今年初めてVDPプファルツで樽試飲が催された。その支部長であるレープホルツ氏の講話を聞きに行った。一回目の試飲は醸造蔵で行われたようだが、二度目は試飲室で行われた。先ずはピノノワールのロゼが出された。二週間前までは酵母と一緒にあって、そこから檻引きをして、こうして試飲される。2014年は春が早く、所謂五月の「アイスハイリゲの霜」の影響を受けていない。そもそもブルグンダー種のワインが、ドイツでは難しいのはこの春があるからで、南フランスのように簡単には出来ない。それでも2014年は良いブルゴーニュ種ワインが出来上がった。
酵母の影響があってまだ酵母臭があるが、四週間もするとこれは抜けるという。同時に肉眼では見えない自然の炭酸が残っているのがこうした樽試飲の特徴だという。それが爽快感を与える。次に供されたのが、同じようにソーヴィニオンブランである。いつものように糖を落とすことで、ロワール風のそれを誇る。ピーマンや西洋スグリの味に、パッションフルーツのそれが乗るニュージーランド風のそれを望んでいない。糖を残すかどうかでそこが変わるようだ。チーズっぽい味を一瞬感じるのは酵母臭の一種のようだ。
さて、いよいよ「オェコノミラート」のリースリングである。11%しかアルコールがないのだが、素晴らしい。ミネラル感と濃くが昨年より強く出ている。塩味だ。糖が残っていないなどとは考えられない濃くである。2013年のスパイシーさはないが、決して酸も悪くはなく、よくこなれた構造的な酸である。「フォン・ブントザントシュタイン」も更に濃くがあるが、若干柔らかすぎる感じもした。秋までの熟成を見届けたい。
ムスカテラーも流石に良い。ピノブランの酸が素晴らしく、レース土壌のものも幾らでも酌が進む感じである。
その前に、フォルストのモスバッハ―醸造所に出向いた。そこではグーツリースリングとソーヴィニオンブランを試した。流石にブルゴーニュは今年は良い。これに関しては自宅で飲んでから紹介しよう。
先ずは、日本からのお客さんを連れてビュルクリン・ヴォルフ醸造所で2013年を中心に試飲した。先方が用意していたようで、「キルヘンシュテュック」を二種類試飲できた。2009年と2011年だった。前者は驚くほど色がついていて、ぺトロール臭があった。2003年ほどではないだろうが、日焼けのストレスがあったのだろう。正直驚いてしまった。2011年はそのような傷はなかったが、繊細さに欠ける年度のリースリングである。しかし、これで2011年も徐々に飲み頃になってきたような感じがした。
結局その前に試した2013年の「ウンゲホイヤー」が最も素晴らしかった。直接に「ランゲンモルゲン」と比較すると、酸が弱いが、そのスパイシーさは見事で、昨年の九月の試飲会以降の成長を感じた。これは金があれば買ってもよいと感じた。しかし、90年代にワイン街道に住んでいたお客さんは、とてもこの懐かしいウンゲホイヤーの味とともに、ドイツワインの大改革に当惑していた。それは価格だけではない。勿論その評価の仕方やコンセプトの変化である。なるほど90年代はまだごく一部の醸造所しかビオデュナミーもビオワインも目指していなかった。当時はまだ不凍液騒動の余波があって、またチェルノブイリ禍の反動のスローフード化も模索中であった。当然のことながら、先駆者のビュルクリン・ヴォルフ醸造所でさえブルゴーニュシステムどころか、グランクリュも2007年まで待たなければいけなかった。要するにシュペートレーゼなどの糖価による等級も存在していて、アインツェルラーゲンの地所がワインの名前として表に出ていたぐらいである。
その後、怒涛のごとくのビオ農業化とケミカルを使わない高級ワインへの道程が本格的に始まったのである。要するに浦島太郎状態になってしまうのは致し方がない。地元に住んでいる人たちは熱心にならなくとも色々な話から等級付けやその農業の在り方を肌で感じている。しかし、地元に住んでいない限り文献等で知識から方針を理解しなければ分からなくなる。このブログでもVDPの方針は直接説明してきたのだが、なるほど昔のドイツのワインを知っている人ほどその落差が大きいとは気が付かなかった。日本の反応をネットでみていてその分かり難さが十分に理解できなかったのだが、こうして直接体験したのは初めてだった。そもそも知識から入っている人は知識としてアップデートしていけるのだが、体で覚えている人にはあまり有効な情報を出せていなかったのである。
参照:
熟成する力関係の面白味 2008-05-30 | ワイン
伸び代に先払いする飲み代 2009-09-16 | 試飲百景
隠れビオデュナミニに驚愕する 2010-05-09 | 試飲百景
酵母の影響があってまだ酵母臭があるが、四週間もするとこれは抜けるという。同時に肉眼では見えない自然の炭酸が残っているのがこうした樽試飲の特徴だという。それが爽快感を与える。次に供されたのが、同じようにソーヴィニオンブランである。いつものように糖を落とすことで、ロワール風のそれを誇る。ピーマンや西洋スグリの味に、パッションフルーツのそれが乗るニュージーランド風のそれを望んでいない。糖を残すかどうかでそこが変わるようだ。チーズっぽい味を一瞬感じるのは酵母臭の一種のようだ。
さて、いよいよ「オェコノミラート」のリースリングである。11%しかアルコールがないのだが、素晴らしい。ミネラル感と濃くが昨年より強く出ている。塩味だ。糖が残っていないなどとは考えられない濃くである。2013年のスパイシーさはないが、決して酸も悪くはなく、よくこなれた構造的な酸である。「フォン・ブントザントシュタイン」も更に濃くがあるが、若干柔らかすぎる感じもした。秋までの熟成を見届けたい。
ムスカテラーも流石に良い。ピノブランの酸が素晴らしく、レース土壌のものも幾らでも酌が進む感じである。
その前に、フォルストのモスバッハ―醸造所に出向いた。そこではグーツリースリングとソーヴィニオンブランを試した。流石にブルゴーニュは今年は良い。これに関しては自宅で飲んでから紹介しよう。
先ずは、日本からのお客さんを連れてビュルクリン・ヴォルフ醸造所で2013年を中心に試飲した。先方が用意していたようで、「キルヘンシュテュック」を二種類試飲できた。2009年と2011年だった。前者は驚くほど色がついていて、ぺトロール臭があった。2003年ほどではないだろうが、日焼けのストレスがあったのだろう。正直驚いてしまった。2011年はそのような傷はなかったが、繊細さに欠ける年度のリースリングである。しかし、これで2011年も徐々に飲み頃になってきたような感じがした。
結局その前に試した2013年の「ウンゲホイヤー」が最も素晴らしかった。直接に「ランゲンモルゲン」と比較すると、酸が弱いが、そのスパイシーさは見事で、昨年の九月の試飲会以降の成長を感じた。これは金があれば買ってもよいと感じた。しかし、90年代にワイン街道に住んでいたお客さんは、とてもこの懐かしいウンゲホイヤーの味とともに、ドイツワインの大改革に当惑していた。それは価格だけではない。勿論その評価の仕方やコンセプトの変化である。なるほど90年代はまだごく一部の醸造所しかビオデュナミーもビオワインも目指していなかった。当時はまだ不凍液騒動の余波があって、またチェルノブイリ禍の反動のスローフード化も模索中であった。当然のことながら、先駆者のビュルクリン・ヴォルフ醸造所でさえブルゴーニュシステムどころか、グランクリュも2007年まで待たなければいけなかった。要するにシュペートレーゼなどの糖価による等級も存在していて、アインツェルラーゲンの地所がワインの名前として表に出ていたぐらいである。
その後、怒涛のごとくのビオ農業化とケミカルを使わない高級ワインへの道程が本格的に始まったのである。要するに浦島太郎状態になってしまうのは致し方がない。地元に住んでいる人たちは熱心にならなくとも色々な話から等級付けやその農業の在り方を肌で感じている。しかし、地元に住んでいない限り文献等で知識から方針を理解しなければ分からなくなる。このブログでもVDPの方針は直接説明してきたのだが、なるほど昔のドイツのワインを知っている人ほどその落差が大きいとは気が付かなかった。日本の反応をネットでみていてその分かり難さが十分に理解できなかったのだが、こうして直接体験したのは初めてだった。そもそも知識から入っている人は知識としてアップデートしていけるのだが、体で覚えている人にはあまり有効な情報を出せていなかったのである。
参照:
熟成する力関係の面白味 2008-05-30 | ワイン
伸び代に先払いする飲み代 2009-09-16 | 試飲百景
隠れビオデュナミニに驚愕する 2010-05-09 | 試飲百景