レープホルツの講話会は週末の試飲会の頂点であったのは疑いようがない。今回は前回に比べて、2008年産の評価の仕方へとお話が進んで行った。その成長の可能性を2004年産で示した事で、概ねどうしたワインになるかは其処で語られている。
1990年産のシュペートレーゼが供されたが、いつもの幾らか糠臭い熟成香は感じられたが美味く冷してあり清涼感すらあったのは糖分を押さえた醸造法の勝利であろう。但し、こうしたワインを飲むために十七年間も待つ酔狂者は無かろうと思わせる素っ気無さである。当時は、ヘクター辺りの収穫量が100HLと言うから現在のものはもっと素晴らしいと言うのだろうが、灰汁も強くなるのではなかろうか?少なくとも当時のリースリングは、ある種ザール流域の古酒のような水に近くなる辛口と言えよう。
そうしたものを夏に楽しむならば流行のソーヴィニオン・ブランが気持ち良いが、ゲオルク・モスバッハーがやるような素晴らしい南国の香味ではなくて、本人が新世界ではなくてロワールのそれを手本としていると語るように全く異なるものである。彼の好きな味ピーマン味がここにも顔を出していて、それだけでも誰があまり感じなかったカシスなら良いが誰がこのようなワインなど喜ぶものかと不審に思わせる。少なくともフランスのそれは香りが軽やかで豊かであろう。
貝殻石灰質のそれを丸みのある酸と称して、ロートリーゲンデンのメロン味などに関しては月並みな説明の域を越えないが、何れにしてもソーヴィニオンブランにも塩味を求めるから恐れ入る。親から引き継いだしろワインの例のマイシェ漬けの心は塩の心のなである。今回の講話では非常に保守的に「なぜそれを変える必要があろうか」としたので驚いた。
前年にも増し「酸が強く、一部ではそれを恐れていると報じられていたが、2007年の清潔なのと比べて上級ワインは良いが簡単なワインはどうでしょう」と聞くと、「そんな事はないんだ。これら2008年既に飲み頃になっているから、一年前の2007年産の方が難しかった筈だ」と反撃する。彼に言わせると「2008年産は、葡萄を熟成させた分、塩が良く利いている」となる。
シュペートレーゼの飲み頃も訊ねると、「うちのワインは、新鮮なものが飲みたければキャビネットで一年ぐらい。シュペートレーゼは寝かすかどうかはその人の好みだけだ」と明言する。しかし、シュペートレーゼを本年からSと名付けるようになったのを見ても、其処には市場を見ながらの配慮があるに違いない。
ゲヴルツトラミナーは甘口しか作らない理由を尋ね、またマイシェ漬けのあとの絞り方などを質問するが、なかなかその回答などが興味深かった。ムスカテラーを緑のソースに合わせるとするのも記録しておこう。
今回は、昨年は腹具合の関係で飲めなかった赤ワインも試飲するが、そのシュペートブルグンダーは、2005年産の貝殻石灰土壌のそれの塩味が強かったが色ももう一つで、2003年産のゾンネンシャインはまだまだ力が強いだけ価格も四十ユーロと高過ぎる。赤ワインやロゼの出来は、そのお得意の醸造法の影響を受けないので上手に力強く醸造しているが並みの品質と言えようか。
講話会の最後に飲んだのが、2004年産のグラウブルグンダーであって、2005年からエコに移る前の最後のヴィンテージらしいく、長持ちする素っ気のない飲み口の良質の水のようなブルグンダーとして秀逸であった。
そこで、早速早く売り切れると教えてくれたゾンネンシャインのリースリングと雑食砂岩のガンツホルンを予約注文しておいた。昨年はレープホルツ氏自身がごたごたして住所をデーターベースに登録できなかったが、それを小言して奥さんに注文して置いたので今度は適時に案内が来るであろう。
ここまで来るといつも御馴染みのワインスノッブ叩きとなるが、試飲会毎にそうした人間を見つけてはおとなしく改心させるように指導している。裸の王様状態になっている連中にはたと気付かせるだけで良い。幾ら名産で有ろうが無かろうが不味いものは不味い、美味いものは美味いと。レープホルツのような辺境の伝統主義者が、プファルツの盟主のような者とは程遠いのは本人が最もご存知だからこそ、また分かっている顧客は、それをして名産と呼ぶのである。象の鼻を触って、それで像を知ったと思っている馬鹿者達が多いから目を醒ませてやらなければいけないのだ。
顧客名簿に日本人の名前を見つけたが、全体の分からない者にその価値が分かる訳はないのである。全く笑い話である。
参照:
偏屈者の国際市場戦略 2008-05-28 | 試飲百景
南北にワイン街道行脚 2008-05-24 | 生活
今年度の消費とその番付 2008-12-29 | ワイン
放言、よー、観てみよー 2009-01-05 | ワイン
地域文化の快適行軍 2009-02-01 | アウトドーア・環境
どちらが七十年先に旨いのか 2009-02-09 | ワイン
夜中になにを吟味する? 2009-03-17 | ワイン
手に負えない大馬鹿野郎達 2009-05-17 | 試飲百景
1990年産のシュペートレーゼが供されたが、いつもの幾らか糠臭い熟成香は感じられたが美味く冷してあり清涼感すらあったのは糖分を押さえた醸造法の勝利であろう。但し、こうしたワインを飲むために十七年間も待つ酔狂者は無かろうと思わせる素っ気無さである。当時は、ヘクター辺りの収穫量が100HLと言うから現在のものはもっと素晴らしいと言うのだろうが、灰汁も強くなるのではなかろうか?少なくとも当時のリースリングは、ある種ザール流域の古酒のような水に近くなる辛口と言えよう。
そうしたものを夏に楽しむならば流行のソーヴィニオン・ブランが気持ち良いが、ゲオルク・モスバッハーがやるような素晴らしい南国の香味ではなくて、本人が新世界ではなくてロワールのそれを手本としていると語るように全く異なるものである。彼の好きな味ピーマン味がここにも顔を出していて、それだけでも誰があまり感じなかったカシスなら良いが誰がこのようなワインなど喜ぶものかと不審に思わせる。少なくともフランスのそれは香りが軽やかで豊かであろう。
貝殻石灰質のそれを丸みのある酸と称して、ロートリーゲンデンのメロン味などに関しては月並みな説明の域を越えないが、何れにしてもソーヴィニオンブランにも塩味を求めるから恐れ入る。親から引き継いだしろワインの例のマイシェ漬けの心は塩の心のなである。今回の講話では非常に保守的に「なぜそれを変える必要があろうか」としたので驚いた。
前年にも増し「酸が強く、一部ではそれを恐れていると報じられていたが、2007年の清潔なのと比べて上級ワインは良いが簡単なワインはどうでしょう」と聞くと、「そんな事はないんだ。これら2008年既に飲み頃になっているから、一年前の2007年産の方が難しかった筈だ」と反撃する。彼に言わせると「2008年産は、葡萄を熟成させた分、塩が良く利いている」となる。
シュペートレーゼの飲み頃も訊ねると、「うちのワインは、新鮮なものが飲みたければキャビネットで一年ぐらい。シュペートレーゼは寝かすかどうかはその人の好みだけだ」と明言する。しかし、シュペートレーゼを本年からSと名付けるようになったのを見ても、其処には市場を見ながらの配慮があるに違いない。
ゲヴルツトラミナーは甘口しか作らない理由を尋ね、またマイシェ漬けのあとの絞り方などを質問するが、なかなかその回答などが興味深かった。ムスカテラーを緑のソースに合わせるとするのも記録しておこう。
今回は、昨年は腹具合の関係で飲めなかった赤ワインも試飲するが、そのシュペートブルグンダーは、2005年産の貝殻石灰土壌のそれの塩味が強かったが色ももう一つで、2003年産のゾンネンシャインはまだまだ力が強いだけ価格も四十ユーロと高過ぎる。赤ワインやロゼの出来は、そのお得意の醸造法の影響を受けないので上手に力強く醸造しているが並みの品質と言えようか。
講話会の最後に飲んだのが、2004年産のグラウブルグンダーであって、2005年からエコに移る前の最後のヴィンテージらしいく、長持ちする素っ気のない飲み口の良質の水のようなブルグンダーとして秀逸であった。
そこで、早速早く売り切れると教えてくれたゾンネンシャインのリースリングと雑食砂岩のガンツホルンを予約注文しておいた。昨年はレープホルツ氏自身がごたごたして住所をデーターベースに登録できなかったが、それを小言して奥さんに注文して置いたので今度は適時に案内が来るであろう。
ここまで来るといつも御馴染みのワインスノッブ叩きとなるが、試飲会毎にそうした人間を見つけてはおとなしく改心させるように指導している。裸の王様状態になっている連中にはたと気付かせるだけで良い。幾ら名産で有ろうが無かろうが不味いものは不味い、美味いものは美味いと。レープホルツのような辺境の伝統主義者が、プファルツの盟主のような者とは程遠いのは本人が最もご存知だからこそ、また分かっている顧客は、それをして名産と呼ぶのである。象の鼻を触って、それで像を知ったと思っている馬鹿者達が多いから目を醒ませてやらなければいけないのだ。
顧客名簿に日本人の名前を見つけたが、全体の分からない者にその価値が分かる訳はないのである。全く笑い話である。
参照:
偏屈者の国際市場戦略 2008-05-28 | 試飲百景
南北にワイン街道行脚 2008-05-24 | 生活
今年度の消費とその番付 2008-12-29 | ワイン
放言、よー、観てみよー 2009-01-05 | ワイン
地域文化の快適行軍 2009-02-01 | アウトドーア・環境
どちらが七十年先に旨いのか 2009-02-09 | ワイン
夜中になにを吟味する? 2009-03-17 | ワイン
手に負えない大馬鹿野郎達 2009-05-17 | 試飲百景