習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

伊吹有喜『常夏荘物語』

2024-10-27 05:33:00 | その他

なんとなく読み始めたけど、なかなか話に乗れないのはこれがシリーズの第4巻だったことも当然影響しているのだろう。しかもそんなことも知らずに読み出したから複雑な人間関係も把握できないまま読むことななった。だいたいこれが4巻目だと知っていたなら、ここからは読まなかったと思う。だけど、もしかしたらここから読んだのは正解だったのかもしれない。今僕は大河ドラマよりも晩年というポジションに心惹かれているし。

それにしてもこれは大金持ちの話である。彼女たちの住む世界が理解できないし。遠州峰生の名家の遠藤家の15年を描く。その邸宅である常夏荘がお話の舞台となる。このお屋敷で住む耀子と18になり大学受験に失敗して浪人生の娘、瀬里。さらには瀬里の祖母照子。これはこの3世代による大河ドラマ。
 
祖母、母の話から始まってこれは孫になる瀬里がお話の中心となる完結編。常夏荘を出て東京で暮らす瀬里。常夏荘にいる母、耀子。ふたりの周辺にいる身近な人たち。15年の集大成はミネフェスを描くラスト。このクライマックスは感動的だ。
 
『なでし子物語』から始まって『天の花』『地の花』と続いた3作品の最後を飾る本作は『常夏の光』というタイトルで連載されたが、単行本化する段階で『常夏荘物語』に改題された。なでし子(撫子)が旅立つ感動のフィナーレにふさわしい。3人の3世代の歴史。彼女たちがここで生き、ここから瀬里が旅立つ。撫子は常夏の花。美しく生きること。いじめに遭っていた少女だった耀子。娘の瀬里が旅立つ前に彼女は結婚を決意する。なでし子たちの物語はここでひとまず完結する。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 三俣婦人会『おまえのハンサ... | トップ | 劇団未来『サド侯爵夫人』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。