Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ザイルの中間マーキング

2012-08-23 | 雑感
切り取ったザイルの中間地点にマーキングをした。ザイルはポリメードのナイロン製であるが、化学的な影響を受けてはいけないので特性のインクを使う。

新品のザイルの場合は、高級商品ならば必ず半分の長さのところにマーキングが入って売られている。この中間マーキングというのは、懸垂下降するときに丁度真ん中から下降の支点の穴に掛けて、降りたところから一方の端を引っ張っていくと、もう一方の端も支点の穴を啜り抜けて下に落ちてくる。だから、次の支点に再び同じザイルを掛けて、更にザイルの長さの半分の長さを下に懸垂下降できるのである。

勿論、一本のザイルだけでは中々埒が明かないので、同じ長さの二本のザイルを舫い結びで結びつけてザイルの長さ一杯に下降すると早い。しかし、基本は一本のザイルしか手元に無い場合で、丁度ザイルの全長の半分を降りることになるので、真ん中のマーキングが入っていないと、二本の端が揃っていないで怖い目をすることになる。実際にそのような過程での事故も多く、懸垂下降の事故はそのもの墜落即死が通常である。要するに、ザイルの両端が揃わないということは、双発の飛行機の一つのエンジンが停止したよりも具合が悪いのである。

そのような訳で、更に半分に目印があると登攀の距離などが分りやすいので残りのザイルの長さなどが容易に測れることで助かったり、または三人目がそこに入ることが出来るが、安い普及品にはついていないことも多い。それはやはり、生産上の手間もさることながら後付のインキとなるとザイルの柔らかさなどに悪影響を与えたり、化学的な影響を抑えきれないからであろう。

今回の場合は痛めたので切る必要があったために、痛めた側の端から十メートル切断したということは、従来の中間マーキングは切り取った方へと十メートル新たな真ん中から近寄っていることになる。つまり新たなマーキングがないと、もともとの中間地点を間違って長さの中間地点と思い、そこに懸垂ザイルを掛けると切り取った方は十メートルも短いことになる。十メートルが何を示すかというと、地面に落下して死亡する可能性の強い高さである。

そのようなことでザイルメーカーが出しているマーカーをネットで注文して、新たな中間点を定め、つまり端から25メートル地点にインクで黒い色を塗りつけた。更に短い方に縞を加えて出来上がった。

幸いなことに古いマーキングは大分色落ちしているので、事情を知らない者がこのザイルを扱っても間違うことは無いであろう。



参照:
バンジージャムプ並の転落 2012-06-18 | アウトドーア・環境
ハイエンドザイルの実力と価値 2012-08-01 | 雑感
新しいザイルを紐解いて 2012-08-08 | 雑感
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