Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

トロピカルかパッションか

2011-09-23 | 試飲百景
一週間前の土曜日に、例年ならば春にイングリッシュガーデンで催される試飲会がビュルクリン・ヴォルフ醸造所で開かれた。今年は招待を受けていたので、受けていなくてもであるがいつもの様に財布も持たずに出向いた。

招待のお礼などを申し上げてから、早速2010年産のグローセスゲヴェックスに張り付く。既に売り切れている地所キルヘンシュテュックやイエズイーテンガルテンからのリースリングを除く、前予約していたウンゲホイヤー、ペッヒシュタイン、カルクオーフェンとガイスボュールとホーヘンモルゲンを二度三度と試飲した。

予想通り例年ならば重みがややもするとあるかもしれないガイスボェールが軽やかで、まるで2007年産を髣髴させるほどの出来である。更にボディー感のあるホーヘンモルゲンは当たりがトロピカルフルーツで、これははじめての経験である。恐らく二十年後も現在十年経った2001年産ホーヘンモルゲンの現状よりも遥かに新鮮である筈だ。もはやこうしたリースリングにはペトロールの香りが漂う老成などはありえない。横では1999年産のホーヘンモルゲンが開けられて試飲が出来たのだが、流石にこれは二年ほど前に飲んだときよりも腰がふら付いてきている。

ペッヒシュタインの酸がまた強烈で、現時点ではこれを飲み干そうと思う者はいないであろうと感じたが、顔見知りのワイン愛好家に出会うと、「これが一番良い」などと感想を漏らされるのだから、それはそれで美味しいのだろう。しかし、その老夫婦にも説明したのだが、本当の味が出るには最低二年、このワインの価値が本当に分るには二十年以上もしくは四半世紀の時が必要なのである。そのときはこうして語っている皆が生きている訳ではないのである。

さて期待のウンゲホイヤーは流石に聖水のような透明なミネラルに、スパイシーさが酸に隠れている。とても複雑さがある反面、将来の安定感は抜群ではないかと思わせる。先行予約して間違いなかった。

それでも当日は特別に予約価格で入手が可能となったので、予約をしていなかったホーヘンモルゲンに手をつけてしまった。

カルクオーフェンは、バッサーマンヨルダン醸造所のものと比較的似ていて、例年ならばパッションフルーツ味が快いのだが、今年はより複雑でバランスが満たされるには若干時間が必要そうである。

1999年産の熟成ワインでは、意外にも良かったのがレッヒベッヒャエルで、その新鮮さはランゲンモルゲンやホーヘブルクの比ではなかった。ライタープファードもアルコール度も高く力強い。

2010年産も天然酵母と木樽の組み合わせが成功していて、その酸の激しさから歯がぼろぼろになるのだが、将来にはなんら心配の無いどころか大きな期待の出来る最長寿のグローセスゲヴェックスの一つとなりそうである。

2001年産が二十年保つと確認されたとき、2010年産は間違いなく三十年は新鮮なままであろう。ひょっとすると、2010年産の今後の熟成如何ではフランスの白ワインをその市場価値で完全に打破してしまうかもしれない。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする