デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



ユベール・ロベール「ニームのメゾン・ガレ、円形闘技場、マーニュ塔」(1787)、ルーヴル美術館

一昨日のファン・デル・ヘイデン「アムステルダムのヘレンフラハト」の記事を書いたこともあってか、"カプリッチョ"という言葉を思い出した。
カプリッチョってなんかお菓子みたいな響きだが、アルファベットではCapriceと書き、意味は奇想画、自由に創案された画題(虚構の場景の中の建築の廃墟や風景)のことを言う。より具体的には現実の建物・廃墟・場所と想像上の建物・廃墟・場所を巧みに混成させた絵がカプリッチョである。


ニームの「メゾン・ガレ」

フランス南部のニームの「メゾン・ガレ」の画像を見れば、ロベールの絵がカプリッチョであることは一目瞭然である。どう見ても背景に円形闘技場やマーニュ塔は見ることができない(笑)。ちなみに現地ではマーニュ塔は絵とは反対の方向に立っている。
カプリッチョをたくさん描いたのはジョヴァンニ・パオロ・パンニーニ(1691-1765)である。彼のカプリッチョはイタリアの廃墟を背景にした作品が多いが、ユベール・ロベールもパンニーニから教えを受けた一人であった。ロベールもカプリッチョの作品を多く残していて、冒頭の画像の「ニームのメゾン・ガレ、円形闘技場、マーニュ塔」もその一つである。(メゾン・ガレというのは、紀元5年頃に建てられた古代ローマ時代の遺跡である。)
古代ローマの遺跡が三つも一つの画面に描かれていると、古代ローマのすごさを表現したかったんだなぁと分かるのだが、冒頭の絵に関しては円形闘技場も個性の強い主役級の遺跡ゆえか、ちょっとこってりしているように感じる。ロベールも、作品によっては遺跡の配置に頭を悩ませたままの状態で、カンバス上で混成させてしまったものもあるのではないかと思った。

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