プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

佐藤一誠

2014-11-13 21:05:46 | 日記
1964年

第二の高山に育てようじゃないか、と首脳陣が力を入れているのが国鉄の佐藤一誠(神奈川大中退)だ。1メートル76、75キロとバランスのとれた体。おまけに左バッターで脚あり、力あり、野球選手の条件は全部そろっている。が、打撃ばかりはなかなかそうはうまくいかないもの。五月三日現在、イースタンの成績は一割九分六厘(37打数7安打)と二割にも満たない低打率大型バッターの割りにはまだ一本の長打も飛ばしていない。そのうえ佐藤の悪いのはこのあとのほうで、19という三振の数である。もともと力はあっても体の堅さがあり、とくに左ピッチャーがからきし打てないという欠点が目につく。若いバッターがそうそう左を打てるもんじゃないというのはわかるとしても、高山を上回る三振率はどうみてもいただけない。林監督は、「左ピッチャーばかり打たせて練習させてはいるんだが・・・」といっているが、この分だと一軍入りは研修明け後もちょっと無理のようだ。じっくり二軍で基礎から叩き直すこと、これが第二の高山への佐藤の課題だろう。
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加藤斌

2014-11-13 20:37:56 | 日記
1964年

中日の加藤投手は杉浦監督推薦の成長株。ことしは柿本、権藤、河村、山中についで五人目の投手としてローテーション参加が確実視されている。その加藤が、オープン戦で何度か手痛い打撃を受けてくさっているという話を聞いた。その噂とはこうだ。加藤は杉浦監督の信頼を得てキャンプ以来、自信満々のトレーニングを続けてきた。性格こそおとなしいが、野球根性では誰にも負けぬ強さを持っているので、自分でも、「ことしはやれる」と思っていたようだ。事実、調子も上々、球の切れは申し分なかった。ところがオープン戦に入ってみると思惑が狂ってきた。出たら打たれですっかり自信を失くしてしまったというのだ。加藤がショックを受けたのは事実だ。近鉄戦で矢ノ浦、山本八にホームランを打たれたあと阪急戦ではウィンディに外角のカーブを、バットの根っ子で左翼フェンスへ持っていかれ、阪神戦ではウイニング・ショットのシュートを山内に左翼へ叩き込まれた。得意のシュートとプロ入り後マスターしたカーブを叩かれたのだから、自信がぐらついたのも無理はない。この噂を杉浦監督にぶつけてみた。「自信を失くしている?そんなことはないよ。オープン戦じゃないか。あいつは場数を踏むほどよくなるんだ。その意味でいい経験をしたと思わなきゃ・・」杉浦監督は笑ってすませた。加藤もその点では同じだ。打たれたことをそんなに気にしていなかった。「相手は大リーガーであり、日本の代表的なバッターの山内さんだから、打たれたって当たり前。少しもしょげてなんかいませんよ。オープン戦ではちょっと登板過多でへばっていましたが、公式戦になって、第一、ボクの出番が回ってくるかな」加藤は野球根性のある選手だ。話しっぷりのどこにもショックの片リンさえうかがえなかった。開幕を控えて暗い噂が出たが、それもいつの間にか消えてしまったようだ。
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新山彰忠

2014-11-13 20:16:51 | 日記
1964年

魔球ばやりの昨今、また新しい話題が増えた。南海の新山が七色の魔球をマスターしたからだ。かつて多彩な変化球を駆使した技巧派ナンバー・ワンの若林(現西鉄ヘッド・コーチ)が七色の球を投げたことがある。新山はその若林の異名をそっくりそのままいただいたわけ。新山はスピードのある投手ではない。スピード不足のため、プロ入り一年目はさんざんのできで、法政の大先輩鶴岡監督の期待を裏切った。二年目の昨シーズン、新山は変化球に活路を求めた。スピード・ボールを持ったうえでの変化球なら効果倍増だが、変化球だけで生き抜こうとするのは容易なことではない。中原コーチも、新山自身も途中で何度か絶望しかけた。しかし新山はやり遂げた。「これしか生きる道がない、とわかったからには死に物狂いです」と背水の陣をしいた努力がようやく実を結んだのだ。なかばサジを投げかけた格好だった中原コーチも、いまでは新山に全幅の信頼を寄せているほどだ。新山の七色の魔球は、カーブ、ドロップ、シュート、スライダー、ナックル、フォーク、それにストレートが加わる。そのいずれもが、スピード、角度の違いを持っており、その組み合わせいかんで七色が八色にも十色にもなる文字通りの魔球だ。しかも、絶妙のコントロールが、魔球をあやつる糸になっている。「ピッチングのコツを覚え、自信がついてくると大胆に投げ込める。そのうえ、ウォーム・アップの時間が短いのでリリーフにはうってつけだ」かつては後輩の不甲斐なさに絶望していた鶴岡監督も、名消防夫に成長した新山に大きな期待をかけている。
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