
実はここに登場するドラマをほとんど見ていない。僕は映画専門だからドラマは見ないからだ。見てもいないドラマの話を熱く語るこの本をわざわざ読んだのは柚木麻子が書いているからだ。ドラマ好きの妻がこれはつまらないと言って読むのを途中から辞めたというのも影響している。小説は信用できる柚木麻子のエッセイはいかに?
もちろん見ないと言ったけど、ここに登場するドラマを全く見ていないわけではない。それどころか何本も見ていたし、全部ではないけど、なんとなく何話かを見ている作品ばかりだった。それくらいにポピュラーな作品ばかり取り上げている。というか、日本のドラマって柚木麻子が言うように誰も見ていないわけではなく、それなりに誰もが見ているし、知っているのだ。たぶん。
丁寧に読むことなく、ななめ読みした。本気でドラマを見ていない以上本気で読むこともなくていいだろうと思ってさらりと読み流す。なかなか楽しかったし、柚木麻子の考えていることがなんとなく理解できる気がした。
昨年の『虎に翼』と『ふてほど』は毎回リアルタイムで全部(ほぼ)見た。僕だってハマったくらいに面白かった。この20年ほどの日本のドラマを総まくりすることで今という時代を振り返ることになる。これはこれでやはりなかなか楽しい体験だった。