Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

前近代の取り込みは医学の発展

2011-03-02 | 数学・自然科学
先日の癌治療におけるその他の医術の使い方は、一般的に関心の強い医療の話であろう。その続きとして、ドイツ癌協会ヴェルナー・ホーヘンベルガー理事長へのインタヴュー記事が載っているので掻い摘んで紹介しておく。要するにエジプト大統領や故ゴルバチョフ夫人だけでなく世界の要人がなぜか合衆国でなくドイツに滞在して癌治療をするその臨床医療機関の大元締めの見解である。

ドイツ癌センターは、ハイデルベルク大学だけでなくケルンに於いても痛止め医療などの専門分野が最新の臨床技術の推進を行っているようだ。今回の西洋医学以外の医術の利用が統合的に癌センターなどの最新の治療方針として組み入れられるのには、フランクフルトなどでの本格的な研究実施の一方、まだ時間が必要であるとされるが、先ずは痛み止め治療として期待されていて、センターの癌治療として積極的に臨床を試みられるのが最も効率的であるとしている。その背景には、やはり如何わしい商売のねたにされる心配があるからで、藁をも掴む状態の患者などをそうした罠から救うことも重要な動機となっている。最悪の例は、訳の分からない医術が本来の癌治療と相互作用して副作用を引き起こすことである。それらの基本方針に関しても、既に紹介した新刊本に書いてある通りだと裏打ちする。

そこで定義されていた統合化された補助的な医療としての新機軸でもあると同時に予防医療であるとしているのも興味深い。質問としても早期発見の医療に関してはここでは触れられていないことを考えれば余計に注目を引く見解であろう。それどころか、癌治療の最先端を代表する立場として場合によっては手術をしないことも患者のためになると考える。知人に肺癌を全く切らない者が複数いる現実がそれを証明している。また、前回も紹介のあった乳癌治療の個別療法は今週末から始まるようで、そうした西洋医学の最先端の動きへの関心と同様にこうした新たな動きが捉えられているのである。

また、癌の治療には半年以上を掛けるべきではないとして、益々複雑化して特殊化する癌治療に一線を引くことを基本理念として、その患者の生活の質の低下や患者の社会的崩壊を招くような治療はすべきではないと、それを癌治療のガイドラインとしている。それ故に長期的な展望としても近代医学以外の医術を部分的にではなく全てを包み込む形で取り入れることが、西洋医学の大きなエポックになるだろうとして、それを欧州の発展とする。

友人のスポーツ医がインドに旅行中であるが、ヨガでも組んでいるのだろうか?禅などは、新旧キリスト教を内包するドイツでは特に盛んであり、こうしたところにもアジア文化の抱え込みには余念が無いのが近代ドイツ文化の特徴であろうか。



参照:
Seriöse Naturheilverfahren sollten salonfähig werden, Werner Hohenberger, FAZ vom 1.3.2011
癌治療に漢方を組み合わせる効用 2011-02-24 | 数学・自然科学
非人間的な近代と優しい新環境 2011-02-26 | アウトドーア・環境
ヒポクラテス『古い医術について』(前編) (壺中山紫庵)
コメント (2)
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