ち姿も違います。キングは多くの場合フリッパーを身体から少し離しているのに対し、エンペラーはピッタリとくっつけています。（前回前々回の写真でもそうです。）これも寒さ対策の違いです。展示室は室温０度からマイナス３度くらいなので、エンペラーにとって実際は寒くないでしょうけど。
左がエンペラー、右がキング。どちらも手前にいるヒゲとアデリーよりもずば抜けて大きいですが、エンペラーの大きさは圧倒的でございます。
色使いはキングの方が華やかですね。
フリッパーの長さにご注目を。キングの方が、身体の大きさに比べて長い。クチバシも同じく。ご存じエンペラーは南極大陸の氷の上、キングは南極周辺の島々に棲息します。寒さが違います！ なので、エンペラーは丸っこくて出っ張りが控えめの、より耐熱を逃がしにくい形になっています。
アドベンチャーワールドにて。
こちらは名古屋港水族館のエンペラー、コウテイ様でございます。
こちらは海遊館のキング、オウサマでございます。
ちょっと首の角度が違ってますが、それ以上に全体的に違います。同じエンペラーペンギン属といえど、エンペラーの体重はキングの倍くらいあります。
海遊館のジェンツー2羽が仲良くしています。それを無関心そうに見ているっぽい1羽でしたが。
やっぱりこうなりました。「ええかげんにしーや！」 「ほっといてんか！」 という口喧嘩に見えてしまいます。
このシーン、仲良し2羽はメスどうし、ケンカをふっかけた1羽はオスです。種類によらず、仲良しやペアで同性がわりとあります。ワケがあって産みの親が育てられないタマゴを同性ペアが引き取って（飼育員さんがタマゴを移動するんだけど）しっかり育てるケースは、昔からあちこちで見られます。
海遊館のキングが2羽でいちゃついていました。一段上からそれを見ているキングがいます。
「何見てんねん？！」 「べつに。」 みたいな雰囲気に。
「そっちこそ何なん？」 威嚇し合ってます。キングの婚活シーズンになる6月前後には、仲良しシーンだけでなく、3羽でもめていたり三者会談や四人会議などがよく見られます。
アドベンチャーワールドのペンギン王国２Ｆはキングの大本山。越前松島水族館での場所取り騒動は7羽（2羽は別室でお見合い）でしたが、こちらは数がとても多いのでタイヘンです。
ガラス際を取れなかったペアたちが何もないところに場所を取り、そこは通路になっているので、誰か通るたびにこのようなクチバシの応酬が発生します。
ガラスや壁、柱などの『壁』があれば周囲からのトラブルを軽減できます。野生環境にはほぼ存在しない『壁』を、彼らはちゃんと利用しているのです。すごいですね。
越前松島水族館のキング、抱卵するカレのもとに行きたいのに場所取り個体に阻まれるカノジョでしたが。新しい局面に。
抱卵キングの奧、隅っこのＳ席を陣取るボーイズペアに、鏡と岩組みの間を塞いでいた若手ペアが攻撃を仕掛けに行きました。もちろんＳ席を奪い取るためです。写真右端に攻撃側のクチバシが見えていますが、鏡の方にはペアの姿が映っています。
「来たで、あんた。調子どぉや？」 タマゴの産み主、通り道があいたのですかさずカレの元に駆け寄りました。
奧には鏡にくっついて護りを固めるボーイズペアと、じっと圧力をかける若手ペアが見えてます。彼らは昨シーズンもこうやってＳ席をゲットしました。騒動はまだまだ続きそうです。