小野ヨーコ八十歳の誕生日を前に、ジョン・レノンが殺害されたそのアパートのキッチンを訪ねている。靴を脱がなければいけないようなふかふかの床が奥へ奥へと続くアパートのようだ。毎日のように世界からの観光客が戸口に佇むセントラルパークの立派な建物である。
世界中の知らないものがいない小野ヨーコは最近はフラッキング反対運動家として脚光を浴びているが、ビートルズが解散する前のプロフィールなども詳しく、当時の文化社会事情とともに炙り出している。
これを読むとジョン・レノンをプロデュースしたのはヨーコのように思われ、そもそもロンドンでフラクスス運動の芸術家として名を成していたという。それでも最終的には、合衆国の市民権を得るために支援者のジョナス・ミーカスの助けで収入の確保が必要だったとある。ケージなどの代表的な芸術家は別として、同じ仲間は皆売れるものを生産していたわけではないので当然であろうか。特にヨーコのそれは、「朝のピース」のようなものだったというから尚更である。しかし、そうした流れがジョージ・マチューナスなどに通じて、ミーカスの映像化になる。フランクフルトで展示会があるようだ。
分野は全く異なるが、比較的時代背景が似ている芸術家として、グスタフ・レオンハルトを挙げてはいけないだろうか?先日購入したヴァージンへの制作録音が予想をはるかに超えて素晴らしい。一体、ドィツェハルモニアムンディーでの録音の印象は何だったのだろうかと思わせる。録音技術的に素晴らしいだけでなく、演奏実践のそれが白黒映画でバッハを演じたときのそれのようにとても生き生きとしていて、まるでバッハを鬘をつけて演じているかのようだ。なるほどグレングールドのそれなどと比較すると、ある意味もっともっと行ってしまっているかもしれないが、弟子のコープマンなどとは違って決して拗ねてはいないのだ ― その辺りが、映像やパフォーマンスの於ける活動でも第一世代の直截な表現方法は共通しているのではないだろうか。先日同じように新スイングルシンガーズの録音集をネットで試聴したがあれなどもスキャットでスイングしていて、ヘルヴェッヘのバッハ実践への大きな影響を与えているに違いないと思った。そして古楽演奏の一派の家元であるレオンハルトの演奏も当時のフルクサスなどの影響を最も受けている音楽家とも言えなくはないのではないか?兎に角、詳細を観察すればするほどに、聞けば聞くほどに面白い。
参照:
Jeder Tag ist ein glücklicher Tag, Jordan Mejias, FAZ vom 31.1.2013
「仕方ない」の非神聖化 2012-01-21 | 文化一般
シーズン終わりのセールス 2013-01-30 | 暦
デューラーの兎とボイスの兎 2004-12-03 | 文化一般
「ある若き詩人のためのレクイエム」 2005-01-30 | 文化一般
全日空不時着のフラッキング 2013-01-17 | テクニック
ジャーナリズムのエコ視線とは 2013-02-01 | BLOG研究
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分野は全く異なるが、比較的時代背景が似ている芸術家として、グスタフ・レオンハルトを挙げてはいけないだろうか?先日購入したヴァージンへの制作録音が予想をはるかに超えて素晴らしい。一体、ドィツェハルモニアムンディーでの録音の印象は何だったのだろうかと思わせる。録音技術的に素晴らしいだけでなく、演奏実践のそれが白黒映画でバッハを演じたときのそれのようにとても生き生きとしていて、まるでバッハを鬘をつけて演じているかのようだ。なるほどグレングールドのそれなどと比較すると、ある意味もっともっと行ってしまっているかもしれないが、弟子のコープマンなどとは違って決して拗ねてはいないのだ ― その辺りが、映像やパフォーマンスの於ける活動でも第一世代の直截な表現方法は共通しているのではないだろうか。先日同じように新スイングルシンガーズの録音集をネットで試聴したがあれなどもスキャットでスイングしていて、ヘルヴェッヘのバッハ実践への大きな影響を与えているに違いないと思った。そして古楽演奏の一派の家元であるレオンハルトの演奏も当時のフルクサスなどの影響を最も受けている音楽家とも言えなくはないのではないか?兎に角、詳細を観察すればするほどに、聞けば聞くほどに面白い。
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