日の丸から赤い光が四方八方に伸びている国旗。それを「旭日旗」(きょくじつき)ということを初めて知った。
私の「旭日旗」に対する印象は「軍国主義の象徴」である。
平静の日本は白地に赤丸の穏やかなものだが、それが狂気で燃え上がるとあんな図案になるというのが私のこれまでのイメージだった。
この旗のことが取り上げられたのは、韓国で行われたサッカーの日韓戦で、韓国側が「歴史を忘れた民族に未来はない」という意味のハングルの横断幕を揚げた事件だが、そのきっかけとなったのは、日本側が旭日旗を振りまわして刺激したからだという理由だった。
そうなると、いったい日本側はなんでそんなことをしたのか?と思うし、いったいそんなことをしたのは誰なんだろうと思うわけだ。旭日旗なんかを使っているのは右翼しかいないんじゃ?と思うけど、ネットで情報を探してみると右翼ではないそうである。なんだかわけがわからない。
また、その旗に刺激されたというものの、その前から横断幕は用意されていたことに間違いはない。もし旭日旗が振り回されなければ、横断幕を広げることもなく、韓国側にとっては、メッセージの書かれた横断幕を広げる正当な理由もきっかけもなくなり、横断幕は無駄になったのであった。それもまたよくわからないことだ。
だが、ネットでいろいろ検索してみると、旭日旗に対する嫌悪感は、韓国よりもむしろ日本国民の方が強いそうである。韓国では日本に侵略された辛い過去の歴史があるが、日本でもまた一般庶民が軍国主義の元に苦しめられた過去を消すことはできない。ある程度の年齢の者にとって「旭日旗」は忌まわしいイメージしかないから、それで日本を誇るとかスポーツで応援するとか、そんなことを思いつく人間はいないように思える。
ところが、今回ネットで検索していておどろいたことに、「旭日旗」に対して「かっこいい」という感想を述べているものも多いことに驚いた。
何の先入観もなく、ただのデザインとして考えたときに、あの旗は「かっこいい」ということになるのだ。
そこで、「旭日旗」について調べてみると、日本軍の旗として使われた時代はあるものの、それに限らず、古来よりめでたい時に使われたものだという。だから、祭やスポーツの試合など、晴れやかな場で使われるものだそうだ。それならば、戦争とのイメージを重ね合わせない若者にとっては、なんら悪意のあるものではない。
しかし、そうなると「歴史を忘れた民族に未来はない」というメッセージは、歴史をまるで知らない日本の若者に対して向けられても意味をもつものとなる。
でも、この幕はハングルで書かれているので、日本人には読解できないから、やっぱり日本人に対しては意味がない。後でニュースになればわかるけれど、その場で理解できるのは日本人ではなく韓国人である。「歴史を忘れた民族」とは「日本人」のことなのか「韓国人」のことなのか。韓国選手を応援するための幕だったら、「歴史を忘れずに、戦って勝て」と応援しているのか。一番悪い捉え方は「日本人が歴史を無視しているので、そんな民族に未来はなく、くたばっちまえ」みたいな意味になってしまうが、結局のところ、この幕の言葉を文字通りに受け取るならば、なんら問題はない。
日本人も歴史を忘れてはいません。だから未来はあります。
両国民、歴史を忘れず、これからは健全な未来を作って行こう。と思いたい。
「旭日旗」・・・それ自体も悲しい運命だ。過去に傷を持つ使われ方をしてきたから、未だに嫌なイメージをぬぐい去れないのだ。
日の丸から「狂気の光」ではなく「元気いっぱいの明るい光」が輝いている、そういう旗になってもらいたい。
でも、まだそうなることは無理であり、「自衛隊」を「国防軍」に変えるとか、憲法9条を改正するなどということを考え、さらには、副総理が「ナチスの手法に学べ」などと、とんでもない発言をしている状況では、旭日旗はまた軍国主義の再来をイメージしてしまいかねないのだ。