Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

僅か二十ユーロ程度の極上感

2010-12-16 | 文化一般
夕方に時間が出来たので、ワイシャツを新しい洗濯屋に出して、パンを買う序に一つ走りしてきた。車に戻ってきたときは雪が強く振り出していた。

先日スキーを抱えて上がった登りは、踏み跡だけでなくマウンテンバイクのシュプールもバンビのそれに混ざってあった。手袋を忘れたのに気がついたときには時既に遅かった。ポケットに手を入れるとバランスが取り難いので手が冷たかった。それでも雪がクラストしていたわりに思いのほか速く登れた。どうも雪で凹凸が少なくなってマタギのように大またでどんどん進めることにその理由がありそうだ。新雪は五センチほど上に乗っているだけなので、日本の雪渓の日が出たときの柔らかさに近いが、トレイルランニングシューズのグリップが良く効いて気持ち良い。これなら日本の岩場なら荷物さえ軽ければこの靴で殆どアプローチ出来そうである。

さて、峠から前回はスキーで滑走した所をジョギングとなるが、走ってみて改めて可也の溝が走っていることに気がつく。自分のスキーのシュプールは融けてしまっていたようだが、先日よりも更に枝などの落下が目立って走りやすくはなかった。それでも、丁度汗を掻くぐらいで戻ってきた。流石に下りは一分ほど余分に時間が掛かっていた。

汗が冷えないように車のシートヒーターを入れて走り出す。吹雪の中を肉屋によると、ロールラーデンがあった。今日はザウワークラウトでお茶を濁しておく心算だったが、これで決りだ。人参も胡瓜も酢漬け唐辛子もある。「おかあさんにそれを注文すると、今日のはなぜか知らないけど小さいのよ。それでも良い?」と言うので、てっきり長さが短いものと思って、二つ貰った。広げて見せてくれると、長さよりも幅が短かった。巻くのには問題がないので、一枚で良いかなと思ったが、二枚で二百七十グラムほどである。中の入れるつなぎと共に五ユーロを越えたので、予算以上であったが、一枚は週末まで残しておこう。こうなればワインは、レープホルツ醸造所のナテューウアシュプルングである。

熱いシャワーを浴びて、パン屋で購入したラウゲン・ブレツェルと一杯やると、もうこれ以上の幸せはないという極上感である。序に美しい雪化粧の森を走り、世界の君主が食した肉屋の売りを買い、特別なリースリングを愉しむ。ビル・ゲートであろうとも用意に味わえない高級感をこれほど手軽に味わえる幸福感。必ずしもその行いだけが幸福感を呼ぶのではなくて、スキーなどのアウトドアーの体験を追体験するような、要するにプルーストの作品のモデルのような感覚の統合としての教養の謳歌である。

午前中は人待ちのような思索にあまり集中できない一日であったが、終わり良ければ全て良し。



参照:
朝飯前スキーの夢の実現 2010-12-09 | 生活
本能に従って進むもの 2010-06-25 | 料理
認知、直感的に安心させるもの 2010-07-11 | アウトドーア・環境
ラァウゲンが引っかかる 2005-07-16 | 料理
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