藤谷文子が脚本、プロデュースして、井浦新が主演した日米合作のインディーズ映画。今年の大阪アジアン映画祭のクロージング作品でもある。監督のマーク・マリオットは寅さん映画の助監督経験者。どうりで、と思う。
お話がなんだかなぁな思ったけど、やはり映画自体もなんだかなぁ、の古くさい作品だった。今時こんな人情劇で映画を作るなんて、松竹でもしない。効率重視のバリバリの企業人間だった男がアメリカの牧場を再建する。アメリカで和牛を育てるという計画だったけど、なかなか予定通りにはいかない。ただ、最初は反発もしたが、予定通り(?)向こうの人たちとふれあい、やがては彼らと一緒に昔ながらの牧場のまま、ここを守ることになる。めでたし、めでたし。
井浦新がクールで調子のいい男を演じる。だが彼が演じるとなぜか軽薄にはならないし、鼻持ちならない男にもならない。それどころかこんな役をしても誠実に見えてくるから不思議だ。國村隼も同様。つまらないいいかげんな男にはならない。そんなふたりがアメリカの牧場で新しい生き方を模索する。
映画はよくあるハートウォーミングから一歩もでない。最初は大変だったし、意思の疎通は上手く行かなかったが、いい人ばかりだったから結果オーライ。でもそんなに簡単にはいかないでしょ、と思う。
悪い映画だとは思わないけど、さすがにこれだけノーテンキではガックリする。ラストのハッピーエンドとか、エンドクレジットの楽しそうな光景とか、まぁいいけどね。