Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

居心地の悪い癌闘病記

2009-08-20 | マスメディア批評
相変わらずクリストフ・シュリンゲンジフのベストセラーリストに入っていると言う。その他の「癌の書籍」をも纏めてメディア評論している。

その切り口は、こうした内容の書籍に纏わる居心地の悪さである。死の病である癌の特性や一般度は、今や癌で亡くした者がいない者などはいなく、その経過や闘病についても無知なものはいないと。その証拠に嘗ての特別な病とは異なり欧州人の四分の一がこの病で世を去っている事からすると、日常茶飯な現象である筈だと言う。

エイズによってとって代わられた癌は、例え患者が若かろうがどんなに活き活きとした女性だろうが、そこに運命的なものを見出すことが難しくなって来ているのであろう。それを見出すところに三流ジャーナリズムやメディアが割拠しており、それがまた居心地の悪さを添えているとしても良いのだろう。

シュリンゲンジフの自己選択への狼煙は、エリアス・カネッティが作品に生涯捧げてきた本質であると同時に、終着点は既知の事実だという証でもあるとなる。



参照:
Der Schleier über den letzten Dingen, Richard Kammerlings, FAZ vom 13.08.09
循環する裏返しの感興 2009-04-27 | 雑感
希望という自己選択の自由 2009-06-19 | 文化一般
出もの腫れもの処嫌わず 2009-06-13 | 文学・思想
自然な不可逆な視線 2009-06-12 | アウトドーア・環境
現を抜かすインフルエンザ 2009-05-01 | 生活
若き芸術家の癌病闘日記 2009-06-07 | 文化一般
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