乾山の芸術と光琳 を見にいったが 深いことは判らず。 ただ、 色が美しいとか、 カタチの好みだとか、 デザインに惹かれたなど。 絵をそのまま立体化するように、 描くように造られた器は、 料理を盛りつけてこそ完成である。 高級什器を、 奥行きのある一幅の絵として拝見する。 それぞれの器を取り巻く、 宇宙を感じた。
これは はじめて会ったかも知れない
尾形乾山作
色絵能絵皿 十枚
各2.8×11.0×19.2 拡大
タタラによる型打成形。 全体に白化粧を掛け、表面には大和絵風或いは琳派風の筆づかいで、 能の演目の一場面が描かれている。 側面は菊藤文を型紙摺して。
一枚の裏に十の演目を記し、 九枚には謡の一節が書かれている。
分かったのは杜若だけ、 そう言えば、 芍薬が見られるのは通小町、 会場では気づかなかった。
哥人の家の
このみには人
丸のかきほの柿
山のへのさゝくり
窓の梅薗の
桃
延宝三年(1675) 十二・三歳のころ、乾山は「寛三郎」と名乗る能の演技者であったことが近年明らかにされた。 (写真及び引用はカタログから)
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何をするにも、何を見るのも素養がなければ鑑賞も浅い。 情けないものでした。 造形に嵌められる文学的なものなど、 教養にあふれている。 外国の陶磁をモデルにした色絵の皿や向付など、 旺盛な創造の世界は、 職人であり芸術家。 兄光琳をときにリードしていた。 遊び心いっぱいの 楽しい造形が器になったようだ。 見応えあり。
メモ
銹絵独釣図角皿
山水画、 漢詩、 書のハーモニー。
銹絵掻落雲唐草文大鉢
口径31.6の大鉢。 釘彫りによる掻落も軽快で 創るのも楽しんだに違いない。 銹絵牡丹唐草文鉢、 銹絵牡丹唐草文角向付など
銹絵染付絵替土器皿(上写真) 絵柄も配置も面白い。 斬新なデザインが とても気に入り。