1962年
「ノー・コン(無制球)もまた武器である」というのが南海のルーキー岡村投手(大阪電通高)、下手投げ特有のクセのある球を投げ、スピードもあるのだが、コントロールがさっぱり、それもボールの行き先は、「ボールに聞いてくれ」というくらいで、南海ではちょっとした名物になっていた。こんな調子だから打者はへっぴり腰になり、ボールをこわがるのでノー・コンが逆に武器になっている。近鉄戦に連続登板したが、初の1勝をマークしたときが1回1/3投げて、安打ゼロで3四球、その次はまあまあのできで8回を5四球、フリー・バッティングでも投げさそうものなら、たちまち死球を連発。医務室をのぞいてみると、「お前もか、オレもだよ」のありさま。とてもレギュラーのけいこ台になるどころの騒ぎではない。しかし首脳部は「あいつのクセ球はおもしろい。若生(西鉄)の例もあることだし、これから先が楽しみだ。まあ味方の打者をこわがらすより、相手チームの打者をこわがらすのが先決だがね」と、この背中をくるりと打者に向け、とんでもないほうを向いて投げるノー・コン武器の岡村を楽しみにしている。
「ノー・コン(無制球)もまた武器である」というのが南海のルーキー岡村投手(大阪電通高)、下手投げ特有のクセのある球を投げ、スピードもあるのだが、コントロールがさっぱり、それもボールの行き先は、「ボールに聞いてくれ」というくらいで、南海ではちょっとした名物になっていた。こんな調子だから打者はへっぴり腰になり、ボールをこわがるのでノー・コンが逆に武器になっている。近鉄戦に連続登板したが、初の1勝をマークしたときが1回1/3投げて、安打ゼロで3四球、その次はまあまあのできで8回を5四球、フリー・バッティングでも投げさそうものなら、たちまち死球を連発。医務室をのぞいてみると、「お前もか、オレもだよ」のありさま。とてもレギュラーのけいこ台になるどころの騒ぎではない。しかし首脳部は「あいつのクセ球はおもしろい。若生(西鉄)の例もあることだし、これから先が楽しみだ。まあ味方の打者をこわがらすより、相手チームの打者をこわがらすのが先決だがね」と、この背中をくるりと打者に向け、とんでもないほうを向いて投げるノー・コン武器の岡村を楽しみにしている。