Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

忙しかった週末を回想

2013-05-14 | 試飲百景
週末は忙しかった。金曜日にはタイヤ交換もあったが、ザールのファン・フォルクセム醸造所からワインが届いていた。そして午後にはレープホルツ醸造所での試飲会であった。ザールのリースリングは、残念ながら一本目はコルクや遣られていて正しい評価は出来なかった。それでも特徴はある程度分かった。それ以上に驚いたの底に溜まっていたヴァインシュタインである。恐らく冷えの影響もあるのだろうが、最後の瓶詰の時にフィルターなどを通していないからだろう。フランスの赤ワインにはよくある話だろうが、新しいリースリングではあまり気が付いたことが無い。

更に瓶詰番号は一番になっていて驚いた。昨年の夏に購入したものは25番だったので、二週目ぐらいだろうが、今回のは他のより単純なワインを差し置いて一番目に出来上がっている。なるほど少し濁酒風で、出来立てのワインの感じである。一度冷蔵庫で冷やした昨年のザールリースリングを再び地下に戻して、その成長を観察することにする。

さてお馴染みのレープホルツ氏の講釈試飲から書くと、何時ものように単純なカビネットを出して、その瓶熟成の可能性が強調される。92年のそれであるが、その講釈とは別に、完全にフィルンであるが、濃く出しているので酢のようになっていないのは確かであり、レープホルツファンには飲めないことは無い。しかし保存する価値などは一切ないのは当然である。2012年のワインで比較的上手くいっていたのはロートリーゲンスのカスタニエンブッシュ系統のものであり、例年のように重くない。そして今年からはSシリーズが無くなってオルツリースリングとして、ブリュクリン・ヴォルフ醸造所の採用したブルゴーニュシステムがVDPの基準となった。

そこでここでも、ビルクヴァイラーと称するものが現れて、三種の土壌のものに先立つ。しかし、この醸造所はPCに匹敵するような名地所が無いために些か並びが悪い。つまり、雑食砂岩は下からグーツリースリング、オェコノミラートと石灰の有る無しで、貝殻石灰有り無しに先立って、ガンツホルン、イム・ゾンネンシュタインへと続く。

一週間前のシェーンレーバー醸造所で見かけたという人と話していたのだが、今年はここでも赤スレート系のものがなぜか上手くいっていて浮き上がっている。なるほど悪くはないのである。しかしそのラインガウからの夫婦に言わせると、シェンレーバ―のフリューリングスプレッツヘンは期待外れらしい。それで、丁度反対側からものを見ているんですねと言うことになった。要するにフルーティーなワインが好きな人はどうしてもそちら系が好みで、私のようにミネラルの構築感などを求めて本格的な辛口となると、赤系は苦手で喉を上手く通らないのであり、量を飲めないとなる。これは全く好みの問題ではあるのだが、本当のリースリングの良さを求めていくと私やレープホルツ氏が求める方向へと行き着くのである。フルーティーなワインを求めるならばモスバッハー醸造所のそれの方が安上がりで良い。

その意味からは2012年のオェコノミラートは凄い。酸が胸にしみわたり、如何にもレープホルツらしい容赦のない辛口である。昨年とは違って、かなり危ない。そして昨年は失望させられた割高のアルコール度11.5%とは異なって、今年は12%とお得なのである。

講釈ではグーツリースリングの炭酸を残したものに触れられたが、なるほど「夏などはそれが爽快な感じとなり、それが落ちて寝かしたところで酸が和らぐ」というのは裏返すと、「炭酸の爽快感で飲ませて、落ちると腑抜けた感じになる」となる。些か詭弁の様なのは、氏のワインの経年変化と同じである。少なくとも我々は、十年以上たっても新鮮度が落ちないでフィルンにならないリースリングを知っているので話にならない。そもそも糖をあそこまで落としてしまえば長持ちしない。

なるほど24時間のマイシュツァイトが味落ちしないワインを造るのは事実であるが、レープホルツワイ五年以上寝かせても仕方がないのである。丁度その反対を行くのが甘味を残したファンフォルクセンワインで、天然酵母醸造への希望であろう。前者がすっきりしたリースリングを供給するのに対して、後者のそれが複合的な味わいを残しているのである。

序ながら同じようにバッサーマン醸造所への批判やフォンブール醸造所への評価を人々から聞くことになるのである。要するに前者の急速な信用の失墜や後者のそれがフルーティーなワインを好む向きには愛されていない現実である。

これを書きながら石灰無しの雑食砂岩リースリング「オェコノミラート」を愉しんでいる。食事をして口をさっぱりさせながら飲むこのワインは食中以上に素晴らしい。まさに健康飲料ここにありの感じである。試飲しただけでこれを買う人は殆どいないであろう。この旨さを知らなければ買えない旨さなのである。

ムスカテラーも上手に造っていたが、ゲヴルツトラミナーなどは2011年産のモスバッハーのそれに遠く及ばない。しかし、ソーヴィニオンブランは青ピーマン味でいかにもレープホルツワインらしくて面白い。2010年産のシュペートブルグンダーは、講釈の通り、草や薬草の味があって爽やかである。これはなかなかこの年度の良さを表していて、赤でもなかなか良い腕を示している。

ピノブランとグリの二種類では、意外に黄土の土壌と石灰のそれの違いがよく出ていたが、それは石灰の有無であり、土壌の重さの違いであることを考えればミネラルの反映とは言えない。正直あまり関心が無い。ピノグリの方も上手に造っていたが、これは単純なものの方が飲みやすく、ワインの質が如何とか以前の問題であろう。

醸造所のパーソナルのが一部変わった印象で、これも興味深かった。



参照:
試飲会の後で開けるワイン 2013-05-07 | ワイン
裸の王様を斜に見ながら 2013-05-05 | 試飲百景
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする