2日に分けて見ることにしたのは正解だった。この重量級の2本を連続して見るのはかなり過酷ではないか。だけど、劇団は2作品連続鑑賞が出来るように便宜を図る。役者たち、スタッフは大忙しで準備している。朝の回が終わると30分後には昼の部が始まるからだ。今日で2日目。今週、来週の2週間の公演である。今の若い劇団未来はとことん攻める。
さて、こちらは女性キャストだけで見せる作品。2時間半の戯曲を30分縮めて2時間の作品に仕立てた。演出は劇団ぎぶあっぷの松永泰明。キャストは6人。客演ひとりを含むがほぼ全員が劇団員で上演される。
舞台美術はもちろん基本2作品共通だが、微妙に使い方を含めて違うし、その結果受ける印象も変わる。この劇場の高さと、役者たちの動きを使って、激しい感情の爆発を描く。ほとんど動きを禁じたことで男たちの内面の葛藤を静かに描いた『我が友ヒットラー』とはまるで違うアプローチをする。こちらははっきりと女たちの表に出る感情をストレートに描く。
3幕からなる芝居を休憩なしで2時間、一気に見せるのもいい。松永演出は勢いで見せようとする。正解だろう。彼女たちを止めることはできない。
ここには今は不在のわけのわからない男(サド侯爵)に振り回される女たちがいる。彼女たちのドラマをお互いの感情をぶつけ合い見せてくれる。変態男サドを巡って女たち(女優陣)が激しくぶつかり合う姿は圧巻だった。時々影のように現れるサドを池田佳菜子が演じる。その不気味さも見どころになる。20年に及ぶ大河ドラマは見応え充分。