第10回エネルギーフォーラム小説賞受賞作品。こんな賞があることも知らなかったけど、若い作家の(25歳)本格デビュー作だし、うちの凜ちゃんと同じ名前の人だし(まぁ関係ないけど)ということで一応読み始めたが、あまり文章は上手くないし、目新しいお話もない。
コロナ禍で仕事をクビになって、回転寿司屋でのバイト暮らしをしている24歳の女性が主人公。そんな彼女の日常を描く。偶然、同じ理由からクビになったふたりの子どもを抱える31歳の元同僚、吉野さんと再会して、親交を深めることになる。
ふたりで、カラオケのオールをしたり、ラフティングに挑戦したりもする。今までしたことがなかった小さな挑戦にふたりは挑む。ギリギリの生活をしながら、ほんのささやかな楽しみを見出すのだ。
初めてのラフティングで、子どもが川で流されて危うく一命を取り留めるという事故を通して吉野さんの秘密を知る。ふたりはそれをきっかけにしてお互いに一歩踏み出し、年の離れた親友になっていく。
吉野さんが実は離婚していて、しかも親権を夫に奪われ今はひとり暮らしをしていることを知る。自分も仕事を失くし預金もなく家賃滞納、バイト暮らしをしているということを母には言えていない。そんなふたりが、お互いを支え合う。
結局それだけの話。最後まで読んで、悪くはないとは思うけど、だからどうした?とも思う。だけど、これはこれでいいな、と思った。ただこれがエネルギーフォーラム小説でいいのかとも思う。だってエネルギーやエコ、科学に関わる小説だったという気がしないんだけど。