デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



ローマのバス停。ボルゲーゼ公園、とある。


ローマの教会には、一旦13時で閉まり、16時からまた開く、というものもある。行きたい教会が閉まっている時間帯は町のあちこちにある遺跡を丁寧に見てもいいし、近くに美術館があるなら入るのもいい。
私はその時間帯に予約の必要なボルゲーゼ美術館に行くため、パンテオンの南の通りからバスの116番に乗ってボルゲーゼ美術館に向かった。
このバスはローマの町の隘路を縫うように走ってくれて、町の生活臭のするに光景が飛び込んでくるので好きなのだ。



ずっと行けばボルゲーゼ美術館

 



ボルゲーゼ美術館前のバス停

 



ボルゲーゼ公園は緑豊かで運動する人も多い

 



ボルゲーゼ美術館


美術館のカウンターの髭をたくわえた男性は入場料8.5ユーロのチケットに私が50ユーロ札を出したので、「細かいのは無いのか? クレジットカードは無いのか?」とか散々たずねてきた。私は正直なところ細かいお金がほしいためもあって、あえて50ユーロ札をぶっぱなしたわけで、こっちも「これしかないのだ!」と言い張った。カウンターの男性は半分呆れ顔で仕方ねえなぁといったようなイタリア語でぶつぶつ言いながら、41.5ユーロのお釣りとチケットをくれた。互いにグラッツェの一言すらないまま、予約日時の確認を終えた(笑)。
その帰り、美術館前のバス停から再び116番に乗った。一旦バルベリーニ広場の手前で時間調整?のためにバスはしばらく止まった。そこで男女の日本人観光客と隣り合わせに座った。
町の中の道を聞かれたことがきっかけで言葉を交わした。なんでも新婚旅行を兼ねたイタリアを北から南(ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマ)へ列車とバス?で横断するツアーに参加し、最後の都市がローマで自由時間とのことだった。
この時の旅も一人旅で、私はバスの中で聞く日本語にとても安堵感を覚えたのだった。新婚さんの二人は外国旅行自体初めてで、そのエキサイティングな気持ちになっている様子がとてもよく伝わってきたものだ。ヴェネツィアは意外と移動に苦労したこと、ゴンドラに乗って運河を航行したときに感じる風を切る音まで、そのお二人の言葉からは感じられるかのようだった。ヴェネツィアに比べるとローマは便利だが、いかんせん町の方向感覚がつかみづらいとも(笑)。
お二人が感じているその気持ちは本当に大事で、できることならその気持ちに戻って私も旅をしたいと不可能なことだが思った。116番に乗ったが当初行きたい方向と逆に行ってしまったとおっしゃっていたが、バスは合っているし循環するのでそのまま乗っていれば大丈夫であることが分かれば安心された様子だった。そしてお二人からローマに来た目的を訊ねられ、私は「ローマ人の物語」の内容とバスの中から見れる遺跡を関連付け、熱く語りだしてしまった。お二人はナヴォーナ広場まで、私はサンティニャツィオ教会までと、行きたい場所は別々だったが、私はお二人との話に夢中になりマルクス・アウレリウスの記念柱の傍を通ってもなお下車せず、ナヴォーナ広場のすぐ傍まで一緒に乗っていってしまった。



ナヴォーナ広場の傍でお二人と別れるとき、たった数十分の邂逅であったにもかかわらず、非常に名残惜しい気持ちになった。ナヴォーナ広場からサンティニャツィオ教会まで歩いて10分程度しか掛からないこと、またパンテオンともさほど離れていないことを伝え「最後までよい旅を」とお二人とがっちり握手して別れた。私という存在は、お二人にとって短い自由時間がより充実するための一要素であったろうか。私にとっては最良の思い出の一つでありつづけているお二人との邂逅であった。



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