1972年
太平洋クに二位指名された三協精機・山口富夫投手(23)は、長野県諏訪郡下諏訪町の同本社で、磁性事業部製造課製造技術係に勤務している。ドラフト指名の知らせを受けるとまず「何位ですか?」と問い返した。これまで横浜高ー神奈川大を通じてプロから指名されたこともなく、ことしも打診はなかったが、本人は「チャンスがあればプロで投げてみたい」という気持が強かった。それだけに、うれしさとともに、太平洋クが自分に対してどのていどの期待度を寄せているのかを知りたかったのだろう。「別に九州のチームだからという抵抗はない。プロで自分の力をためしてみたかった。会社や監督と相談して決めたい」本人ははっきりプロ入りの意思ありを表明した。しかし、同チームの光沢監督は「素質はあるが、まだ実績がない。いますぐプロ入りして果たして本人のためになるかどうか。最後は本人の気持ちしだいだが、そのあたりをよく本人と話し合ってみる」と、やや反対の口ぶり。ことしの産別大会後エース玉井を巨人に取られたばかりの三協精機としては、これからを期待している投手に抜かれるのが痛いということだろう。山口は恵まれた体格を生かした本格派。その速球は即戦力として大きな期待が寄せられている。
太平洋クに二位指名された三協精機・山口富夫投手(23)は、長野県諏訪郡下諏訪町の同本社で、磁性事業部製造課製造技術係に勤務している。ドラフト指名の知らせを受けるとまず「何位ですか?」と問い返した。これまで横浜高ー神奈川大を通じてプロから指名されたこともなく、ことしも打診はなかったが、本人は「チャンスがあればプロで投げてみたい」という気持が強かった。それだけに、うれしさとともに、太平洋クが自分に対してどのていどの期待度を寄せているのかを知りたかったのだろう。「別に九州のチームだからという抵抗はない。プロで自分の力をためしてみたかった。会社や監督と相談して決めたい」本人ははっきりプロ入りの意思ありを表明した。しかし、同チームの光沢監督は「素質はあるが、まだ実績がない。いますぐプロ入りして果たして本人のためになるかどうか。最後は本人の気持ちしだいだが、そのあたりをよく本人と話し合ってみる」と、やや反対の口ぶり。ことしの産別大会後エース玉井を巨人に取られたばかりの三協精機としては、これからを期待している投手に抜かれるのが痛いということだろう。山口は恵まれた体格を生かした本格派。その速球は即戦力として大きな期待が寄せられている。