まさに春は虚の状態の季節

石油供給事情の不安などで投機的な石油価格が高騰している。町で入れるガソリンもリッター一ユーロ六十台にまで登っているようで、折からの世界的なインフレ懸念から、公定歩合が引き上げられる。物価上昇の実感は、一部の食品に関しては殆ど物不足感もあって厳しい。

スパゲティーは何とか安いもので美味しく楽しめているが、米に至ってはドイツでは代表的なミルクライスも供給不足であろう。少し金が出来ると全てシナ人に食い荒らされてしまうと言う感覚が世界的に共通しているのではないだろうか。兎に角、割安のミルク米はどころか少々高額のそれもなくなり、高額のバスマッティーライスがスーパーに並ぶだけとなってきている。しかし、幾ら米に困っても、日本の水稲米を高額を出して買う市場などは世界にはないことを知っておくべきである。精々、中共の幹部か人民から全てを搾取している富裕層が、フランスのワインと並んで高級な米や新鮮魚を大枚を叩いて購入するぐらいのものである。

今週も大分疲れている。目の具合が悪いからか運動のし過ぎかは知らないが、また肩が凝ってきて、漢方で言う所の虚の状態である。春先は大抵冬からの変化で体調が悪いが、今年のそれは可也厳しい。春らしい日々が続いているので、四旬節が始まる前に既に絶食期間のように食も落ちてきている。

今晩はカンバッテ、2001年産ペッヒシュタインのリースリングを開けようと思っている。丁度十年ものであるが、瓶詰めされてからは9年にまだ至っていない。今まで飲んだ中で最高のリースリングであることは間違いないのだが、前回飲んだのは一年以上前だったと思うのでどのような変化を見せているかとても楽しみなのである。

食事は、そのような訳でそれ程食欲もなく適当な珍味も見つからなかったので、ワインの味を邪魔しない程度の粋な軽食を準備してみたいと思っている。しかし、疲れも厳しいので何処まで手をかけたものが出来るかなんともいえない。ワインの味ですらどれほど吟味できることだろうか？


追記：結局蔵を調べると同ペッヒシュタインは三本しか見つからなかった。そうなれば体調不十分なときには開けられない。十年後の愉しみで、証人となるべきワインであるから、まだ駄目である。残りを全て購入したのだから五本位あると思っていた。そこで、金を出せば幾らでも買える新鮮過ぎるかもしれないカルクオーフェンを開けることにした。これで食事も気楽に合わせることが出来る。