プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

松尾輝義

2016-07-15 22:21:58 | 日記
1974年

個々の技術を鍛えてもダメだ、一気に流れを変えなければ、といわれる投手陣。よどんだ水の中に清流を流し込み、若さと勢いを生みだすことが先決だ。「若い人がピリッとしたピッチングをすれば全体のムードもさわやかになるし、刺激にもなる」と中尾コーチも、若手投手に最後の望みを託する。一軍とは逆に、首位を独走しているファーム。その原動力となっているのが9勝をあげている玉井、5勝の松尾、3勝の小林の若手トリオだ。技術は二の次として、力いっぱいやる気迫と若さをもっている。オールスター直前の大洋戦で、松尾、小林をベンチに入れ、登用するチャンスをねらっていた。とび出す若手投手の一番手として、松尾をばってきされ、広島遠征参加が決まった。松尾は右腕本格派の五年生。スピードなら堀内以上と折り紙をつけられファームのエース格。昨年、一軍入りを目前にして盲腸で入院、今年はオープン戦で、エラーに足を引っ張られて四球でダウン。「シュートを完全にマスターしてピッチングにはばがついた」(木戸コーチ)と、コントロール、自信を回復して、ついに一軍入り。投手陣に活気をつける特効薬として一軍に送り込まれる。この日行われた紅白試合には、若手トリオがそろって登板。元気のいい投球をして首脳陣をよろこばせた。「松尾、お前はあした(二十六日)から一軍だ」と木戸コーチにいわれて「うれしいのひとことです。がんばってきたかいがあった」と素直によろこんだ。「この次はボクの番ですよ」と松尾を横目にみて闘志満々なのが玉井。「いまちょっと調子が落ち松尾に先を越されたが、北海道遠征で立ち直る。チャンスですからね」一軍を目指してしのぎをけずる若手に中尾コーチもニンマリ。「玉井と小林だって、いますぐ一軍に上げていいくらいだ。ま、ムリせずに、というところ。若手の気力を一軍の連中にみせてやる。一軍の者ものんびりできなくなるよ」玉井、小林のルーキー・コンビも場合によっては北海道から一軍に呼びだす。若手がひとり上がってくれば、いま一軍にいる者がひとりファームに落ちなければならない。松尾のあとに玉井、小林が一軍入りの態勢を整えているとすれば、一軍投手もウカウカできない。投手陣を生き返らすかどうかの期待を背負い「がんばってこいよ」の声を浴びながら、松尾は一軍へ上がっていった。
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